世界のヘボ記事


毎回、世界のヘボな新聞記事に
激しくツッコミを入れ、
大不況時代の沈滞ムードを吹き飛ばす
デフレ日本救済コラム。
んんん?
そんな企画だっけか?


*記事写真はクリックすると拡大されます。
手元になくてアップできないのもあります。

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第一回 タイ

珍ネタ優先ジャーナリズム
やってくれるじゃんタイ新聞

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4人のオカマ強盗団、愛のコソドロで逮捕!
(2002年11月3日付 デイリーニュース新聞より)



<記事要約>
 11月2日、ナコーンラチャシーマ県、パーグチョン郡警察署は4人のオカマを強盗容疑で逮捕した。調べによると、馴染みのパブへ出かけた4人は、そこで地元の男とは違った都会的でハンサムな男性と出会い、すぐに一目惚れ。男性が経済的に苦しい生活を送っていることに同情し、彼を援助するために強盗を計画。知人宅に侵入して時計などの金品を盗んだが、質屋に持ち込んで換金したために犯行が明らかになった。4人は、金を彼に渡したと供述。現在、警察ではハンサム男性の行方を捜している。

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ヤギを飲み込んだ巨大ヘビが、悲劇の過労死!
(2002年11月1日付 カオソッド新聞より)




<記事要約>
 10月29日、ジャンワットワトーン県のヤギ牧場で、ヤギを一匹丸ごと飲み込んだ全長5m、推定体重100kgのアミメニシキヘビが発見された。ヘビは体が重すぎてピクリとも動けず、牧場主の通報で獣医が駆けつけ、大きな動物病院へ運ぶことに。8人がかりでトラックの荷台に載せて走り出したが、途中でやはり動物園にしようと方針転換し、牧場へ戻った。ところが翌日、ヘビは死亡。獣医の診断では、腹にヤギを入れて体に負荷がかかった状態で、よってたかって突っつかれたり、ガタガタ道で車に揺られたりしたことによる過労死だという。


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何のために呼ばれたのか
たぶん獣医もわからない


 デイリーニュースは、タイ2大新聞のひとつのくせに、1面からエロありゴシップありで、B級な匂いプンプン。ヘビの過労死なんて、どこが事件やねんってなネタを、こんなにデカく報じる無鉄砲な新聞記者魂が、マニアにはたまりませんな。

 ワケわからん記事の内容も、また素晴らしい。結局、獣医が救いたかったのは、何なんでしょ。このヘビは、すでに30匹以上のヤギを食っちゃってるらしいので、あえて助ける必要もないはず。ヤギを救出したいなら、すぐにヘビの腹を割けばいいじゃん。ま、細かいことはどうでもいっか。「食後のヘビは動かすな」ってことですよ、みなさん。

 そういえば、童話『星の王子さま』に登場するウワバミも、象を丸ごと飲み込んだ後、半年くらい動かないで消化してましたよね。ヤギの場合は何日かかるのやら。


強盗してでも彼の気を
ひきたかったのよん・

 
 ハンサム男性、とは、いきなりスゴイ表現です。ま、オカマの純愛だったんでしょう。刑務所に入ったら、化粧とスネ毛剃りはどうするんでしょう。うなだれた4人の姿を見ると、涙が出てきませんか。はい、出ませんね。

 タイの性転換手術は、おっぱい1ペア普通盛りで15万円、ナニを切るのは25万円が相場とか。庶民の平均月収が2万円前後だから、そう簡単に切れるもんじゃない。この4人だって、地道に働きながら、農協の10年積み立て性転換貯金に毎月コツコツ預けてたかもしれないのに、ハンサム君のせいでオカマ人生ボロボロ。ほら、今度こそ涙が出て…きませんね。

 オカマといえば、今回、ネットでタイのオカマのことをいろいろ検索してたら、こんなニュースの見出しに遭遇。「45歳の未亡人と結婚した14歳の少年。離婚後、今度はオカマ」。ここでプッツリ切れてやがんの。

 有料会員になれば続きが読めるらしいけど、エロ以外のサイトに金を払ったら、ご先祖様に会わせる顔がない。この少年、「今度はオカマになった」のか、それとも「今度はオカマ76歳との熱愛が発覚」したのか、それとも、タイだけにもっと想像を越えた何かが…。会員の方、こっそり教えてくださいな。


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第二回 韓国

日本のミニモニより人気?
闇にうごめくアジュモニ軍団

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ハイソなエリアに毎晩出没、売春おばさん大繁盛
(2002年12月15日付 サンデーニュース新聞より)


<記事要約>
 韓国の売春婦が金を稼げるのは10代後半から20代前半までで、アジュモニ(おばさん)になったら終わり。ところが、売春アジュモニの中には、大儲けしているツワモノたちもいる。活動場所は、ソウルの成金が暮らし、高級ショップが集まる狎鴎亭(アックジョン)。彼女らの狙いは酒に酔った会社員で、夜11時以降、街の明かりが消えかけたころ、地下鉄駅の周辺に突然現れる。その数、約10名。年齢は40代後半から50代前半で、ハンドバックの中には大量のコンドームとティッシュが入っている。男性を見つけると、そっと近寄り腕組みをして、猫なで声で誘いをかける。商談が成立したら、住宅街の路地裏や薄暗いビルの屋上、階段の踊り場などで、服を着たままスカートをめくる。
 こうして街の隅、ビルの隅で商売するため、彼女たちは『コーナー・アジュモニ』と呼ばれている。料金は、5万ウォン(約5000円)と、おばさんにしては破格の値段。酔っ払っていると女性なら誰でもキレイに見えるらしく、人通りの少ない屋外の雰囲気や、立ったまま行う体位に、男性は興奮するようだ。チップをはずむと、さらにサービスが良くなり、10万ウォンほど支払えば、アジェモニと一夜を共にすることもできるが、それだけは絶対にやってはいけない。やってしまったら最後、一生後悔することになってしまう。

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女性に乱暴しようとした男、キスして舌を食いちぎられる
(2002年11月21日付 韓国日報より)

<記事要約>
 清州(チョンジュ)市の東部警察署は20日、30代の女性に性暴行をはたらこうとした李氏を強姦罪の疑いで立件した。調べによると、李氏は19日の午後2時30分ごろ、清州市にある自宅近くの食堂で働く林氏を誘って暴行することを計画。ところが、強制的にキスをしようとしたところ、林氏が激しく抵抗し、李氏の舌にかみついた。およそ3センチほど舌を食いちぎられた李氏は、あわてて警察に通報。駆けつけた警察官によって、その場で逮捕された。李氏はこの日、病院で舌の縫合手術を受けたという。しばらくは何も話せないので、司法処理は李氏の舌の回復を待って行われる予定になっている。

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森、林、駐車場でも…
おばちゃんったら、スゴすぎ


 この記事によれば、韓国には、とんでもない売春アジュモニ伝説がたくさんあるらしい。公園にいる60〜70代の性欲旺盛な老人にバッカス(韓国版オロナミンC)を売り、飲ませてから森や林へ連れ込んでしまう『バッカス・アジュモニ』、高速道路のパーキングで長距離トラックの運転手を相手にする『高速道路駐車場アジュモニ』、ござを抱えて軍隊の訓練場で若い兵士をナンパする『軍隊ござアジュモニ』などなど。

 正攻法では若い売春婦にかなわないから、アジュモニは必死にあの手この手で営業努力してるわけですね。それにしても、老人が森や林で雄叫びを上げ、若い兵士がござの上で暴れるとは、儒教国家韓国よ、大丈夫なのか。雄叫びって何だ。

 そういえば昔、深夜のシャッターが閉まった浅草の某商店街で、ずらり並んだ日本の売春オバサンたちに遭遇したことがある。ベロベロに酔ってた僕は、いきなりひとりのオバサンに腕組みをされて驚いた。

 頭の中がグルングルン回っていて、いろんなものが歪んで見えるから、ドラム缶のような体も、B90W55H80くらいのナイスバディに思える。そう、こういう状態では、天童よしみを藤原紀香と錯覚することだって、理論的には決して不可能なことではない。さて、この例えは、天童よしみに失礼なのか、それとも藤原紀香に失礼なのか、どちらでしょう。
 
 ちなみにそのとき、僕は一緒にいた友人の「行くぞ!」という声に救われた。あの世からこの世に戻されたような気分だった。ありがとう高橋くん。君のおかげで我が操は守られ、一生後悔しなくて済んだぞ。

 でも、この記者は、きっと実際にアジュモニとやっちゃったんでしょう。しかも、10万ウォンのコースいっちゃったんでしょう。妙にチカラ入れて訴えてますもんね、最後のあたり。


こちらもバカな男と
たくましい女が登場


 ああ情けない、舌食いちぎられ男。このバカは、何で救急車じゃなくて警察に通報したんだろ。加害者のくせに、舌を切られたら、被害者みたいな気分になっちゃったのか。わからん。そんなところに感心しちゃいけないのかもしれないけど、舌を3センチ失っても、ちゃんと電話できるんですね、人間って。この悲惨な状況でも、やっぱりまずは「もしもし」と言ったんでしょうか。もひもひ、ひたをひぎられたんれろれろ…。


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第三回 香港

ブタさん、ふてくされてたら
そのうち角煮にされちゃうよ

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農場の水が汚染されて、ブタのファミリーが不機嫌に!
(2003年1月13日付 蘋果日報より)



<記事要約>
 先週、観光牧場カドリーファームで外壁工事をした際、作業員の不注意から牧場内の小川に少量の石灰が流れ込み、水が汚染されてしまった。高齢の巨亀がその水を飲んで死亡したほかに被害はないが、牧場内で飼われている動物の安全のために、小川からの給水を停止。農作物には貯水池の水を使い、動物には蒸留水を与えることにした。
 ところが、豚の一家13匹は、日ごろ高級飼料と小川の清水を口にしているためか、蒸留水が苦手なようで、とても不機嫌。長年飼育係をしている娟さんによると、父豚の仔仔(ジャイジャイ)はうなだれて頭を振り、母豚の●●(ロイロイ)にいたっては、娟さんがどんなに言ってもエサを食べず、ふてくされたままだという。

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香港に来たら夫の浮気発覚、激怒妻がホウキで愛人殴る!(2003年1月5日付 蘋果日報より)



<記事要約>
 中国政府は、中国人女性が結婚を理由に香港へ移住することを制限しているので、中国人の陳(57歳)は、結婚後も長年に渡って香港人の夫と別居してきたが、2年前に許可が下り、ようやく香港へ。しかし、60歳を越えた夫と清掃会社の同僚である朱さん(47歳)の同棲が発覚し、陳は激怒。夫は愛人と別れたが、陳は朱さんと会うたびに罵声を浴びせ、昨日の朝6時、朱さんにホウキで襲いかかり、右目と口元にケガを負わせた。陳は逮捕され、朱さんは病院に運ばれた。

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蒸留水なんかマズくて
飲めっかよブヒブヒ


 ニイハオ!香港は広東語だから挨拶はネイホウと言うあるよ。ニイハオは北京語よ、間違えたらダメね。さて、食の都、香港の人はブタ大好物あるよ、これほんと。内臓や足まで食べ尽くすのは当たり前、さらに残った皮はカリカリに揚げ、生血は固めて豆腐を作り、骨でスープをとり、脳味噌はアン肝みたいに鍋へ入れて…そう、最後に残るのは毛だけあるよ。外国人みんなびっくりね。

 だから、この観光牧場のブタも、カワイイなんて言われるわけないよ。ブタ見たら「うまそう・」って思わなきゃ、香港人じゃないよ。わたしの話、ウソないあるね。再見!
 
 ってわけで、この原稿を読んでいただく3月まで、ブタ一家は生き残っているのだろうか。香港に生まれたブタが、食材とならずに、のんびり平和に暮らせるなんて、奇跡みたいなもんだ。ジャイジャイだのロイロイだの、どこかのパンダみたいな名前まで付けてもらって。その幸福を忘れ、たかが蒸留水ごときで不機嫌になるとは、何という不届き者、いや、不届きブタめ。

 たぶん、ブタたちがこのままふてくされていたら、ストレスのたまった飼育係の娟さんが、ある日突然キレてしまい、家から包丁やまな板、調味料など一式を持ってくることになるんだろう。蘋果日報さん、そのときの記事タイトルは「飼育係発作的豚家族調理、完食後感想美味満腹!」で、どうでしょうか?


いかにも犯人顔の
オバチャンが哀れ


 オバチャン、すまん。この記事、中国語が全然読めなくても、写真を見ただけで、左側のオバチャンが犯人だとわかってしまったよ。顔で判断するなんて、よくないよな。

 そのお詫びに、オバチャンの味方になろうじゃないか。中国にいる間、ずっと旦那のいる香港へ行きたかったんだよな。普通の夫婦みたいに、平凡でいいから一緒に仲良く暮らす日を夢見て、それだけを心の支えにして生きてきたんだよな、内職とかやりながら。

 なのに、アホ亭主は年下の女とデキちゃってさ。オバチャン、それを知ったときは、さぞかしツラかっただろうね。これまでの私の人生は何だったの、って思うよな。そりゃホウキで叩くさ、ああ何度叩いたって足りないくらいさ。オバチャンの顔なら、たとえ包丁で刺したとしても、誰も驚かないさ。あ、オバチャン、また顔のこと言っちゃったよ。すまん。


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第四回 パリ

年中エイプリールフール?
大衆紙レモンドおそるべし!

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フランス人社長の87%は、ホモかフリーメーソン? 
(リモンド新聞3月号より)



<記事要約>
ホモでもフリーメーソンでもない場合、ビジネスで成功するにはどうしたらいいのだろう? そんな質問をすること自体が、フランスではタブーだ。だから、こんなことを書いて、私が仕事を失ってしまったら、どうしてくれる! まったく、私はゲイでありフリーメーソンでもあるというのに。とにかく、「シカゴ・インスティチュート・オブ・フレンチ・メス・アナリシス」によると、87%の企業の社長がホモかフリーメーソンで、その27%はホモでフリーメーソンだという。しかし、学生時代に学友のアレを触ったことがない人など、果たしているのだろうか? だとするなら、87%なんて少なすぎる数字だ。実際はそれ以上と考えて間違いない。ホモのメッカであるマレ地区で出会ったエキスパートによると、「シカゴ…」の調査結果は、十分に裏付けられるものだという。

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新航空会社エ−ル・ビル、
モンゴル便を1ユーロで提供
(リモンド新聞3月号より)



<記事要約>
ウクライナ資本のアルバニア系新会社エール・ビルは、フランス北部の都市モブージュの住民に、ほとんどタダのフライトを提供する。モンゴルの首都とを結ぶ初就航路線は、1日1、2便。飛行機は古く、乗り心地もスパルタ式だが、モブージュの住民は、このニュースに狂喜乱舞、すでに数千人が航空券を買った模様。ところでエール・ビル社は、どうやって利益を得るのだろう? この不思議な会社の広報担当者いわく、「利益だと?バカな!」


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監督も社長みたいなもん
あのトルシエも○○?


 何かのパレードなのか、ゲイ・コンテストなのか。切り取って部屋に飾りたくなるパンツ一丁男たちの素敵なイメージ写真付き。エグイぞ。社長の87%といったら、ほとんど全部がホモってこと。すげえ。それにしても、一体どうやってホモ調査をしたんだろう…なんてことをあれこれ考えていたんだけど、やがてそれが全然無意味なことだとわかりました。詳しくは後ほど。

 ヨーロッパはフランスに限らず、ホモうじゃうじゃ。22歳のとき、ロンドンのパブでホモに口説かれたときは驚いた。ヤツが突然、「トイレに行って、太股さわってくれない?」と誘ってきたからだ。もちろん拒否。人生において、「太股さわってくれない?」なんて誘われるチャンスは限りなく少ないだろう。僕はその貴重な運を、美女ではなくホモで使い果たしてしまったわけだ。そう思うと、今でも悔しくて眠れない夜がある。

 その男、わりとハンサムなイギリス人ビジネスマンは、日本男子大好きホモで、すでに獲物は30人以上と豪語。驚くべきことに、「一番狙いやすいのは、新婚旅行で来ている20代の男」なのだとか。妻がピカデリーサーカスあたりで買い物してる間に、ヒマしてる夫をゲットして公園へ、というパターンらしい。新婚旅行でロンドン行きを計画しているそこの奥さん、おたくのダンナは大丈夫っすか?


こんな新聞もあるのね
一本とられたぜ、チッ


 さて、ここらで告白しておきましょう。僕はこのふたつの記事について、新聞を送ってくれたフランス在住のDさんに、メールでいくつか質問をしました。「シカゴ…とは、どのような研究所なんでしょうか」とか「エール・ビルは、なぜモブージュの人々に激安チケットを提供したのでしょうか」なんて調子で。
 
 ところが、Dさんから返ってきた答えは、「リモンドは、一流紙ル・モンドの名前を真似たパロディ新聞。記事はすべてデタラメです」。つまり、エール・ビルという航空会社もないってこと?ホモ87%という数字も全部ウソってこと? おいフランス人、そんなウソ新聞出すなよ、買うなよ。ああ、マジメに質問した自分が恥ずかしい…。先にそれを言ってくれればいいのに、Dさんのバカ〜ん(なんとなくホモ風に終わりたい気分)。


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第五回 メキシコシティPart1

大統領が狂喜乱舞した
ヒミツの超音波写真とは…

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Vサインの決定的な証拠を大統領府がついに公開! 
(1月22日付 レフォルマ新聞より)




<記事要約>
 フォックス大統領は、訪問先のメキシコ州で、「孫の写真見たよ」という住民の声を耳にして、「ほらね、本当だったでしょう!」と笑顔で叫んだ。大統領は、3月に生まれる自分の孫が、胎内でVサインをしたと主張していたが、信じる人は少なかった。そこで一昨日、彼は大統領府の広報担当官に、孫がVサインしている超音波写真を手渡して、広く配布するように指示。写真は各メディアへメール配信され、新聞各紙やテレビ番組がこぞってこれを紹介した。7月には選挙が控えているだけに、大統領率いるPAN党の対抗勢力であるPRI党のミゲル・アンヘル・ジュネス氏は、「まだ生まれてもいない赤ちゃんを、選挙キャンペーンに使っていいのかどうかは、その人の良心の問題だ」とコメントした。

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若者たちに自動車の盗み方を教える泥棒学校!
(1月16日付 エル・エメ新聞より)

<記事要約>
 メキシコシティのイスタパラパ地区の自動車修理工場裏庭にある“学校”では、手早く車の鍵を開け、アラームを解除する方法など、車泥棒になるためのワザを伝授。教室には各種工具からピストル、ナイフまで必要な教材がすべて揃っている。生徒の大半は、地方もしくは地元出身の青年。修理工場のオーナーは、若者に車を盗ませて、1台3000〜4000(約3万2100〜4万2850円)ペソの安値で買い取り、解体したパーツを売りさばいて大もうけをしているらしい。

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選挙のためじゃなく、
ただのジジ馬鹿かも

 ビセンテ・フォックス大統領は、2000年の大統領選挙で、71年間も続いたPRI党の支配を断ち切り、劇的な政権交代を成し遂げた人物。彼は選挙運動中、勝利を意味するVサインを好んで使っていたため、自分の孫がVサインしていると聞いて大喜び、ってわけ。日本なら、首相の孫がコウゾウカイカクとつぶやいたようなもんですな。

 でも、誰も信じてくれないから、大統領ったらムキになって証拠を公開することに。それが、この写真。おお、たしかにVサインしてるじゃん。ただ、うちの子もそうだったけど、超音波写真って、けっこうアヤフヤ。医者から「そこは頭」と言われれば、そう思えてくるし、「あ、やっぱ尻ですね」と訂正されたら、すかさず尻に見えてくる。心霊写真と変わりませんね。
 実は一昨年、あるエピソードを聞いて以来、僕はこの大統領の熱烈ファンっす。拙著『メキシコ・中米のけぞり旅行記』の中でも紹介してるけど、きっとたぶんどうせ誰も知らないと思うんで、書いときましょう。

 彼は大統領選の最中に、ライバルから「あいつはゲイ野郎だ!」と攻撃されまくりました。そういえば4人の子供はすべて孤児院出身の養子だし、離婚してるし、身長198センチの二枚目だし、こりゃマジでゲイかもしれん…と国民は信じこみ、もう落選間違いなし、危うしフォックス。そこで彼は記者会見を開き、「私はゲイじゃないぞ。インポだ!」と反論しました。ノット・ゲイ・バット・インポテンツ。この勇気ある告白をきっかけに、国民からは熱烈な支持とバイアグラが寄せられ、彼は大ドンデン返しで大統領になれたんです。ね、泣ける話でしょ。


試験も入学料もなし!
前科問わず、初心者歓迎

 マフィアが仕切るイスタパラパ地区では、犯罪が起きても警察は見ない振り、暴力沙汰も日常茶飯事。毎週5、6人が入学する泥棒学校の学費は、週200ペソ(約2140円)で、生徒が最初に盗んだ車を売った金額の80%を、謝礼として学校へ納めるのが決まりらしい。そのときは、「先生ありがとよ、おかげで無事に盗めたよ」「偉いぞ、もうお前に教えるものは何もないぜ」なんて感じで、抱き合っちゃったりするんでしょうか。

 それにしても、こんな危ない地区の危ない学校に、どうして潜入取材できたのか、それがネイバリー、じゃなくて、それがミステリー。この記者は学校に謝礼をいくら支払ったのやら。


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第六回 台湾

マイボールならぬマイピンで
何をしたのか教えてオッサン

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ボーリングのピンがすっぽり
直腸に入り込んで出てこない!
(2000年3月30日付 中国時報より)




<記事要約>
40代の男性が病院へ駆け込み、肛門からの出血と激しい腹痛を訴えた。医師が診療すると、肛門の奥になにやら異物が入っている様子。レントゲン検査の結果、そこにクッキリ映っていたのは、ボーリングのピンだった。驚いた医師は、マッサージをしたり、筋肉を緩める注射を打ったりしたが、効き目なし。肛門からはみ出していたはずの首の部分は、男性が自分で取り出そうとした際に割ってしまったらしく、取り出すにもつかむところがなかった。医師はふと、「赤ん坊を産むときみたいにやってみてはどうだろう?」と思い、さっそくトライ。「息を吸って〜吐いて〜」と何度も繰り返していると、うまい具合に肛門からピンの頭が出てきた。出産用の器具ではさんで引っ張り出し、無事に「出産」が成功。男性はどうにか一命をとりとめた。

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股から出たピン首を持ち
焦って跳ねたことだろう

 いつもは最新のヘボ記事を紹介してるけれど、今回はちょいとスペシャル編。今から3年前に、台湾でとてつもなくトホホな事件があったというウワサを耳にしたので、これはもしかしたら史上最強のヘボ記事かもしれん!ということで、現地在住のMさんにお願いして、図書館で探しまくってもらった。

 そして、Mさんはついに記事を発見。日本へ届けられたコピーの写真は、想像を超えたインパクトだった。背骨の下、骨盤の中に浮かぶ白いドングリみたいな物体が、ボーリングのピン。上のフラットな部分がピンの底だから、このオッサンは、ピンの首を持ち、よりによって太い方から肛門に入れちゃったわけですね、たぶん自分ひとりで。シルク・ドゥ・ソレイユも中国雑技団もびっくりですがな。

 「ケツの穴の小せえ野郎だぜ」って言葉があるけど、そういう意味じゃ、ケツの穴の大きいこのオッサンこそ、男の中の男。では、そのケツの穴ったら、一体どのくらいのスケールなのか。インターネットで調べたところ、ピンというものは、重さ1・3〜1・6キロ、高さ38センチ、最も太い部分の直径は12センチもある。つまり、オッサンのケツの穴は、MAX12センチ、わかりやすく言えば、ぴったりCDサイズってこと。だからどうした。そんなもん割り出して何の意味があるんだ。ごめんなさい。ヒマだったんで、つい。


日本でもひそかに病院へ
行く人がいるのかもね


 ところで台湾では、この事件のおよそ1年後にも、似たような異物挿入事件が起きたらしい。「どうしても取り出せないんですう〜、お腹が痛くてたまらないんですう〜」と台北医大に泣きついたのは女性、それも立て続けに2人。レントゲン写真を撮ってみると、彼女たちの骨盤内にぼんやりと浮かび上がったのは、なんと携帯電話だった…。

 ちょうどバレンタインデーのころで、どちらも彼氏とイチャイチャ、携帯のバイブ機能を使って何だらかんだらしていたそうな。世の中にはいろんなバレンタインデーの過ごし方があるもんですね。「おかけになった電話は、お客様の御都合により、骨盤内に入っているため、現在おつなぎできません」ってか。

 さて、再びオッサンの話。ラマーズ法みたいな出産(?)が見事に成功したとき、手術室内はどんな様子だったんでしょうね。看護婦は、「おめでとうございます、元気なピンちゃんですよ!」なんて言ったんだろうか。オッサンは思わず「ストライク!」なんて叫んじゃったのかもしれない。なんだそりゃ。

 おそらく、この医者はレントゲン写真を目にしてからずっと、「どうして肛門にピンが入ることになったのか、このオヤジにメチャクチャ聞いてみてえ!」なんて、ウズウズしながら治療を続けていたんだろう。記事によると、すべてが終わったとき、医者はすかさずオッサンに尋ねたそうだ。ズバリ直球勝負、「ところで、なんでピンが入ってしまったんですか?」って。

 すると、オッサンは恥ずかしそうに、こう答えた。「ピンの上に座ろうとしたら、入ってしまったんです。不注意でした」。ああ、そっか、そうだったのか。ちょっとピンに座ってみようと思っただけなんだ。ただの不注意なら、そりゃ仕方ないや。そういうことって、誰にだってあるもんね。おいおい。



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第七回 ロンドン

ブレアもゲイツもびっくり!
ハイテクトイレ発明ニュース

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トイレの中にいながら、
コンピューターでネットサーフィン!
(2003年5月8日付 デイリーメイル紙より)




<記事要約>
 英国マイクロソフト社が、世界初となるインターネット・トイレを考案した。この簡易トイレ「iLOO」(LOOはトイレの意味)は、この夏に国内各地で開催される野外音楽フェスティバルでお目見えする予定だ。トイレ内には防水キーボードや平面プラズマ・ディスプレイ、サラウンド音響システムを装備し、超高速ブロードバンドへアクセス。行列に並ぶ人のために外側の壁面にもディスプレイが付けられている。「インターネットは日常生活に欠かせないもの。トイレでネットサーフィンをするのも、次なるステップとして、ごく自然なアイディアです。これからはトイレで、本や雑誌を読むのではなく、ネットにログインするようになる。私たちは最高のインターネット・トイレを提供することを目指します」と、同社スポークスマンは語っている。

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トイレで他人が使った
キーボードなんて…ねえ


 テツandトモの『なんでだろう』を聴くと、アルプスの少女ハイジの歌を思い出す人、手を挙げてください。あ、いませんね。やばい。5行しか書いてないのに、早くも企画倒れか。

 だって、「口笛はなぜ遠くから聞こえるの、あの雲はなぜ私を待ってるの?」ですよ。その後で「教えておじいさん」とか「教えてアルムのモミの木よ」なんて言われても、モミの木はしゃべらないぞハイジ。おじいさんはヒゲだらけで口が見えないんだぞハイジ。どちらの歌も答えがないから、聴いてるとイライラします。ロッテンマイヤーさん、いかがでしょう?

 さて、英国マイクロソフト社が「トイレにパソコンないのはなんでだろう?」と思ったのかどうかわからんけど、すごいもん開発しました。世界初のハイテクトイレ、別名を「WWW・C」というらしい。そう、ネットの「WWW」とトイレの「WC」を合体させたわけですね。かつてエイプリールフールに「ロンドンのビッグベンがデジタル時計に変身!」というニュースを流したこともあるジョーク好きのイギリス人らしいネーミング。ドラえもんのタケコプターみたいなノリですけどね。今回、アニメのネタばかり出てくるのは、ななななんでだろう〜。


米国マイクロソフト本社も
すっかり信じていたとか


 しか〜し!ロイターがこのニュースを世界中に配信し、イギリスの評論家が「何時間も居座る人にはドアを叩くなどの対策が必要」とコメントした後で、これがすべて冗談だったことが判明。みなさん揃って赤っ恥。ある社員がふざけてプレスリリースを作り、マスコミに流したそうな。さすが『Mr.ビーン』の国です。

 このニュースを人々が簡単に信じてしまったのは、今や世界中のハイテク企業が、ユビキタス社会、つまり、いつでもどこでもネットできる環境を目指しているからだろう。そんな状況ではウソとホントが紙一重。日本でも、ユビキタス家電、例えばネットのできる冷蔵庫なんてものが、マジメに開発されちゃってるワケです。伸縮式高枝切りバサミDX万能バサミ付きや、ふとん圧縮袋5枚セット旅行用ミニ圧縮袋付きの方が、よっぽど役立つだろ。この冷蔵庫が便利だと思う人、ぜひ買ってみたい人、手を挙げてみてください。ほらね。

 最後に、英国マイクロソフト社の名誉のために(?)、この幻のアイディアの素晴らしいところをひとつご紹介。ひとつしかないってことかよ。そうです。

 それは、表面にいろんなおすすめサイトのURLが印刷されているトイレットペーパー。便座に座った人は、これをゴロゴロと引き出し、気になるホームページを見つけたら、ネットでチェック。そして最後は、そのペーパーを本来の目的に使って終了、と。普通なら水に流されるだけの再生紙に、情報という新しい付加価値を持たせるんだから、これはかなりエコですがな。ちなみにプレスリリースには、こう書かれていたそうだ。「URL掲載は広告収入にもなるので、トイレットペーパーのメーカー数社と交渉中」。

 このおバカなジョーク野郎のディテールにまでこだわるセンス、わりと好きです。会社をクビになって、今ごろネットで仕事探してるんでしょうね。トイレにノートパソコン持ち込んで。


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第八回 ロサンゼルス

イチャモンつけて数十億円
これもアメリカンドリーム?

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野球の才能をつぶされた少年が
母校に60億円の損害賠償を求める!
(2003年5月17日付 ロサンゼルス・タイムスより)




<記事要約>
ロス近郊の町で、18歳の少年が、卒業した高校を相手どり、5000万ドル(約60億円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。この高校の野球部で嫌がらせを受け、辞めさせられたせいで、自分の野球人生がダメになってしまった、というのが彼の言い分だ。そもそも嫌がらせが行われたのは、この少年が架空の企業買収のウワサをインターネット上で流し、株の売買で儲けたことが判明したから。彼の野球の才能が5000万ドルに相当するかどうかはわからないが、大人を手玉にとる詐欺師の才能はあるのかもしれない。このマセた少年、次に何を目指すのか、もう決めているそうだ。詐欺師でも株トレーダーでもなく、なんとラップ歌手。「野球人生を棒にふった苦しみを表現できるのは、ラップやヒップホップしかない」とか。まったく、何ともアメリカらしい少年である。

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ダメもとで訴えてみて、
勝てればラッキーってか


 さすが訴訟天国アメリカです。ドライブスルーでホットコーヒーをこぼして火傷したバアさんが、マクドナルドを訴えて数億円ふんだくった国です。その後、火傷しないようにコーヒーの温度を下げたら、今度は「こんなのホットコーヒーじゃない!」と訴える人が現れ、またしてもマクドナルドが敗訴してしまった、というオチまである国です。

 こういうのを日本では、「イチャモン」とか「屁理屈」と言いますね。自分の失敗を棚に上げて、そのショックで棚からボタモチを落とすようなもんです、それも数億円のボタモチを。ひどい。でも、うらやましい。これまでに何度も火傷してるのに、どうして僕の火傷は一銭も稼いでくれないんでしょうか。

 もちろん、イチャモンつけた人が、常に勝ってるワケじゃない。昨年末、体重120kgオーバーの女性が、「マクドナルドのバーガーを食べ続けたせいで太っちゃったの、どうしてくれるのよ〜」という裁判を起こしたことがあった。でも、「あんたが勝手に食べまくっただけでしょ」とジャッジされて、あっさり敗訴。当たり前だっつーの。

 それにしてもマクドナルドはすっかり、訴訟で人生一発逆転を狙う人たちのターゲットにされてますね。そのうち「ビッグマックでアゴがはずれたから10億円」なんてことになるんだろうな。ビックマック買ってきて、がんばってみっか。


17歳で株取引詐欺とは、
裏街道のエリートじゃん


 で、コール・バルティロモという問題の少年は、「野球部を辞めさせられていなきゃ、将来は大リーグにスカウトされて、5000万ドル稼ぐようなすごい選手になっていた」と言い張ってるワケですね。こんなバカげた屁理屈を認めたら、もう何でもアリになっちゃうでしょ。

 例えば、ジャンボ宝くじの販売最終日、銀座で買おうと思っていたのに、JRの電車が事故ですべてストップしてしまい、やっと到着したら、もう売場が閉まっていた。そんなときに「買えていれば3億円当たったのに」とJRを訴えるようなもんです。日本なら、裁判所よりも病院に連れて行かれるかもね。

 このバルティロモ君、野球部を辞めるキッカケになった株取引の話が面白い。彼は17歳のときに、父親の口座を勝手に使って、安値の投機株を購入。そしてこの株の会社をめぐる架空の買収話を、投資家の集まるチャット・ルームでバンバン流しまくり、株価が高くなるように煽った。株の値段が上がったところで売り抜けて、見事に大儲け。

 被害にあった投資家たちからの届け出で、連邦証券取引委員会が調査に乗り出し、最終的にバルティロモ君は和解金として、120万ドル(約1億4400万円)を支払ったそうだ。17歳のガキ、いや、お子様が120万ドルですよ、みなさん。

 今回、母校を訴える手続きも、この少年がひとりで何もかもやったそうだ。本人いわく「連邦証券取引委員会とやりとりするうちに、法律の知識を身につけた」らしい。恐るべし18歳。こいつがエイビーロードを見て、「ラッパーになったらエミネムくらい成功して数億ドル稼げたのに、ヘボ記事のせいで失敗した」なんて意味不明な訴訟を起こしたりしてね。やれるもんなら、やってみろボウズ。最初に言っておくが、金はないぞ。

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第九回(最終回) メキシコシティPart2

日本のイメージはいつまでも
スシと御飯とタマゴッチ!?

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今日はスシを食べちゃえ!
(2003年7月5日付 レコルド紙より)



<記事要約>
いよいよ女子ワールドカップアメリカ大会に出場する最後のチャンスがやってきたぞ!本日、メキシコシティのアステカ・スタジアムにて、北米3位のメキシコ代表が、アジア3位の日本代表を迎えてプレーオフ第1戦を開催しちゃうぜ。がんばれメヒコ!ビバ、メヒコ!みんなで応援しようぜアミーゴ!(というノリの記事だと勝手に想像してます)

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ごめんねメキシコで
万引きしちゃいました


 まあ聞いてくださいな。ヘボ記事は毎回、世界各地のコーディネイターさんに、それぞれの国の新聞から面白い記事を探してもらってました。でも、今回は誰からも発見報告なし。世界はどうやら、それどころじゃないみたいです。

 ああ、せっかくの(?)最終回なのに。どうせならメッチャ笑える記事を紹介して、大盛り上がり状態で終わりたかったのに。和服美人に「お願いだからやめないでえ〜!」なんてすがりつかれながら。なんで和服美人なんだか。

 しかし人生、あきらめが肝心です。海の向こうからネタが届かないなら、身の回りで探すしかないでしょ。あ、ありました。早いな。それは、先日行ったメキシコシティのキオスコ(売店)に置かれていた新聞の写真。ビジュアルが面白かったんで、思わずデジカメで隠し撮りしたんだけど、これって最近問題になってるデジタル万引き、ってやつですな。セコくてごめんよ、キオスコのおばちゃん。

 この写真の中で、ウチワやハシを持って、スシを食べるポーズをしてる女性たちは、女子サッカーのメキシコ代表選手。この日の午後、メキシコシティで、女子サッカーの日本代表とメキシコ代表のゲームがあるらしい。これが第1戦で、第2戦は日本にて開催。トータルで勝った方が、9月にアメリカで行われる女子ワールドカップの出場権をゲットできる重要な試合とか。

 それゆえに、見出しも「今日はスシを食っちゃえ!」と過激。スシ=日本チームを負かしてしまおうというわけっすね。ちなみに別の新聞では、選手たちが御飯を食べる写真を載せて、「米を食べちゃえ!」とやっていた。彼女たちもタイヘンだ。韓国戦の前にはキムチを、インド戦の前にはカレーを食べるんだろうか。


もはや仕事そっちのけ、
オレが勝たせるぞ日本!


 で、この日の午後、僕はメキシコシティのスシ屋へ取材に出かけました。スタッフは店長から料理人まで、すべてメキシコ人。ウエイターがニヤニヤしながら、「前半終わって0対0だよ」と指差したところには、サッカーの試合を中継するテレビが…そう、日本VSメキシコ戦ですがな。

 さすがのサッカー好きメキシコ人も女子の試合には興味がないだろう、と思ったら大間違い。店長は取材がはじまってもテレビに釘付け。何か質問すると、画面に向かって「行け〜!」とか「ノ〜!」とか叫びながら、その合間に適当に答えてくる。おいおい。

 そのうち、こっちも何だか熱くなってきた。スタジアムには9万人近いメキシコ人が押し寄せてるらしい。ここでオレが応援しなきゃ日本代表が危ないように思え、チャンスには腕を突き上げ、シュート失敗にテーブルを叩く。ささやかな愛国心の芽生え?

 さて、後半。日本がゴールを決めると、店長はオーバーな仕草で頭を抱え、厨房では職人たちが包丁や魚の切り身を振り回して、何か怒鳴りながら、こちらを睨む。あのう…僕がシュートしたわけじゃないんですけど。でも、結局は2対2の引き分けで終了。なんて平和的、日墨友好的な幕切れだろう。スシまでご馳走になったし、どっちが負けても何だか後味が悪いもんな。

 店を去る際に、「次の日本での試合は、メキシコチームをタコスにして食ってやるぜ!」と言いたかったけど、大人げないのでやめておいた。スペイン語が思い浮かばなかったから、という説もある。

 店長は新聞記事のことを知っているらしく、「メキシコチームもうちのスシ食べてりゃ勝ってたのに」なんて言ってたけど、彼のおすすめメニューは、その名もタマゴッチ巻き。「ウニ入りマヨネーズの模様がタマゴッチそっくりだろ」と自慢してた。懐かしいぞタマゴッチ。今でもメキシコでがんばっているんだねタマゴッチ。

 僕の帰国後に行われた第2戦は、2対0で日本代表が勝った。つまり、ワールドカップ出場決定。なのに…あんまりうれしくない。もともと女子サッカーに興味があるわけじゃないし、メキシコのあのスシ屋で応援できたのが面白かっただけなんだよな。一瞬だけ燃え上がった愛国心よ、さらば。あ、ご愛読いただいたみなさんも、さらばです。