![]() As one pleases Top |
人気がなくて 温かさがひとつ消えた部屋の中 朝 目が覚めた時に 目に入ってくる カーテンの隙間からわずかにもれる陽の光 のそのそ起きあがって てきぱき着替える 寝起きがいいのは ずっと前から 目が覚めて15分もしないうちに パンを食べ始める 新聞に目を通して ニュースを聞いて お茶を飲む 朝早くから仕事をしている人がいるのだと まだ ぼんやりした頭で考える 髪をとかし もっていく荷物を確認する 定期はいつまでだったっけ? 定位置にある定期を出して日付を見る あぁ 2ヶ月後だ 2ヶ月なんて遠いといつも思うのに 定期を更新するたびに あっという間だったなんて思って 新しく入力された日付を見て また遠いなと思う 人気がなくて 温かさがひとつ消えた部屋の窓 もうすぐ暑い夏がやってくる カーテンを閉めて 窓のかぎも確認して 「いってきます」 の言葉のいう相手いなくなってしまった 部屋を出る 階段を下って 台所で料理をしている母に 「いってきます」 と声をかけて外へ出る 起きた時よりも明るくなっている陽の光を浴びて もういない温かさのひとつが眠っている土を見つめる 手帳の中には 1枚だけ写真があって だけど まだいなくなってから一度も見ていないの そっと手を合わせて 心の中で 「いってきます」 |