スポーツまいんど その68

◎昔のすぽると⑳  自転車世界一周🚴🚴

 

 参考文献「近代体育スポーツ年表」には1886年(明治19年)の11.21に、「自転車世界一周のアメリカ人スチーブンス来日」という記事がある。一体、これはどのようなものなのか。今回はこの「スチーブンス」という人と「自転車で世界一周」を取り上げる。今回の説明は「Critical Cycling」というホームページの「トーマス・スティーブンスの自転車世界一周冒険譚」(2020年 赤松正行さん作成)に基づいている。

 是非御覧下さい➡ http://criticalcycling.com/2020/08/around-the-world-on-a-bicycle-by-thomas-stevens/

 本名は「トーマス・スティーブンス」、アメリカ人でなくイギリス人らしい。乗っていた自転車は前輪の大きな「だるま型」自転車、「スポーツまいんど65 昔のすぽると⑰ 木製自転車」で紹介した(写真あり)ものである。この自転車旅行は1884年4月から1886年12月の2年8ヶ月間に渡って行われた。サンフランシスコを出発、ニューヨークへ、そしてヨーロッパと自転車で走行し、途中の大西洋やインド洋などは船。自転車で走行した距離は約13,500マイル(21,726km)で、地球の半周。最後の訪問国は日本であり、横浜から太平洋を渡ってサンフランシスコに帰還。たしかに凄い自転車の旅である。

 この自転車の一連の旅程は書籍「Around the World on a Bicycle」にまとめられている。それは1,000ページを超える大著でイラストが100点以上添えられている。それによれば、「スティーブンス」は最小限の荷物だけを持って、単身で自転車のペダルを漕ぎ続けている。宿屋や食堂を利用することが多かったようだが、何回かは野営もしている。山賊や野獣に襲われることもあるからナイフと拳銃は必携なのだ。

 前輪が巨大なペニー・ファージング(だるま型自転車)は高速に走行できるらしい。しかし、バランスを崩し易く、ブレーキが効かないなど安全性は低い。この自転車は空気入りタイヤが実用化される前なので、激しい振動で乗り心地も悪かったという。つまり自転車で走ること自体が随分と大変だった。一方で、大自然に親しみ、絶景に驚嘆し、異国情緒を楽しむ喜びも多かったという。

 そして日本を訪れた1886年(明治19年)、日本人の多くの人が着物を着て髪を結い、まだまだ外国人も自転車も珍しい頃。長崎から横浜へと移動した彼は、同じアジアでも中国に比べて日本は清潔で綺麗だと絶賛したという。道路もよく整備されていたらしい。この本には、京都や富士山、あるいは魚や日本酒、温泉といったお馴染みの地名や風習が次々と登場しているらしい。「Critical Cycling」というホームページにはこの日本訪問のイラストが6枚紹介されている。

 1886年(明治19年)「自転車世界一周のアメリカ人スチーブンス来日」といいう記事を載せた、参考文献「近代体育スポーツ年表」、「学校の体育・スポーツ」の欄にはこんな記事がある。「3/26 帝国大学および同理科大学、学生の共同で自転車1台購入、運動を目的とした自転車会を創設」。ある自転車の研究者が、日本の自転車の製造が一応の軌道に乗るのは1887(明治20)年代以降と述べているから、これらの自転車のニュースは、自転車製造が軌道に乗る1年前のことであったのだ。












 HP案内図に戻る