イヌの消化器系の病気について
(下部消化器1) 
 佐々木顕正


下部消化器は、小腸:十二指腸、空腸、回腸、大腸:盲腸、横行結腸、下行結腸、直腸、肛門と解剖学的に分類できます。大きく分けて小腸、大腸で構成しています。

小腸は消化酵素によって脂質やたんぱく質を分解し、小腸粘膜の絨毛によって、より低分子栄養(脂肪酸、アミノ酸、糖類)を吸収します。(消化酵素は、膵臓、肝臓に由来)

また、小腸絨毛は、酵素産生細胞、血管とリンパ管、粘膜産生細胞で構成されます。
腸管には常在細菌があり、消化を手助けします。特に、母乳期に獲得されます。

大腸は水分を吸収するのが主で、未消化のものは便として排泄されます。
腸の長さは体長の約三倍です。分節運動により、食物をかき混ぜ、接触させ、小腸粘膜から栄養素を吸収させます。蠕動運動により食物を移動させます。
腸の病気とは、これらの腸構造、腸生理機能、腸運動に障害を受けたときに発症します。

腸への障害とは何か?
次回に説明していきます。