創刊号(1)

ヒョウタンツギ通信
2002.5.1

▲学会で発表されたスライド

先月、第52回国際菌糸類研究発表会の席で、ハンパーダ大学名誉教授、イー・スー・チー博士が発表した「気象学的な実証実験によって引き起こされる菌糸類の突然変異」で紹介されたスライド写真が、学会内で多くの関係者に衝撃を与えている。
以前から、「ヒョウタンツギのキノコ説(菌糸類説)」については、関係者の間で諸説が交わされていたが、このスライドの公開により、これが裏付けられる可能性が高まったことになる。また、病理学研究の第一人者として知られる北海道豊平医科大学・瓢箪唐駒助教授は「人面瘡の原因として考えられていたウィルスの発見に影響を与える物」として、コメントを発表した。

しかし、海洋生物として研究を重ねていた、神奈川県二宮海洋生物学研究所所長・何田神太氏は、近く「菌糸類異論説を発表したい」とし「海洋生物としては、まだ仮説段階で調査を進めているが、発表されたスライドには幾つかの疑問点が見受けられる。」と反論を投げかけた。

「ヒョウタンツギ」は、宝塚市在住(当時)の手塚美奈子さんが発見し「海洋生物」として位置づけられていたが、その兄である大阪大学医学部医学博士・手塚治氏は「菌糸類」として各メディアに異論を提唱し続け、これが学界を巻き込んだ戦後最大の「兄弟げんか」と呼ばれたことを記憶している方々も多いかと思う。

昭和48年(1973年)、義務教育の必須科目である「生物」「化学」の教科書改訂に際し、この問題は連日国会でとりざたされたが、議論の決着を得ることが出来ず「4月56日入学式法案」が緊急に設置された“空白の1ヶ月”はあまりにも有名。これは教科書の遅配が原因となり、実質的に全国の小・中学校が入学式を20日間遅らせるという処置であり、当時の「文部省」と「科学技術庁」を統一させた現在の「文部科学省」を設立する切っ掛けになったとも言われている。

今回の発表は、昭和49年(1974年)頃から社会現象にもなった、その論説の全容に近づく新たな局面と考えられ、菌糸類学界内にとどまらず、ヒョウタンツギ・ブームが再度加熱するものとして注目され、報道関係はもとより放送・映画産業やゲーム業界でも大きな関心をよせている。

出版界においても手塚治氏の著書が続々と復刊されているが、多くの現象を捉えた貴重な資料書としては、氏の代表作「ブラック・ジャック」が有名であり「手塚治氏は、病理学の検知からヒョウタンツギを人面瘡に何らかの関係がある“キノコ”と考えていたとも考えられるが、もしそれが事実とすれば、難病解決の糸口とされるヒョウタンツギの存在を漫画の世界だけにとどめていたという事実には、何か秘密めいたものを感じる」(瓢箪唐駒氏・前出)と言葉を濁す一面もあった。


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