As one pleases
Top



ふり返っても 気配はあるのに誰もいない
時計は夜の11時をまわっていて
一人 キッチンで父の帰りを待つ
母は具合が悪いからと言って 早く眠ってしまった

テレビもつけないで
いつもの読書もせずに
ひざにのっている
白い小さなぬいぐるみを見ているだけ

何回も
泣いて
笑って
願った

そのぬいぐるみは いつも
私のそばにあった
初めてもらった 好きな人からのプレゼント


思いをどうしたら いいのか分からず
ただ 冷蔵庫の放つ音だけが私を包む
明日 朝はまた来るのだろうか
こんなに暗く寒い夜なのに 朝はやってこれるのか

言わなくちゃ 誰かに

きっと心が壊れてしまうから
その前に
昨日まであったストラップをはずし
今は何もついていない携帯を開いて
メールアドレスを選ぶ

ボロボロ泣きながら 打ったメールは
孤独な私だけしかいなかった
絶対に頼らないようにしようと思っていた人へ
メールを送ってしまった



今はもう過去だけれど
メールを送った次の日に
私は一本の電話でドロ沼から救い出された
たぶん その時から少しずつ気付いていたのだ
朝は必ず どんな暗い夜の後でも来るものなのだ