下部消化器の各種下痢疾患の診断と治療について述べていきます。
1:吸収不良症候群の診断と治療
吸収不良は、小腸の繊毛の損傷が原因となります。食物過敏、寄生虫の大量寄生、細菌、
ウイルスによるものです。食欲は旺盛にもかかわらず、栄養がとれず痩せていきます。
また、すい臓から脂肪を消化する酵素(リパーゼ等)がうまく分泌されない為に、脂肪が
消化されず体毛はあぶらこい状態になり、便は大量で、臭気がきつく泥状です。
診断はコバラミンと葉酸の定量検査です。また小腸の生検(一部の細胞をとり、組織の状態を観察し診断すること)。
治療は食事療法や、消化酵素剤の投与です。
2:食物アレルギーの診断と治療
食物アレルギーの特徴は、消化器官以外の皮膚にも症状として現れます。
また、その両方同時におこることもあります。
消化器症状は嘔吐、下痢、腹痛。皮膚症状は、掻痒感、うろこ状(胸、腹部)に赤い腫脹
みられます。皮膚症状の延長上に、外耳炎を起こします。
診断はアレルゲンフリーの食物をあたえ、反応をみることです。症状が治まれば食物アレ
ルギーと診断します。また、再度アレルゲンフリーの食事から、下痢をおこした食事を与
えて症状が再発すれば、食物アレルギーと確認できます。
現在は、アレルギー検査も充実しています。食物のアレルゲンの特定が可能です。
食事療法と、アレルギー検査の併用を薦めます。
次回は、炎症性腸炎について検討していきます。
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