イヌの消化器系の病気について
(下部消化器9) 
 佐々木顕正


下部消化器の各炎症性腸炎ついて述べていきます。

  1. リンパ球性形質細胞性腸炎
    好発犬種としてジャーマンシェパード。小腸における慢性炎症腸炎であり、腸粘膜の固有粘膜層に、形質細胞、リンパ球の浸潤がみられます。
    症状は、慢性嘔吐、慢性下痢、慢性嘔吐と下痢です。炎症性腸炎でありながら嘔吐のみであり下痢がまったく認められない症状もあります。この性質が特異で重要な点です。
    生化学検査では、低アルブミン血症、高ガンマグロブリン血症がみられます。
  2. 好酸球性腸炎
    慢性炎症性腸炎であり、胃や大腸に及ぶこともあります。免疫細胞である好酸球が腸の 粘膜に集合する状態です。腸間膜リンパ節にも浸潤している場合があります。
  3. グルテン過敏性腸炎
    グルテンの消化産生物に起因します。グルテンが腸粘膜の上皮細胞であるじゅう毛に対し て免疫反応を起こし、萎縮を招いて吸収不良を起こします。アイリッシュセッターで確認 されており、家族性過敏症で遺伝性があるようです。
  4. 局所性腸炎
    肉芽腫様腸炎であり、進行性で回腸が特に障害されます。新鮮血をともない、結腸終末部 に炎症がおきると、しぶり(腹圧をかけても、あまり多く排便できない状態)が発生し、 腹痛を伴います。予後不良です。

<各腸炎の診断、治療について>
診断は、血液検査に加えて、内視鏡による観察、腸の細胞診断です。 治療は免疫抑制剤の投与。低アレルゲン食、低脂肪食、アレルゲンフリー食の給与。 診断によっては外科摘出(局所性腸炎、腸腫瘍)を行います。

次回は、下部消化器の終末組織である大腸、肛門についてお話します。