小文集’1994


94.3               リレハンメル

  この欄で前にも書いたことだが、オリンピックの報道があまりにも「日本のメダル」に

一喜一憂してバカみたいだと思う。どうしてこうもタテの順番の上の方が好きなのだろう

   大人も子供も棒をよじ登るような生き方をているせいだろうか。また、日本を応援

するのは当然だろうが度がすぎれば排他的になろう。障害者のオリンピックはなぜ報道さ

れないのだろう。


94.4                  

  私の朝はトーストで始まるし家族みな少食なので米不足をあまり切実に感じていないが

、お米の蓄えがあるわけではない。100%のタイ米も私には上等な食べものだ。タイ米

がうまいかまずいかよりも、日本の緊急輸入でタイの普通の人達が困るようなことがない

のか、それが大事なことだ。輸入と輸出を経済収支だけで考えてはならない。アジアの友

を大切にしよう。


94.6                ざらざらしたもの

 手づくりのものはざらざらしている。布、食品、道具、紙・・・。製品、商品になると

なぜかつるつるしてくる。音楽もそうみたい。商品としての音楽はつるつるしている。本来

、音楽は商品ではなかった。ふつうの人が生活の中で歌い、踊った。いま、生活の中に歌は

ないし踊りもない。手ざわりのざらざらした音楽を取り戻すにはどうしたらよいのだろう・

・・。


94.7               ざらざらしたもの  (2)

  人間も性格のつるつるした人とざらざらした人がいる。効率優先の組織社会には規格に合

わせやすいつるつるした人がよろこばれるが、人間としての存在感はうすい。ざらざらした

人の中身が段々わかってくるとおもしろい。言葉の多い人はつるつるしがちだ。音楽も音が

多すぎてはいけないと思う。わかりすぎる絵もつまらないものだ。わからない人がおもしろ

い。


94.8                   

 史上まれにみる暑い夏だが私は暑いほど元気が出てしまう。7月24日以来、炎天下を動

き回っているが好きなことをやっているから疲れない。食べすぎ飲みすぎにだけは気をつけ

ている。スイカがうまい。こんなにうまいものがこの世にあるか、と思うほどうまい。同じ

量の水を飲むより胃にやさしい。暑さの中の極楽だ。このうまさを知らずに今日も沢山の

子供が死ぬ。


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