イヌはどうして木に登れないの?
 4つ足の動物は主に後ろ足が動力源となり、前足で方向を司る。
 この前足は、いつの間にか獲物を捕らえたり、食べ物を押えたり、口に運んだりするのに使われ始めた。
 そして、後ろ足だけを動力源とし、前足を動力として使わなくなったのが人間だ。

 この前足を器用に使う動物には、サルやネズミがいる。
 ネズミは物を押えるだけだが、サルは食べ物を口にまで運ぶことができる。
 しかし人間と違うのは、走る時に前足も使ってしまうことだ。

 人間や猿の前足(腕)は、前後左右、上下と自由に動かせるし、その先には手があり、器用に動く5本の指もある。
 人間が犬や猫より優れたのは、二本の足で立って歩くようになったからだと言われている。
 言い替えれば、前足(手)をどうやってうまく使えば物事が処理できるかと、思考が始まり知能が発達したのだ。

 さて犬の前足だが、前後には動かせるが、左右にはあまり動かない。
 しかし、じゃれている猫の前足を見ると、前後左右と巧に動かす。
 前足を左右に動かせる動物は、物を抱きかかえることができる。
 犬の前足は左右に動かすことができず、抱きかかえることは不可能に近い。
 そこで、猫が木に登るところを観察してみると、木を抱きかかえるようにして、鋭い爪を木にたてて登る。
 もちろん、猫の方が犬より敏捷で、爪も鋭く体重も軽いこともあるが、体重だけを考えると、熊は木に登れないことになる。
 木に登れるか上れないかは、生まれ持つ関節の動きに問題があると考えた方が自然だ。

 こう答を導くと、カニはどうして横に歩くのかの答も導きやすい。
 カニの足の関節は横にしか折れないからだ。
 ただし、身体と足を結ぶ関節は前後左右に動かせるため、斜めに歩くことは可能だ。
(身体が縦に長いカニの中には、見事に真っ直ぐ縦に歩く奴もいるが例外としよう)
 いくら器用に前足が動いたとしても、これらの動物の前足は、歩いたり走ったりする時の重要な器官でしかないのだ。
 動物たちは、食事の時に立ったままで、器に口を突っ込んで食べる。
 手を使って食事ができるのは、霊長目(哺乳類中最も進化した動物で、人類と猿類)だけなのだ。