小文集(序文集)  ’1989


89.1.7        歌 舞 音 曲

 私は天皇制に積極的に賛成でも積極的に反対でもありません。昭和22年に私が生まれた時、天皇はすでに神でなく人間でした。戦争責任はあったと思いますが個人的には大変よい方だったと思うのです。これからも象徴としての天皇はあってよいと考えます。ただしあくまでも象徴として、です。崩御されたから2日間歌舞音曲(なんという古い言葉!)を慎めとか言い出されると省庁が力を持ちはじめ象徴でなくなってきます。天皇家以外の人間が崩御の日に何をしようと勝手ではありませんか。本当に象徴であるならば黙っていても皆さん静かにしているでしょう。天皇のまわりの人間が常に余計なことを言い、またそのまわりの人間が「そうしておけば無難だから」と右へならいするのです。昨年の自粛ブームはまさにそうでした。天皇制そのものよりもそういう国民的体質に問題があるのです。

89.4.1        春に思う

 3月27日で42才になりました。厄年といわれていますが私は全くそういうものは信じません。ただ健康に気をつけるべき年齢にはなつたのだと思います。この1年はPTA副会長、パソコン通信、二階建て道路建設の反対運動と、いくつかのことを41才にして初体験して社会的な視野がいくぶんか拡がりました。大きな問題は専門家に任せておけばいい、というのは誤りで、大きな問題ほど普通の人の感覚で考えてゆく必要があると思うようになりました。政治家に政治を任せておいたらこの結果です。専門家づらをしている人が実は悪の商人だった。我々もうすうす知っていて見過ごしてきた。教育、文化、環境、エネルギー、・・・問題が山ほどあります。普通の人にできることは疑うこと、知ろうとすること、自分の考えを明らかにすることくらいですが、せめてこのくらいのことはしようと思います。

89.6.2     お中元・お歳暮をやめましょう

 いままでそう思いながら、心をこめてそれをくださる方に中々申し上げにくく今日に至りました。お気持ちはありがたいのですが物をいただくということは単純にうれしいことではありません。おけいこ事の常識ですよと言う方もいらっしゃいますが私は常識や慣習がきらいな人間です。汚れた世の中をきれいにするにはまず自分からはじめたいと思います。

89.7.1       平 塚 七 夕

 めずらしく晴れで始まった今年の平塚七夕、こどもが行きたいというので見には行きますが風情のかけらもなく、お祭りの情緒もなく、どぎつい色のビニール飾りと荒稼ぎの屋台がひしめいています。もうこの行事やめたら、と思いますが皆さんはいかがですか。夏です、車をおりて裸足で歩きましょう。海や川や山をじかに味わいましょう! 地球をまもりましょう!

89.8.1       海 で

 子供と大磯海岸へ遊びにいってゴミのすさまじさに目を疑い、人類の未来に絶望して帰ってきました。ゴミをすてない、という公徳心の問題もさることながら、こんなに多くの缶やビンや袋がでてくる経済構造に大きなまちがいがあるように思えます。3日おきに出される家庭のゴミの量にも異常なものを感じます。私たちは文明を2、3歩後戻りする必要があると思うのですが皆さんはどうお考えですか? ほんものの海や山や川や風がなくなつてしまつてからでは遅いとおもいませんか?

89.9.1        上 達

 ものを習えば当然、進級とか上達ということが起こってきます。日本人のまじめさというか、ゆとりのなさというか、進級・上達ばかり気にかけている方がけっこう多いようです。いい高校いい大学いい会社という直線構造に似ているような気がします。一直線に上へ進むより、今習ったことで何が楽しめるか、誰と楽しもうかというゆとりを持ちましょう。楽しむことが結果的に上達への原動力になります。進みぐあいをすぐ人と比較して自分を卑下(謙遜?)するのもよしましょう。

89.10.2    花束ありがとう、でも・・・

 グラスオープリーのコンサートで10人を超える方々からお菓子や花束をいただきました。お気持ちはうれしいのですが楽器や荷物が多いので帰りがたいへんですし、あとでお礼の気遣いをしなくてはなりません。好きでやっていることを見にきてもらうのですから、来てくださること自体が花束です。アンケート用紙のほんの一言のほうがお菓子の10倍もうれしいのです。儀礼や慣習をみなおしてゆくことは資源やエネルギーの節約につながり、地球と人類を救うことにつながると言ったらおおげさでしょうか?

89.11.1    二酸化炭素の排出量

 二酸化炭素の排出量を話しあう国際会議で日本は逃げ腰、なさけない話です。地球をだめにしてしまって経済成長もクソもないもんだ。歩いて行けるところに車で行くのはやめましょう。車が走れば地球の酸素が減って毒ガスが拡がります。手でできることは手でしましょう。電気を使えば火力発電で発生する二酸化炭素や二酸化硫黄がまきちらされるのです。夏は暑さを、冬は寒さを味わいましょう。人間らしく自然に生きましょう。

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