スポーツまいんど その7

 

◎女性コーチに関する問題

 日本でも女性の管理職や大臣、知事などが出現するようになったが、女性のコーチにはあまり出会ったことはない。バレーボール女子日本代表の次期監督に中田久美さんが就任、こんなことは凄いことだ。ソフトボールやシンクロナイズドスイミングなど、素晴らしい業績を成し遂げた女性コーチ(日本では監督と呼ぶ)が存在したが、日本ではあまり多くはない。アメリカでは数多くの女性コーチが活躍し、スポーツ雑誌などに写真が載ったりする。しかし、ここに至るまでには多くの困難があったし、また現在も多くの問題がある(今回のこのコラム、30年ほど前のデータを基にしているので古臭いかも)。

 20世紀の始め頃、アメリカにおいて女性がスポーツに参加することは社会規範に合っていないように見なされていたそうだ。だから1920-30年代、女性のスポーツの指導的存在であった女性体育教師たちは、女性が競争的なスポーツすることに対する反対運動を起こしていたという。このように、70-80年ほど前は、女性がスポーツすることに対する認識は、日本もアメリカもそんなに変わらなかった。アメリカを代表するスポーツのひとつ、バスケットボールでさえ、女性は女性用の特別ルール(オフェンス、ディフェンス、それぞれ専門で行い、コート中を走り回ったりしない)で行っていた。女性には過激なスポーツは適さないと言う理由で。

 その後やっと、1960年代において、女性運動(例のウーマンリブ運動、あなたが高齢者であれば覚えているだろう、日本ではピンクのヘルメットをかぶり男性の浮気を糾弾する、といった活動しかマスコミに取り上げられなかったが)に追随するかたちで女性のスポーツの改革が進んだという。そして「タイトルナイン」という条例が施行されることになる。これが画期的な出来事。

「タイトルナイン(Title IX)」(1972)とは、体育における性差別を禁止した教育の条例。「アメリカ合衆国においては、連邦政府の財政援助を受けている教育プログラムや活動については、性による理由で参加を拒否されたり、その恩恵を受けることを阻まれることはもちろん、いかなる形の差別も認められない」というもの。これによって、女性のスポーツにも男性と同様にコーチをおくことが義務づけられ、そして多く女性がコーチとして活躍する場が与えられた(日本では多い男女別の体育の授業、それがアメリカでは男女一緒に行われたのもこの条例:男女差別禁止の影響)。

 しかし、女性コーチが減少しつつあることが問題とされている(1980年代のこと)。問題はこれだけではない。女性コーチは男性コーチと同じでよいのか、という問題。つまり、女性コーチは、勝利主義、権威主義、商業主義など多くの問題を含んでいる男性のスポーツ環境の中に巻き込まれていいのか、という問いかけがなされている。その原因として、女性への偏見を取り上げる女性研究者がいる。ある女性研究者は述べる。「女性はコーチとしての適性に劣り、試合のための旅行やリクルートを嫌がり、地位を求めるよりも家族のために時間を使いたがる傾向があるという仮説がある。それは嘘である」(1988年のアメリカの論文)。

 これを読み替えてみよう。「女性は管理職としての適性に劣り、出張や交渉を嫌がり、地位を求めるよりも家族のために時間を使いたがる傾向があるという仮説がある」。なるほど、などと思ったあなた(貴男)、それは偏見。さあ、あなた(貴女)、大きな声で主張しよう、「それは嘘である」。


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