スポーツまいんど その21

◎スポーツする「日本人」再考⑥ 

          日本の運動部の特殊性

 

 今回は日本のスポーツのチームの話をしよう。運動部の話。一般的に運動部には共通の達成すべき課題がある。それは「勝つこと」。「いや、そんなことはない、中学や高校の運動部では教育として・・・」と反論する人も多いと思うが、そこでも「勝つこと」、正確に言うと「勝とうと試みること」が課題となる。

 つまりスポーツにおいて、互いに「勝とうと試みること」をしなければスポーツの試合は成り立たないのである。運動部は一般的にはスポーツの試合を目指しており、その試合に勝とうと試みている集団である。このように、競技でないスポーツを内容とする、例えばハイキング部、キャンプ部などを別にすると、運動部は勝利を追求する競技集団という性格を持つ。

 そうなると、その課題(勝利)達成に向けての貢献度によって序列が出来る。それを「正選手−補欠関係」と呼ぶことにしたい。しかし日本の運動部には、もうひとつの序列がある。「4年天皇、3年貴族、2年平民、1年奴隷」といったような、学年を単位としたタテの序列(昔、大学の運動部ではそんな序列があった)。それを「上級生−下級生関係」と呼ぶことにしたい(最近は随分タテ序列の厳しさはなくなったが)。このように日本の運動部では、「正選手−補欠関係」と「上級生−下級生関係」という序列の二重性がみられ、それによって日本的運動部集団(スポーツチーム)は様々な様相を呈することになる。

 「ぱしり」という言葉をご存じだろうか。上級生の用事を下級生が引き受けることらしい。例えば、パンを買いに行ったり、誰かに連絡をしたり、そう、「使い走り−使いっ走り」のパシリだと思われる。この「ぱしり」のように、日本の「運動部」にはよく解らない制度というか、きまりというか、不合理な約束事が伝わっている。30年ほど昔の話であるが、大学の授業で「不合理だと思われる運動部のきまりを書きなさい」というレポートを課したことがある。まあ、いろいろとあって考えさせられてしまった。その一部を紹介しよう。

「1年生は五厘、2年生は三分、3年生は五分」

「1年生は練習の後かたづけをし、上級生より早く合宿所に帰っていなければいけない」

「先生がいるときには下級生が下になっていること」

 五厘、三分、五分とは頭の刈り方のこと。共に坊主頭ではあるが、五厘となると地肌がよく見える。上級生より早く合宿所に帰るためには後かたづけをし、どこかで上級生を追い抜かなければならない。この下級生が下、というのは、ある高校の柔道部の話。つまり、先生の前では下級生は上級生に負けていろ、という凄まじいきまり。

 こんなきまりは、運動部の「上級生−下級生関係」というタテ序列を維持し、「人間的な相互関係のチームワーク」を保とうとすることである。そのために「スポーツの技術的、戦術的なチームワーク」を犠牲にし、スポーツ技術の能力から生まれる「正選手−補欠関係」を解体しようする試みに思えてならない。これは運動部だけのコトだろうか。

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