イヌの肝臓病について1   佐々木顕正


肝臓の病気は、近年増加傾向にあります。
原因として愛犬の高齢化、多食、飽食。人の食べ物を与えてしまう偏愛。植物や不凍液、有機溶剤の誤飲。遺伝による肝臓血管の構造異常(門脈シャント)。などが挙げられます。

肝臓は、体重の2%を占める大きな臓器です。栄養の貯蔵、産生や解毒能力もあります。
ただし、沈黙の臓器といわれ、80%以上の肝臓細胞が障害されないかぎり、臨床症状がでてきません。よって症状が表れたときは、肝臓病が進行している状態です。

肝臓病の初期症状は、食欲不振、体重減少、元気消失、嘔吐や下痢などが多く、根本原因を、見過ごしてしまうことがあります。
進行した状態では、黄疸や腹水、肝性脳症など肝不全症状が確認されます。
どうしたら、肝臓病の早期発見し治療をおこなうか?。できれば、定期検診(血液検査)などをおこなうことが望ましいといえます。

<各疾患について>
大きく分けて急性と慢性に分けられます。
急性の症状は嘔吐、下痢、痙攣、発作。原因はウイルス、薬物の副作用、外傷、熱射病、敗血症、血液循環不全。診断は血液検査や、レントゲン検査によって確認します。

肝臓の酵素活性(ALT、ALKP、AST)の上昇。血糖値の低下、コルステロールと胆汁酸値の上昇です。治療は入院が原則で、点滴治療と薬物治療になります。レントゲンにより、肝臓の形態を確認します。(肥大など)

慢性の症状は、ほとんど症状を示さないのが特徴です。症状は少しずつ表れ、体重減少食欲減退、飲水量と尿量の増加があり、病状が進行すると黄疸が表れます。臓器組織に沈着します。尿は胆汁色(ブラウン色)、糞便は灰白色で、脂肪が多く含まれます。

腹水、四肢の浮腫も見られます。アンモニアによる肝性脳症が表れ意識障害、痙攣、発作
の所見があります。