2008/3/20
日本人の英語学習者の多くは、単語数が3000語を超える頃に壁にぶつかります。
それは、覚えるべき単語がだんだん長くなり、見覚えがなくなるからだけではありません。それまでのバラバラに英単語を覚える方法では暗記の限界に達するからです。
単語帳を使ってひたすら暗記をくり返す力ずくの方法や、「fickleは、“不意来る”だから“気まぐれな”」式に語呂(ごろ)合わせで日本語にこじつけて英単語を覚えようとしても、すぐ忘れてしまいがちになります。また、正しい発音を知らない「カタカナ英語耳」しかできないので、実際のスピーディーな英会話の際にはあまり役に立ちません。
これは、努力や根性だけでは解決できない問題です。単語数3000語の壁を突破するためにも、「正しい発音」と絡(から)めた、英単語を組織的に身につけられる新しい方法を採用する必要があります。
そのために有効なのは、英語の「本質」にそった学習方法を取り入れることです。ネイティブと同じ脳内語彙空間(脳の中に英単語をしまうやり方)をつくれるレッスンを行なう必要があります。
その回答として用意されたのが本書『単語耳 英単語八千を一生忘れない「完全な英語耳」 実践編Lv.3』(以下、『単語耳』Lv.3)です。
英単語の中には、漢字の木偏(へん)や草冠(かんむり)のような意味イメージが隠されています。その意味イメージ=語根(単語の核となる部分)の「音」を知れば、英単語を正しいイメージと発音をともなって記憶できるようになります。
たとえば、語根spectの「音」に「見る」というイメージを感じられるようになれば、inspect(検査する)、respect(尊敬する)、perspective(遠近法)の習得は容易になり(inは「中へ」、reは「再び」、perは「通して」というニュアンスを持つ接頭辞です)、リスニングの際にも、すぐに相手の言わんとすることやニュアンスを絵を見るように思い描けるようになります。
英語の名文もより深く味わえるようになるでしょう。
『単語耳』Lv.1&2や他の英語学習書などで語彙3000語をほぼマスターしているというみなさんに、この本では、正しい発音をともなった語根の活用方法をお伝えします。本書を使えば、『単語耳』のLv.1〜3で学ぶ計5500語を突破して、さらには1万語、いや2万語以上の英単語を身につけるための「語源活用のテクニック」が身につくのです。
では、なぜ、語源(語根や接頭辞、接尾辞(せつびじ)等の“単語の源”の総称)を使った学習方法は広く普及していないのでしょう?これまで世間でめざましい効果を上げて来なかったのはなぜ?それには2つの理由があると考えます。
1つには、従来の語源学習書では、ともすると語源のウンチクを語ることに重きが置かれてしまい、逆に「正しい発音」については軽視されてきたことがあります。
もう1つは、英語学習の過程において、ベストなタイミングで語源が活用されてこなかったことです。ベストなタイミングとは、英語の語彙(ごい)数が3000単語を超える頃を指します。この頃に初めて、語源の知識を取り入れるべきなのです。これが、英単語独特の構造にそったベストなタイミングなのです。

『単語耳』Lv.1、Lv.2で詳しくお伝えしてきたように、単語は「正しい発音」と結びつけると、忘れなくなります。極端に言えば、仮にスペルミスをしても、「正しい発音」に基づいて書いていれば、ネイティブに通じるミスになります。
そして本書で、語源を活用して単語をグループ化して練習してみると、似たような発音が並んでいるとはっきりわかります。この、「語源」と「正しい発音」を組み合わせた練習をすることが、最強にして最短の記憶方法になるのです。
本書では、単語を語根でグループ化して、付属の音声CD
2枚に収録してあります(収録単語数は、Lv.3で新たに学ぶ上級2500語に、Lv.1&2の一部の単語を加えた約3100語です)。このCDをまねて発音練習をすれば、単語の正しい発音が身につくと同時に、無意識のうちに語源の意味と音の感覚が身につき、脳に焼きつくようになっています。ぜひ、今日にも付録CDを使って練習を始めてください。

本書の「実践編Lv.3」(p.029〜)では、付録CDを使って、まず30の語根から派生する約800単語を身につけます。続けて、第2部では約170個のラテン語(語根)から派生する約1100単語を身につけます。つまり、合計1900個の英単語を合計200個の語根でグループ化して身につけるわけです。
この200語根は、『単語耳』Lv.1〜3までの合計5500単語の約40%をカバーしています。さらに語彙の範囲を10万語の中型辞典に増やすと、6000語以上を、この200個の語根から類推可能になります。
本書で「音」を使った語源レッスンをすれば、単語の意味と音を相互に関連づけ、グループ化して覚えることになりますし、さらには知らない単語でも意味を類推でき、簡単に覚えられるようになるのです。
たとえば語根form(形作る)からは、難しい単語であるreformatory(少年院、感化院)、conformation(立体構造)が推測できるようになります(conが「一緒に」の意、formが「形作る」の意、ationが名詞化する語尾の言葉です。化学で学ぶ、分子が立体的に組み合わさった構造をイメージしてください)。
この効果により、語彙のレベルがイッキにネイティブに近づきます。
単語は、発音とペアで身につけると一生忘れません。そして、英単語のアクセントは語根の部分にある場合が少なくありません。
『単語耳』Lv.2ではアクセントがある音節をたよりにして、音ですばやく単語を検索できる脳を作りました。Lv.3でさらに語根の部分の意味イメージを知ると、音と意味とが結びついて、英単語を立体的に明快なイメージで記憶できるようになります。するとネイティブと同じ感覚で英単語を使いこなせるのです。
単語の中の語根の持つ「意味イメージ」と「音」をあなたの脳にすり込んでおくと、音で脳内の単語を検索するときに、語根の意味を蓄えている記憶領域も同時に検索されるようになります。あなたの脳の中に瞬間的かつ立体的に、単語の持つイメージがはっきり形作られるようになります。日本語を介さずに、極めて強烈にパッと意味がイメージ可能になります。
こうして発音とスペルと意味が結びついて、これに学校で習った英文法と洋書の多読が組み合わされば、大学卒の英米人並みの「完全な英語耳」が完成するのです。
本書を使った語源学習には、次のような特徴と優れた点があります。
私は大学受験のときに語源の世界を知り、大きなインパクトを受けました。その後40年間、私は常に、辞書を引く際に語源をチェックしてきました。今では辞書を引くと、語源をチェックするだけで、その単語のイメージがわいてきます。急ぐときは辞書に書いてある意味の欄,らんは読まなくなりました。語源をチェックすると単語の生い立ちがわかります。単語の持つ歴史の重みを感じると、洋書の多読の中で出会う単語に、「がんばってるね!」と声をかけたくなります。英語圏の作家が、単語の深い意味イメージを巧,たくみに使って、適切な単語を選んで文章を書いていると気づきます。英文はアルファベットを並べただけの無味乾燥なものではないのです。英文も、作家により、癒やされる文章、読みやすい文章、教養あふれる文章、難解な文章、稚拙文章などさまざまです。本書で学習すれば、その違いがわかる感覚を身につけられるでしょう。
2500年前にすでに、ラテン語には英語とそっくりな単語が驚くほど豊富に存在していました。このことはあまり知られていませんが、知らないともったいないと思います。みなさんに、これに気づき、感動していただきたい。感動・驚きで語源に強い興味をもっていただきたい。そう願って本書の後半にまとめた「ラテン語情報コラム」を書きました。最初は無視しても良い内容ですが、いずれぜひ語源のいろいろなウンチクを楽しんでください。

たとえば、なぜsecondには「第2の」と「(時間の)秒」の2つの意味があるのか、という話。ビデオ(video)は2500年前は、「私は見る」という意味だったという話。ambitious「野心がある」の2500年前のもとの意味は「選挙演説をしてまわる」という意味だったこと(ambiは「まわりに」という意味)。election「選挙」では、lectに「選ぶ」という意味があるが、elegant「エレガントな」にもlect(選ぶ)が隠れているという話(男性が争って選ぶような「優雅な(女性)」という意味が隠れています)――音読レッスンの合間に、息抜きとして、ぜひこうした話を楽しんでください。
本書で、最強の語源活用方法を身につけ、あなたの語彙獲得方法に革命を起こしてください!
では、単語力を3000語→5500以上に伸ばす、別次元への旅をはじめましょう!