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JGC’96に行ってきた、の巻。

作成:1996-08-26
実施:1996-08-25
作成者:たまねぎ須永

「メッセへの旅路」
 6時50分頃、平塚発の東海道線普通各駅停車に乗り、幕張メッセへの電車の旅は始まった。しかし、予定では6時半には電車に乗っているはずだったのに、この時間はいったいどういうことなのだろうか? 先行きに不安を感じる須永であった。
 休日の朝ということで、乗客も少なく、安心して東京駅まで悠々と座り続けることができた。大船駅までの風景を見て、予備校に通っていた時期のことを思い出してみたりしながら、なにごともなく東京駅にたどりつく。しかし、完治しきっていない夏風邪のしつこくうるさい咳は、相変わらず私を苦しめるのであった。このような体で、GMを無事につとめることができるのであろうか? 私は不安に襲われる。
 今回の旅路は、後輩の中井君のアドヴァイスを聞き入れ、「ホリデーパス」というものを利用してみた。「平塚駅」「海浜幕張駅」間、1530円という区間でも往復、2000円ですますことができたのは、非常に嬉しい。このおかげで、食事をとることができたようなものだ。
 東京駅についたとき、既に私は空腹を感じ始めていた。普段よりも6時間近く早い起床時間は、私の食欲を大幅に減少させていたのだ。そういうわけで、家では茶碗一杯の飯を喰うのがやっとであったのだ。そういうわけで、720円の四季弁当を東京駅で購入する。しかし、それはいいのだが、京葉線に乗り換えなければいけないのだが、京葉線はひたすら遠い。東京駅を利用するのがはじめてな私としては、ただでさえ迷う可能性があるというのに、駅の中の表示を見ながら進んでいても、一向に見えてこない、京葉線のホームにただいらだちをつのらせるだけであった。このようなものを利用している千葉の関係者の方々はすごいんだなぁ。
 15分くらい(もっとかなぁ?)さまよったあと、ようやく地下へ、地下へと京葉線のホームへとたどりつく。地下鉄だとは、知らなかった。とりあえず、「マリンドリーム」と各駅停車がホームについていたので、怪しい名前のマリンドリームを避け(海浜幕張駅に止まらなかったら大変なのだ!)、各駅停車に乗り込む。無事座ることができたのはいいのだが、若者がたくさん乗っている。きっと、みんなJGC’96に行くんだなぁ、とか思い込んでいると、舞浜駅で降りていく。ここが噂の東京ディズニーランド(千葉なのに東京)の最寄り駅だったのか、とショックを受ける。とてもガラガラな電車になってしまった。途中の駅で、8分停車して、快速と、急行を先に行かせるというのでボーっとしていると、入ってくるのは「マリンドリーム」。この怪しいのは快速電車だったのか、と慌てて乗り換える。「海浜幕張駅には快速のほうがさきにたどりつきます」とか言うアナウンスが聞こえたんですもの。ちなみに、東京駅から二駅くらい経過すると、電車は地上を走っていた。いつ地上に出たんだろうか。

 海浜幕張駅には8時50分頃着いた。東京駅で30分くらい乗り換えに時間がかかったことになるのかなぁ。東京まで60分、海浜幕張駅まで30分という話だったからね。取敢えず、人波と案内板にしたがって、メッセへと向かう。そういえば、駅には「ジャパンゲームコンベンション」の紙切れを持った人が立っていたね。
 幕張メッセに前に着いたとき、時計を見ると、9時だった。近くにレストラン街とかがあるのか、金があればいい食事ができそうだ。金はこの時、4000円しかなかったが。後ろを見ると、でっかい人が子供と奥さんを連れて、歩いていた。あの特徴的な顔(別に、悪い意味ではありません)は確か、3月下旬に受けたゲームマスターセミナーで見たことがある。山北篤先生だ。ということは、あの奥さんは細江ひろみ先生だな。子連れというのもまだまだ少ない現象だが、日本でもああいう姿になっていかなきゃね。建物を見れば、「第二回ガンコンベンション」とか書いてある。「ガン」というのは、鉄砲のことかなぁ。ともかく、「JGC’96」と書かれている看板の近くで、「不二家ネクター」(私の好きな甘さのしつこい桃ジュース)を買って、エスカレーターを昇って、中に入る。入り口前にはうじゃうじゃ人がいる。スタッフシャツを着ている人に「一般GMはどこ並べばいいね?」と尋ねると、一般参加はみんな左の列ね、と長い列に巻き込まれた。GMミーティングの始まる10分くらい前で、GMは入れる時間だったような気がしたので、別のスタッフの人に葉書を見せて、尋ねると、別の列を案内してくれた。先程の列と比べると、ぜんぜん短かったので、信用して並ぶ。
 9時20分ころ、GMを中に入れ始めた。
 ところで、わたしは写真をいろいろとって、しっかりとした取材レポートにしたかったが、東京駅でみても、幕張で見ても、1030円を請求されるフィルム付きカミラは購入に踏み切ることはできなかった。そういうわけで、写真は今年もない。各雑誌で撮った写真をGMに送ってくれてもいいのになぁ。

「テーブル着席」
 中はたくさんのテーブルが並び、ガラガラしていた。当り前である、プレイヤーなどの一般参加者の方々はまだ入場していないのだから。今年も入り口に近いところを占めているのは、右は角川書店、左は富士見書房。去年の「夏のTRPG祭り」のときには右は角川書店、左はメディアワークスであった。ま、今年の各社別の卓配置状況は図を張りつけておくからよくわかるだろう。ところで、未だに昨年の「TRPG祭り」のレポートを書いていないので、今年の「JGC’96」との比較の中で少々触れていかせてもらうことにする。
 で、私は角川書店の『ハイパー・トンネルズ・アンド・トロールズ』(略称HTT)の2卓目のGMなので、角川書店のスペースに行くわけだ。タイムテーブルと会場案内図の入った「JGC’96 ゲームマスター諸注意」と「GM Tシャツ」を手渡される。その後、テーブルに行く、今年はホビー・データのパンフレットが置かれているだけだった。去年は角川の受付で、「GMの諸注意」「GMパス」、会場の受付で「会場ガイドブック」を貰い、テーブルには「スターダイス」「マスタースクリーン」、各社の広告を貰ったものだったのだが。そういうわけで、今年は「GMスクリーンが無い!」と叫ぶ去年参加したGMの方々の姿が見ることができた。また、今年は「GMパス」の代わりに「GM Tシャツ」でGMを判別することにしていた。去年の「GMパス」は名前とゲームの発行会社が書いてあったので自己紹介が楽だったのに。ちなみに、諸々の事情によりTシャツを着ることのできないGMは名札には使えない「GMパス」を発行してもらったようです。
 9時半からのGMミーティングに向かうため、テーブルを見て、イベントステージに移動をした。当然のように、時間通り始まるわけもなく、40分ころ始まった。それまでの間、周辺のGMと雑談をするのであった。みな、ホビージャパンの不参加、SW完全版の遅延について不可思議に思うのであった。前夜祭(JGC’96の前日、前々日に宿泊イベントがあったのだ一泊17000円くらい)では、大いに盛り上がり、デザイナーたちも羽目をはずしていたらしい。とはいえ、私も参加したかったが、2泊で3万円というサービスでは宿泊する気にはならない。食事別だしね。来年は就職にめどがたっていたならば、前夜祭に参加してもいいかもね。
 ミーティングも10分程度で終了して、更衣室に向かう。男性と女性は布一枚で区切られているだけで、危険を感じる。おたがいの声が聞こえてくるのだから騒がしい。着替え終り、少したつと、開場の時間になる。それに伴い、即売スペースも営業開始となる。一部の新刊はサイン会の整理券が貰えるというので、『SW Q&A』を購入するが、整理券は貰えない。その後、ぼーっと見ていると、即売スペースの中で偉いさんが、若いもんに「サインの整理券を配るんだよ」と説明を始める。その説明をしたあと、10分くらいたったあと『ルナル・サーガ パーフェクトガイド』というのを買うと整理券が貰えた。友野詳よりも、清松みゆき先生のサインが欲しかったんだけどね。
 プレイ開始は11時からというので、10時45分までにプレイ卓につくようにいわれたが、イベントブースを見ようにも、何も始まっていなかったようなので、ほとんどのGMは10時20分にはテーブルに戻っていた。私は腹が減っていたので、早速、カツサンドみたいなもの(250円)を買ってネクターを飲みながら食べていた。他のGMのテーブルはどんどんと、席が埋まっていくのを見ていると、プレイヤーが来ないテーブルのGMは不安をなんとなく感じはじめる。私も不安を感じはじめる。と、30分には6人全員が揃う。40分になっても来ないテーブルのGMと会話をすると(私がHTTのところで一番歩き回っていたGMなのだ!)、まだ二人しか来ない〜〜と不安そうな声を出す。そういうテーブルは補欠プレイヤーを募集して補充するから大丈夫なんだけどね。補欠プレイヤーの倍率は高いんです。
 200円で、今年は公式ガイドブックを買う。去年はGMスクリーンに印刷されていたGMリストがこれに印刷されている。今年はGMに配られたものが、昨年より安かった。500円もかからないTシャツ(販売価格はどうせ1000円とかいうのである)しか配られないんだから。
 11時までプレイヤーの皆さんと雑談をして過ごす。TRPG歴やら、HTTの経験やら、今回の希望ゲームの第一志望とかを聞くことは大事なのだ。買い物に行ってはいけないと思っているプレイヤーの皆さんに買い物に行くことを勧め、私はガイドブックを見るのだった。今年は一般から募集したGMによってのみ構成されているとあるが、全211卓中、15人くらいはプロがGMやっている。特殊なゲームだから仕方ないけどね。
 せっかくなので、各社のゲームと、テーブル数を列記していこう。ともに戦ってくれたHTTのGMの方々の名前も列記しちゃえ。これもガイドブックの記事の転載というのかな? いわないね、これは引用というのだ。

『角川書店』
ガープス・ルナル18卓、ガープス・妖魔夜行7卓、ガープス・リング★ドリーム2卓、ロードス島RPG8卓、ハイパーT&T7卓、新双月英雄伝ダブルムーン3卓、超女王様伝説RPG2卓、新世紀エヴァンゲリオンRPG(NERV白書)1卓、ラムネスRPG(デモ卓)1卓、スターダイス(月刊あすか、とかいう雑誌で何やらやっている作品、冒険企画局だろう)(デモ卓だろう)2卓
『ゲーム・フィールド』
トーキョーN◎VA 2nd Edition1卓、ブルーフォレスト物語4卓、アコースティック・リーフ1卓、サイバーパンク2.0.2.0.1卓、どうもここの会社の卓は一般GMはいないような気がするぞ。
『富士見書房』
ソード・ワールドRPG29卓、バトルテック3卓、シャドウラン6卓、MAGIUSスレイヤーズRPG5卓、MAGIUS天地無用!RPG2卓、MAGIUSエヴェンゲリオン2卓、MAGIUS町内防衛隊(デモ卓)1卓、パラダイス・フリートRPG(デモ卓)1卓、デュダRPG(ソード・ワールドRPGバリアント)1卓、モンスターメーカーRPG1卓
『不動舘』
阿修羅fantasy 1卓、PHYCHO MASTERS 2065.1卓
ホビー・データ
アラベスク 運命の風5卓、クレギオン4卓、クライシスポイント1卓
メディアワークス
D&D(R) 16卓、クリスタニアRPG8卓、央華封神8卓、 フォーチュン・クエストRPG4卓、聖獣魔伝ビースト&ブレイド4卓、この会社もプロが混ざっている
『遊演体』
ビヨンド・ローズ・トゥ・ロード3卓、ファー・ローズ・トゥ・ロード10卓、蓬莱学園の冒険!!(新版)1卓、蓬莱学園の冒険!!(旧版)8卓、ネットゲーム各社はどうも、ネットマスターが混ざっているのかなぁ。

「キャラ作成」
 しかして、11時。プレイ開始となる。プレイヤーの皆さんは社会思想社版のころよりの人はいないので、私が一番のベテランとなる。他のテーブルには小学生とかもいるんだが、わしのところには小学生はいない。マニキュアをつけた女性はいたが。いや、別にマニキュアがどうというわけではないのですが、それをするくらいの年齢ということです。一番やっている人でも50回は越えていないということですが、TRPG初心者は二人だけということで一安心。去年はマニアだらけだったなぁ、今思えば。SWを一回やっただけという女性が二人、それよりは多いというがHTTは初めてという茅ケ崎の男性が一人、いつもGMばかりでプレイヤーは初めてという方が一名(数年前のわしみたい)、徹夜明けでハイになっている前夜祭参加者はHTTはやりこんでいるそうで一安心。あとの一人もやりこんでいるようだ。
 とりあえず、種族とクラスの説明の書いてあるキャラクター作成用紙を配布し、他のテーブルの観察に行く。プレイヤーにはもくもくとサイコロを振らせたまま、他のテーブルに行くにはわけがある。他のGMにキャラメイクをするか聞きまくりたかったのだ。結局、HTTは簡単なシステムなので、私を含めた7卓すべてがキャラメイクをすることにしていた。ちなみに、アフターミーティングで聞いた話だと、ルナルでも数卓、キャラメイクを認めたそうだ。プレイヤーが作りたいというのはわかるが、よく認められるものだなぁ。
 テーブルに戻ると、ハイな人(プレイヤーの名前は覚えていないぞ、いつものことだが。印象深いプレイをした女性の名前はなんとなく覚えているが)がメイキングの説明をしてくれていた。おかげでかなり楽ができた。やっぱり、ベテランプレイヤーはGMをサポートしなくちゃね。
 今回のイベントは、前予約をした人は、あらかじめ振替用紙が送られてきて、2000円を払わされている。その代わりに、プレイするテーブルが予約されている。補欠プレイヤーは、当日参加の人から募集されるが、どのシステムをプレイできるかはまったくわからない。もちろん、補欠プレイヤーも結局2000円払うことになる。GMは金をとられない。さらに、プレイヤーが2000円払っていることを知らないGMもいる。これは、GMが各雑誌などの広告を見て、2000円の参加費がいるんだなぁってことを知ろうとしたかどうかにかかっている。各出版社が各GMに個別に伝えたわけではないが、各雑誌で研究をしているGMとしては知っているべきことだと、出版社は考えているのだろう。GMは金を払っていないだけに、金を払っているプレイヤーのみなさんを楽しませることができるか不安を持つ。2000円の価値があっただろうか? 会場費、GM・プレイヤー・見学者などへのサービス(おみやげとか)などで2000円を分けていくと、2000円に満たりはしないだろう。
 で、話は戻る。
 私は、クラスごとのキャラクター・用紙を準備している。このHTTというシステムは、クラスごとにかなりの数値を記入しなければならなくなっているので、このようにしている。各クラスごとに5枚ずつ持っていったので、計50枚のキャラクター用紙を持っていったことになる。能力値を記入するための「キャラクター作成用紙」を使用するのは、能力値を決めてからクラスを決定するためなのだ。ハイな人がいきなり「戦士」になる。茅ケ崎の人はホビットの武闘家をやりたかったようだが、あきらめて人間の「武闘家」をやる。「僧侶」がうまり、「盗賊」をGMばっかりやっている人がとる。TRPG初級者の女性陣は「戦士」と「魔術師」となる。僧侶のほうは、宗教を悩んでいたが、結局、復活魔法を一レベルから持つ「調和教」の僧侶となる。後から考えると、なんで私は調和教を勧めたのだろうか。
 クラスが決定すると、買い物である。通常の230%の所持金を渡した私は、この買い物に不安を持っている。以前、地元のコンベションでHTTをやったときに、TRPG初めてという人にHTTの武器表を見せて、1時間以上硬直させたことがあるのだ。しかし、心配は杞憂に終わった。リプレイや雑誌を読んで、応募してくる出版社主催のコンベション参加者だけあって、一般のコンベンションの参加者よりも知識は豊富だ。背景世界などの知識で勝負したら負けるかもしれないくらいだ。そういうわけで、12時17分にはキャラクターは作成し終わる。昨年冬に購入したHTTのチャート本の関係者がいたが、みんなで初版のルールブックを参照して作ったから誤植が多いということを語ったもんだ。けど、みなが誤植多いと知っているからチャートは便利だ。盲信しないからね。しかし、今回も『ウォーロック』からコピーしたHTTスクリーンを使用していたのは私だけだった。よくT&Tスクリーンを使う気になるもんだ。あれは、宝物決定表が載っている以外、いいところがないではないか。ま、武器データは変更はほぼないけどね。
 早速、シナリオを始める。とりあえず、キャラクター間の自己紹介からだ。でも、マスターたる私が名乗るのを見て、プレイヤーたちも自分の名前を言い始める。GMにはキャラクター名がないから、「須永」って名乗っているのに、どうもみんなプレイヤーの紹介をしちゃうね。次回からは「たまねぎ須永」と名乗ろうか?(やや本気)

    チェリー セレス ファルンオン
  −−−−−−−−−−−−−−−−−−
GM|                |
  −−−−−−−−−−−−−−−−−−
    リクト  ティアス ジャック
 という配置である。チェリー(人間、女、戦士)、セレス(人間、女、魔術師)、ファルンオン(人間、男、武闘家)、リクト(人間、男、戦士)、ティアス(エルフ、男、調和教僧侶)、ジャック(人間、男、盗賊)という内訳である。
 ところで、ジャックに魔法をいるか、たずねるといらないと答えるんだよねぇ。理由はきかなかったが、体力度11もあるんだし、たぶん、キャライメージを優先したのかなぁ。あとリクトが声が大きかったので、席替えをしようかなぁとも思ったんだけどね、風邪ぎみの体がめんどくさいからいいやっていったのよね。相変わらず、手抜きなマスタリングだわさ。ジャックが魔法を習わなかったので、セレスは魔術師として大活躍だった。人の活躍場面を奪わないために、魔法を習わないとはジャック君、立派。
 冒険者たちは、初めての仕事をすでに引き受けていて、金も貰ってあるということで話は始まった。バイゼルからタルカスへの隊商の護衛である。タルカスまで後1日というところまでは、何事もなく、無事に進んでこられた。しかし、そこで象をアンカス(調教に使われる武器)で操る盗賊団、“鋼の体”団がピクピク筋肉を誇示しながら襲ってきた。2ターン戦い、そして「なかなかやるな! また会おう!」と言って、盗賊団は去っていった。それが12時50分。そこで、食事時間に入る。戦闘は膠着状態に入っていたのだが、食事の大切さを考慮したGMが1時半まで食事時間にしたのである。

「お食事タイム」
 プレイヤーには食事時間とした私は「ルナル・サーガ パーフェクトコレクション」と整理券を持って、友野詳と西村博之のサイン会に並びにいったのである。我ながらなんてひどいGMと思ったもんだが、私以外にもサイン会に並んでいるGMは3名いた。そんな話を近くの並んでいる人と話していると、キャラクターは実家に帰ったことにして並んでいるというプレイヤーが近くにいた。GMアフターミーティングのときには、プレイヤーが断わってからだが、サイン会に行っちゃったという話をきいた。
 整理券は60枚程度配布されていて、持っていない人は断わられていた(もちろんスタッフにだ)。友野・西村両先生とも忙しかったらしく、1時開始予定のサイン会は1時8分頃のスタートとなった。20分頃、私の番を迎え、目前でサインを書いてもらう(サイン会で。サイン会以外なら目前で書いてもらったことはある)ことは初めてだったので、なかなか緊張するし、マナーもわからん。何十人にサインすることは決して楽ではないだろうと思い、「お願いします」と声をかけ、本を差し出す。友野先生は「お願いされましょう」と陽気そうな声で答えてくれ、めにょめにょという感じで書いてくれた。しかし、後ろでコンベンションをやっているせいか、やたら静かな感じのサイン会であった。「ありがとうございました」と友野氏に声をかけ、「おねがいします」と西村先生に声を出す。どうも、サイン会が好きでないのか、西村先生の顔は晴れていなかった。私も何十人の目前で同じ作業を繰り返す仕事なんぞはどうも嫌だ。「ありがとうございます」の声をかけながら、時計を見ると、12時25分。食事時間がない。
 隣りでは安田均先生が、15分頃に送れてきて、「安田均のFantasy file」とかいう本にサインを入れておられた。
 途中で自動販売機により、110円のカルピスウォーターを買う。それからテーブルに戻ると、30分だった。「RAGE」とかいうトレーディングカードゲームが置かれてある。全卓に、だ。わしがサイン会に行っている間に、配布されたそうだ。日本語解説書もついているので、そのうちやってみるとしよう。
 とりあえず、シナリオを再開する。盗賊団は逃げていったので、すんなりとタルカスには到着する。で、依頼を達成したので経験点を3000点配る。2レベル上昇するので、レベルアップでわいわいとなる。そういうわけで、レベルアップの質問に答えながら、食事する余裕を作る。「すぐレベルアップするならヌンチャク買ったのに〜〜」とか苦情も来たが、無視である。リクトと私が食事し終わるとだいたいレベルアップの作業は終わっていた。これでようやくほんもののシナリオに入れる。時は1時45分だった。3時間で終わるかな? とか早めに終わって時間が余ったりしないようなぁとか不安を感じる。とりあえず、近頃、シナリオを早めに終わらせるのが得意になってきたのでそんなに不安ではない。

「避けた礎(準備していったシナリオの名)」
 そういうような状態で、GMの仕事に専念しだしたわけなので、どうしてもJGC’96の全体の雰囲気をつかむのは不可能となる。なので、自分のテーブルの状況を伝えるので精一杯となることをあらかじめ断っておく。
 とりあえず、護衛の仕事で得た報酬を使い果たした冒険者たちは酒場のおやじに仕事を尋ねる。ゴブリン退治、ドラゴン退治、冥界探し、バルログ退治などの中から冒険者たちはゴブリン退治を選ぶ。一群れ退治ということでなんとなく不安を感じながらも、しぶしぶ依頼人の待つ村へと向かう。
 途中の道中宿に泊まる金もないとか言い出すのだからたまらない。ワンダリング・モンスターでハーピーと遭遇してみたりしながら、どうにか村へとたどり着く。が、村では外で働いている人を見かけない。酒場に行っても、酒場のマスターがいるだけ。マスターが村長を呼びに行くのを見て、なんとなく村の雰囲気を怪しく感じとってくれたようでGMは安心するのでした。
 村長は全てのゴブリンの抹殺を依頼。抹殺を強調したところで、冒険者たちはこの仕事に裏があるのではないかと、疑念を抱くが、一人につき金貨700枚の魅力には逆らえず、ゴブリンが住み着いたという村の近くの洞窟へと向かう。その途中でも、村長と村長の娘(17歳の美少女)、酒場のマスター以外の村人は見かけない。
 洞窟につき、とりあえず入り口にいた見張りのゴブリンを肉塊に変え、中に入る。GMは赤色のペンを取り出し、マップ内に死体を書き込む。さらに一行は中に入り、逃げ出したゴブリンを果敢に駆り立て、2体をさらに冥界送りする。その後に見かけたのは、人間のような衣装を着け、毛布やマントで眠っているゴブリンたちであった。その人間臭さに殺すことを恐れた一行は、とりあえず縛り上げるにとどめる。次に行ったところは食堂風で、縛り上げるしかできず、となりのトイレは魔法で鍵をかけて行動不能に追い込む。その後、さまよった冒険者らはゴブリンの長老に出会う。長老はエルフ語で話し掛けてくるが、冒険者たちがこの依頼の裏を知ることができるぞ、というところで近くの若者ゴブリンに長老は殺される。若者を押えつけ、ティアスが〈調和復活〉という魔法で長老を生き返す。GMの口封じが、あっという間にくつがえされて、シナリオの真相が長老の口から漏れていく。あぁぁ、とほほ。
 酒場のマスターの呪いの魔法により、ゴブリンの姿に変えられた村人たち、村人の姿に変えられたゴブリンたち、そういうわけで、ゴブリンに依頼されて村人を殺そうとしていたことに気づいた冒険者たちであった。あわてて村に帰った冒険者たちは村長ゴブリンたちに騙しうちをうけそうになるが撃退し、村中を利用したゲリラ戦に突入する。39人の村人ゴブリン対6人の冒険者たち。ここらへんの真相を掴んだときが15時30分ころ。真相を掴むまで、眠るゴブリンとかの無抵抗な存在を殺すか縛るかの議論が繰り広げられた。
 まずは、村長をおびき出し、部位狙いで頭を激しく攻撃して気絶させて1部隊を壊滅させる。ジャックくんを餌にした作戦は続き、村長の娘もおびき出されるが、村長の娘はジャックを見失い、洞窟へ向かい、ゴブリン退治を決意する。酒場のマスターは酒場で冒険者を待ち受け、オーガーを召還して逃げ出す。が、裏口で待っていたファルンオンに叩きつぶされる。「〈調和復活〉もあることだし、殺しても大丈夫!」「いや、そのヒットだと死体は復活不可能までぐちゃぐちゃだね」ファルンオンは〈目に鱗〉をかけられ、盲目になる。
 その後、村長の娘と交渉して、呪いのときかたを聞きだし、娘を見逃す。

 ということでシナリオは終わった。こうやって書くと、非常にあっけないけどね、なかなか大変だったんだからね。前夜祭で疲れたのか、マスタリングがひどかったのか、出番の合間に寝てしまうリクト、とかいろいろあったもんです。2000円の価値はなかっただろうが、1200円の価値はあったと思うぞ、今回のシナリオは。なにしろ、我輩のシナリオを作っていったセッションに参加できることは滅多にないことなんだし。私はコンベンションに行くと、緊張のあまりどうしても無駄話に入ってしまうんですよね〜〜、なかなかこの癖だけはなおらなくて。
 今回のシナリオは、あんまりお祭り向きではない暗い話になってしまったかなぁとかテストプレイ段階から思いました。この記事を読んだあなたはどうお思いになられましたでしょうか。なお、今回のシナリオは今年冬のコミックマーケットのほうで発表するつもりなのでよろしかったら御参照ください。9月23日の平塚のコンベンションでも使用する予定だけどね。

「アフター・ミーティング」
 シナリオは4時半に終わった。全200卓中でも早いほうだが、アンケート記入とか帰りの準備を考えれば、GMにとってもプレイヤーにとっても楽できるのでいいことである。GMとしては、自由参加のアフター・ミーティングを6時から控えているので15分間プレイヤーのみなさんと、今日のことを談笑する、などで時間をつぶすことになる。プレイヤーのみなさんは5時で退場となる。店はもうちょっとやっていたので、昨年隣りでともにHTTのテーブルをマスタリングした平井氏とともに即売スペースをまわってみる。書泉ブックマートではたくさんの社会思想社現代教養文庫を並べていた。「王子の対決」なんて見たの数年ぶりだわさ。感激の中、現代教養文庫版の「HTTルールブック」を購入する。近頃、なかなか店頭にないので(イエローサブマリンでもなかなか見かけなくなった)、そろそろ予備が欲しく思っていたので財布に1000円しか残らないが、観念して買う。その前に、ジュースを買おうと思えば、自動販売機がお札を引き受けてくれず、即売スペースで購入をはかる。150円とか言われて、ショックを受けていれば、閉店寸前なので100円で売ってくれた。あれ、いかん、「このことは内緒ね」と言われていたのにこんなところで書いてしまった。
 みんな、このことは内緒だよ。
 で、書泉でHTTを買って、冒険企画局のスペースを見れば、「ウィッチクエスト」のFD版が1200円、宙出版のリプレイ・シリーズ全巻セットで13万円とかいう話だった。今思えば、あの新書サイズは当時の私にはちょっと高くて手が出しにくかったのよね〜〜。今じゃ、とっても高くて絶対手が出せなくなってしまった。う〜む。隣りではフィギィア掴み売りをしているようだし、AD&D(R)もすごく安売しているし。あぁ、来年は金を持ってこよう。コミケでも買いたくなるような新刊が出なくなってきたことだし。
 で、5時10分頃、イベントスペースの前のほうに陣取る。ここでアフター・ミーティングは行なわれるのだ。とりあえず、まだ時間もあるし、人も集まっていないので、平井氏にデッキを持っているかを尋ね、デュエルに入る。我輩自慢の須永デッキである。通算勝率は7%くらいか? その勝率を裏切らず2タテされる。一戦目は青マナがこなくて、手札の調整がうまくいかずセラエンに削られ、それに対抗するためバンパイアを2体導入するのだがライフは5点。そこにマナショートを出されて、うきゅ〜〜。二戦目は青マナはきたのだが、なぜか黒マナがこずに相手は数でどんどん削ってくる。どうにかだましだましでSoul Exchangeでバイパイアを出す。多勢に無勢で敗れる。順調に須永デッキ負けを伸ばす。どうも重すぎる、ナイトメアをはずそう。
 デュエルで注目を浴び始めたので、2敗でやめる。その後、今日の各自のセッションの話になりルナルの話やらをきく。プレイヤーが作りたがるのでキャラメイクをさせた話、持込みを認めた話、サイン会に行ってしまうプレイヤーのこと(人のことをこれは言えね〜な、こりゃ)とかがルナルの印象深い点だった。みんな角川の人は葉書と電話しかきていないことも不思議がった。正式な依頼書があってもいいと思うんだけどね。そのうち、HTTの話になり、角川版と社会思想社版の違いを若い人々(18歳以上のイベントでわしは21歳か、う〜んこの手のイベントじゃ中堅どころになりつつあるね〜)に平井氏とともに語る。平井氏はわしよりもどうも1つくらい下らしい、再来年就職のようだからね。社会思想社版は爵位やら地下迷宮やら星の命名権やらを購入できたり、大規模戦闘ルール、怪しい宗教などが載っているという魅力的な点を紹介した。
 そのうち、富士見書房の大内氏が出てきて、ミーティングが始まる。みんなのおかげじゃぁと大内氏が言ったあと、アスキーの宮野氏が出てくる。「朝のスタッフ全体ミーティングでは目指せ! 5000人と言ったんですけど、3000人は入ったようで、今回は成功です」とか言ったようだ。前予約卓で211卓、各卓GM入れて7人とすればそれだけで1477人となる。自由開放卓や、セミナーとかを合わせてもやっぱりそんなもんか。デザイナー集団を増やさないと(SNE偏重はやめようよ、メーカーさん)これ以上、出版ペースも上昇できないし(逆に落ちる一方)、こういうイベントに新刊を合わせられないのはメーカーとしても情けないと思うぞ。そうしてデザイナーにイベントに出る余裕を増やして、広いTRPG層を作っていかなければならないでしょう。そうでもしないと、参加者は増えないね。
 今回、これに参加して再び考えたことだが、雑誌を買っているTRPGユーザーと買っていないユーザーの違いだ。こういうイベントに参加するのは、雑誌を買っているような人物が中心となる。そういうことを考えると草の根イベントやコミケでのTRPG本の著者層との違いが感じ取れるような気がしてくる。このことは、「見たりきいたりDX2」のコミケレポートとして書いていくつもりなので、ここでは語らないが、雑誌買う人も買わない人もともに楽しめるようにしていきたいというTRPG界の前途を考慮していきたいということだ。実際、私も買う価値ないなぁとか文句言いながら関連雑誌を購入している。サプリメントが出ない、リプレイしか出ないという未来が嫌なので仕方なく買っている現状である。
 話を戻そう。宮野氏のあと、大御所が呼び出される。安田均氏が捕まらずに、まずは鈴木銀一郎氏が呼び出される。ここらへんは去年と同じではないか? 「GMというのは立派なエンターティナーです。私の尊敬する人々です」とか言ったような気がする。周りの反応を見ると昨年と同じようなことを言ったらしい、わしは今年も聞き流していたのでよくわからん。みんなで「来年も会おう!」とか叫んで終わった。その後、安田均氏、「ようやっく第一回JGCも開催できて日本でもここまできたかという感慨で胸が一杯です」とか言ったわけだ。昨年とたいして変わったことをいったわけではなく、両者ともねぎらいの言葉をかけただけにすぎない。私としては、マスタリングに直に結び付くような利益を昨年も期待したのだが。
 そういや、「ライブおこんないでね」とかを昼やったのは見たかったなぁという意見をそこらじゅうからきいた。まぁ、メーカーも大事だが草の根も大事というこった。(今頃気づく私)

「帰途」
 6時半頃の各駅停車にて、海浜幕張駅を出る。今年は埼玉県北葛飾郡に住む平井氏と東京駅まで語っていく。漫研に加入しているらしく、「風の中の少女ジェニーRPG」をデザインしたことを伝えると突っ伏してくれた。そんなこんなでいろいろ話しているうちに東京駅につく。冬コミで会おうとか言いながらおたがいに去る。

 で、東海道線のホームを探すのに一苦労。トイレに行ったのが間違いだったのかも。どうにか、7時35分頃の各駅停車に乗る。さすが、始発だけあって座ることができ、幸い幸い。GMとして働いてきた(趣味だけど)のだから、酔っ払いに席を譲る所以はないと、「SW Q&A」を座って読み続ける。
 読み終わらないうちに、平塚駅につく。しかし、茅ケ崎過ぎると、ガラガラだね。とりあえず、帰宅後、オレンジ色のGM Tシャツは白いズボンをはいたわしには似合わないと家族から馬鹿にされる。う〜ん。

 で、飯を食って、寝る。起きると、午前12時。日にちは26日、しかたなく2時ころまで本を読みつつ、眠気を育み、寝る。すると、午後▲時、眠いのでまた寝る。すると、午後6時。夕食を食べ、この原稿を書き始める。これだけの分量だけあって、1日かかったのは、やっぱり眠りすぎということだろう。


 ところで、ホビージャパンが参加しなかった謎は誰もわからない。質問すべきだったのか? ところで、有名著者GMは今回はほぼ0だったことは、参加者にとって残念なことだったのでしょうか?

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[管理人:たまねぎ須永へ連絡]