スポーツまいんど その35

◎「身体(からだ)」と「こころ」

        ④「からだ」の同調(シンクロ)

 

 「無意識」のレベルにある「身体図式」に基づいて「からだ」が「こころ(意識)」よりも先に動き、「からだ」は「こころ」を支配し、「からだ」でわかるということもあると話してきた。今回は「からだ」の同調(シンクロ)の話。「身体図式」という言葉は堅苦しいので「からだ」と言うことにする。

 「からだ(身体図式)」は「他者」の「からだ」と同調(シンクロ)する。例えばテニスでは、相手のサーブという「からだ」の動きにシンクロしてレシーブをする。「ダンス」では、パートナーの「からだ」の動きに互いにシンクロして踊る。「欠伸(あくび)」をしている人を見て、何となく自分も欠伸してしまう、これもシンクロである。「赤ちゃん」を「あやす」のも互いの「からだ」のシンクロ。「手をつなぐ」「ハグ」なども「からだ」のシンクロを起こす。想い出してみよう、デートの最中に無意識に手をつないで歩いたこと、互いの「からだ」がシンクロして、幸せ。この無意識というところが重要、意識的に手をつなぐと「下心」と言われてしまう。

 「からだ」は「もの」にもシンクロする。テニスでは、相手選手の動きとほぼ同時に、飛んでくるボールという「もの」にシンクロしてスウィングしている。野球のバッターもボールに対してシンクロする。前々回話をした盲目のピアニスト「辻井伸行さん」の演奏、彼はピアノとシンクロして一体となって演奏している。「お手玉」や「ジャグリング」なんかも正に「もの」とシンクロした動きである。

 ちょっと難しい話であるが、「からだ(身体図式)」は自分自身の「からだ」とシンクロする。例えばテニスで、思い通りのスウィングができたときなどがそれである。自分自身の「からだ」とシンクロした動きでボールを自らのラケットで打ち返えそうとするのである。あるいは体操競技の回転、スキーのエアターンなど、イメージした動きができたのは,無意識の「身体図式」と実際の自分自身の「からだ」とがシンクロした瞬間なのである。

 このように「からだ(身体図式)」は、「他者」の「からだ」、「もの」、そして自分自身の「からだ」と同調(シンクロ)するのである。そして「からだ」の同調(シンクロ)は心の中のしこりを浄化する。赤ちゃんをあやしながら幸せな気分になるのも、恋人と無意識に手をつないで幸せな気分になるのも、この「からだ」のシンクロによるものなのだ。

 テニスやバレーボールでラリーが続くといい気分になる。そこには、うまくできたという満足感だけでなく、互いの「からだ」が連続してシンクロしたことによる浄化がある。あるいは、コンサートは聴くのではなく参加しに行く、と誰かが言っていた。ステージと観客席との一体化を形成しているのは、音楽だけではなく、互いの「からだ」のシンクロによるものかもしれない。


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