ホリデーパスを使って < 日光から足尾へ抜ける >

2003/5/3
小山 - 栃木 - 今市 - 日光 - 足尾 - 熊谷  150Km

 

 

 この歳になるまで日光へは行ったことがなかった。連休の初日は熊谷を起点に高崎方面へ例幣使街道、中仙道。今日5月3日は日光例幣使街道を栃木市から日光まで走る。当初の予定では、帰りは日光街道を宇都宮まで出て有名なギョウザでも食べて帰るつもりだったが、時間に余裕があったので足尾方面へ抜けることにする。

 


 

< 例幣使街道 >

 

 栃木市は古い街である。畠山陣屋跡付近は旧街道の佇まいを色濃く残す。そこを北に少し行くと足尾道と日光道の分岐点に出る。ここから日光までは約50Kmの道のり。

 


   栃木市内 畠山陣屋跡付近

足尾道・日光道の
分岐点

 


   鹿沼市内を過ぎるあたりから杉並木が現れ始める

 

 鹿沼の市街を抜けると杉並木が始まり、今市市に入ると本格的な杉並木が続く。2車線ぎりぎりなので、車は大きく反対車線にはみ出して自転車の私を抜いてゆく。杉並木の中はまるで森を走っているかのよう。

 


 

< 日光杉並木 >

 


ゴールデンウィーク中でもここは別世界、通る人もいない

 今市市の中心部を抜けると、旧道が分かれる。一般道の混雑に比べて、旧道は信じられないほど人気がない。歩くようなスピードで自転車を走らせる。杉林の香りが心地よい。道路脇に水路があり澄んだ水が音を立てて流れている。杉の生育にとって、街道に沿って流れる大谷川の伏流水が大きな役割を果たしているという。

 

 

 日光は観光客で混雑していた。東照宮は建物を埋め尽くす装飾と、大勢の観光客の喧騒の中にあってさえ、霊廟特有のひんやりした空気が印象的だった。建物の彫刻はよく見ると平面図案がそのまま浮き彫りにされている。過剰ともいえる装飾が、なお静謐で夢幻な印象を与えるのは彫刻とも絵画ともつかない装飾群にあるとすれば、この空間を作った当時の匠たちの意図に舌をまかざるをえない。

 


 

< 足尾 >

 

 足尾へは日足トンネルという3kmものトンネルを抜ける。トンネル内の排気ガスと轟音、背後から追い越してゆく車のことを考えるとためらいもあったが、取り敢えずトンネルまで行って決めることにする。

 


             日足トンネル

 

 足尾の町は桜、桃と山吹、レンギョウ、雪柳、つつじなど春の花が一度に咲き、吹き出したばかりの緑が山々を染めている。周囲には新緑の山並み。山あいに広がる集落。掛水倶楽部や抗山特有の施設などがなければ、かつての銅山町とは知れない。さびれてしまった抗山特有の町並みを横目に、昔日の繁栄を想像するだけで一気に通り過ぎた。

 


       掛水倶楽部

            坑山住宅

 

 

 長い一日は終わった。過ぎてしまえば全てが不確かな記憶へと変わる。しかし疲労と体中の筋肉の痛みは確実に今日の証だった。充足感とともに。

 

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