小文集’1994
98.1.6 あけまして こんにちわ !
普段着で生きてゆこうと思います。普段着でお付き合いしようと思います。普段がすべて
です。特別な日はありません。1という数字に人は惑わされます。元日というのも人が作っ
た虚構です。世の中は虚構に満ちています。虚構と知って楽しんでいるうちはよいのですが
、虚構が真実に化けて軍国主義になったり、オーム真理教になったり、学歴社会になったり
します。普段着に自信をもつことが世界平和につながります。
98.2.7 神様のまちがい
殺人、汚職、事故、これでもかこれでもかと次から次へ・・・。犬や猫達にたいして恥ずか
しい。人間はどうして自然に平和に生きてゆくことができないのだろう。空気と水と陽の光
に感謝し、奇跡の芸術作品であるこの地球を愛するならばこんなことにはならないはずなの
だが。人間を創り出したことは神様の間違いだったのではなかろうか?
98.3.2 長 野 五 輪
問題も多い五輪だが、清水に感動、原田に感動。最高レベルの選手にして自分の中の弱さ
との闘い。強さと弱さは背中合わせ。強いだけの原田だったらこれだけ深い感動はなかった
だろう。強い人というのは自分の弱さを知り、それにきちんと向き合い、逃げない人だろう
。そして清水の言葉「競技の頂点は、人としての頂点ではない、という当たり前の思い」に
脱帽。
98.4.1 まちかどで
私の前をゆく自転車には赤ちゃんをおんぶした若い母が乗っていて、後ろの荷台座席には
3才くらいの女の子が目の前に赤ちゃんのお尻、という状態で座っていた。その子は右手を
あげて赤ちゃんのお尻を叩こうとした・・ように見えた。が、そうではなかった。あげた手
でとても優しくポンポンと2、3度ふれたのだ。嫉妬ぶかいはずの幼児の思いがけない動作
に私は妙に感動してしまい、しばらくあとをついて歩いていた。
98.5.1 樹
人の世はいやなことばかり起こっているが、教室の向かいのニセアカシアの樹はいつもの
ように新芽を吹き出し白い花を一週間だけ咲かせ、さっさと夏の姿になった。駐車場の隅で
根元をコンクリートに固められながら、ひねくれることもなく素直な大木になった。反対側
のクルミの樹も歳月を共にして大木になっている。人も樹のように生きられないものだろう
か。
98.6.2 人 間
地雷、紛争、核爆弾、人間はどうしてここまでバカなのか。人間は美しい地球をむしばむ
癌細胞なのではないか。朝、目覚めたよろこびも束の間、新聞を広げると心は悲しみで充た
されてしまう。人間がいない地球を想像する。美しい星。宇宙の奇跡。私の風景画に人は
いない。人がいなければ山も川も美しい。人は描きたくない。そう言いながら人の中で生き
ていくしかない。
98.7.3 ワールドカップ
サッカーに興味のなかった私も熱気につられてW杯を見た。得点の少ないスポーツなので
あまり面白いとは思わない。異様な応援の方がむしろ面白い。ふだん日本人を意識していな
い人達が急に愛国者になってニッポン、チャチャチャ!なんて盛り上がって、笑顔でプレイ
する選手を真剣さが足りないなんて非国民呼ばわりする。
楽しくプレイすればいいじゃないか。大人も子供ももっと楽しく遊ぼうよ、ニツポン。
98.8.4 花 火
7,8月は全国各地で花火大会が行われる。夏の風物詩、と言いたい所だがヘソ曲がりの
私は心配でならない。何千発何万発の火薬のさく烈は酸素を減らし二酸化炭素を増やす。
色を出す為に火薬に混ぜる金属化合物は燃えて海に落ちて、海の生態系を狂わせる。
今そんなことを言うのは私だけだが、必ず近い内みんなが気づく。敏感で繊細な美しい地球
を本気で大切にしなければ人も魚も滅ぶ。花火は線香花火で充分。
98.9.1 な つ
私が一番すきな季節である夏が今年は最悪だった。気候は毎年同じとは限らないが、それに
してもこんなに乱れると人間による環境破壊の影響を考えずにはいられない。
それなのに電車の中はふるえるほど寒い。空は汚れ続け、海も汚れ続け、土も汚れ続ける。
エンジンとモーターが地球を壊し続ける。残された道は地球規模の計画的な産業経済システ
ム以外にはない。民族で争っている場合ではないというのに。
98.10.2 人 間 (2)
地球が病んでいるというのに殺しあいをしている。殺しあいをしているというのに知らんぷ
りをしている。知らんぷりをしながら武器を造り売っている。神が存在すれば世界はもっと
美しいはず。赤色巨星となった太陽に呑み込まれる日を待たずに人類は滅ぶだろう。
他の生き物を巻き添えにして、青い地球を灰色にして・・・。宇宙は何事もなかったように
回り続ける。
98.11.4 晩 秋
晴れた日に川をスケッチした。自然に曲がるカーブが素敵な空間をつくる。川の流れの上
を空間もカーブして流れる。私の心も一緒に流れる。晩秋から真冬にかけての金目川は美しい。
川を離れて西へ自転車をこいでゆく。出縄(いでなわ)の丘は牧歌的な世界。フランスの
田園にさまよいこんだよう。落ち葉を燃す青い煙。晩秋の農村は充ち足りて慎ましく、訪れ
る者の目を幸せで充たしてしまう。
98.12.7 雑 感
ブルーグラスは人との協同作業の世界である。その中で自分を活かす楽しさだ。絵は自分
一人の世界である。絵画サークルにあっても描いている時は自分だけにならねば価値のある
絵は描けない。今はブルーグラスが面白くて大方の時間をこちらにつかっている。手が動く
限りブルーグラスはやめられないだろうが、絵を描くこともまだ諦めてはいない。少しづつ
絵を描く時間をつくってゆこうと思っている。