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1.山小屋の迎春  2.二人の句集 

第1号は山男の詩から始まります。第2号は詩と俳句になりました。さらに第3号は?   2007.1027 DigitalArtCenter


1.山小屋の迎春
万感こもごも一九五七年は山小屋に暮れる

男は老いも若きも女は若い人ばかり
孤高の人あり
騒がしきグループあり
アベックは楽しげな限り
皆山にあこがれ下界を去って来た
心は清く優しく又勇敢な山男山女

ぎっちりと山小屋を埋め
二階と一階と土間と敷きつめたござの上に
ヤッケをかぶりリュックを枕にして
うす暗いランプの光の中に
身動きもできず
皆それぞれの想いを胸に
孤独は孤独で
グループはグループで
アベックはアベックで
万感こもごも旧き年を送る

「クァーン」「クァーン」
物淋しい余韻を響かせて
鋭く焦き立てるように
山頂の小屋の中を鐘の音が突き通る
夢現つに「アゝ慰霊堂だな」と考える
誰がついているのか除夜の鐘
どんな小さな鐘なんだろう
三つ四つ五つ六つ
だが聞いているうちに何となく可笑しくなってくる
鳴らし方が余りに素人くさいのだ
「クスッ」山男たちが
「ンフッ」山女たちが
雑魚寝の中からしのび笑う
鐘の音はそれでも八ツまではきちんと鳴った

そしてそこで吐絶えた

なんて半端な除夜の鐘なんだ
と思う間もなく山男たちのしのび笑いが爆発した
「何だありや」
「どうしたんだ一体」
「俺や百八ツ鳴らなきゃ年が越せないんだ」
「あとの百個の煩悩をどうしてくれるんだ」
「しっかりしろーっ」
「鳴らせーっ」
「クァーン」待望の鐘が鳴った
一瞬小屋の中はシンとする
とつぜん
「カンカンカンカン・・・・・・クァーン」
一斉の爆笑に小屋が揺らぎランプの炎が踊り
新しい年一九五八年があけた

「何だありや」
「山火事か」
「気でも狂ったのじゃないかな」
鐘は鳴り続ける或いは早く或いはおそく又規則正しく
義務は果たすんだ除夜の鐘は鳴り叫ぶ

山小屋の中はざわめく
「静かにしろ」
「うるせえっ」
「俺は眠いんだ」
「明日のことを考えろ」
「黙れ」
「殺すぞ」
「勝手にしやがれ」

「うるさいわね静かにしたらどう」
乙女の寝ぼけ声で漸く年頭の騒ぎは静まる


2.二人の句集
● 枯山に 羊歯は緑を 主張する
● 逢引の 夜のあじさいの 毬白し
● 笹子とは 鶯の子 甲州路
● 紅蕎麦は 喰わぬが花と 伊那の道
● 濡れそぼる 路地を賑わす 蝦蟇の声
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● 箱根路や 松虫草は 霧の中
● 花むくげ 手折れぬ頃の 子供の日
● 猫拾い 自転車籠に じゃが芋と
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