冬来たりなば

昔、越前岬に行きましたら、スイセンが群落を作って、崖の上に咲いてました。やはり、その時もずいぶん寒い日で、日本海からの寒風が吹きすさんでいましたが、平気な顔して、春風にそよいでいるかのように、揺れていました。可憐な顔して、なかなかタフだ。

この時期になって、スイセンの花が咲いているのをみると、荒れた日本海の風景を思い出します。この時期に咲く花は、冷たい空気の中で凛と胸を張っている風情がある。そういえば、もう、ウメの花も咲いてますね。

冬来たりなば、春遠からじ。とはいうものの、まだまだ寒い。NHKのアナウンサーは、ヒガンザクラかなんかの情報を探してきちゃあ、「もう、春だ、春だ」と騒ぎますが、なんの、本当の春はもう少し先です。

まだ、丸々2カ月は寒いよなあ。巷ではインフルエンザが猛威をふるい、そして始まる花粉症。なんだか、生きていくのも大変だあ、みたいな気になってきますね。

そんな時に思い出したいのが、スイセンやウメの風情。もっと目を凝らせば、ムラサキケマンなんていう、地味なやつだって、ちゃんと咲き始めている。励まされますねえ。

もっとも、本当は、いまが彼ら彼女らの季節なんであって、決して人間みたいに、辛い寒さに耐えているわけじゃない。いまのこの寒風の中でこそ、「あー、爽やかで、気持ちいいなあ」と思っているんでしょうけどねえ。

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