西やん俳句集 #1
日付 メ  モ
0 いつのまに秋が来てもう冬が来る 19921111 教室だよりに掲載
1 新聞の中のこの世は師走かな 20151123
2 またひとつ秋が過ぎゆくこの世かな 20151127
3 秋すぎて陽射しやさしきこの世かな 20151128
4 うろこ雲空かたむけて秋がゆく 20151205
5 春が来て夏が来てもう冬になり 20151207
6 公園のイチョウまぶしく印象派 20151207 ・・イチョウうっとり印象派 を手直し
7 小春日の丘はピサロのタッチかな 20151209 印象派のピサロのやさしい点描
8 小春日は時を惜しんで猫になり 20151209 何もしないのが一番のぜいたく
9 小春日の昼を過ぎれば名残り惜し 20151209 うれしい小春日も冬の一日は短く
10 小春日の丘に布陣のコガネグモ 20151209 のんびりした世界にも生きる戦いが
11 公園はケヤキ落葉の語り合い 20151210 ・・ケヤキ落葉の笑い声 を手直し
12 公園は思い思いの落葉かな 20151210 表向や裏向き、黄色に茶色
13 寒空に落葉の色の暖かく 20151210 母の手編みのセーターを思い出す いろんな色の交ぜ織り
14 吹き荒れて落葉うつくし夜明けかな 20151211 昨夜の強い雨風で
15 公園の落葉はりつけ雨あがる 20151211 ・・落葉ぬらして雨あがる を手直し
16 公園はケヤキ落葉の宇宙かな 20151211  
17 家々の枯葉あつまる裏通り 20151211
18 夏の夢見終えて今朝の落葉かな 20151211
19 湯の中は生まれる前の気分かな 20151212
20 湯の中はこの世の中のあの世かな 20151212
21 ひざ曲げて小さき湯舟の宇宙かな 20151212
22 湯につかる今この時はいつの時 20151213
23 年はゆくこの世の謎の解けぬまま 20151214
24 枯葉みちこの世のすべていとおしく 20151217
25 冷え込みの空とかしつつ陽の昇る 20151218
26 クリスマス思い出届くいつまでも 20151223
27 クリスマス息子がサンタの年になり 20151224
28 シリアでは爆弾の降るクリスマス 20151224
29 カルタとりきのうの如く父の声 20151227 ・・昔の我家父の声 を手直し
30 青空がやさしい冬の田舎町 20151227 御殿場線上大井で
31 冬枯れの色あたたかき町はずれ 20151227 御殿場線上大井で
32 鳥の群れ伸びて縮んで冬の空 20151227 御殿場線上大井で
33 単線の電車枯野をマイペース 20151227 御殿場線上大井で
34 たんぽぽの綿玉ひとつ枯野かな 20151227 御殿場で
35 枯草のあたたかき道昼さがり 20151227 御殿場で
36 雲の影枯野をあそび時がすぎ 20151227 御殿場で
37 枯れ尾根の稜線やさし箱根山 20151227 御殿場で   
38 冷え込みの空押し上げて尾根動かず 20151229 御殿場線で
39 白富士にいきなり出会う御殿場線 20151229 御殿場線で
40 白富士に気おされ言葉みつからず 20151229 御殿場線で
41 雪を着て暖かそうな富士の山 20151229 御殿場線で
42 枯野原あまたの虫がひそみおり 20151230 御殿場線で
43 山裾の町あたためて陽がめぐる 20151230 御殿場線で
44 大晦日べつに変わったこともなし 20151231
45 関東は晴れて向こうは雪の中 20151231
46 元旦もふつうの日なりパンを焼く 20160101
47 年明けてさあどうということもなし 20160101
48 海の上青空深く何もなし (季語なし) 20160101
49 日の入りの早くて思う命かな 20160102
50 孫が来る昔の父の齢になり 20160103
西やん俳句集 #2
日付 メ  モ
51 カルタとりせずに正月過ぎてゆき 20160104
52 一日が短く過ぎて日暮れかな   20160107
53 気がつけば冬の朝なり古希近し 20160108
54 少しづつ日が伸びはじめ梅だより   20160110
55 冬の朝ふとんの中はあの世かな 20160113
56 冬の朝ホットミルクがしみわたり 20160113
57 コーヒーを濃いめに淹れて冬の朝 20160113
58 駅へゆく靴音のあり冬の朝 20160113
59 うす青き空気の満ちて冬の朝 20160113
60 丹沢の稜線しずか冬の朝 20160113
61 陽が昇り地平の雲がとけはじめ 20160114
62 こなごなにイチョウ落ち葉の散歩みち 20160114
63 骨太のイチョウ残して広場かな 20160114
64 湯の沁みてまた一日のいのちかな 20160116
65 夜明け前今日の寒さが集結し 20160117
66 青てんじょう林の道に冷気満つ 20160120 二宮吾妻山にて
67 空の色は暖かき青寒気団 20160120 二宮吾妻山にて
68 小春日の夢の中にて生きており 20160120 二宮吾妻山にて       
69 絵筆もち真白の富士に向かいあう 20160121 御殿場で
70 空割って真白の富士がそびえたつ 20160121 御殿場で
71 町の音消えて真冬の道をゆく 20160121 御殿場で
72 雪げしき時がしばらく止まるなり 20160121 御殿場で
73 冬の陽を集めてそこに富士の山 20160121 御殿場で
74 枯れ枝が指先のばし空つかむ 20160124 秦野で
75 夕暮れの枯れ木温め陽が落ちる 20160124 秦野で         
76 日陰みち凍ったままで昼がすぎ 20160126 御殿場で
77 まだら雪融けてナズナが顔を出し 20160126 御殿場で
78 笑みもせず怒りもせずに雪の富士 20160126 御殿場で 
79 枯草の中に緑が隠れおり 20160203 節分
80 枯草が土に戻りて明日をまつ 20160203 節分
81 枯れ枝に新芽律儀に並びおり 20160204 立春
82 枯れ枝にぽつぽつと芽が育まれ 20160205 立春
83 街路樹が何も言わずに春を待ち 20160206
84 枯れ枝と思えば新芽がついており 20160206
85 いつのまに古木新芽のディスプレー 20160206
86 古木からやわらかき枝伸び始め 20160206
87 古木から若枝新芽があふれだし 20160206
88 落ち葉消え若枝めだつ散歩道 20160206    
89 陽の光つめたい空気ににじみこみ 20160210 下曽我にて
90 いぬふぐり空から色をもらいうけ 20160210 下曽我にて
91 また今年訪れ来たり梅の里 20160210 下曽我にて
92 梅の咲く里に寄りそい富士の山 20160210 下曽我にて
93 梅里は姿変わらず年めぐる 20160210 下曽我にて
94 梅里のこの世はすでにあの世なり 20160210 下曽我にて  
95 5時に目覚め真冬の通学思い出す 20160211
96 思い出は霜柱ふむ通学路 20160211
97 思い出の雪はやさしく降りつもり 20160211
98 あたたかくなったら会おうと便りあり 20160215 高校美術部の大淵くんから
99 樹よ草よ土の下から春が来る 20160221  
100 富士山の衣短くなりにけり 20160221
西やん俳句集 #3
日付 メ  モ
101 日一日木々若返り吾老いる 20160221
102 老いの春一日はすぐ過ぎてゆき 20160221
103 木蓮のつぼみにそっと触れてみる 20160224
104 ホトケノザ畑のふちに色がつき 20160224 松戸で
105 フィレンツェの春あざやかにボッティチェリ 20160224 上野で
106 天国も地獄も乗せて春になり 20160226
107 きのうまで蕾だったぞ白木蓮 20160229
108 青空に産声あげて白木蓮 20160301   ここまで母に
109 山に雪冬の最後の贈り物 20160316 丹沢山に夕べからの雪
110 春の雪山を半日飾りけり 20160316
111 冬ももう後ろに回り名残雪 20160316
112 また一つ冬を抜け出し墓参かな 20160316
113 ようやっと冬をねじふせ春になり 20160317
114 カーディガン一年越しの出番待ち 20160317
115 セーターかカーディガンかと迷う朝 20160317
116 そよ風の運ぶ花粉が空に満ち 20160317
117 地も空も命に満ちてむず痒し 20160317
118 衰えるもの伸びるもの巡る春 20160317
119 できごともなく春になりありがたし 20160317  
120 いくつもの春の思い出時は過ぎ 20160329
121 天と地を満たして花の宴かな 20160412
122 久々の青空揺らし花の散る 20160412
123 花散るも布団足したり減らしたり 20160412
124 満開の春はきのうの夢となり 20160419
125 花散って思い出一つ去ってゆき 20160419
126 それぞれの流儀で樹々の若葉かな 20160422
127 春の句ができないうちに夏になり 20160509
128 波の音ハマヒルガオが聞きつづけ 20160512
129 初夏の海あたたかき青塗りひろげ 20160512
130 もう春が終わり砂丘に花が咲き 20160512 ハマヒルガオ ここまでミクシーに
131 気がつけばまた一日の終わりかな 20160512  (季語なし)
132 あじさいが目立ち始めた散歩道 20160603
133 あたたかき点一つあり火星かな 20160603 火星最接近
134 明日の夜もまた居ておくれ赤い星 20160603
135 今日もまた夜空に赤い星ひとつ 20160603
136 子育てのカラスの下をそっとゆく 20160604
137 夏服の母あざやかに思い出す 20160724
138 一日を持て余していた夏休み 20160726
139 田がつづく緑のビロード敷きつめて 20160811
140 ぬけがらに思い出残し蝉の声 20160811
141 ひと夏を楽には越せぬ歳になり 20160823
142 もう行ってしまうのか六十九(きゅう)の夏 20160823
143 足一本残してバッタどこに消え 20160830
144 残されたバッタの足のなまめかし 20160830
145 またひとつ夏通り抜けうろこ雲 20160911
146 夏が逝き空の高くにうろこ雲 20160911
147 朝晩の風が涼しくなっており 20160911
148 この夏も思い出となり遠ざかる 20160921
149 赤い実の踏みしだかれて午後の道 20161024
150 赤い実の踏みしだかれて風やさし 20161024
西やん俳句集 #4
日付 メ   モ
151 四季めぐりふたたび秋に歩み入る 20161103
152 ゆるやかに秋の坂道降りてゆく 20161103
153 ひととせの短く過ぎて冬支度 20161103
154 気がつけば秋も終わりに近くなり 20161112 秦野の丘を歩いて
155 紅いのは桜の落ち葉花の夢 20161112      〃
156 生き終えてやすらかに寝る枯葉かな 20161113      〃
157 陽だまりの枯葉の色のあたたかく 20161113      〃
158 あたたかく枯葉やすらぐ散歩みち 20161122
159 道端に枯葉やさしくつどいおり 20161123
160 小春日に小さき虫の歩みおり 20161125
161 落ちてなお紅き葉われを挑発し 20161127
162 道ばたの枯葉になって眠りたし 20161128
163 思い出は湯気の向こうに風呂の中 20161129
164 湯気の中遠い昔がふと見えて 20161130
165 山道に積もる枯葉の温かさ 20161208
166 前よりも後ろが増えて冬の道 20161215 過去が増えて未来は少なくなり
167 うす霜をまぶして落ち葉の夜明けかな 20171206 足柄古道を歩いて
168 うす霜に落ち葉目覚めぬ古道かな 20171206      〃
169 山道は枯葉敷きつめ誰を待つ 20171206      〃
170 霜とけて落ち葉の色のあたたかく 20171206      〃
171 生きものの気配うれしく冬古道 20171206      〃
172 いにしえの道に落ち葉の積りおり 20171206      〃
173 かじかんで縮んだもみじが積み上がり 20171206      〃