スポーツまいんど その69
◎昔のすぽると㉑ 遊戯「コックリ様」🚴
スポーツまいんど その69
◎昔のすぽると㉑ 遊戯「コックリ様」🚴
参考文献「近代体育スポーツ年表」には1886年(明治19年)の欄外に「年末から翌年の秋頃まで『コックリ様』という遊戯が流行」という記事がある。一体、これはどのようなものなのか。今回はこの「コックリ様」という遊戯を取り上げる。
「コックリ」は漢字では「狐狗狸」、つまりキツネとイヌとタヌキである。「コックリさん」とも言われる。西洋の「テーブル・ターニング」を起源とする占いの一種だそうである。机の上に乗せた人の手が、ひとりでに動くという心霊現象を利用した占いらしい。「狐狗狸さん」をもっと詳しく調べたいと思っていると「井上円了」というヒトが「妖怪玄談」という本を1887年(明治20年)、まさにこのニュースにあった「コックリ様」流行の最中に出版していることを知った。そしてネットでそれを読むことができるのだ。その本は「第一段 総論」「第二段 コックリの仕方」「第三段 コックリの伝来」「第四段 コックリの原因」と目次が記され、全部で88ページである。ここからはこの本を中心に「狐狗狸さん」を説明する(後からこの本を読めるサイトを報告)。
まずは「コックリの仕方」。30cmくらいの3本の竹の棒の中ほどをしばって三脚のようにしてその上に盆をのせる。その盆のまわりに3人がすわり右手首で軽く盆を押さえる。「こっくりさん、こっくりさん、足を上げてください」と言って祈祷すると「3本の棒」の一つが持ち上がる。そうすると「こっくりさん」が憑いた(ついた:のりうつった)として、占いを始める。「汝(なんじ)、天狗ならばこの足をあげよ」とか「この家に幸福あらばこの足をあげよ」などいろいろ言うらしく、いくつかの事例が紹介され「仕方は種々まちまちにして、一定の規則なきはあきらかなり」と述べている。
次は「コックリの伝来」。この時期の流行は「相、豆、駿、遠、尾、濃の間に流行し、昨年中は西は京阪より山陽、南海、西国まで蔓延し、東は房、総、常、野、武、信の諸州にも伝播し、当年に至りては奥州に漸入するを見る」と広がっている。日本への伝来を「諸国の有志」に問い合わせてみると、「信長のころ」「徳川氏の代」「薩洲より起これり」など色々な説があるという。そんな中、2年ほど前に「アメリカの帆走船、豆洲下田近傍に来たりて破損したる」ことがあって、下田に滞在したアメリカの船員が西洋の「テーブル・ターニング」を見せたのではと考えられ、「昨今流行のコックリは豆州下田に起縁せること、ほとんど疑うべからざるなり」と述べている。
最後に「コックリの原因」。「井上円了」はコックリの装置が動き、傾き、回転することの原因事情を三つの観点から論究している。それは「装置自体」「人の手と装置と相触れたりする時の事情」「人の精神作用」より生ずる原因であり、非常に詳しく分析している。ここでは説明仕切れないので、最後に彼の述べた言葉を転載する。「これあえて鬼神の所為にあらず、狐狸の憑(よ)るにあらず、電気作用にもあらず、有意作用にもあらず、別に道理上証明すべき種々の事情ありて、無意自然に回転、上下するに至るなり。しかるに世人往々、コックリは妖怪の一種にして、道理をもって証明すべからざるものとなすがごときは、余があえてとらざるところなり」。
1970年代に「つのだじろう」のマンガ「うしろの百太郎」で紹介され、少年少女のブームになったことがあるらしい。親や先生が「絶対にやらないように」と警告を発したらしい。この「うしろの百太郎」はテレビドラマ(テレビ東京系列)となり、1997年11月10日に第6話「禁断のコックリさん」が放映されたらしい。見てみたいものである。
井上円了「妖怪玄談」青空文庫 ➡ ️https://www.aozora.gr.jp/cards/001021/files/49375_40185.html