< 乗鞍 > 2008/8/23
松本 ー 乗鞍 ー 平湯峠 ー 高山 約120km
今夏2回目のパスハンティングは乗鞍。標高2700mである。
< 神領発松本行き >
名古屋の実家。4時半はまだ暗い。母が用意してくれたおむすびを持って家を出る。気分は40年前と変わらない。
市内から春日井の神領駅までは約15km。矢田川を渡る頃、空が白んでくる。5時50分。神領発の始発電車は中高年のハイカー数人が乗っただけで動き始めた。
松本着8時50分。市街地を離れると、頂きに雲を乗せた山並みが見えてくる。松本の標高は600m。乗鞍の畳平が2700m。いよいよ2100mの上りである。
両側に山が迫ってくるようになり、勾配が少しきつくなったと思ったら稲核ダムだった。湖面を右に見ながら水殿ダムを過ぎると、いよいよ恐怖のトンネル地帯へ突入である。長短10余りのトンネルが連続する。古いトンネルは舗装もひび割れ、漏水で濡れた箇所も多く緊張する。エンジン音がトンネル内に反響する。後ろからエンジン音が近づいてくると自然に緊張で身が固くなる。
入山隧道内で野麦方面と上高地方面が枝分かれする。トンネル内での分岐は初めてだ。何度も後方確認をして車がこないのを確かめ、一気に上高地方面へ進路をとる。
前川渡隧道の出口に乗鞍高原10kmの道路表示があった。左折してトンネルをさらに2つ抜けると、さあいよいよ乗鞍への本格的な上りとなる。
前川隧道出口で左折する
< 乗鞍エコーライン >
道は乗鞍高原の別荘地になる。庭先に花が咲いて明るい雰囲気である。適度な傾斜で順調に上っていく。時折、車が2,3台連なって追い越していく。スキー場前付近の賑わいも横目に、三本滝駐車場を過ぎるとゲートとなって、マイカー規制のため自転車と低公害バスだけとなる。
高度とともに木々が小振りになっていく
ゲートから先は自転車の天国だった。大きな荷物を前後に付けたキャンピングの大学生のグループと並走する。「松本からのトンネルは怖かったですね。」「今日は上高地に入る予定です。」「僕ら山もやりますから。」
ひたすらペダルを漕ぐ。道は勾配を加える。金精峠の反省から、後ろギアの最大歯数を22から24に増やしてきたのだが、まだきつい。26とか28が必要だと思う。
マウンテンのグループが軽いギアをくるくる回して抜いていく。8月末にはここでサイクリング大会が予定され、そのための練習に来ているグループも多い。平日の山でこれほどの自転車に会うのは、さすが乗鞍である。
ヤナギラン 乗鞍高原スキー場
高度を上げるに従って見晴らしが良くなり、雪渓付近ではハイマツだけになる。道路脇がロックガーデンのようで、高山植物のお花畑である。
写真を撮るために足を止める。普段なら休めば息が収まるのだが、空気が薄いせいか、却って息苦しさが増すように感じられる。不思議な感覚である。筋肉疲労は限界に近いが、走っている方が呼吸が楽な気がする。
斜面に沿って雲が吹き上がってくる。ようやく前方に峠が見えてきた。バスが下ってくるのが小さく見える。傾斜は緩やかに見えるが、ずっとダンシングの連続である。道幅を一杯につかってジグザグに上る箇所さえある。
< お花畑 >
高山植物にはなじみがうすく、ほとんど名前が分からない。キンポウゲのなかま、リンドウのなかま、ツワブキのなかま、エーデルワイス、ニンジン?ウド?
道路脇の側溝との隙間にさえ根を張って可憐な花を咲かせている。
ウメバチソウ トウヤクリンドウ
イワギキョウ ヒヨドリバナ
マルバダケフキ
ミヤマシシウド? ウスユキソウ?
< 空中回廊 >
見えてからが長かったが、やっとの思いで峠に到着。気温は14度。予想した以上の寒さである。用意してきたオーバーズボンとウィンドブレーカーを羽織る。
畳平バスターミナルは西部劇の町のように、駐車場を囲んでいろいろな店が並んでいた。遊歩道や展望台へ人の列ができている。ここを拠点に山歩きに行く人、下りのバスを待つ人。思いがけない混雑ぶりである。早々に高山へ下ることにする。
峠から高山側を望む
乗鞍スカイライン
さあいよいよ高山への下りである。今日のうちに名古屋へ帰らなくてはならない。一気に下る。予想以上の寒さ。下っても下っても寒い。畳平が14度。平湯峠まで下っても18度。寒いはずだ。
< 高山 >
高山市内に入って一息ついたら、空腹に気がつく。そういえば走ることに夢中で昼も食べていなかった。そば屋に入る。さすが山国。適当に飛び込んでもそばはうまい。
高山市内
日下部家はすでに公開時間を過ぎていた。市内を適当に散策して駅で自転車を畳む。例によって、次の電車まで1時間近くも待たなくてはならない。しかし、あとは座っていれば名古屋へ運んでくれる。もうペダルを漕ぐ必要はない。
待合室に座ってゆっくり電車を待つ。母に買った柿羊羹が輪行袋にぶら下がっている。