セイウンスカイ


彼の名前を思い出すとき浮かぶイメージは何だろうか?
僕だったら「爽やかさ」って言うと思う。
それは何故だろう?
その名前から連想させられるのか?はたまた・・・


それは彼の走りからくるものではないだろうか?
菊花賞の走りを見れば誰もが納得のいくところだろう。
そう、彼の魅力は菊花賞に集約されていた。


そもそも葦毛の馬に爽やかという言葉が似合う馬なんていなかったのではないか?
怒濤の連勝劇でGTを奪取したタマモクロス。
菊花賞を機に一流馬へと上り詰めたメジロマックイーン。
彼らにあるのは強さ。爽やかなんて程遠い。
アイドルホース、オグリキャップ。
彼にあったのは並外れた根性であって爽やかではない。
3歳の夏を経て変貌を遂げたビワハヤヒデ。
彼にも爽やかなんて似合わない。
誰もが驚く走りを見せたクロフネ。
やはり、爽やかではない。
6歳になって復活したアドマイヤコジーン。
再起にかけ、成し遂げた強靭な精神力は全然、爽やかなんかじゃない。
同じような脚質でいったらエイシンバーリンだろうか。
しかし、彼女には爽やかというより韋駄天のが似合っている。


こうして振り返ってみても、葦毛の馬って爽やかさを与えるような感じじゃあない。
真っ白な葦毛の馬もいるが、たいていは競走馬のうちは白と黒の入り混じった色。
これに爽やかさを期待するほうが間違ってる気もするが・・・


そんな中、セイウンスカイのその爽やかさは際立っていた。


ここで、あえて僕は引退レースとなった春の天皇賞を強調したい。
スタンド前を通過していく姿はテレビ越しながら一番記憶に残っている。


その時の彼はとても気持ち良さそうに走っていた。
そう、それこそ「爽やか」という言葉が似合うように・・・。
菊花賞の時も同じ感じを受けた。
しかし、久々のレースであの走りをしたことに僕は感動した。
おそらく、彼の姿を見て感動したファンは僕だけじゃあないと思う。


では、セイウンスカイの強さってなんだろうか?
それは、「スピードの持続力」だと思う。
はっきりいって「競走馬の理想」だと思う。
それを実現したのがサイレンススズカである。
分からなければ、3コーナーから爆走するクロフネ(ちょっと違うかな?)みたいなものか。


普通に考えて、そんな走りをされたら他馬はどうしようもない。
前記の2頭があんなにもぶっちぎって勝てるのはそれが優れているから。
セイウンスカイもそんな馬だった。


それがもっとも顕著になったのが菊花賞である。
先手を取るセイウンスカイはスピードの違いで先頭に立った。
それから前半は長距離戦にしてはハイラップを刻む。
はっきりいってこのペースについてこれる馬はいなかった。
仮に、いたとしても潰れていただろう。
中盤を過ぎ、後半になるとまたペースアップ。
並みの馬が出来る芸当ではない。
普通は後続を引きつけるところである。
しかし、後続との差は変わらない。
むしろ、後続の各馬が追走にてこずっているようだった。
直線を向いたセイウンスカイはさらに加速。
この時点で勝負は完全に決した。
というより、この走りについてこれるほうがおかしいのだ。
そして栄光のゴールを迎える・・・


彼が道中につけた差は最後まで縮まることはなかった。
セイウンスカイの駆け抜けたタイムは3分3秒2。
もちろん当時のレコードタイム。
それも、世界レコードという破格のタイムだった。


これこそが彼の強さなのである。
長距離で保ち続けたそのスピード。
それも、道中とばしているというイメージはまったくない。
常に爽やかに走り、そのまま走り抜けたのだ。


この文章を読み、一人でもファンが増えるといいなぁ・・・と思ってます。

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