イヌの肝臓病について
(肝臓腫瘍の症例ついて3) 
 佐々木顕正


慢性肝臓病として、肝臓腫瘍がありますが、臨床症状は、体重減少や、嘔吐、腹水の貯留、下痢、嗜眠、などです。

腫瘍の形態として、原発性(その臓器から派生したこと)と転移性に分けられます。
原発性は肝臓の機能が低下するころには、腫瘍が拡大し摘出が困難で、症状があまり顕著でない場合もありますし、比較的小さな段階で門脈や胆管を圧迫して症状(黄疸、下痢、嘔吐)がみられる事があります。発生部位により、腫瘍による臨床症状が、変化することが特徴です。

転移性は、癌化した乳腺や腹膜(腹部臓器を包む膜)、脾臓から、リンパ節や血液を介して癌細胞が肝臓組織に移動し、肝臓腫瘍となります。
診断は、病歴の聴取、身体検査(腹部の触診など)、レントゲン検査、超音波検査、MRI、CT、バイオプシー(肝臓の一部の組織を採取すること)、にて診断します。悪性度の評価は肝細胞組織を病理検査にて判断します。最近、腫瘍マーカーにて肝臓腫瘍の存在を確認することも行われているようです。