ポラロイド
ねえ、そこのアナタ、真実はいらない?
そうアナタよ、お嬢さん。
私は真実を売ってるの。一枚600円。どう?
このカメラで写真を撮ると、少し先の未来のアナタが写り込むのよ。
珍しい形でしょ? こういうの蛇腹って言うんだけど、知ってる?
・・・・・・まあ、かなり古いしね。ラプラスの魔眼だから。
ええ、本当よ? このカメラは、未来の『真実』を写す事ができるの。
へえ、なんで?
・・・・・・そう。逆に言えば、アナタはこの先どうなるのか分からなくて不安なのね。
撮ってみる?
好きなポーズでいいのよ。
ハイ、撮れた。
いいのよ、ポーズなんて関係ないんだから。
あらあら。そんな事言われても。どうする? もう一枚撮る?
お代はちゃんといただくわよ?
だーめ、値切りには応じないわ。
ポラロイドのいい所は、写真屋に行かなくてもその場で現像できる事ね。
ホラ、これが未来のアナタよ。
どうしたの? それがアナタの、少し未来の『真実』よ。
まさか。私はアナタの事も、アナタのお友達も知らない。
そこに写ってるのは、お友達の彼氏なの?
それじゃ近い将来、彼はお友達と別れてアナタと付き合うって事ね。
・・・・・・知らないわよ。私が撮りたいと思って撮れるものじゃないもの。
彼氏が彼女を裏切るのか、アナタがお友達を裏切るのか知らないけど。
円満に同意の上で別れてから、アナタと付き合うって事もあるんじゃない?
・・・・・・ちょっと騒がないでちょうだい。通行人が振り返ってるじゃない。
いいかげんにして。
アナタが撮りたいって言ったんじゃないの。
確かな物が欲しかったんでしょう?
真実が欲しかったんでしょう?
これで安心して・・・・・・
受け止める覚悟もないくせに、真実を欲しがるからよ。
ひ弱な人間なんて、夢ばかり見てればいいんだわ。
あら、そこのお兄さん、真実はいかが?
パンドラが一枚600円で、アナタの少し先の『真実』を撮ってあげるわよ?
完
2002.10.2