その19

オイルライン解析

エンジンの脈管系をお勉強

(H20.4/8)4/8更新

 

エンジンオイルはエンジン内をどのようにめぐるのか?

 

エンジンの脈管系を知っておきたい。

トラブルでどこに影響が出るかがわかるから。

エンジンオイルはエンジン内をめぐって摩擦を軽減し、エンジンを保護してんだからさ〜。な〜んて簡単に言ってるけど、わからないことばかりでした。今回エンジンの分解をしたからには、知っておきたいエンジンの脈管系、つまりオイルラインの解析をばやっておきたい。例えばどこかからリークしたら、その下流域で焼き付きが起こるはず。その予想が出来ることは重要かな?と思いますので、これはお勉強のため。で、せっかくだからお写真でぐるりとめぐってみましょう。

Haynesの39頁の模式図を参考にするとわかりやすいですね。

最初におことわりしておきますが、クランクケースの左右は、進行方向に対してということで。つまり、この写真は右ハウジングの後方、一番下の部分です。オイルストレーナーから吸い上げられたオイルは右ハウジングから上方へ、オイルポンプの外周からオイルポンプ内に吸い上げられます。
右ハウジングのオイルポンプ入り口を指さすの図。
オイルポンプからオイルフィルターフランジへ真横に移動し、オイルフィルター外周からオイルのゴミを濾して、エンジン内には出っ張った真ん中の部分から入っていくのですね。
オイルフィルターからのラインは右ハウジング内を1)クランクシャフトエンド外周、2)カムシャフト外周に振り分けられてそれぞれを潤滑。
クランクシャフトエンドベアリングは指さした部分から周囲の溝を全周にわたって巡り・・・。
メインベアリングの外周にはクランクシャフトに向けて穴が開けられています。ここからベアリングの内側、クランクシャフトの隙間を油膜で保護、潤滑しています。STPなどで加工されたメインベアリングにはこの穴の数が倍開けられていますね。
ベアリング付近のアップです。後ろがフライホイールのつく部分。クランクシャフトはこの油膜できれいに浮いた状態で廻るのです。
一方、ベアリングとクランクシャフトを潤滑したオイルはそのままクランクシャフト内の穴(左矢印)からシャフト内に入り、クランクシャフト内を前方へ。そしてクランクから右コンロッド内のオイルラインをとおしてコンロッドエンドへ登ります(右矢印)。
コンロッドの先端です。ピストンピンのベアリングにも穴が開いているのがわかります。そして、先端(指さし部分)からピストン内壁にオイルは供給されます。
ピストンにはリングが3本。一番下がオイルリングですが、ピストン内に噴射されたオイルはオイルリング部分からシリンダー内を潤滑します。たぶんここら辺で最高温度になるのでしょうね。
さて、オイルフィルターからのラインはもう一方、カムシャフトを潤滑します。
矢印側からカムシャフトを潤滑したオイルは画像では向かい合わせの左ハウジングに開けられたラインに廻りますが、右ハウジングにはもう一つ、オイルプレッシャリリーフバルブに向かうラインも開けられています。右のハウジング内にスプリングを埋め込んだバイパスバルブがついていて、圧が高すぎる分をオイルパンに戻す仕組みです。
さて、左ハウジングの内側からのラインはいよいよエンジンの外へ。指さしているのがオイルプレッシャースイッチの止まる部分。ここも圧センサーで異常なオイル圧を運転者に伝える役目を。そして矢印の部分からエンジンの外へ。このラインはオイルクーラーに向かいます。
前方から見ると。ポイントボックスの横ですね。ここから上方に登ったオイルはオイルクーラーで冷やされ・・・
右ハウジングの前方からエンジン内に戻るというわけ。指さした左側にオイルプレッシャリリーフバルブが止まっていて、さらに余計な圧で流れるオイルをクランクケース内に戻す働きをしています。
中に入り込んだラインは二手に分かれ、一つはハウジング内をクランクシャフト前方のベアリングに供給されます。外周に溝が切ってあり、その溝を満たして、ベアリングの周囲の穴から、クランクシャフトエンドの時と同じようにクランクシャフト内へ。そして、左コンロッドへ供給されていきます。
もう一つのラインは指さしている部分(バンジョーボルトが止まっています)からエンジンの外へ。
持っているのがバンジョーボルト。ボルトの下部から来たオイルはこんな小さな穴(2mm径)を通って左右のシリンダーヘッドへ供給されていくわけです。

長い道のりだ(笑い)。

 

バンジョーボルトを取り巻くようにオイルラインがエンジンの左右に分枝されます。
左シリンダーヘッドにはポイントボックス下をくぐって、そして右ヘッドには短距離で。
全景です。右シリンダーには左のそれより半分以下の長さで供給されていることがわかります。このラインもオイルの冷却に力を貸すとすれば、右シリンダーヘッドへのオイルの方が高温になりそうですね。

いや〜、素晴らしい!

シリンダーヘッド側のバンジョーボルトは0.7mmの穴が2つ。そこからエキゾースト側のバルブ基部に開けられた穴からバルブカバー内に噴射され、ロッカーアーム等を潤滑、そして、プッシュロッドガイドを通ってカムフォローワー、カムを潤滑してオイルパンに落ちる・・・。

これでおしまい。

エンジン内を上手に潤滑して守ってくれるエンジンオイルも、このラインがつまったりしたらその先に供給されません。焼き付きはあっという間なのだそうです。クーリングファンの崩壊、オイルポンプの問題などでエンジンが焼き付くのも困りものですが、堆積物がつまるとするとカントク@“秘密基地”さんのいうように、クランクシャフト内のオイルラインもとても大切ということがあらためてわかります。

ふぅ〜、勉強になった。

あらためて素晴らしい設計に感激です。

BBSなどでご意見募集(笑い)

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