◎スポーツの「ルール」を考える 3

 「エートス」事例:体操選手ヌード事件

  「ルーマニア女子体操選手のヌード騒動が、同国体操協会長の解任に発展した」という新聞記事が報道された(すみません、2000年頃、相当古い話です。何せ、この原稿、最初に書いたのがその頃です)。

 この騒動は、女子体操選手(19才)がルーマニア版のプレイボーイ誌でヌードになったことに対して、体操協会会長が、「ヌードはスポーツ選手の倫理に反する」と、この選手を処罰(優勝ボーナスの支給停止、ランキングから抹消)したことから始まる。この選手は世界選手権団体優勝メンバーでもあったが、結局、この騒動で引退したという。この処分に対し、スポーツ界やメディアから「制裁はひどすぎる」と擁議論が上がり、ルーマニアの青年・スポーツ大臣も「彼女は子供ではないのだから、問題はない、行きすぎた厳格主義」と協会を批判した。最終的に、スポーツ選手がヌードになることを非倫理的としたこの体操協会会長、青年・スポーツ大臣によって解任されることになったという。

 この一連の騒動、どう考えたらいいだろうか。「スポーツ選手はヌードになってはいけない」というようなルールはないから、ヌードになることは「悪いこと」ではない。女子バレーボールなどでは、できるだけ身体の線を出すように「指導?」していたし(注)、オーストラリアの女子サッカーナショナルチームはメンバー全員のヌード写真集を出版し、遠征費を稼いだ。「悪いこと」ではないし、「許される」ことである。しかしルーマニアの体操協会会長はヌードを、「受け入れられない」ことと考えた。それに対してルーマニアのスポーツ界やメディアは、スポーツ選手がヌードになることを「受け入れられる」ことと考えた。そしてこの会長は、ルーマニア政府からも、あなたの考えこそ「受け入れられない」と解雇された。

 日本であったらどうだろうか。日本でも雑誌のヌードに素人さんが登場するようになってきているから、このような騒動は起こる可能性はある(スケートのオリンピック選手であった村主章枝さんのヌード写真集が、2017年の今、、話題となっている)。当然、話題になるし、そのスポーツ協会の会長さんなどは、多分、何らかの処分をするようになるだろう。ここまではルーマニアと同じである。「スポーツ選手がヌードになること」は「悪いこと」ではないが、「受け入れられない」ことだろう。しかし、会長さんのこの処分に対して、日本のスポーツ界やメディアがルーマニアのように批判することになるだろうか。文部大臣(日本ではスポーツも担当)が、スポーツ選手がヌードになることは「受け入れられる」ことだからといって、協会の会長さんを解雇するだろうか。日本では、やはりスポーツ選手がヌードになることは「受け入れられない」ことだろう、今のところ。これを読んだあなた(貴男・貴女)方の大半が「いいんじゃないヌード」と考えるようななったときエートスによる基準が変わっていく。

(注):これも相当古い話。1998年秋の世界選手権女子大会で、国際バレーボール連盟(FIVB)は、①ユニフォームの上は身体にフィットするシャツ、②下はぴったりしたブルマーか、また下5センチ以内のショートパンツという新規定を設けた。この大会でFIVBは、身体の線を見せるような密着したユニフォームを着用しなかったということで、ブラジル、ロシアなど5ケ国に約35万円の罰金を科した。


続く


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スポーツまいんど その10