待望久しい平塚在住作家の特集展
平野杏子展
11/10(土)から平塚市美術館


 
平塚在住53年の洋画家 平野杏子(ひらの きょうこ)さんの本格的回顧展である『平野杏子展』が、平塚市美術館で11月10日(土)より開催される。
 昭和28年(1953)、弱冠23歳で第8回日展に油彩画《庭の壺》が入選し、画壇に鮮烈デビュー。作風は次第に具象から抽象へと移り、仏教思想や新羅・磨崖仏(韓国慶州市南山)に感応した幻想的な作品を発表する。また、サロン・ド・メ(パリで1943年創設の前衛美術展)への招待出品、彫刻作品でもヘンリームーア大賞展で受賞と、多彩な作品世界を創出。今展では、初期から最新作にいたる約40点の油彩、版画、立体作品を展示する。
 会期は2008年1月20日(日)まで。開館時間は午前9時30分〜午後5時(入場4時30分まで)。観覧料は一般200円、高大生100円。問い合わせは平塚市美術館エ35‐2111まで(月曜休館)。



美の寵児
無限の探求心


 「四畳半に筆一本の自由があればいい」。それが理想の生き方。「昔も今もね」。
 平野杏子さんは昭和5年、伊勢原の事業家の家に生まれた。環境にも恵まれ、早くから天賦の才能が開花。画家として約60年に及ぶエネルギッシュな創作活動とともに、内なる鳴動を多様に表現した独特の世界を構築している。
 はた目には順風満帆に見える。実際は渇望にのたうつ日々だったようだ。女は結婚し家や家族に尽くせとする因習への反発。画家としての自分を貫くために、あらゆるものと対峙した。平成15年(2003)発刊の『平野杏子作品集』の巻末にこんな一文を寄せている。『人生の受けるべき苦よりも、自分自身を裸のままにさらけ出し、障害になるべき者を棄ててきたという身の意識の方が強かったのです。わがままの一語につきます』(一部抜粋)。平野さんの作品は、ときに同一人が描いたものかと驚くほど変化する。何と向き合っていたのか、その時々の画家の精神宇宙を辿るのも回顧展ならでは。
 展覧会には新作3点も登場する。いずれも100号を超す大作で、開催が決まってから突き動かされるように描いた。筆一本の自由。
喜寿を迎えた瞳は、絵にのめりこんだ少女の頃と少しも変わらない。

市内アトリエにて平野杏子さん。(10月25日撮影)

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