スポーツまいんど その6
◎見上げてごらん、バスケットリングの「つけね」を
今度、体育館に行く機会があったら、バスケットリングの「つけね」を見上げて見よう。何か変なものがついていることに気がつくだろう(古い体育館ではついていない)。あれはショックアブソーバーである。つまり、ある限度を超えた力がリングにかかると、リングのつけねの部分が折れ曲がり(そして元にもどる)、バックボードが壊れるのを防ぐ。何故、そんなものが付くようになったのだろうか。
これは、ダンクショットが原因。ダンクショットというリングの上から叩きつけるシュート技術の進歩によって、試合中にバックボードを壊してしまうという事故が多発した(アメリカでの話。ダンクと同時にバックボードが粉々になる瞬間を昔、テレビで見た人もいるだろう)。その結果、バスケットリングが変わった。ちなみに、現在のリングの後ろの板、バックボードは細長くなり、下の部分にパットが付いている。このパットは何のためか。そう、あそこに頭をぶつける選手が出てきたから付いた。見上げてみよう、あの高さを。進歩したスポーツ技術の偉大さを感じるだろう。
このようにスポーツ技術が進歩することによって、スポーツの用具(施設)が変化するという関係がある。他の例としては「やり投げ」があげられる。やり投げの技術が進歩しすぎて、トラックにまで届くようになってしまった(やり投げは陸上競技場のフィールドで行われるため、飛びすぎると外周のトラックを走っている選手に突き刺さる危険性がある)。そこで、「飛ばない槍」が開発されたのである(槍の重心を変えることで飛ばなくなるらしい)。よって現在のやり投げの世界新記録はふたつある。昔の槍の記録と、飛ばない槍の記録。このふたつが統一されるとき(飛ばない槍で昔の記録を破るとき)、また同じ危険性が生じるわけで、今度は、もっと飛ばない槍、ということになるのか、変な話ではある。
逆に、スポーツ用具が進歩することによって、スポーツ「技術」が変化するという関係もある。例えば、「カービングスキー」と呼ばれるもの。従来のスキー板に比べて、短くて扁平なスキーである。一度、履いたこと(我々はスキーを履くと言う、業界用語か?)があるが、実によく曲がってくれる。曲がりすぎて、先端のインナーエッジが雪に引っかかり、大転倒してしまった。昔の(曲がらない)スキーを回転させる技術が通用しない。もっと、楽に軽く操作し、そんなに踏み込まない方が良いらしい。「もっと踏み込め」なんて昔は言われたのに、技術の変化である(このカービングスキーに合わせて日本のスキー教程も変わってしまった)。この他、軽い金属バットの出現で甲子園大会のホームラン数が激増したり、でかラケ、厚ラケ、長ラケの出現によってストロークの技術が変わったりもする。
前回の「まいんど5」で話したフォズベリーのスポーツ技術大発明も用具の進歩のおかげ。かつてハイジャンプは砂場が着地するところだった。それが今は、大きなマットが着地点であり、だから背中から着地することが可能となった。砂場でフォズベリージャンプやったら、大怪我ではすまないかもしれない。
このように、スポーツの「技術」とスポーツの「用具」には密接な関係がある。しかし、新しいゴルフセットを購入しようとしているあなた(貴男・貴女)、用具が変わったからといって、すぐにスポーツ技術が進歩するわけではないことを忘れないでいよう。スポーツ用具がその機能を発揮できるかどうかは、それを用いる人のスポーツ技術に依存している。