4. 放射線と物質との相互作用 |
4.1 β線と物質との相互作用 | |
高速の電子であるβ線は、通過経路にある原子を励起したり、電離してイオン対を生成して、エネルギーを失う。軌道電子や原子核との電気的な相互作用によって散乱され、進行方向がしばしば大きく変化する。 原子核の造る電場によって大きく散乱されると、X線(制動放射線)を放出する。 |
4.2 X線、γ線と物質との相互作用 | |
X線、γ線と物質との相互作用には、光電効果、コンプトン効果、電子対生成等がある。X線、γ線のエネルギーが小さいときには、光電効果による減衰が主であり、エネルギーが大きくなるにしたがってコンプトン効果による減衰が多くなってくる。 また、電子対生成は、エネルギーが1.02MeV以上でないと起らなく、エネルギーが大きくなるにしたがってその確率もおおきくなる。 |
(a)光電効果 | ||
光電効果とは、X線、γ線が原子にそっくり吸収されて、そこから1個の電子(おもにK軌道電子)が飛び出す現象をいう。 | ||
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(b)コンプトン効果 | ||
X線、γ線のエネルギーが電子の結合エネルギーにくらべてずっと大きい場合は、X線、γ線と軌道電子が衝突し、軌道電子をはね飛ばし、みずからははね飛ばした分のエネルギーを失って、散乱する。コソプトン散乱後のX線、γ線のエネルギーは散乱角が大きいほど小さく、散乱角が180度で最小になる。 | ||
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(c)電子対生成 | ||
エックス線、ガンマ線のエネルギーが1.02MeVより大きい場合、それらが原子核の電場と相互作用して消滅し、その場から一対の電子-陽電子が生まれることが可能になる。この現象を電子対生成という。 | ||
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