■ 「使い始めの竹皮芯のばれんは、すぐには使えない」

ほとんどの方は、新しく買った竹皮芯のばれんは、すぐに使えると思っているのではないでしょうか。

実は新しいばれんは、ばれん条が出て、すぐには使えないのです。
ばれん芯というのは全て手編みです。ばれん芯の凸凹を通常コンペイトウと呼んでいますが、実はこのばれん芯のコンペイトウがばれんの効きの命なのです。この凸凹のある竹皮のばれん芯が、版木の上の絵具を、和紙の中に浸み込ませる働きがあるのです。木版画独特の色は、実は絵具が和紙に浸み込んだ色なのです。効きのいいばれんというのは、そのことができるばれんのことをいうのですが、本当に手に馴染んで効きのいいばれんになるためには、相当に時間がかかるのです。

新しいばれんというのは、必ずばれん条が出ます。手編みの宿命のようなものですが、その手の微妙なばらつきが、ばれんの効きを生み出す基になるのです。機械編みのバレンが、均等すぎて、かえってばれんの効きが良くないのはそのためです。


使い始めの、竹皮芯ばれんは、ばれん条が出るので、最初はばれん条が出てもいいような摺りに、頻繁に使うようにしてください。そして、ばれん芯の極端な凸凹を徐々に潰していきます。次第にばれん条が出にくくなってきたら、大切な摺りに使うようにしていってください。このようにばれんが本当に手に馴染むまでには、かなりの時間が必要なのです。

あなただけの一生の道具として、ばれんと気長にどうぞ付き合っていってください。本当にあなたの手に馴染んだばれんは、もう一生手放せなくなります。



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