ザンジバル・波紋で特攻
矢部さんとよくあちこちを食べ歩いていた時、ふとしたきっかけで私が住んでいた
家の近くのレストランに入ることになった。
そのお店の名は“ザンジバル”。後にこの名は、TFT創始者を始め多くの人たちを
恐怖と笑いのどん底に突き落とす合い言葉となった。
店員「いらっしゃいませ」
お店に入ると、店内はなんとなく“作り物”っぽい印象を受けた。
ダイエーとかイトーヨーカドーの一階に、おばさんとガキンチョがたむろする
チープなお店ってあるでしょ?
あれですよあれ。
とはいえ店内は明るく、クレープ屋さんもくっついているので、女子高校生かなんかに
溜まり場を提供しそうな感じの良いお店では、あった。
さてこのお店は基本的にセルフ・サービスっぽいので、カウンターでメニューを注文する。
矢「おにーさん、なに食べる?」
み「そっすねぇ、最近イタ飯に凝ってるから、ミネストローネ・パスタセットかな。」
矢「じゃあアチキは、“店長お勧め・ザンジバルセット”にしましょう!!」
矢部さんと私はメニューを決め、これください、とカウンターに頼んだ。
店員「ええと・・・。」
み「矢部さん矢部さん、店員の女の子、なんか良く分かってないみたいですけど・・・。」
矢「新人さんなんじゃない?どう見ても高校一年生、って感じだよ?」
彼女に聞こえないように小声で話し合う二人。でもそれどころじゃない店員の
女の子は、猛獣に餌をやるような雰囲気でレジに挑んでいたが、やがて、
店員「お待たせしましたぁ、ザンジバルセット、○○円です。」
お金を払う矢部さん。
店員「・・・あれぇ・・・。」
この時、なにかすごく嫌な予感が私たちをふわっと包んだ。
店員「・・・ちょっと、お待ちください。」
初手からもう頼りなげな店員さんは、そう言い残して店の奥に消えた。
み「矢部さぁん!いなくなっちゃいましたよ。だいじょぶなんスか?」
矢「き、きっとまだ、なれてないんだよ・・・。」
しばらくして戻ってきた店員さんは、
店員「すみません、ザンジバルセット、今日お終いなんです・・・。」
まずもって、“店長お勧め”が切れる店。
この時、矢部さんの肩が“必殺・縦ツッコミ”を入れたそうにぴくぴくぅっと
動くのを、私は見逃さなかった。
矢「じ、じゃあこっちのランチセットで良いです・・・。」
でもきちんと堪えるあたり、さすが「店員が幸せそうに犬を抱き上げる店で
チャーハンを食った男」の威厳が垣間見える。
店員「セットのお飲み物は、なにになさいますか?」
これは私への質問だった。矢部さんのセットにはスープがついていたからだ。
み「じゃあ、コ・・・」
日ごろ20杯30杯とコーヒーをがぶ飲みする私は、無論コーヒーと答えたかった。
んが。
たまたまカウンターの奥からコーヒーサーバが覗いていたのだ。そこには
どう見ても昼から煮詰めた豆の煮汁
が置かれていた。
み「あ、あの、コーラ・・・。」
恐れをなした私はその「母なるナイルの水」はやめて、既製品に逃げた。
注文を終えて席につくと、先に座っていた矢部さんは当然ケゲンそうに尋ねる。
矢「どうしたの?おにーさんがコーヒーを飲まないなんて・・・?」
み「いや、それがね、矢部さん、あの」
ちぃん。
矢「・・・何、今の音・・・」
み「あのサウンドは、ごくり、ミュージシャンみっちーが思うに、あの、」
店員「おまちどう様でした、こちらは」
レンジでチンするチンチンポテト登場
み「矢部さぁん!、サラダにシャイなアン畜生が付いてますよぉ!?」
矢「落ち着いておにーさん!」
み「どうでも良いけど何でサラダにハンバーグがもう付いてるんですか!?」
矢「しかたないよ、チキンハンバーグだもん。」
なにがどう仕方ないのかさっぱり分からないが、もう二人は動揺しきっていた。
み「一体どうなってんでしょうねこの店・・・」
思わず調理場の方を覗き込む二人の視界には、
くわえタバコでパスタをジュージュー
スモーキーダンディー店長見参
二人「おいおい!」
店員「おまちどう様でした、コーラでぇす。」
一口で違いがイヤって程わかる
少なくともコーラ以外の“もの”参上
み「あははははははははははははは何だかみっちーは楽しくなってきましたよ。
こいつぁメッコー○なんか目ぢゃないぜ。」
矢「しっかりしろみっちー!、なんだかんだ言ってパスタはけっこういけるがふっ」
矢部パスタに潜む黒い影
アサリのカラによる会心の一撃
矢「がふがふっ!くそうう、入ってるなら入ってるって言ってくれよぉ・・・。」
み「確かに見た目だけじゃわかんないですね。だってこれ、
ナポリタンじゃないスか。」
そんなこんなで、いつかまた必ずここに来ようと誓い合う二人(笑)。
そしてそれはすぐ実現した。この話を聞いて、普段は物静かだが実は命知らずの
VTECさんが V「俺も行くぜぇぇぇ!」と名乗りをあげたのだ。
ただ行ってもつまらないので(十分面白いという説もある)、みっちーは
今度こそ母なるナイルの水に挑戦し、矢部さんは屈辱のザンジバルセットを
食すという野望を練り上げてゆくことにした(構想5秒)。
さて当日、ドアをくぐった3人を待ち構えていたのは、
矢「えっ、ザンジバルセットがまた終わり!?(実話)」
み「あああっ!よく見るとまた店員が新人だぁ!!」
矢「店長、甲斐性無さ過ぎ・・・は、いいからタバコやめろって!」
み「今度は俺の番だ、行くぜ!!
がふふふふぅううっ!!」
V「ど、どうしたみっちー!? お前でも飲めないコーヒーなんてあんのか!?」
矢「おにーさん、わざと吹いてない?」
み「・・・うううまずい・・・お約束なので“もう一杯”・・・ぱたっ」
V「ゲッ、みっちーが死んだぞ!
母なるナイルに召されたか??」
矢「しょうがない、VTECさん、こうなったら私らだけで、」
ちぃん
矢・V「出たぁーあのサウンドはぁぁぁあああ・・・!!」
期待以上のものが、私たちを出迎えてくれた。
とかなんとか言いつつ、必ずやもう一回来ようと手を取り合って硬く誓う3人(懲りろよ)。
ああ、あのお店は今ごろどうしているだろう?
こんなに遠く離れても、やっぱり店員が新人で、店長が(略)なんて想像できるなんて
ほかに絶対無いお店だよなぁ。
というわけで。
もし、ぜひこのお店に行ってみたいという方は、メールを下さい。地図を送りつつ、
私も、矢部さんも、きっとこう言うでしょう。
後悔させませんぜ旦那。
私ら、してないですよねぇ、矢部さん(^^;)?