< 内房から外房へ >

2001/2

金谷ーマザー牧場ー房総スカイラインー亀山ダムー大多喜ー大原

 

「円盤が回るから」でもないでしょうが自転車乗りにジャズやクラシック音楽の
好きな人が多いのは、何か共通する傾向があるのでしょうか。

 



 

< 佐久間式アンプ >

 

 もう20年にもなるが、私が最初に自転車で千葉へ渡ったのもオーディオが縁だった。館山にレストラン・コンコルドがある。そこの主人が佐久間駿氏。ちょうどその頃「無線と実験」誌に記事を載せ始めた頃だった。

 ハイファイ全盛の時代だったが、佐久間式アンプは真空管。それもハムが多いと敬遠された直熱管。トランスがご丁寧にも全段に入っている。ステレオではなくモノラル。内田氏による測定結果では歪率が下から上までほぼ一定。信じられないがイコライザーの定数を耳で決めたというのだ。全てについて「よくもこれほど」といえるほど当時の常識の逆をいっていた。

 ところが自作アンプの流れは佐久間式アンプをきっかけに大きく変わって行く。今となってはトランス結合は当たり前だし、測定データが全てだとは誰も思わない。新型の直熱管も生産され、多くのトランスが作られている。佐久間さんの新しさは「聴きたい音楽を聴きたい音でこころゆくまで」というように、曲の選定から音の出口まで、強烈に個人的な好みや主張を押し通し、それを一般化した点にあった。

 

 

< 房総半島横断 >

 

 千葉ツーリングが毎年の恒例になっている。友人が祖母の墓参をするのに付き合って千葉に渡る。フェリーを使うと金谷は近い。自転車は待たずに乗れるし、9時の便に乗ると10時には走り出すことができる。おまけに帰りは輪行という楽な手もある。

 何度来ても、下船して走り始めたときの高揚感は変わらない。上総湊までは海岸線を走る。マザー牧場方面。牧場手前の直線をダンシングで上る。鹿野山から九十九谷を遠望する。山また山、水墨画の世界。

 


          九十九谷を遠望

 房総スカイラインを亀山湖へ。勝手に深山幽谷を想像していたら明るい貯水池だった。そうはいうものの千葉は何処を走ってもよい。脇道に入れば小さな集落があり、穏やかな里山がある。小湊鉄道を単線の電車が走るところも見たいが、本数が少ないとみえてなかなかチャンスがこない。上総中野で墓参。大多喜へ。昔の時間が流れている。こんな感覚を味わうために、わざわざ遠くへ出掛けてくるのだろう。


            大多喜

 

 大原。「椿の里」を探す。地元の人間もほとんど知らない。かろうじて小さな案内板を発見。どうも役場の誰かの発案による「まちおこし」というのが真相のようだ。ネーミングだけが一人歩きしたようだ。椿の里は背の高い屋敷林が曲がりくねった狭い路地を作っている。椿の花盛りを期待すると落胆するが、この地域特有の細道は風情があってとても好ましい。

 



               大原の海岸にて

 

 大平洋を見るために海岸へ出る。浜砂が白い。波のない穏やかな海が広がっていて、人影のない砂浜は広い。二月の日暮れは早い。陽が落ちると一気に寒くなる。駅で自転車を畳んで輪行。しかし外房は遠い。待ち合わせ、また待ち合わせと乗り換えの度ごとに待ち時間が掛かり、結局家に着いた時には家族はとうに寝静まっていた。

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