スポーツまいんど その86
◎昔のすぽると㊳ 新選遊戯法
スポーツまいんど その86
◎昔のすぽると㊳ 新選遊戯法
参考文献「近代体育スポーツ年表」に1903年(明治36年)に、「6- 日本体育会編《新選遊戯法》」という記事がある。何のことかの説明もなく、典拠文献もなかった。そこでNetで「新選遊戯法」で検索してみた。すると「国立国会図書館デジタルコレクション」のページに「新選遊戯法」全240ページが掲載されていた。今回はその文献の特徴を紹介する。本文をじっくり読みたい人は是非、ネットで読まれたし。
まず「序」は「遊戯ハ體育ニ必要ナル●●猶ホ美術ノ心育ニ必要ナルガ如シ(●:ハンコが押され読めない部分)」から始まる。目次は「第1章 初等遊戯」1.競走 2.循環的競走 3.障害物競走 4.装束競走 5.豆嚢競走 6.球競走 7.輪競走 8.源平遊び 9.鬼ごと 10.盲目鬼ごと 11.雷遊び 。「第2章 高等遊戯」1.テザーボール 2.ローンテニス 3.テーブルテニス 4.バスケットボール 5.クロッケー 6.打毬競技 7.テンピンス 8.フートボール 9.ホッケー 10.ベースボール。「第3章 表出體操」1.池ノ鯉 2.雀鴉 3.春野ノ打毬 4.兎と龜 5.桃太郎 6.飛ビ来ルトンボ 7.蜘蛛 8.川中島合戦 9.旭ニ匂フ山櫻 10.愉快々々。「第4章 舞踏的遊戯」1.舞踏的方向行進 2.舞踏的十字行進 3.ポロネーズ 4.ショッチス 5.クッドリール 6.カレドニアン 7.ランサース 8.コチロン。
「初等遊戯」と「高等遊戯」の区別は「技術ノ難易ト、遊戯其ノモノ、高尚ナルト、然ラザルトニ由ル」とされ、小学校児童と中学校生徒との区別ではないとしている。「初等遊戯」の「競走」は「一人一脚」「二人一脚」「二人三脚」・・・「擬馬競走」、11種目が図入りで解説されている。「擬馬」は3人で馬、1人が乗る、今も運動会などで行われる騎馬戦のようなもの。「豆嚢競走」は「豆嚢(とうのう)という30cm四方の布の袋に小豆を入れたものを、2列、あるいは4列に並んだ「演技者」が送ってゆく競走。横送り、縦送り、後ろ送りなどの種目あり。「高等遊戯」は現在のスポーツ競技が多い(当時スポーツという言葉は一般的でなかった)。「テザーボール」は日本で知られていないが、アメリカの小中学校では現在も行われている。高さ2-3mのポールを立てその上からロープで吊したボールを付ける。それを手やラケットで打つ球技。この書には、高さ一丈六尺(4m80cm)の柱を立て、テニスラケットやベースボールのバットで打球するとある(Amazonで3〜4万円で販売中)。
「高等遊戯」はスポーツであるが、現在のスポーツとは異なることが多い。例えばバスケットボールでは「高サ三間程ノ竿ノ頂ニ、口徑凡ソ五寸、深サ凡ソ一尺ノ圓キ籠ヲ附ケタルモノ二個ヲ・・・」と準備が書かれている。また「テンビンス」という種目は現在の「ボーリング」のようなものである。「表出體操」は「或ル一定ノ意味ヲ身體ノ動作ニ依リテ、表出スルモノ・・・」と解説されている。その「池ノ鯉」は「池ノ鯉ノ遊泳セルサマヲ表出セシ體操法ナリ」と説明があり、「池ノ鯉」という「へ調二拍子」「たたく てを しるべ に・・・」という歌詞の「唱歌」が紹介されており、それに合わせての体操の遊戯らしい。「舞踏的遊戯」は音楽に合わせた行進、「ヒール、エンド、トー」という足の動きらしきもの、「フォアー、バック」「バランス」など色々な説明があるが、詳しい解読はできなかった。
最後のページに「定價金七拾銭」、著作者「日本體育會」とあり、代表「高嶋平三郎」という版が押されていた。この人は1901年に「日本体育会体操学校」校長であった人物である。つまりこの本を出版した「日本体育会」は 現在の「日本体育大学」の前身なのである。