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            百人一首で男女を仲よくする
                                                                TOSS湘南 鈴木隆夫

クラス作りをするのに一押しの教材である。
 男女混ざって対戦するので知らず知らずの内に男女が仲よくなる。子どもたちから「先生、今日も百人一首をやろうよ!」とせがまれる。廊下で自然に口ずさんだり、家でも覚えてくる子も出てくる。そして親にも感謝される。古来からの伝統に支えられた文化の香りのする一石二鳥の教材である。
 読み札が1セットと取り札が2人に1セットあれば明日からでもすぐにできる。とにかくやってみていただきたい。

1.すぐれた伝統文化
 百人一首は日本のすぐれた伝統的文化である。
しかし教室で実践するとなると、欠点もある。それは、
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│・100枚覚えるのが大変である。 │
│・試合時間がかかり過ぎる(30分くらい)。│
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 そこで、百人一首を5つの色(青・緑・黄・ピンク・オレンジ)に分けたものが五色百人一首である。

2.学級経営にもってこい
 五色百人一首のすぐれたところは次の点である。
┌──────────────┐
│・1試合5分程度でできる。 │
│・すきま時間に試合ができる。│
└──────────────┘
また、五色百人一首には次のようなよい点がある。
┌──────────────────┐
│・クラスがまとまる(男女仲よくなる)。│
│・学校に来る楽しみが増える。 │
│・知的になる。 │
│・ルールを守ることでけじめがつく。 │
│・親から感謝される。 │
│・教師の指示が通る場面ができる。 │
└──────────────────┘
と言うわけで、学級経営にもってこいのすぐれもの教材である。

3.継続は力なり
 1回やると子どもから「百人一首コール」が起こる。
「先生、またやろうよ!!」
しかし、忙しさに追われ「今日は時間がないからまたね。」と言っているうちに子どもの熱が冷めてしまう。
またいつかできるだろう、と思っているうちに月日が過ぎてしまう。
そこで、ちょっとした工夫をしたい。
┌─────────────────────┐
│ やる時間をある程度固定し継続しておこなう。│
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 例えば、5時間目の初めにやる、国語の時間にやる、朝の時間にやるなど。
大会を目標にすると、さらにやる気が出てくる。

4.ちょっとした工夫
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│ ランキングを設けるなどやる気を引き出す工夫をする。│
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4人グループの中で2回対戦し、2勝した子は上のグループに動き、2敗した子はしたのグループに下がる。私の場合は相撲の呼び方でランキングをしている。上位グループから横綱・大関・関脇・小結・前頭1枚目・2枚目・3枚目・4枚目・5枚目・6枚目(10グループある)と呼んでいる。
2回戦となると多少時間がかかる。時間がない場合は2人組で1回対戦し、勝った子が上がり負けた子が下がるようにしている。
このランキングもそのまま続けているとグループが固定してマンネリ化してくる。そこで革命と言って総入れ替えをたまにおこなう。月ごとに札の色を替えていったので、札の色を替えるときに、横綱だったグループは前頭6枚目に、前頭6枚目だったグループは横綱になって新しい対戦を始めるようにした。こうしても強い子はまたはい上がって横綱まで上がっていく。こうすることで、いろいろな子と対戦できるようになる。
┌────────────────────┐
│ 取り札は色ごとにタッパーに入れておく。│
└────────────────────┘
取り札は五色に分かれているので、それぞれを20枚ずつ輪ゴムでとめておく。そして色ごとに100円ショップで売っているようなタッパーに入れておく。こうすることで使う札をすぐに用意することができる。また、使わない札もきちんとしまって置くことができる。試合をする時に当番の子に用意させることもできる。
┌─────────────┐
│ 机の高さはそろえておく。│
└─────────────┘
4月当初の机は高さがばらばらである。これで試合をおこなうと、札を置かせる場所は工夫しても、机が低い子の札は取りにくくなってしまう。そこで、できるだけ机の高さを同じにしておくと対戦しやすい。

5.見逃してはいけないこと
子どもたちに人気のある百人一首も、ただ何となくやっているとほころびが見えてくる。学級経営にも悪影響が出てくるようになる。
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│ 握手をしていない子を見逃さない。│
└────────────────┘
 たとえば、握手をきちんとしない場合である。嫌われている子がいると、その子との対戦の時には握手をしない子が出てくるのである。これを見逃してはならない。逆に言えば指導の絶好のチャンスである。「握手しなかった子がいます。その子には前に出てきてみんなの前で握手してもらいます。」と、これくらいのことは言う。こう言っても握手しなかったらそれを見逃さず、実際に前に出てこさせてきちんと握手させる。とにかくルールはきちんと全員に守らせる必要がある。それを見逃してはならない。
┌──────────────┐
│ ずるをする子を見逃さない。│
└──────────────┘
対戦していて、あきらかに自分取るのが遅いにもかかわらず、ジャンケンに持ち込もうとする子が出てくる。声が大きい子だったり、力の強い子だったりする。これを放置しておくと弱肉強食の世界となってします。これも見逃さずに見つけ、そのグループの側に行き、正しいジャッジをしてあげる。「ずるをしてはいけません。先に札に手を触れた子が勝ちです。」とルールを守らせるようにする。
┌────────────────────────────┐
│ 教師は子どもたちの試合の様子を見ていなければならない。│
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ということで、教師はできるだけ読み札を覚えておいてほうがよい。そして、いつも黒板の前にいるのではなく、歩きながらきちんと試合を管理する必要がある。

6.五色百人一首大会
 親子を巻き込んで百人一首大会を開くこともできる。
子どもが親を負かしてしまう場面も見られ、親も真剣となりほほえましい。
全国的には五色百人一首大会が都道府県ごとに開かれている。
神奈川県でも昨年「第4回目五色百人一首神奈川県大会」がおこなわれた。
 今年度も開催される予定である。
大会は気持ちのよい緊張感に包まれ、子どもたちにとってはまたとない経験の場となる。

7.購入方法
詳しいやり方については札を買うとついてくる「指導の手引き」に書いてある。
札はTOSSインターネットランド(http://www.tos-land.net/)の「TOSSオリジナル教材」から申し込める。
電話での申込みは下記へ。
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│ 東京教育技術研究所 電話 03−3787−6564 │
└──────────────────────────┘

<TOSSインターネットランド>
 NO.1600017 「TOSS五色百人一首協会公式HP」
NO.1600006 「五色百人一首ランキング検定」

<参考図書>
『五色百人一首で学級作り(低・中・高学年編)』  明治図書
『授業で使える「五色百人一首」小話集』 小宮孝之 明治図書



















※机の高さが不揃いだと札が ※机の高さが同じだと札が取
取りにくい。 取りやすい。ただし身長へ
の対応も必要。それは椅子
の高さで調整する。

















※100円ショップで購入したタッパーに
色ごとに入れておくと便利。