イヌの味覚について   佐々木顕正


愛犬の味覚について考えます。味は舌と頬の内側にある味蕾(みらい)という器官で感じ ます。味蕾の数はイヌで約1700個、人で約9000個ですので、イヌの味覚は人と比べると、 あまり敏感ではないようです。

様々な味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味に対しての感受性)についてはどうでしょう。

甘味:甘味に対しては好きな場合が多いのですが、先天性と後天性とに分けられます。
後天性の場合は、飼い主が甘味を好物としている場合が多く、愛犬が糖分過剰気味となりますので愛犬は肥満や糖尿病のリスクを負います。

塩味:塩味は愛犬にとってあまり重要ではありません。そもそも、肉や内臓に含まれる塩 分で充分に補うことができます。人の嗜好品(フライドポテト、ポテトチップス、煎餅、 その他、菓子)を与えますと塩分過剰となり、心臓病、腎不全のリスクが高まります。

酸味:酸味も感受性があります。嗜好性はあまり高くないようです。

苦味:苦味はあまり好みません。自然界では苦味があるものは、毒のあるものや害のある ものが多いからです。動物病院で処方された薬に苦味があれば嫌うことが多いと思います。 その場合、シロップで溶かしたり、オブラートで包みます。また、錠剤で内服されます。

旨味:グルタミン酸ナトリウム、グアニル酸、イノシン酸などです。イヌは旨味の受容体 を備え、旨味自体はあまり強くありませんが、他の味を増幅し、後味を決める成分です。 母乳の中にも大量に存在していることが確認されています。

愛犬は生後6ヶ月までで、食べ物の食感や、風味の種類によって、その後の好みに影響を 与えます。その成長期の間は、人の食べ物や、嗜好品は与えない様にします。それ以降も 同様です。幼犬期、成犬期、老齢期と発育のステージに合わせたドックフードを選択しま す。かかりつけの動物病院で相談したり、ペットフードの会社(ヒルズ、ウオルサム等) のメーカーの相談窓口などを利用しましょう。