小文集’2003


03.1.6       宇宙の中で

 日が昇る。1億5千万キロの彼方に浮かぶ巨大な火の玉の引力が50億年もこの地球を

ふり回しつづけている。また新たな一回転が始まる。巨大で不思議な時間と空間の中に

居ることをいつも意識していたい。不思議さに慣れてしまうとつまらない日常を生きる

ことになる。


03.2.1      ホームページ

 去年の2/4に私のホームページを立ち上げて1年になる。はじめは教室の宣伝が主目的

だったのがバンドの活動のレポートや、絵の展示など内容がふくらんで自分の全体を表現

する場になってきた。自分で自分を育てている面白さがある。肝心の教室のほうもホーム

ページを見て入会されたかたが5人になった。


03.3.3         3 月

 卒業・入学。就職・転勤・結婚・・・の季節です。

教室の最近の生徒さんやサークルの皆さんに冠婚葬祭についての私の方針をお伝えしておき

ます。それはごく近い身内以外のご婚儀・ご葬儀には一切出席しない、ということです。

手紙などは出しますが金品は送りません。ご卒業・ご就職・ご出産にも金品は送りません。

(妻はその限りではありません。)


03.4.1           出席しない理由

 前号でご婚儀・ご葬儀には出席しない、と書きましたが、その理由を。

まず第一に、どちらも現在行われているような大げさな形は必要ないと思うからです。

第二に
ご祝儀、不祝儀の相場が高すぎて公平に出席していたら暮らしが成り立たなくなって

しまうからです。 金銭の勘案をしながら喜びや悲しみに参列したくもないですし。


03.5.1            五 月

 五月は5月でなくて五月、という質感です。以前の花粉症のなごりで五月になると、

やっと気持が開放的になります。今までに描いた水彩画の日付に1〜4月はほとんどなく、

五月が圧倒的に多い。次に多いのが10月前後。五月の光と風は絵心を刺激します。

さあ、パソコンの電源を切って外へ出よう。


03.6.3            初 夏

 南会津、舘岩村のペンションとホテルを中心に行われた「水芭蕉音楽祭」にブルーグラス

・バンドで参加してきました。5/31(土)と6/1(日)は季節外れの台風の影響で

雨でしたが、うるおう緑の中でクラシックやジャズやフォルクローレのグループとも交流

でき、楽しい3日間でした。教室の絵画サークル「えのぐばこ」の皆さんもこれに合わせて

スケッチ旅を行い、小雨のなか何枚もスケッチをされました。3日目の6/2(月)は

晴れてよいお天気になりました。


03.7.1     間について(1)

 タンタンタンというメロディーは弾きやすいが、ウンタンタンとかウタタンタンは弾きに

くい。2拍伸ばすターアンはできても4拍伸ばすターアーアーアンとなると、待ちきれずに

3拍までで次の音へ行ってしまったりする。これは、タンという音は実在するがウンという間

は実在しないウツロな時間、という意識があるからだ。

絵についても同じことが言える。それはまた次号で。


03.08.4    間について(2)

 ウンタンタンのウンは間、つまり音のない部分である。しかしウツロな時間ではなく、

リズムをもった量のある間である。絵でいえば2つのリンゴの間の空間、あるいはリンゴの

うしろ側にある空間である。この空間の量や形によって絵がよくなったり、つまらなくなっ

たりする。音符と休符、物体と空間の関係はこの世の構造を考えるヒントになる。
 


03.9.1     間について(3)

 ウンタンタンのウンは単なる空白ではなく、リンゴとリンゴの間の空間も単なる空白では

ない。
音がなくても音と同じ意味があり、物がなくても物と同じ意味のある空白である。

音楽や絵画を離れてもこういうことは言えると思う。

銀河と銀河の間の空間、原子と原子の間の空間、意識と意識の間の無意識。


03.10.1    きのうと今日

 目がさめる。きのうと同じ部屋にいる。今日の曜日を思い出す。きのうの自分の続きで

あることに不思議さを感じながら今日が始まってゆく。きのうのように昼が過ぎ、すぐに

午後が過ぎ、夜がきて今日が終わる。あすも同じ部屋で目がさめるのだろうか?

子供のころの疑問はまだつづいている。


03.11.1     密 度 (1)

 一拍の中に前半と後半、つまり表と裏がある。そのそれぞれの中に、そのまた表と裏が

ある。そのそれぞれにまた・・・。ひとつの4分音符のなかに16分音符まで感じとって

歌ったり弾いたりできれば密度のこい演奏ができる。クラシツク音楽のゆっくりした曲を

聴くとそれがよくわかる。ポピュラー音楽でもよい演奏にはそういう密度の濃さがある。

時間をていねいに感じとることで音楽がよりおいしくなる。


03.12.1     密 度 (2)

 前号で音符の表と裏のことを書いたが、そのことを絵にあてはめてみると光と陰で同じ

ことが言える。光、つまり明るい側の中に、より明るい部分とやや暗い部分があり、陰の

側にもより暗い部分とやや明るい部分がある。石膏デッサンではそういうことを徹底的に

追求する。必ずしもギリシャ彫刻の石膏像を使わなくてもよいのだが、そういう練習で

空間の構造を見る目がきたえられる。


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