イヌの消化器系の病気について
(口腔の症例について3) 
 佐々木顕正


口の周囲の疾患として、唇の炎症などがあります。
唇の炎症は、アレルギー、細菌の感染、真菌(カビ類)、顔ダニ(毛包虫)、免疫疾患、などの原因により、炎症を起こします。

構造的に、唇のひだが、垂れている犬種(バセットハウンド、アイリッシュセッター、アメリカンコッカースパニエル、セントバーナード等)は下唇に大きなひだがあり、食事のカスなどが溜まって細菌の過剰増殖がおこり、炎症が起こることがあります。
犬種の特性をしっかり把握し、常に口周りは清潔にすることと、唇の炎症の原因は、多様ですので、基礎疾患を見極めることが大切です。唇だけに限局しているのか(原発性)、他の皮膚病との関連、若しくは、免疫疾患の延長線上にあるのか(汎発性)、かかりつけの獣医師と、相談し診断します。
外傷、異物の刺入、やけどなどは早期治療が必要です。早急に獣医師の治療が必要です。
また、過度なよだれは、痛みを伴い、持続的な刺激がある可能性が、高いものです。特に舌(舌根部:舌の根元)に絡みついた糸などは、外見上、よだれを多く流し、唇内外の障害と判断しがちです。唇と口腔内の疾患の鑑別は重要です。

次回は、口腔の軟部組織、咽喉(のど)についてお話します。