原発事故の報道
「エネルギー最先進国」へ、原子力発電の活用などを経済産業大臣が表明 2013.2.22. 政権が推進する産業競争力会議で、重点分野のひとつになっているエネルギー政策の方針を経済産業大臣が明らかにした。電力を中心とするエネルギーの生産・流通・消費の3段階に分けて政策を進める考えで、生産面では「安全が確認された原子力発電の活用」を掲げた。 スマートジャパン

東電 1号機の未公開映像公表 2013.02.15. 原発事故の調査を担当した国会の事故調査委員会の元委員が、東京電力側の虚偽説明によって1号機の現場調査を妨害されたとして国会に調査を求めている問題で、東京電力は15日、去年11月に自分たちだけで現場調査を行っていたことを明らかにし、未公開の映像を公表しました。これまで公表しなかったことについて、東京電力は「現場が公表済みと思い込んでいたため」と説明しています。この問題は、国会事故調の元委員が去年2月、福島第一原発1号機の現場調査を計画した際、東京電力から事実と異なる説明を受けたため調査を断念したとして、国会に調査を求めているものです。国会事故調は最終報告で、1号機の事態を悪化させた大きな要因について、4階にある非常用の冷却装置につながる配管付近で地震直後に水漏れが目撃されているとして、地震で配管が破損した可能性が否定できないと指摘していました。これについて東京電力は、15日の記者会見で、国会事故調の指摘を受けて、去年11月に自分たちだけで現場調査をしていたことを明らかにし、そのときに撮影した未公開の映像を公表しました。映像には4階の天井付近を目視で調べる様子が映っていて、東京電力によりますと、使用済み核燃料の貯蔵プールがある5階からつながるダクトの一部に破れが見つかったということです。水漏れを巡って、東京電力は、国会事故調の指摘に反論し、地震の揺れでプールからあふれた水がダクトを通じて4階に流れ込んだ可能性をこれまでも主張していて、このときの調査結果は、主張を裏付けるものだとしています。調査を行っていたことを含め公表していなかったことについて、東京電力は「現場の担当者が公表済みと思い込んでいたためで、隠そうとしたわけではない」と説明しています。 NHK

福島県の森林汚染調査 腐葉土最大23万Bq 2013.2.9. 福島第1原発事故で福島県内の森林(避難区域を除く)の腐葉土の放射性セシウム濃度が1kg当たり最大23万2980Bqだったことが8日、県の森林汚染状況調査で分かった。広範囲な森林汚染の実態を裏付けている。腐葉土の最大値は県北地方の森林で測定された。最小値は344Bqで平均は2万2709Bqだった。土壌は最大が2975Bq、最小が不検出で平均は634Bqだった。葉は、原発事故前の2009~10年に出た旧葉が最大7万66964Bqで平均1万1092Bq、2011~12年に出た新葉は最大3万2441Bq、平均4358Bq。樹皮は最大1万3093Bq、平均1694Bqだった。空間線量率は毎時0.08~2.61μSVで平均0.61μSVだった。調査は昨年8~11月、県内の森林925地点で針葉樹(スギ、マツ、ヒノキ、カラマツ)を対象に実施した。全地点で空間線量率を測り、うち90地点で樹皮、50地点で樹皮と葉、腐葉土、土壌のセシウム濃度も調べた。調査は原発事故が起きた2011年に空間線量率を測定したが、今回初めて土壌や葉、樹皮も対象に加えて詳しく調べた。国は現時点で生活圏以外の森林を除染対象にしていない。県森林計画課は「除染範囲を拡大する必要性が調査で裏付けられた。間伐など林業生産活動と一体化した除染を求めていきたい」と話している。 河北新報社

安倍内閣総理大臣年頭記者会見
13分55秒後
2013.1.4. 先ずは科学的安全基準の下で、再稼働を判断していくこととし、3年程度で既存原発の行く末を見極めながら10年たって新しい安定した新しいエネルギーミックスに移行させてまいります。そして原発の新規建設やリプレースについては直ちに判断できる問題ではありません。できる限り原発依存度を低減させていくという方向・方針に沿って判断すべきであるということは当然であります。更に使用済み核燃料の処分の問題について国が責任を持って検討を加速させていく必要があります。その上において低廉かつ安定的な電力供給は可能か否か、世界の化石燃料の供給リスクについての情勢判断、そして原発事故の検証と安全技術の進歩の動向をじっくりと見据えながらある程度の時間を掛けて腰を据えて検討したいと思います。 政府インターネットテレビ

安倍首相、原発新設に含み 2012.12.31. 安倍晋三首相は30日、TBSの番組に出演し、原発について「新たにつくっていく原発は事故を起こした(東京電力福島)第一原発のものとは全然違う。国民的な理解を得ながら新規につくっていくことになるだろうと思う」と新設に含みを持たせた。また、「簡単に『脱原発』『卒原発』という言葉遊びに近い形で言ってのける人たちは信用されなかったのだと思う」とも語った。首相は民主党政権が掲げた「2030年代の原発稼働ゼロ」の政策を見直す考えを示している。 朝日新聞

東通原発:専門家、東北電の見解に疑問 2012.12.14. 東北電力東通原発の敷地内の断層は「活動性がない」とする東北電の見解が覆される可能性が高まった。国の原子力規制委員会が13日実施した現地調査。粘土層が水を吸って膨張する「膨潤」だとする東北電の主張に、委員らは「いろいろ疑問がある」(熊木洋太委員)「根拠がよくわからない」(佐藤比呂志委員)など、一様に疑問視。島崎邦彦委員長代理は「活断層に関連したものと考えている」と述べ、活断層に起因するものだと指摘した。一方で、「つじつまが合わない点もある」(金田平太郎委員)などと、再調査を求める意見も相次いだ。調査は14日も引き続き実施され、断層が動いた年代や繰り返し動いたかどうかを詳しく調べる予定だ。この日は、専門家5人が、東北電が掘った調査用のトレンチ(試掘溝)にある4本の断層を調査し、現地で記者会見した。粟田泰夫委員は「膨潤はありえるが、それに活断層などの地震現象が絡んでいる」、佐藤委員は「古い断層が若い時代に再活動しており、累積性もある」などとし、いずれも活動性があるという認識を示した。島崎代理は「(断層は)圧縮力が働いており、活断層が原因だ。その全体像を再調査で把握したい」と述べた。 毎日新聞

敦賀原発:直下に活断層の可能性 2012.12.10. 日本原子力発電敦賀原発(福井県)の敷地内にある断層を調べていた原子力規制委員会の有識者会合は10日、2号機原子炉建屋の直下に活断層が通っている可能性があるとする見解で大筋合意した。会合を傍聴した規制委の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査はとてもできない」と述べた。活断層の上に原発の重要施設を造ることは認められていない。日本原電は追加調査する意向を示したが、敦賀原発2号機の運転再開は絶望的で、廃炉を迫られる可能性が高まった。有識者会合は今月1、2日に現地調査し、新たに見つかった地形を活断層と判断。これが2号機原子炉建屋の直下を通る可能性が高いとの見解でほぼ一致した。 毎日新聞

福島第一廃炉監視で検討会設置 2012.11.28 最長で40年かかるとされる東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の監視を強化するため、国の原子力規制委員会は、 新たに専門家による検討会を作り、来月から現地調査などを行って現場の安全確保を進めていくことになりました。 福島第一原発の廃炉を巡っては国が安全確保に積極的に関わるとして、法律に基づく「特定原子力施設」に指定し、 東京電力に対し来月7日までに原子炉の監視体制などを強化するための実施計画を提出するよう求めています。 これについて、原子力規制委員会は計画が妥当かどうか検証するため、28日の会合で、専門家による新たな検討会を作ることを決めました。 委員は原子炉や放射線などの専門家10人で、福島県の大学の研究者も含まれ、来月からおよそ2ヶ月かけて原発の現地調査を行うほか、定期的に廃炉作業の計画を評価し、 安全対策を提言していくということです。 NHK

未公表データが存在 放射線量が急上昇 2012.11.17. 去年3月の原発事故で放射性物質がどのように放出したかを調べるのに重要な原発周辺の放射線量について、 公表されていないデータが存在することが分かりました。東京電力は未公表の理由について「調査中」としていますが、この中には、事故から5日後 の去年3月16日午前に一時的に急上昇しているデータもあり、専門家は「原発で何かが起きた可能性を示しており、詳しく調べる必要がある」と指摘 しています。福島第一原発の事故で放出された放射性物質については、東京電力がことし5月に最新の解析結果を公表し、去年3月15日に2号機から 翌16日には3号機から、大量に放出されたとしていますが、具体的な放出経路などは明らかになっていません。この未解明の謎に迫ろうと、NHKが原発周辺で観測された放射線量について改めて調べたところ、第一原発から南に12kmにある第二原発の値に不自然な点があり、問い合わせた結果、未公表のデータの存在が分かりました。東京電力によりますと、未公表は去年3月15日午前から4月3日にかけてのデータで、このうち確認できたとして東京電力が明らかにした3月16日のデータを見ると、午前9時40分ごろ、それまで1時間当たり20μSV前後で推移していた放射線量が突然80μSVに跳ね上がり、10分後には87.7μSVまで上昇していました。線量が上昇する1時間余り前の午前8時半ごろに、3号機の建屋から白煙が大量に噴き出ているのが確認されていて、放射性物質の放出との関連が疑われていますが、何が起きたのか詳しいことは分かっていません。これについて、事故のあと、原発周辺の放射線量などを調べている東京大学の門信一郎准教授は「事故から1年8か月がたつのに、いまだに未公表があるのは分析を行ってきた立場として大変残念だ。今回のように大きく値が変化するデータは、福島第一原発で何かが起きた可能性を示しており、3号機の白煙との関連を含め、詳しく調べる必要がある」と指摘しています。 NHK

放射性物質を可視化するカメラを開発 2012.11.15. 三菱重工業(MHI)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、放射性物質の分布状況を可視化する特殊なカメラ装置「放射性物質見える化カメラ」を共同開発した。「放射性物質見える化カメラ」は、放射線の飛来方向とそのエネルギー(波長)をリアルタイムで同時に測定可能で、放射性セシウム134(Cs-134)、同137(Cs-137)、放射性ヨウ素(I-131)など、ガンマ線を放出する物質の識別ができる。ガンマ線が粒子の性質を持つことによるコンプトン散乱※3の原理を活用することにより、1~5マイクロSv/h 程度の環境下で、環境バックグランドの数倍の強度のホットスポットをほぼ180度という広い視野で検出できます。測定は20~30mの距離から可能で、家屋の屋根や敷地など広範囲に集積した放射性物質の分布状況を簡易に画像化する。 三菱重工業
宇宙航空研究開発機構

フィリップス、リアルタイムでX線被曝線量を表示できる線量計システムを発売 2012.11.1. フィリップス エレクトロニクス ジャパンは10月23日、リアルタイムでX線被曝量を表示できる医療用の小型線量計システム「DoseAware」を発売した。線量計の計測範囲は40μSv/時~150mSv/時(誤差±10%)、150mSv/時(誤差±20%)となっている。 日経メディカル

福島第一原発 廃炉向け検討会設置 2012.10.17. 今後、最長で40年かかるとされる東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の安全確保に向けて、国の原子力規制委員会は、 17日、福島県の関係者を含む有識者による検討会を設置して、 継続的に監視する態勢を整えることを決めました。 原子力規制委員会が新たに設置するのは「特定原子力施設監視・評価検討会」で、規制委員会の委員や、規制庁の担当者、それに福島県の関係者など原子力 施設の安全確保に詳しい有識者で作ります。福島第一原発の廃炉作業については、東京電力が今後、3年間の安全確保のための計画を作り、国の指導の下、進めています。 しかし、最近も3号機のプールに鉄骨が落下するなど、予期せぬトラブルが相次いでいて、原子力規制委員会は、廃炉作業を安全に進めるため、福島第一原発 を来月上旬にも「特定原子力施設」に指定し、法律の裏付けをもって規制を強化する方針です。 「監視・評価検討会」は中長期に及ぶ廃炉作業について、安全性とともに、より効率的な進め方などを継続的に評価・監視し、一日も早い廃炉の完了につな げるのが目的で、アメリカ・スリーマイル島原発事故の経験なども取り入れながら検討するとしています。 規制委員会の田中委員長は「困難な作業もたくさんあるので、国際的な協力を得ながら知恵を出していきたい」と話しました。 NHK

原子力規制委:外部専門家、電力関係者除外へ…選定基準案 2012.10.3. 原子力規制委員会は3日、原発の安全審査などで、参考意見を聞く外部専門家の選定基準案を示した。過去3年間に、審査対象の原発を運転する電力会社や関連会社に所属したか、年50万円以上の報酬を受け取った専門家は除外するとしている。近く委員会の内規として決定する。  規制委は、原発の敷地内に存在する活断層の評価などで、専門家の意見を聞く方針を打ち出している。そこで、審査の公平性や透明性を確保するため、除外規定を盛り込んだほか、選ばれた場合でも電力会社から研究室への寄付などの情報を公開することにした。また、原発の過去の安全審査を検証する場合、当時の審査に関わった専門家は原則メンバーから除外する。  一方、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)など、商業炉以外の施設については「専門家の確保が難しい」として基準案の対象外とした。 今後、別に基準を検討する。 毎日新聞

枝野経産相、大間原発の建設再開は「電源開発の判断」 2012.10.1  枝野経済産業相は1日の閣議後会見で、大間原発の建設再開について、「工事再開は電源開発の判断」と述べ、容認する姿勢を示した。 そのうえで、実際の稼働は「原子力規制委員会が安全性を確認する」との認識を示した。着工済み原発の建設再開については、国の許認可は必要なく、枝野経産相もこの立場 を踏襲した。枝野経産相は「地元自治体などの理解を得る努力は、(東日本大震災の発生した)3・11以前のときと一義的には変わっていない」と述べ、Jパワー側に自治体や住民への十分な説明責任を求めた。
☞ 枝野経産相というご仁はその場しのぎの詭弁を弄する無能な政治家であることがあらためて露呈した。政治家とは何なのか一から勉強しなおさねばこの国の政治 はよくならない。こういう弁護士気分がいつまでも抜けきらない大臣を再任した野田首相の裁量も問題だ。
産経新聞

大間原発の建設工事を再開…福島第一事故後で初 2012.10.1. 青森県大間町で大間原発を建設している電源開発は1日、東京電力福島第一原発の事故後に中断していた工事を再開した。北村社長が大間町など地元3町村と県を訪れて再開を伝えた。国内で建設中の原発3基のうち、同事故の後で初の工事再開となった。一方、大間町と津軽海峡を挟んで向き合う北海道函館市の工藤市長は同日、記者会見を開き、工事の無期限凍結を求めて来春にも提訴する方針を表明した。北村社長はこの日、大間町議会特別委員会などで「国のエネルギー政策が決定され、建設中の原発の取り扱いが明確になったことから、工事を再開する」と説明した。原発事故前は稼働目標を2014年11月としていたが、新たに発足した原子力規制委員会が策定する安全基準に合致させなければならないため、目標は1年半以上ずれこむ見通しだ。 読売新聞

原発事故捜査を本格化=来月から態勢強化-年度内にも立件判断・検察当局 2012.9.27. 東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑などの刑事告発を受理した検察当局が、来月上旬に応援検事を集めて態勢を強化し、捜査を本格化させることが27日、関係者の話で分かった。既に関係先から資料の任意提出を受けたもようで、今後、当時の東電幹部らの事情聴取を開始し、早ければ年度内にも立件の可否を判断するとみられる。検察当局は8月、4地検で告発を一斉に受理した。このうち金沢、名古屋両地検への告発は東京地検に移送され、今後は東京、福島両地検が捜査を担当する。応援検事は周辺地検などから東京地検公安部に派遣され、同部が専従の捜査班を設置する。受理されたのは、東電幹部や政府関係者が地震や津波への対策を怠り、事故当日に原子炉冷却などの適切な対応を取らずに、周辺住民に傷害を負わせたなどとする業過致死傷容疑などの告発。両地検は同容疑を中心に捜査を進める。第1原発の格納容器に対する応急措置をすぐに実施させず、水素爆発により作業員らに傷害を負わせたとする原子炉等規制法違反など、2014年3月に時効となる告発も受理していることから、検察当局は態勢を強化して、捜査を急ぐ必要があると判断したとみられる。 時事

原子力規制委:解説…独立性確保が要 2012.9.19. 東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえた新たな規制機関「原子力規制委員会」が予定より半年遅れて発足した。委員の人事について国会の同意を得ないままの 「仮免許」でのスタートとなったが、規制行政への信頼回復は、政府や原子力業界からの独立性を確保できるかどうかにかかっている。規制委には、難題がいくつも待ち構えている。 その一つが事故後、停止している原発の再稼働だ。これまで再稼働の前提となってきた安全評価(ストレステスト)1次評価について、事業者は、大飯原発3、4号機以外では28 基分を国に提出済みだが、安全性を評価する上で暫定基準と位置づけられている。田中俊一委員長は、新たな基準を規制委が作るまでは再稼働を認めない方針を示した。また、 枝野幸男経済産業相が19日、建設中の原発について工事中断を求めない考えを示したことに対して、田中氏は最新基準への適合を運転認可の要件とする意向を表明し「事業者の 判断だが、(基準ができるのを)待った方が無駄がない」と突き放し、規制機関としての独立性を意識した発言が目立つ。規制機関としての独立性を意識した発言が目立つ。 毎日新聞

海底セシウムを広範囲調査=えい航式の測定器開発-東大など 2012.9.6. 東京大生産技術研究所と独立行政法人海上技術安全研究所などは6日、船でえい航しながら海底の放射性セシウムを広範囲に測定できる装置を開発したと発表した。 東京電力福島第1原発事故で放出され、海底に沈着したセシウムの測定は数キロごとに海底土を採取する方法しかなかったが、研究チームは「『点』の調査から、面的な広がりを持った調査ができるようになる」と話している。 東大の浦環教授とソーントン・ブレア特任准教授らの研究チームは、放射線検出器や記録装置、電池などを水深500mの圧力に耐える容器に入れ、重りなどと一緒に長さ8mのゴム製チューブに収めた 測定装置を開発。ワイヤにつないで海に沈め、船でえい航すれば、海底で直接測定した放射線からセシウム濃度を算出できる。装置は1秒に1回の割合で放射線を検出するため、船の経路に沿って 連続的に調査できる。8月に福島県いわき市沖と茨城県北茨城市沖で行った実験では、同時に実施した海底土採取による濃度測定とほぼ同じ数値が出た。沿岸から沖合へ12kmえい航した調査では、 沖に向かうにつれセシウム濃度が低下する傾向が明らかになった。 時事

「脱原発」は支援せず=候補者に踏み絵-電力総連 2012.9.4. 電力業界の労組で構成する電力総連の種岡成一会長は4日、名古屋市内で開催した定期大会のあいさつで、「引き続き原子力発電がわが 国の基幹電源の一翼を担っていくのが現実的な選択」との認識を示すとともに、「私たちと考え方を異にする議員、候補者を支援することは組合員の理解が得られない」と述べた。 同総連内では、東京電力福島第1原発事故を受け政権内で高まっている「脱原発」に対し、労働環境を脅かすとの指摘が多い。このため、今秋以降に行われる 総選挙や来夏の参院選を念頭に、脱原発を目指す候補者に主張を続けるのか、選挙支援を選ぶのか「踏み絵」を迫った形だ。 時事
政府 “原発ゼロ”含めて最終調整 2012.9.3. 政府は、原発事故を受けてとりまとめを進めている新たなエネルギー政策について、将来原発ゼロを明記することも含め、原発をなくすことを盛り込む方向で最終調整することになりました。政府は、原発事故を受けて、新たなエネルギー政策のとりまとめを進めており、2030年時点の発電量に占める原発の比率について、「ゼロ」、「15%程度」、「20%から25%程度」という3つの選択肢を示していました。こうしたなか、枝野経済産業大臣や細野原発事故担当大臣、それに古川国家戦略担当大臣ら関係閣僚が調整を進めた結果、国民から意見を聞く聴取会で「原発ゼロ」を支持する意見がおよそ70%に上ったことも踏まえ、将来、原発ゼロを明記することも含め、原発をなくすことを盛り込む方向で最終調整することになりました。具体的には、原発をなくすために、▽原発の運転期間を開始から40年に制限し、新たな原発の建設や増設は認めないとすることや、▽期限を区切って、すべての原発の運転を停止することなどが検討されています。これを受けて、2日夜、総理大臣公邸で、ほぼすべての閣僚が出席して、新たなエネルギー政策を巡って意見が交わされました。ただ、政府内からは、原発をなくすと決めた場合、▽使用済み核燃料を受け入れている青森県の反発が懸念されることや、▽原子力に関する技術の継承や人材の育成が難しくなることなどから、慎重な意見も出ており、引き続き調整することにしています。 NHK
原発関連予算、事故処理だけで1兆円 2012.9.2.  環境・文部科学・経済産業の各省は原子力発電に関する来年度予算の概算要求の大枠を固めた。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、除染やがれき処理などの後始末に1兆円超を計上。将来の原子力発電比率の低下を見据え、使用済み核燃料を地中に処分する技術や原発の廃炉技術の開発支援も盛り込む。除染など事故対応は最終的な費用や東電との分担が不透明で、今後も歳出増の大きな要因になりそうだ。環境省は除染費用として市町村への補助も含め5000億円を計上。今年度当初予算の3700億円から増額した。放射能に汚染された廃棄物などがれき処理には5000億円を要求する方針だ。福島県の双葉、大熊、楢葉など12カ所で検討する放射性物質の中間貯蔵施設の整備・建設費用は金額を示さない事項要求とし、年末にも1000億円程度を盛り込む。福島県内に「放射線医学・県民健康管理センター」を新設するなど原発事故の被害者の健康管理にも100億円を投じる。同省の原発事故関連は福島第1原発の処理費用がかさみ、今年度当初予算の8800億円を上回り1兆円に達する見込みだ。今回、環境省などが要求する原発事故関連の経費は氷山の一角だ。除染や廃炉などの費用は、東電と国で負担割合の議論に決着がついていない。最終的に費用は賠償を除いても数十兆円に上る可能性もあり、税や電気料金で国民に跳ね返る形になる。経産省は原発の廃炉技術の支援予算を計上する。福島第1原発の事故を受け、今後は国内で老朽原発や安全性を確保できない原発の廃炉が相次ぐ見通し。これまでは政府も企業も技術開発は原発新増設に偏り、本格的な廃炉技術は確立していない。経産省は数億円規模で関連研究機関や大学などを支援し、今後の原発廃炉に備える。近く先進各国を中心に老朽原発の廃炉が本格化する。廃炉ビジネスは世界的に市場拡大が見込まれており、予算措置を通じて日本企業の受注を促す狙いもある。原子炉の安全対策を強化するための費用も2012年度予算(54億円)から100億円に増額する。核のごみ対策としては、経産・文科両省が、原発で発生する使用済み核燃料をそのまま地下に埋める「直接処分」の技術開発費用をはじめて計上する。政府はこれまで、一度使った核燃料を再び使う「再処理」を推進してきた。原発依存度を減らせば核燃料サイクルの必要性が薄れる。使用済み核燃料を直接処分する可能性も出てくるため、研究費を新たにつける。ただ経産省は高速増殖炉(もんじゅ)の後継炉の研究開発費を30億円から20億円に減額するものの予算の要求は続ける。8月末にまとめる予定だった国の原子力政策の決定が大幅に遅れているため、核燃料サイクルの維持、縮小の両方をにらむ予算となった。また、原発立地自治体への交付金1000億円は維持する。11年度は全国のほとんどの原発が定期点検中で発電の実績がないが、地元自治体の要望を踏まえて「発電したとみなし」今年度並みの金額とする。 日本経済新聞

東電家庭電気料金 1日から値上げ 2012.9.1. 東京電力は、1日から家庭向けなどの電気料金を8.46%値上げし、利用者のうち電力の使用量が平均的な家庭での9月の料金は、8月よりも347円増える見通しです。東京電力は、福島第一原子力発電所の事故で厳しい経営状況に陥っているとして、経営改善策の一環で、1日から家庭向けなどの電気料金を平均8.46%値上げしました。管内の利用者のうち、使用量が平均的な家庭での9月の料金は、8月よりも347円の増える見通しです。また再生可能エネルギーで発電した電力の買い取りを電力会社に義務づける制度が始まって、8月からは全国で100円前後の値上げが実施されており、東京電力の利用者の負担は一段と重くなります。こうしたなか、利用者の間では少しでも負担を減らそうと、基本料金が安くなるよう小さな契約アンペア数に切り替える動きも広がっています。一方、東京電力以外の電力会社も原発が再稼働できないことで火力発電用の燃料費が増加し経営が悪化しているとしており、原発への依存度が高かった関西電力や九州電力などでは、今後、料金の値上げを巡る議論が本格化する可能性もあります。 NHK

福島第一の1週間 注水量、規定を下回る 2012.9.1. 25~31日の一週間、東京電力福島第一原発1~3号機の冷却水の注入量が二度にわたって、規定の水量を下回る不具合が起きた。溶け落ちた核燃料の温度に大きな変化はなさそうだが、長期間、安定した冷却が求められるだけに、原因究明と再発防止が求められる。東電は流量を調節する弁に異物がはさまった可能性があるとみている。1500体を超える核燃料を貯蔵している4号機では、使用済み核燃料の早期の取り出しが求められる。取り出し用のクレーンを備えた骨組みを建設するための地盤改良工事が終了。この後、骨組みの建設工事に入り、来年夏ごろ完成する見通し。東電は7月、4号機から試験的に未使用の核燃料二体を取り出していたが、点検した結果、一体から十数個の小石やさびの付着が見つかったが損傷はなかった。もう一体に異常はなかったという。また、汚染水から62種類の放射性物質を除去する多核種除去設備を試験運転した結果、十分に除去できる性能が得られる見通しだと発表した。 東京新聞

関電社長「秋以降も運転したい」 大飯原発 2012.8.31. 関西電力の八木誠社長は31日、福井県大飯町のオフサイトセンターで経済産業省の牧野聖修副大臣と面会し、営業運転中の関西電力大飯原発3、4号機について 「秋以降も電力の安定供給の要として運転していきたい」と述べた。八木社長は大飯3、4号機の再稼働に関して「今夏の電力供給を安定させる上で不可欠だった。計画停電のリスクを大きく 低減できた」と意義を強調。牧野副大臣も「東京電力福島第1原発事故後、閉塞状態だった日本のエネルギー政策を解決する分岐点になった」と述べ、安全運転を継続するよう求めた。 福井新聞

原子力政策大綱:原子力委だけでの策定を検討 2012.8.29. 原子力政策の基本方針となる「原子力政策大綱」の改定を巡り、内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長含め5人)が、 審議途中で中断している有識者会議「新大綱策定会議」 を再開させず、原子力委員だけで新大綱を取りまとめる方向で検討していることが分かった。委員の任期が満了する12月までに十分な審議時間が取れないことを主な理由にあげている。 策定会議には原子力政策に批判的な有識者も含まれており、核燃料サイクル政策を巡る「秘密会議」問題で原子力委の公正性が疑問視される中、中止はさらなる批判を招きそうだ。 新大綱策定会議は近藤委員長を議長に10年12月、原発立地自治体の首長や財界関係者のほか、原子力政策に批判的な識者を含む計26人で発足した(現在は27人)。東京電力福島第1原 発事故による中断後、昨年9月に再開し、1年後の今年9月をめどに新大綱をまとめる予定だった。 毎日新聞

核のゴミ 白紙に戻す覚悟で見直しを 2012.8.23. 原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物を捨てる場所が決まらない問題を巡り、日本学術会議は、 国が進める地下深くに数万年以上埋めて処分する計画は、根源的な課題で行き詰まっているとして、今の枠組みを白紙に戻す覚悟で見直すべきだ とする提案をまとめたことが分かりました。原発の使用済み核燃料から発生する高レベル放射性廃棄物を巡っては、国が地下300mより深くに 数万年以上埋めて処分する計画を決めましたが、処分場の候補地選びは難航し、捨てる場所は決まっていません。このため、国の原子力委員会は 第三者からの意見を求めようと、科学者が集まる日本学術会議に提言を依頼し、NHKは学術会議がまとめた報告書の案を入手しました。 それによりますと、東日本大震災で、原子力政策そのものが大きく揺らいでいるなか、根源的な課題で行き詰まっているとして、今の処分の枠組みを 白紙に戻す覚悟で見直すべきだとしています。具体的には、地震や火山が活発な日本で、数万年以上に及ぶ長期にわたって安定した地下の地層を確認することは、 現在の科学では限界があることを自覚すべきだとしています。そのうえで、高レベル放射性廃棄物を数十年から数百年程度、地上や地下に暫定的に保管し、 猶予期間を利用して技術の開発や国民的な合意の形成をすべきだと主張しています。学術会議は、来週、報告書を原子力委員会に提出することにとしています。 原発は高レベル放射性廃棄物を捨てる場所がないことから、“トイレなきマンション”と批判されてきましたが、この提案は、これまでの国の方針に転換を迫る一方、 問題の解決を先送りする内容ともいえ、今後、論議を呼びそうです。
核のゴミその課題 「高レベル放射性廃棄物」は、原発の運転に伴って発生する放射能レベルの極めて高い、いわゆる“核のゴミ”です。 日本では、使用済み核燃料を再処理し、 プルトニウムなどを取り出す政策をとっていて、残った廃液をガラスで固めた直径43cm、長さ1.3m、重さ0.5tonの円筒のものを 「高レベル放射性廃棄物」と呼んでいます。人が近づくと10数秒で致死量に達するレベルの極めて強い放射線が出ていて、その影響は数万年以上に及ぶため、処分にあた っては人の生活環境から隔離する必要があります。経済産業省によりますと、高レベル放射性廃棄物は、表面から出る熱を冷ますために30年から50年程度、地上近くで 冷却することになっていて、青森県六ヶ所村の施設に、昨年度末で1500本余りが保管されています。また、各地の原発の敷地内などに2万2000本余りに相当する量の使 用済み核燃料がたまっています。その重量は合わせて1万2000トン余りに相当します。高レベル放射性廃棄物を巡っては、国が平成12年に定めた法律に基づいて、 電力会社が中心となって作った組織が、平成40年代後半の処分開始を目指し、全国の市町村から処分場の候補地となる調査地点を公募しています。国は応募を積極的に促すために、 最初の2年間だけで20億円という交付金を設けました。しかし、応募したのは平成19年の高知県の東洋町だけで、東洋町では賛否を問う町長選挙を経て町長が交代し、 応募は撤回されました。こうした背景には、住民の間に安全性に対する根強い不安があり、高レベル放射性廃棄物を最終的に捨てる場所は、国内では決まっていません。 高レベル放射性廃棄物の処分を巡っては、原発があるほかの国でも共通した課題で、フィンランドでは2001年に、スウェーデンでは去年、使用済み核燃料をそのまま地下 に埋める処分場の場所が決まっています。また、ドイツは1977年に地下の岩塩の地層に、アメリカは2002年、砂漠地帯の地下に使用済み核燃料などを処分する方針が一度は 決まったものの、政権の交代で計画は撤回されています。一方、カナダでは、今後60年程度、原発や専用の貯蔵施設で使用済み核燃料を一時的に管理しながら、 最終処分のための準備を進めることになっています。
根本的に変える提案だ 日本学術会議がまとめた報告書の案について、福島第一原発の事故を検証した民間の事故調査委員会の北澤宏一委員長は「これまでの国の 放射性廃棄物の処分に関する政策を根本的に変える提案だ」と述べました。また、北澤委員長は「東日本大震災が日本人の楽観的な精神をひっくり返し、日本のような地震国では、 高レベル放射性廃棄物の処分で『安全はない』という前提を突きつけた」と指摘しました。そのうえで、「暫定的な保管」という提案について、「放射性廃棄物の問題を一時的に 棚上げするという批判は免れないものの、段階を踏みながら考えるという現実路線に沿った提案だ」と評価しています。さらに、北澤委員長は「原子力は長期間消えない『放射能』 という負の遺産を作り出し続けるという意味で、将来の子孫に迷惑を与えるエネルギーであることは紛れもない事実だ。 日本のエネルギーをこれからどう転換するかという道筋を、国民全体で議論する大きな材料を与えてくれた」と話しています。
NHK

吉田前所長 一番の衝撃は「3号機の水素爆発」 2012.8.12. 東京電力福島第1原発事故で収束作業の陣頭指揮を執った吉田昌郎前所長が出演したビデオが11日、福島市であったシンポジウムで上映された。吉田氏は「事故で一番インパクトがあったのは3号機の水素爆発だった」と振り返り、「自分も含めて死んでもおかしくない状態だった。(爆発で)10人ぐらいは死んだかもしれないと思った」と述べた。退任後に事故時の心境を語るのは初めて。吉田氏は冒頭、「政府などの事故調査委員会が一段落するまで、自分が話すことはルール違反と思っていた」と、インタビュービデオを公開した理由を説明。今後の課題については「事故の責任問題もきちっとやるべきだが、第1原発を安定化させることがベースになる」と強調した。さらに、原発に残った所員が死亡した場合を考え、「墓標」の代わりにするために、ホワイトボードに所員の名前を列挙して記入したとの当時の秘話を紹介。高い放射線量を顧みず、現場に行く部下について「へろへろで、寝ることもできず、食事も十分でなく、体力的に限界という中で、現場に行く連中がたくさんいた。私が昔から読んでいる法華経の中に登場する地面から湧いて出る菩薩のイメージを、すさまじい地獄のような状態の中で感じた」と述べた。 毎日新聞

東電TV会議 求められる全面公開 2012.8.11. 事故から1年5か月がたって今週ようやく公開された原発事故直後の対応を記録した東京電力のテレビ会議の映像は、その大半が閲覧しか認められていません。これらの映像の中には、現場を支援すべき本店が十分に役割を果たせていないことなど、映像をみることではっきりと問題が認識できる場面が数多くあり、事故を検証し、教訓を得るうえでも、映像の全面公開が求められます。福島第一原発の事故直後の対応を記録したテレビ会議の映像は、今月6日から1か月間、報道関係者に限って公開が始まりました。しかし、公開されたのは、去年3月11日から5日分の合わせて150時間分に限られ、しかも報道用として提供されたおよそ1時間半の映像以外は、閲覧しか認められていません。公開から5日、1日に閲覧できるのは6時間のため、これまでに見終わったのは一部に限られますが、この中には、例えば、去年3月14日の深夜、深刻になる2号機の対応を巡り、本来、的確な支援をすべき東京の本店の幹部が、「早く弁を開けろ」などと現場の厳しい状況を十分に理解しないまま助言し、現場から「邪魔しないで下さい」などと指摘される場面がありました。こうした問題については、国会の事故調査委員会なども報告書で検証していますが、文章による指摘とは異なり、映像を見ることによって、よりはっきりと問題が認識できる場面が数多くあることが分かりました。映像の公開を巡っては、今回の対象期間以外にも、去年4月に汚染水を海に放出した際の経緯など、まだ十分に解明されていない問題も残されており、事故を検証し、教訓を得るうえでも、映像の全面公開が求められます。 NHK

「健康被害ない」と広報を 爆発直後、福島県が東電に要請か 2012.8.9. 福島第1原発3号機で昨年3月14日に起きた水素爆発の直後、福島県が東京電力に「健康被害の心配はない」とする文言を報道発表資料に記載するよう要請していたことが8日、東電が報道関係者に公開している社内テレビ会議の録画映像で分かった。映像によると、昨年3月14日午後1時20分ごろ、東電広報班が同社福島事務所からの依頼として「3号機の爆発に関するプレス(報道発表)文に、福島県知事から『いま北西の風が吹いており、観測された放射線量から健康に被害が出る心配はない』という文言を入れたい、入れてほしいという話があった」と東電本店非常災害対策室に連絡した対策室は健康被害に言及することに難色を示し、「(放射性物質が風に)揺られて戻ってくることもある。拡散作用で薄くなっているとは思うが(健康被害の心配はないと)言い切るのはリスキー(危険)だ」と指摘。「(首相)官邸に県知事からこういう意見が出てますと言ってほしい」と回答して結局、報道発表資料に記載されなかった。3号機の水素爆発は14日午前11時ごろ発生。文部科学省所管の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の拡散予測データでは、14日は午前中から太平洋方向への西風が吹いていたが、同日深夜に風向きが南に変わり、翌15日昼すぎには西や北西など内陸方向に吹いていた。県原子力安全対策課は「当時の状況や経緯は分からないが、根拠にした線量は東電の測定データだと推測される。一般的に東電の報道発表の表現について助言したり、感想を述べたりすることはある」と話している。 河北新報

脱原発のドイツ、日本をどう見る 2012.8.8.  自由ベルリン大のシュラーズ氏に聞く「原子力発電の比率ばかりが焦点となり、討論の本当の枠組みが国民が見えにくいのではないか 。原子力にイエスかノーかでなく、私たちがどういう未来を望むか、どんな日本にするのかについて、原発を脇において考えたらどうかと思う。 (2030年に原発比率をゼロにする選択肢などを政府が示した)3つのシナリオの利点はどこか。雇用は、教育は、若者たちにとって機会が豊富か、 経済競争力は、様々な観点から点検する必要がある。ドイツの倫理委員会は2カ月間の議論で原子力以外のことをたくさん話した。」 日本経済新聞

もんじゅナトリウム検出器誤警報 2012.7.30. 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)で30日午前3時40分ごろ、2次冷却系のナトリウム漏れを示す警報が作動した。 原子力機構は「漏えいは確認されず、検出器の誤警報だった」として、国、県などに報告した。同機構によると、原子炉補助建物内で、使用済み核燃料をナトリウムで満たした 貯蔵槽の冷却系に設置している検出器の一つが異常を示した。検出器は周辺の空気を採取してフィルターに通し、前後の圧力差から異常を確認する仕組み。運転員が現場でナトリウム 漏れがないことを確認し、フィルターを外して分析。午前4時半ごろ、誤警報と判断した。フィルターの交換作業に伴い監視機能を失ったため、保安規定で定める運転上の制限を一時逸脱した。 貯蔵槽では、同型の検出器が3ループの冷却系で計14台ある。今回作動した検出器のフィルターは20日に交換したばかりで、原子力機構は原因を調べている。もんじゅでは2007~2009年、 ナトリウム漏れ検出器の誤警報が相次いだ。2010年5月の運転再開後は初めて。 福井新聞

「東電解析、信用できぬ」 炉損傷時刻に異論 2012.7.13. 東京電力福島第1原発事故をめぐる政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)が23日公表する予定の最終報告書で、東電が公表している事故の進展の解析結果を「信頼に足るものではない」と結論付けていることが関係者への取材で分かった。政府事故調が事故後の炉の状態を実測データに基づいて再現したところ、深刻化する過程が東電の解析結果と食い違っていたという。事故調の指摘は、東電による事故の経過説明の信頼性を改めて問い直すもので、東電は再解析の実施を迫られそうだ。東電は昨年5月と11月の2回、同原発1〜3号機の原子炉の事故の経過をコンピューターで解析し公表。経済産業省原子力安全・保安院も同6月、原子力安全基盤機構の解析結果を公表している。東電の11月の解析によると、1号機では昨年3月11日の津波襲来から2時間半後の午後6時10分ごろ炉心が露出し始め、溶けた燃料が圧力容器を破損させたのは12日午前1時50分ごろ−−となっている。政府事故調は、東電や国による解析結果を検証するため、1〜3号機について▽原子炉の温度▽炉内の圧力や水位▽格納容器内の放射性物質の濃度−−などの実測データや作業員の証言などを基に、事故後の炉の状態を可能な範囲で再現した。 毎日新聞

東電公開映像 現場の様子克明に 2012.8.6  東京電力が6日公開した福島第1原発事故直後からの社内テレビ会議の録画映像。一部映像には音声も残されており、大声が飛び交う現場の生々しい様子が克明に記録されていた。公開された映像から判明した主なやりとりは以下の通り。(肩書は当時)
《震災翌日の平成23年3月12日午後11時。音声付きの映像は、官邸中枢からの指示に困惑する東電幹部の様子から始まった。事故直後から官邸に派遣されていた武黒一郎フェローが本店に戻って会議に加わり、こうぼやいた》
武黒一郎フェロー「大体まあ、首相補佐官とか副長官みたいな人が事前の仕切りをするんですね。ご承知のように、民主党政権は若い人たちがそういう役になってますから。『イラ菅』という言葉があるけれども、あれから比べると吉田さん(吉田昌郎所長)のドツキなんてものは、かわいいものだと思いますけど」
《官僚らを強圧的に怒鳴り上げる姿から付いた菅直人首相のあだ名「イラ菅」という言葉が飛び出した》
武黒フェロー「昨日も、退避・避難の区域を決めたときに、最初は菅さん(菅首相)とかに呼ばれて『どうすんだ』『どうすりゃいいんだ』って言うわけですね。私と班目さん(原子力安全委員長)が説明すると、『どういう根拠なんだ!』『それで何かあっても大丈夫だといえるのか!』とさんざんギャーギャー言うわけです」
《原子炉へ海水注入する消防車が燃料切れで止まっていることが確認され、現場の緊張はさらに高まる》
原発所員「炉心溶融の評価ですけれども、TAF(核燃料頂部)の(水位)到達時間が16時16分ですが、そのあと(燃料が)むき出しになったのが18時22分ということで、約2時間で炉心溶融が始まるだろうという、これ、ざっくりした見積もりです。その後、 炉心溶融から2時間ほどたつとRPV(原子炉圧力容器)の損傷になるだろうということで
産経新聞

福島原発事故は「人災」国会事故調報告書 2012.7.5. 東京電力福島第1原発事故を検証してきた国会の事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は5日、「事故の根源的要因は『人災』で、政府、規制当局、東電には命と社会を守る責任感が欠如していた」とする報告書を公表した。事故調は、電力会社や原子力の規制当局などを継続的に監視するため、国会に常設の委員会などを設置するよう提言した。報告書はまず、事故以前の地震や津波に対する東電や経済産業省原子力安全・保安院など規制当局の認識について、「敷地の高さを超える津波が来た場合に全電源を喪失し、炉心損傷に至る危険があるとの認識は共有されていた」と指摘。「何度も対策を立てる機会があったのに、東電は対策を先送りし、保安院もそれを黙認した。自然災害ではなく、明らかに『人災』だ」と断定した。事故の直接要因を「津波による全電源喪失」と断定した政府や東電の事故調に対し、「安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定できない」と疑問を提示。引き続き第三者による検証継続を求めた。一方、事故直後の対応では、政府や保安院、東電のいずれにも原子力災害に対する準備や心構えがなかったとした上で、情報不足に不信感を募らせた首相官邸が現場に過剰に介入したと指摘。「重要な時間を無駄にしただけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大した」と批判し、「事故の進展を止められず、被害を最小化できなかった最大の要因」と述べた。
事故調の報告書本文、ダイジェスト、英文は こちら(必読です)
時事

原子力学会が調査委員会 1年経てようやく 2012.6.23. 日本原子力学会は22日、東京電力福島第1原発事故の原因などを分析する調査委員会を設置することを決めた。東電や政府が公表したデータを活用して事故の進展や放射性物質の放出過程を調べ、来年末までに報告書をまとめる。学会は事故直後から、既存の専門委員会で事故の経緯や原因を検討しており、事故調の調査に反映させるほか、汚染の主因となった2号機からの放射性物質の大量放出過程などの解明にも取り組む。「原子力ムラ」と指摘されている原子力業界の閉鎖性や事故への影響も調べる。発生から1年以上たってからの発足について、調査委員長に就任する田中知東京大教授は「廃炉作業の過程で判明する事実もある。今だからこそ俯瞰的に事故を見つめられる」と説明した。同事故では、東電や民間の事故調が既に調査結果を公表しているほか、政府や国会の事故調も7月までに報告書をまとめる。また、学会は同日、除染などの技術支援などを中心とする「福島特別プロジェクト」の実施も決めた。 毎日新聞

東電:ボーナス支給を事実上、容認…経産省有識者会議 2012.6.22. 東京電力の家庭向け電気料金の値上げ幅を点検する経済産業省の有識者会議「電気料金審査専門委員会」(委員長・安念潤司中央大法科大学院教授)は22日、12~14年度の社員の平均年収を556万円とする東電の申請内容をおおむね妥当とする方向で一致した。公的資金を受ける東電の人件費については「さらに圧縮を」との声が上がっているが、大企業の平均並みであれば問題ないと判断した。東電は福島第1原発事故以降、社員の年収を20%(管理職は25%)削減した。だが、今夏は見送った賞与を今冬以降復活させる方針。その結果、平均年収は12年度の525万円から14年度には573万円に上昇する。専門委では「国民に厳しい声があるのに、ボーナスを支払っていいのか」との批判が出ていた。これに対し、東電は「年収2割カットを継続するほか、年俸制を導入する」と主張。この日の専門委は「(公的資金の有無でなく)どの電力会社にも適用できる基準で考えるべきだ」との委員の意見もあり、「従業員1000人以上の企業平均並み(551万円)」との経産省の基準を満たしているかで査定することを確認した。 毎日新聞

福島県沖でミズダコなど3魚種の漁再開 36魚種は出荷停止に 2012.6.22  福島県相馬市の相馬双葉漁業協同組合は22日、東京電力福島第1原発事故以降自粛していたタコなど3魚介類の販売目的の漁を再開した。県漁業協同組合連合会が18日に県内漁協の組合長会を開き、安全が確認されたとして再開を認めていた。再開するのはミズダコ、ヤナギダコ、ツブ貝で、いずれもモニタリング検査で長期間放射性物質が検出されていない。県内漁協はいずれも事故以降出漁を自粛しており、福島県沖の漁再開は1年3カ月ぶり。これを受け政府は22日、福島県沖で捕れる魚介類で今年1月以降に食品中の放射性物質の新基準値(1kg当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された36魚種の出荷を停止するよう県知事に指示した。昨年4月に出荷停止を指示したコウナゴは基準値を下回っていたとして停止を解除した。福島県沖の魚介類は原発事故以降、漁の全面自粛で出荷がない状態だったが、漁再開で基準値超えの魚介類が出荷されないよう対応を変更した。厚労省は「漁業再開に向けた環境整備の一環」と説明している。厚労省によると、昨年4月以降、福島県沖でモニタリング検査を行った魚介類は計165魚種。厚労省は「今回出荷停止の指示がなかった魚介類の出荷は問題ない」としているが、福島県は今年1月以降、基準値は下回るものの同50ベクレルを超えた11魚種および、検査件数が10件を下回る魚種については、十分な検査を行い安全性が確認されるまで出荷を見合わせる。 毎日新聞

保安院が原子力安全委員会に圧力 2012.6.6. 原発事故に備えた防災重点区域の拡大を検討し始めた原子力安全委員会に、経済産業省原子力安全・保安院が執拗に中止の圧力をかけたのは、使用済み核燃料を再利用するプルサーマル計画がようやく動きだし、その流れに悪影響を与えることは全て排除する-との推進組織そのままの保安院の考えからだった。2006年5月の昼食会で、広瀬研吉院長(当時)が、安全委の委員に「寝た子を起こすな」と圧力をかけたことが既に判明。本紙が情報公開請求で5日に得た内部文書では、昼食会直前の幹部会合で、広瀬氏が重点区域について「十年間は現行制度で動かすべきだ」と指示していたことなどが新たに分かった。文書には、重点区域が拡大されると「プルサーマルが進まなくなる」などの懸念を示す記述が出てくる。両者に直接的な関係はないはずだが、経過を重ねると安全委の見直し開始時期と、長い停滞を経てプルサーマル計画が動きだそうとしている時期とが一致した。プルサーマル発電は1999年に始まっているはずだったが、英国の核燃料製造会社によるデータ改ざんや、東京電力によるトラブル隠し問題が起き、大幅に遅れた。ほとぼりが冷めた2005年9月には九州電力玄海原発3号機、2006年3月には四国電力伊方原発3号機でプルサーマル発電が許可された。保安院が関連のシンポジウムで賛成派の動員要請や「やらせ」に関わったのもこの時期で、表面上は地元の了解が得られつつある時期だった。そんなときに、重点区域を拡大すれば、やはり原発は危ないのかという認識が広まり、またプルサーマル計画が止まりかねない-。原子力関係者は「保安院には焦りがあった」と指摘する。また、内部文書からは、保安院が安全委に高圧的な態度で、重点区域の拡大中止を要求していた様子も浮かび上がった。6月の協議では、安全委側が抵抗を示したことに対し、保安院の担当者が「貴課の『逆ギレ』ともとられかねない回答や反応は時間と労力のムダなので、以降は避けられたい」と要求。さらには「当方が十分に納得できるよう努力されたい」と迫ったことが記されていた。  東京新聞

無視され死蔵された「原子力防災」の知見 以下はその抜粋。詳しくは原文記事を

松野元原子力安全基盤機構(当時は原子力発電技術機構)緊急時対策技術開発室長
「SPEEDIが作動していなくても、私なら事故の規模を5秒で予測して、避難の警告を出せると思います。 『過酷事故』の定義には『全電源喪失事故』が含まれているのですから、プラントが停電になって情報が途絶する事態は当然想定されています」
「スリーマイル島事故では、5かける10の16乗ベクレルのオーダーでした。チェルノブイリ事故では5かける10の18乗のオーダーです。福島第一原発事故ではとりあえず10の17乗ベクレルの規模を想定すればいい」
「スリーマイル島事故では避難は10kmの範囲内でした。チェルノブイリでは30kmだった。ということは、福島第一原発事故ではその中間、22kmとか25km程度でしょう。 とにかく逃がせばいいのです。私なら5秒で考えます。全交流電源を喪失したのですから、格納容器が壊れることを考えて、25時間以内に30kmの範囲の住人を逃がす
「『原子力災害対策特別措置法』第15条に定められた通り、福島第一発電所が政府に『緊急事態の通報』をしています。3月11日の午後4時45分です。このときに格納容器が壊れることを想定しなくてはいけない。つまり放射性物質が外に漏れ出すことを考えなく てはいけない。ここからが『よーい、スタート』なのです」
甲状腺がんを防止するために子どもに安定ヨウ素剤を飲ませるのは、被曝から24時間以内でないと効果が急激に減ります。放射性物質は、 風速10mと仮定して、1~2時間で30km到達します。格納容器が壊れてから飲むのでは意味がない。『壊れそうだ』の時点で飲まないといけない」
「もとより、正確な情報が上がってきていれば 『専門家』は必要ないでしょう。『全交流電源喪失』という情報しかないから、その意味するところを説明できる専門家が必要だったのです。専門家なら、分からないなりに25時間を割り振って、 SPEEDIの予測、避難や、安定ヨウ素剤の配布服用などの指示を出すべきだったのです」
「地震で送電線が倒れても、津波が来るまでの1時間弱は非常用ディーゼル発電機が動いていたはずです。そこで東京にあるERSSは自動起動していたはずだ。このとき原発にはまだ電源があったので、 予測計算はまだ正常に進展する結果を示していたでしょう。しかし、ERSSの担当者が、 非常用ディーゼル発電機からの電源だけで原子炉が正常を保っている危うさを認識していれば、さらに『ディーゼル発電機も故障するかもしれない』という『全電源喪失』 を想定した予測計算をしたと思います。この計算も30分でできる。私がいた時はこのような先を読んだ予測計算も訓練でやっていた。原子力安全・保安院のERSS担当部署がそれを やらさなかったのではないか。この最初の津波が来るまでの1時間弱のロスが重大だったと思う」
JBPress 2012.5.31.

東京湾 再来年4000ベクレルに 2012.5.26. 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、東京湾に流れ込んで海底にたまる放射性セシウムの濃度は再来年の3月に最も高くなり、局地的に泥1kg当たり4000ベクレルに達するとするシミュレーション結果を京都大学の研究グループがまとめました。京都大学防災研究所のグループは、福島第一原発の事故で関東に降った放射性物質などの調査データを使い、東京湾に流れ込んで海底にたまる放射性セシウムを、事故の10年後まで予測するシミュレーションを行いました。その結果、放射性セシウムの濃度は再来年の3月に最も高くなり、荒川の河口付近では、局地的に泥1kg当たり4000ベクレルに達すると推定されるということです。これは、ことし1月に福島第一原発から南に16kmの海底で検出された値とほぼ同じです。比較的濃度が高くなるとみられる東京湾の北部では、平均すると海底の泥1kg当たり300ベクレルから500ベクレル程度と計算されたということです。再来年の4月以降は、周囲の河川から流れ込む放射性物質が減る一方で、拡散が進むため、濃度は徐々に下がるとしています。シミュレーションを行った山敷庸亮准教授は「雨の量などによっては放射性物質が東京湾に流れ込む速度が早まる可能性がある。海底への蓄積量を継続的に調べるとともに、魚介類に影響が出ないか監視すべきだ」と話しています。 NHK

セシウムを99%除去する漆喰 近畿大が開発 2012.5.24. 近畿大学は24日までに、放射性セシウムを吸着するための漆喰を開発したと発表した。実験では普通のセシウムを含んだ水を使い、99%を除去できた。放射性セシウムでも同様の結果が得られる見込みという。独自開発したイオン水を添加し強度を高めており、放射性セシウムを含んだ汚染水やがれきの保管施設向けの建材としての活用を想定している。開発した漆喰は石灰に鉱物のゼオライトを混ぜ合わせてつくる。ゼオライトには放射性物質を引き付ける性質があり、これを利用して、がれきや汚染水に含まれる放射性セシウムを吸着する。ゼオライトを利用した漆喰はこれまでも開発されているが、強度が弱く建材として利用できなかった。研究チームはカキの貝殻を原料にしたカルシウムイオン水を開発、漆喰の製造過程でイオン水を加えたところ、強度は従来の3倍になった。 日本経済新聞

福島第1事故:放出の放射性物質は90万テラベクレル 2012.5.24. 東京電力は24日、福島第1原発事故で放出された放射性物質の総量(ヨウ素換算)は推定90万テラベクレル(テラは1兆倍)と発表した。東電が総放出量を公表するのは初めて。2、3号機からの放出が約4割ずつと大半を占め、福島県飯舘村など北西方向に汚染が広がった昨年3月15〜16日の2日間で、全体の1/3の34万テラベクレルが放出されたとしている。事故直後の3月12〜31日に原発周辺で計測された大気、土壌、海水中の放射性物質濃度から総放出量を逆算。格納容器の圧力変化や建屋爆発、格納容器内の気体を逃がすベント(排気)などの時刻と突き合わせて、どの原子炉からいつ、どれだけの放出があったかを推定した。解析によると、2号機の圧力抑制室の圧力が急低下した15日、2号機から16万テラベクレルが放出。14日に水素爆発を起こした3号機の原子炉建屋から大量の白煙が上った16日には3号機から18万テラベクレルが放出された。 毎日新聞
東電、1兆円の優先株発行 政府に最大75%議決権 2012.5.21. 東京電力は21日、通常の株式と権利の内容が異なる2つの優先株を合計19億4000万株、金額換算で1兆円を発行すると発表した。福島第1原子力発電所の事故に伴う避難住民や事業者への賠償、事故後廃炉を決めた福島第1の1~4号機の収束費用、電力の安定供給に必要な燃料費などを確保する。ともに政府の原子力損害賠償支援機構が全株引き受ける。東電の経営は実質公的管理下に置かれることになる。発行の内訳は議決権をつけたA種優先株を1株200円で3200億円、議決権がないが将来議決権付き優先株に転換できるB種優先株は1株2000円で6800億円。A種、B種合わせて資本金が5000億円、資本準備金が5000億円それぞれ増加し、諸費用を除くと東電の手取り調達額は9963億円となる。 日本経済新聞

川の沖合離れるほど高濃度セシウム 2012.4.29. 東京電力が福島第一原子力発電所の周辺の海底の土に含まれる放射性物質の濃度を調べた結果、大熊町の川の沖合で、沖に離れるほどセシウムの濃度が高くなる傾向がみられました。東京電力は、福島第一原発の周辺の海底、40か所余りで、去年7月から月に1、2度、土を採取し、中に含まれる放射性物質の濃度を調べています。26日の調査の結果、原発の地元、大熊町を流れる熊川の沖合では、セシウム137の濃度が土1kg当たりで、10kmで21ベクレル、15kmで67ベクレル、20kmで120ベクレルと、沖に離れるほど濃度が高くなる傾向がみられました。熊川の沖合では、先月下旬から調査が行われていて、先月も同じ傾向がみられたということです。またほかの調査地点で、川の流れの影響を受けにくいと思われる場所では、沖に離れるほど濃度は低くなっているということです。さらに熊川の沖合では、場所によって、セシウムの濃度が先月より26日のほうが高くなっている場所もあり、東京電力が原因を調べています。東京電力は「熊川の流れが放射性物質を沖合いまで運び、その結果、『海のホットスポット』のようなものを作っている可能性がある」と説明しています。 NHK

東電は運が悪かったのか 2012.4.24. もしかすると、政府は「東京電力は運が悪かった」と思っているのではないだろうか。関西電力大飯原発の再稼働に奔走する様子をみて、疑っている。即席の安全基準にも、場当たり的な手続きにも、「根拠の薄い楽観」が垣間見えるからだ。応急処置は施したのでだいじょうぶ。さすがに福島第1原発のような運の悪いことは重ならないだろう。そんな胸の内が聞こえてきそうな気がする。しかし、あえて言うなら、東電は「運が良かった」のだ。そう思う理由はいくつかある。第一に、4号機の使用済み核燃料プールの話がある。プールは津波による電源喪失で冷却できなくなり沸騰した。そのままなら空だきになるところだが、水素爆発の影響で隣接する別のプールから水が流れ込んだ。この偶然に救われなければ、裸同然の1535本の燃料が大量溶融しかねなかった。原子炉への注水に使った消防車もそうだ。以前はなかったが、2007年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発の変圧器が燃えたため、福島にも配備されていた。けがの功名だ。極めつきは、これも中越沖地震の教訓から建てられた免震重要棟だろう。これがあったからこそ、かろうじて事故当初の現場の作業が支えられた。今も復旧作業の命綱だ。 毎日新聞

大熊町長、国からの情報不足批判…国会事故調 2012.4.22. 国会の「東京電力福島原発事故調査委員会」(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は22日、福島県会津若松市で委員会を開き、同市に役場機能を移転している大熊町の渡辺町長らから参考人聴取を行った。渡辺町長は、国からの情報不足で震災直後に町が混乱したことを批判した。渡辺町長は「避難指示以降は何の連絡もないような状況だった。国、県、電気事業者は正確な情報を迅速に伝える責任がある」と指摘。二次避難先をどこにするかも自ら判断せざるを得なかったことをあげ、「国、県の対応のまずさが批判されて当然だ」と述べた。原発事故に関する情報伝達の遅れについても「(国は)発電所がどういう状態か、知りうる最大限の情報を伝えるべきだった」と指摘した。
註:福島第一原発所長から3月11日16:00に発信の特定事象発生のファックスを見ると「通商産業大臣、福島県知事、大熊町長、双葉町長」宛てになってるから避難指示はなかったけれど事故に関する情報伝達はちゃんとやっているな。
読売新聞

食品のセシウム 新基準がスタート 2012.4.1.  1日から食品に含まれる放射性セシウムの基準が変わり、これまでの5分の1の1kg当たり100ベクレルなどと大幅に厳しくなります。 食品に含まれる放射性セシウムの基準は福島第一原発の事故のあと、緊急時の対応として野菜や肉などは暫定的に1kg当たり500ベクレルなどとされました。 しかし、事故から一定期間が経過し、食品から検出される放射性セシウムの量が少なくなっていることなどから、厚生労働省はより厳しい基準値を設定し、1日から適用することになりました。 新たな基準値は、野菜や米などの「一般食品」はこれまでの5分の1に当たる1kg当たり100ベクレル、粉ミルクなどの「乳児用食品」と「牛乳」は50ベクレル、「飲料水」は10ベクレルとなっています。 厚生労働省によりますと、ことしに入ってから3月末までに100ベクレルを超えた食品は、ヤマメやヒラメなどの水産物や生シイタケといった野菜など福島や茨城、栃木など9つの県であわせて600件に上っています。 全国の自治体では今後、新たな基準で検査が進められ、基準を超えた食品については市場に流通しないよう出荷が自粛されたり、政府から出荷停止が指示されたりすることになります。 NHK

東電、実質国有化へ 1兆円資本注入を申請 2012.3.29. 東京電力は29日、政府の原子力損害賠償支援機構へ1兆円の資本注入を申請した。福島第1原子力発電所の事故に伴う賠償支払いのため、8459億円の追加支援も要請した。資本注入されれば実質的な国有化になる。東電と機構は再建へ向けた総合特別事業計画を3月末までに提出することを目指していたが、勝俣恒久会長の後任人事が難航しているため、先延ばしにする。今後、新会長の人選を急ぎ、4月半ばまでに枝野幸男経済産業相に計画を提出する。同日、東電本店で会見した西沢社長は、資本注入の申請について「経営状況が厳しいなか手を尽くしたが、こうした事態に至ってしまった」と述べた。その上で、実質国有化後も「民間の経営感覚を忘れず、経営合理化を徹底していく」と強調した。自身の経営責任については「総合計画の中で会社全体としてしっかり織り込む」と述べるにとどめた。一方、原賠機構の下河辺運営委員長は同日、記者団に対し、総合計画の提出が遅れる理由を「会長も含めた広い意味での人事が定まらないため」と説明した。総合計画の柱となる東電に対する議決権割合やリストラ策などについて、新会長の意向を踏まえる必要があるとの認識を示した。東電が資本注入の要請に追い込まれたのは、原発の廃炉費用が今後膨らむことや、原発停止による火力発電の燃料費が急増しているため。資本注入などを東電が受けるには、枝野経産相から再建へ向けた総合計画の認定を受ける必要がある。認定されれば、機構の出資と賠償資金支援による東電への公的支援額は合計3兆5千億円を超える。東電は6月末の株主総会で株式の発行枠の拡大を決議する方針。その後、機構が1兆円分の東電株を取得し、実質国有化する。ただ、発行枠を拡大するための定款変更には株主総会で出席株主の3分の2以上の支持が求められる特別決議が必要だ。機構が実際に東電株を取得できるかは、なお流動的な要素が残る。枝野経産相が4月からの電気料金の引き上げを巡って行政指導をする考えを示したことについて、西沢社長は「何度でも(顧客に)足を運んで同意を取っていく」と述べ、値上げ浸透へ向け努力する考えを示した。 日本経済新聞

2号機の水位 底部から60cm 2012.3.26. 東京電力は26日、福島第1原発2号機の格納容器内を内視鏡で見た結果、水位は底部から60cmしかないと判明したと発表した。 原子炉への注水量から東電が予想していた水位より3m低かった。格納容器下部の圧力抑制プールが破損し、原子炉建屋地下に漏れている可能性が高まった。内視鏡による調査は今年1月に続き2回目。 前回調査では水位が確認できなかったことから、再調査した。格納容器側面にある配管開口部から内視鏡を挿入し、ケーブルを垂らしていったところ開口部から7m下に水面を確認した。格納容器内の水温は48.5~50度で推移していることから、東電は底部に落ちたとみられる燃料は水で冷やされていると判断している。たまった水は透明だったが、黄色い堆積物がもやのように舞っているのが確認された。溶融燃料の可能性は低く、砂やさびとみている。水位60cmは、格納容器と圧力抑制プールをつなぐベント管の位置まで水が達していることを意味する。圧力容器には冷却のため毎時9tonの水を注入しているが、圧力容器下部に開いた穴から格納容器に漏れた水が、圧力抑制プールの損傷部を通じて漏れている可能性が高いという。これまで圧力抑制プールに大規模な損傷はないと主張していた東電は「今の段階で損傷程度を推定するのは難しい」としている。また、東京電力は同日、同原発の放射性汚染水の塩分除去装置の配管から高濃度の放射性物質を含む水が漏れ、海に流出したと発表した。漏れたのは120m3で、うち0.08m3が流出したとみている。漏れたのは汚染水から取り除いた塩分や放射性ストロンチウムを含む濃縮塩水で、濃度は1cm3当たり14万ベクレル。 毎日新聞

福島県が拡散予測消去 当夜から受信5日分 2012.3.21. 東京電力福島第一原発の事故で、福島県が昨年3月11日の事故当夜から放射性物質拡散の予測データをメールで入手しながら、15日朝までの分をなくしていたことが県への取材で分かった。この間に1、3、4号機で相次いで爆発が起きたが、県は原発周辺の自治体にデータを示していない。県の担当者は「(データの)容量が大きすぎて、消してしまった」と話している。文部科学省の委託で放射性物質の拡散を予測するシステム(SPEEDI)を運用する原子力安全技術センターによると、センターは震災当日の昨年3月11日午後4時40分、文科省の指示を受け福島第一原発から放射性ヨウ素が毎時一ベクレル放出されたとの仮定で試算を開始。一時間ごとに文科省や経済産業省原子力安全・保安院にデータを送った。国の現地対策拠点となったオフサイトセンターと福島県にも送る予定だったが、震災で回線が壊れたため送れなかった。だが、メールの回線ならば送れることが分かり、11日深夜、オフサイトセンターに隣接する県原子力センターからの送信依頼を受け、予測データの画像を県側にメールで送信。12日深夜には県庁の災害対策本部にも同様に送り始め、一時間ごとに結果を更新し続けた。ところが、県の担当者によると、15日朝までメールの着信に気づかず、それまでに届いていたメールは消してしまったという。県は「予測は役に立たない」として、その後も送られたデータを公表せず、市町村にも知らせなかった。これらとは別に、県は13日午前10時半ごろ、保安院からもファクスで拡散予測を受け取っていた。こちらも12~13日早朝までのデータだったため、「既に過去のもので、正確ではない」として公表しなかった。県の担当者は「送られてきたデータは20km圏の範囲で、既に圏内の住民は避難した後だった。本来は国が公表すべきデータだが、結果として、住民が被ばくしたのは事実で、早めにお知らせすればよかった。」と釈明した。 東京新聞

政府、汚染の深刻さを未だ理解せず  菅谷松本市長 2012.3.12. 以下、松本市長とのインタビューから抜粋
● 原子力安全委員会は今年2月に、ようやく原発から50km圏内の全戸にヨウ素剤を配布すると提言したが、基本的には被曝する前に摂取しなければ効果が低い。遅きに失したが、チェルノブイリ原発事故を知る現地の研究者たちと交流を始めたことで、政府内には治療方法や汚染の詳細データ、原発事故による健康や環境への影響についての情報が出回り始めたのだろう。それをもっと早くやらなかったのか、大変驚いている。政府はいざという時の対応が全く出来ていなかったということだ。
● 汚染マップが一般公開されなければ、国民は情報を得ることが出来ず、正確な判断が出来ない。ストロンチウムについての情報がない。甲状腺がんを引き起こす原因となる放射性ヨウ素の汚染マップもない。 セシウム汚染状況を見るだけでも、放射性ヨウ素に汚染されている人が予想以上に存在するのではないか。日本では、放射能汚染基準として世界中が採用しているチェルノブイリ基準を採用していない、驚くべきことだ。「シーベルト」という単位と「ベクレル」という単位を平行して使っているということも、色々な判断を行う際に混乱を招いている、「ベクレル/平方メートル」で統一すべきだ。 1年が経ってしまって、この間にも放射能汚染地域に住んでいる方々は被曝し続けていると思うと、いたたまれない思いだ。
● 政府が対策委員会を開いても、参考人として招致される学者の先生方は、ほとんどが本当の事故現場を知っている訳ではなく、机上の空論だ。出てくる情報は予想を遥かに超えて汚染が酷い。 今回の事故で放出された放射性物質はチェノブイル事故の時の1~2/10程度と言われていたが、福島の方が汚染度合いは高い。図1福島市、二本松市、郡山市などの青色に塗られた地域に関しては、せめて子どもたちだけでも避難させたほうが良いと思う。
● 野田総理も住民の帰還を復興の重要課題に掲げ、除染を早く終えて、軽度の汚染地域には住民を戻すように指示している。しかし、それは汚染の深刻さが全く分かっていない行動だ。 ベラルーシでは原発から90km地点の軽度汚染地域と指定されているモーズリでも、子どもたちの免疫機能が落ち、風邪が治りにくく なったり、非常に疲れやすくなったり、貧血になるといった、チェルノブイリエイズの症状が出ている。併せて、早産、未熟児等の周産期異常も増加している。 そこで福島でモーズリに相当する汚染地域をこの図で比較してみると、福島市や郡山市も含まれていることがわかる。この辺りに住み続けた子どもが、将来チェルノブイリエイズと同じような 症状を発症する可能性も否定できないということだ。
● 国は、除染に過度に期待しすぎている。安全レベルまですべてを除染するためには、恐らく数十~数百兆円かかる。福島県は土地の7割が山林であり、その山を完全に除染するためには 木を根こそぎ切り落とし、岩肌がすべて見えるほど徹底して行う必要がある。そんなことは無理だ。さらに平地でも、政府は表土を5~10cm取り去れば除染効果があるとしているが、 それでは到底追いつかず、例え20cmとしても、チェルノブイリの高汚染地域では25年経っても住めないことが分かっている。更に農業を復活させようと思っても、農地の表土を20m削れば 肥沃度は落ちてしまい、農作物は育たない。つまり、除染は必要ではあるが、除染とはお金がかかる割りに効果は十分得られないということだ。中途半端に除染しても元のようには戻らず、 結局、自然に放射性物質が無くなるのを数十年以上かけて待つしかない。それなのに数年で帰還させるような指示を国のトップが出すということは、政府は汚染状況がいかに深刻な のかがわかっていないのだ。住みなれた土地に戻りたいという気持ちも分かる。そのために除染する必要があることもわかる。しかし、その前にせめて、これから人生を歩み出す子ども達だけでも、 4~5年程度安全な地域に移してあげるべきだ。
● 物質は目には見えないため、高度汚染区域や軽度汚染区域に入っても何も感じない。しかし、そこに住み続けることによって受ける被害は、チェルノブイリが証明している。 ベラルーシ共和国は貿易制限等があり、多くの食料を地産地消で賄っているが、そこに住む成人の体内セシウム蓄積量は、他の地域に住む成人よりも高いという結果も出ている。 食料についても100%安全とは言えない。そうであれば、農業従事者の方には大変お気の毒だが、一時期、福島の土地を離れ、その農業技術を別の場所で活かすということをお考えになっても 良いのではないか。松本市にもお貸し出来る農地はある。日本中に余っている農地を、福島で農業を営んでいたプロの方々に放射能不安を抱くことなく活用していただけるように、 日本全体で協力していくような仕組みも必要だ。
-● 原発を推進していたトップの方や関係者が謝罪して辞職するようなことも無く、まるでこの事故を他人事のように話をしている姿をテレビなどで見ると、 原発に対する国の考えや体質は何も変わっていない。私もこの一年間、出来る限りの声を上げて来たつもりだが、一向に前に進まない。しかし、 言い続けないことには動かない。或いは市民運動や国民運動を起こさない限り、今の日本が正しい方向に進むことは難しいのかもしれない。とにかく、今後は低線量被曝が 及ぼす健康被害問題をしっかりと見ていかなくてはならない。そして、子どもたちには、せめて半年に1回程度の無料健診を受けさせてあげたい。例え異常が見つかっても、 早期であれば十分対応可能と考える。今の決断が、まさに5年後、10年後の日本に大きな違いを生むことになるだろう。これこそ、少子化政策にもつながる極めて重要な意味 を持つものと思う。
金融ファクシミリ新聞

反原発集会 福島に1万6000人 2012.3.12. 国内外で反・脱原発集会が開かれた11日。「『原発いらない』の声は痛恨の思いを込めた福島県民の叫び。この声を全国の心ある人に届けるのは、県民の使命であり義務だ」。東京電力福島第1原発事故で、深刻な被害に苦しむ福島県で開かれた集会では、呼び掛け人代表の清水修二福島大副学長がこう訴えた。未曽有の大災害が与えたショックは今も生々しく、各地で「原発反対」の声が上がった。(参加者数はいずれも主催者発表) 福島県郡山市の開成山野球場で開かれた「原発いらない!3・11福島県民大集会」には、全国から1万6000人が集結した。 毎日新聞

エネルギー百年の大計、乱戦の全貌 山岡 淳一郎 2012.3.9. 「枝野VS東電」「原発再稼働」ではない問題の本質(以下、その要旨。)
  経営危機に陥った東電は、原子力損害賠償支援機構を通じて1兆円規模の公的資金を受けるために「総合特別事業計画」を月内に経済産業大臣へ提出しなくてはならない。その事業計画を見極めて、公費注入が決まるわけだが、枝野経産相は「国の十分な議決権が伴わない計画が提出されても、認定するつもりはまったくない」と東電側に通告している。枝野大臣は、東電株の3分の2以上の議決権を国が持ち、経営を掌握する姿勢を崩さない。「国有化」が念頭にある。経営権を握ったうえで、東電の抵抗が強かった「発送電分離」へと踏み込む構えだ。これに対して、東電は、国有化での政府負担増を嫌う財務省や、経団連の加勢を得て、猛烈な巻き返しを図っている。枝野氏が「十分な議決権」を確保できるか否かに彼の政治生命はかかっているともいわれている。
特別事業計画には「7月から家庭向け料金10%程度値上げ」「2014年3月末までに新潟・柏崎刈羽原発の再稼働」「社内カンパニー制(燃料調達・火力発電、配送電、小売)」「共同調達による燃料の安い買い付け」「LNG基地やパイプラインをガス会社と共用」などが含まれるとみられる。いずれも市民生活、産業界のエネルギー調達を左右する内容で、社会的な関心の的だ。東電という大企業の身の処し方は、発送電分離による電力自由化、再生可能エネルギーの導入や4月末に定期検査ですべてが停止する原発の再稼働に直結している。
● 電力改革を巡る本当の主戦場
電力改革の「主戦場」は、そこではない。東電の経営問題や発送電分離、原発再稼働や電力供給体制の見直しは、「局地戦」。主戦場は、原子力を何年後にゼロにするのか、あるいは一定程度維持するのか。その根本策を議論している場こそ、主戦場だ。経産省の外局である資源エネルギー庁の「総合資源エネルギー調査会」、内閣府の「エネルギー・環境会議」と「原子力委員会」が、それに当たる。
主戦場と局地戦場、今夏にひとつの戦略に収斂される。 8月頃、ベストミックスを絞り込んだ『革新的エネルギー戦略』が発表される。担当は、古川戦略相。遡って、3月から5月にかけて、東電の特別事業計画や総合資源エネルギー調査会の「ベストミックス選択肢」、原子力政策の根幹をなす「核燃料サイクルの選択肢」が提示され、地方議会では原発再稼働が議論される。再稼働については自治体の承認を得たうえで、4大臣会議(総理、官房長官、経産大臣、原発大臣)で決めるとされている。4月には「原子力規制庁」が発足し、原発の安全基準や防災計画などの見直しが本格化する。再稼働は規制庁の動きともリンクしている。今春は、日本の電力システム全体の命運をかけた論戦が一斉に活発化する。夏の決戦本番に向けての「春の陣」だ。
● 改革のキーパーソンは「枝野、細野、仙谷、馬淵」
今回は、まず主戦場でのエネルギーのベストミックス論議に焦点を当てよう。
「政治家で、電力改革に影響力を持っているのは、枝野大臣、細野原発大臣、民主党仙谷政調会長代行。発送電分離を検討する『電力改革及び東京電力に関する関係閣僚会合』は、藤村官房長官が座長だけど、枝野さんが切り盛り。その枝野さんに知恵を授けて、東電対応の窓口になっているのが仙谷さん」と、経産省のキャリア官僚は言う。さらに「いまは閣外だけど、馬淵元国交大臣も『核燃料サイクル』に焦点を絞って積極的に発言している」とつけ加えた。
政府は、2010年6月にエネルギー基本計画を閣議決定、原発を2020年までに9基増設、原発の発電割合を50%まで高める計画だった。原発に頼ったエネルギー基本計画は、原発の爆発で安全神話とともに砕け散った。菅前首相は「脱原発」、野田首相は「脱原発依存」と54基の維持は難しい。民主党政権は、計画立案の組織構成を変えた。従来のエネルギー政策は経産省だけでまとめていたが、総理直属の国家戦略室に「エネルギー・環境会議」を設け、閣僚級メンバーを集める。ここを中心に新計画をつくる筋道をこしらえた。エネルギー・環境会議の『革新的エネルギー・環境戦略』を最上位に位置づけたのだ。
● 電力改革の最前線は「基本問題委員会」
とはいえ、国家戦略室にエネルギーのベストミックスを考える技量はなく、実際の計画づくりは、経産省の総合資源エネルギー調査会の「基本問題委員会」に委ねられる。 この基本問題委員会こそ、目下、電力改革の最前線だ。新日鉄三村会長が委員長を務める基本問題委員会は、3月末にはエネルギーのベストミックス選択肢を「複数」、エネルギー・環境会議に提示する。昨年10月に委員会がスタートしてから2カ月ほどは委員のプレゼンテーションと質疑が延々と続くばかりで、議論の入口にも立たなかった。それが、年末に経産省の事務局による「論点整理」がいきなり出され、「望ましいエネルギーミックス」の基本的方向性として、下記の4つが示される。
(1)需要家の行動様式や社会インフラの変革をも視野に入れ、省エネルギー・節電対策を抜本的に強化すること。
(2)再生可能エネルギーの開発・利用を最大限加速化させること。
(3)天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を有効活用すること。
(4)原子力発電への依存度をできる限り低減させること。
さらに、事務局は原子力発電への依存度の低減や中長期的な位置付けについては、「反原発」と「原発推進」の二項対立を乗り越えた「国民的議論」の展開を強調し、次のように論点を整理した。 「まず、我が国が直面する地震や津波のリスク、事故が起きた時の甚大なコストや苦しみ、地域経済の崩壊や環境への被害、不十分な安全管理技術や老朽化によるリスク、国民の暮らしの安心と安全、未解決で後世に負担を先送りかねない放射性廃棄物の処分問題、国民の多くの声などを踏まえ、できるだけ早期に原子力発電から撤退すべきとの意見が少なくなかった。」
● 電力改革の主戦場でど真ん中に位置する核燃料サイクル問題
しかし、原発や再処理施設の地元選出の国会議員(推進派)を除けば、核燃料サイクルについて明確な意思表示をしている政治家は極めて少ない。降りかかる火の粉を怖れるからだろうか。 そのなかで、元国土交通大臣の馬淵澄夫氏は、「原子力バックエンド問題勉強会」(顧問:鳩山衆議院議員、鉢呂衆議院議員ほか73名参加)を組織し、昨年来、ひんぱんに会合を開いて、 「第1次提案」を出した。そこには六ヶ所再処理施設の当面の中断や、核燃料サイクル方針の当面の凍結なども含まれている。
日経ビジネス

<東京電力>若手社員が独自に改革案 首脳部が一蹴 2012.3.2.  昨年12月、政府の電力改革の標的となっていた東京電力本店内に「コードネーム・希望」と記されたA4判5枚の文書が出回った。 作成したのは燃料部や資材部などに所属する中堅・若手の有志社員。若手が動いたのは「政府の機先を制し、東電主導の改革を実現する」のが狙いだった。 文書には「国から分割案を押しつけられるのを待たずに新しい電力供給の議論を主導する」とある。改革案は、生き残りの条件として「原子力国有化」「電気料金値上げ」を挙げ、 「徹底的合理化」「発電と送配電の分割」をセットで実施するのが柱。新生東電の姿を「若い世代が希望や夢を持てる会社」とした。この文書は東電首脳部にも届いたが、一蹴され、 その後の経営方針に生かされることはなかった。文書には「民主党政権が倒れて自民党政権になれば事態が好転するという期待は甘い」ともあった。 「首脳部の一部は、与野党逆転が実現するのを期待しているのでは」(東電関係者)との声も漏れ、首脳部批判とも受け取れた。いったんは封印された改革案だったが、間もなく、 東電改革の全体像を示す総合特別事業計画を立案中の政府の原子力損害賠償支援機構と東電の計画素案で、息を吹き返す。素案の目玉とされる「分社化」案だ。若手の改革案では現在の燃料調達、 発電、送配電の3部門制のうち、発電を原子力発電会社(国営)と4つの火力、水力発電会社に5分割し、計7事業に分けてそれぞれ会社を創設する案を盛り込んでいた。支援機構の素案は、 燃料調達と火力発電を統合し、送配電と小売りの計三つの社内カンパニーを設置する方針だ。東電を「完全解体」し、民間に資産を売却せずに済む内容だった。東電や政府関係者によると、 改革案をまとめた有志社員は、支援機構の幹部と接触し、東電の経営合理化策などについて定期的に意見交換してきたという。若手改革案と機構素案では事業分けなどに違いがあり、 政府関係者は「機構が改革案を採用したわけではない」と指摘しつつも、「若手の改革の動きは心強い」と語る。改革文書が東電内に出回ったのと同じころ東電中枢の企画部の中にも 「社内改革」の動きが芽生える。昨年12月27日、東京都内の高層ビルの一室に中堅、若手社員30人が集まった。民主党内で東電改革を主導し、東電首脳部との交渉役とされる仙谷由人 政調会長代行と旧知の財界人の「講話」を聞くためだった。会合は3時間以上に及び、東電の現状や改革に取り組む姿勢について議論が交わされた。「私の話に熱心に耳を傾けた連中が 次の東電を担うだろう」。次期会長候補にも取りざたされている財界人はこう述べた。「料金値上げは権利」と主張して政府への対抗心を隠さず、「抜き打ち」の法人向け電気料金値上げなど で主導権を維持しようとする東電首脳部との対立が激化する中、支援機構側には「現実路線に導くパイプ」とも映る。政府は勝俣恒久会長や西沢俊夫社長ら取締役全員を退任させる方針で、 西沢社長後任は内部からの人選を進める。支援機構は部長級の中堅幹部を個別に面接し、内部改革の旗振り役にふさわしい人材発掘を急いでいる。 。 毎日新聞
パニックと極度の情報錯綜 「やめた方がいいですよ」 枝野氏は菅首相にダメ出していたが… 2012.2.28 福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)の報告書から浮かび上がるのは、「パニックと極度の情報錯綜」(報告書)に陥り、「テンパッた」(同)状況となった当時の菅直人首相や官邸中枢が、現場に無用な混乱を招き、事故の危険性を高めた実態だ。調査の結果、菅氏による「人災」が証明されたといえる。「厳しい環境の中でやるべきことはやった。一定の達成感を感じている」菅氏は昨年8月の首相退陣表明の記者会見でこう自賛した。だが、報告書が指摘するのはむしろ、やるべきでないことばかり繰り返した菅氏の姿だ。報告書によると菅氏が東日本大震災発生翌日の3月12日早朝、東京電力福島第1原発を視察することに、当初は枝野官房長官(当時)も海江田経済産業相(同)も福山官房副長官(同)も反対だった。ところが、「言い出したら聞かない」(報告書)菅氏は視察を強行する。視察に同行した班目原子力安全委員長は現地に向かうヘリ機中で種々の懸念を説明しようとしたが、菅氏は「俺は基本的なことは分かっている。俺の質問にだけ答えろ」と聞く耳を持とうとしなかった。また、菅氏は第1原発に代替バッテリーが必要と判明した際には、自分の携帯電話で担当者に「大きさは」「縦横何メートル」「重さは」などと質問し、熱心にメモをとっていた。同席者は「首相がそんな細かいことまで聞くというのは、国としてどうなのかとぞっとした」と述べたという。菅氏が官僚機構に不信を抱き、セカンドオピニオンを求めるために3月中に次々と6人もの内閣官房参与を任命したことには、当時からメディアで「船頭多くして船山にのぼる」という批判が強かった。この点について枝野氏は事故調に「常に『やめた方がいいですよ』と止めていました」と証言した。官邸中枢スタッフもこう述べている。「何の責任も権限もない、専門知識だって疑わしい人たちが密室の中での決定に関与するのは、個人的には問題だと思う」菅氏が原発事故の初期段階以降も他の閣僚や事務レベルに適切な権限委譲を行わず、引き続き直接的な関与を続けたことへの批判も指摘されている。「(政府と東電の)統合本部の士気を低下させるから、なるべく菅さんが出てこないように言ってほしいと何人かから頼まれた」これは官邸スタッフの言葉だ。同様の証言は報告書を待つまでもなく、当時から枚挙にいとまがない。報告書は「菅首相の個性が政府全体の危機対応の観点からは混乱や摩擦の原因ともなったとの見方もある」と指摘する。ただ、これは「前首相」に一定の配慮を示した控えめの表現だろう。 産経新聞

福島第一 対応「場当たり的」 民間事故調が報告書 2012.2.28. 学者や元検事ら民間人でつくる「福島原発事故民間独立検証委員会」(民間事故調、北沢宏一委員長)は27日、報告書を公表した。菅直人前首相らから事情を聴き、東京電力福島第一原発の事故当時、政府内部が混乱していた状況を詳しくまとめた。問題点として、場当たり的な対応、規制当局の能力不足、縦割り行政の弊害などを指摘した。報告書によると、1号機の原子炉内の蒸気を放出するベント実施前に、避難区域が三キロとされたことについて、班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長は「(放射性物質を含む気体を直接放出する)ドライベントは失念していた。ドライベントの場合、避難は3kmでは足りない」と述べた。1号機の水素爆発時、班目委員長は「あー」と頭を抱えるばかりだった。民間事故調の聴取に「水素爆発はないと首相に話していたので、水素爆発だと分かっても何も言えなかった」と答えた。官邸の危機感が頂点に達したのは、2号機の状態が悪化した3月14~15日。東電の清水社長(当時)から福島第一原発からの撤退を申し出る電話が枝野官房長官(当時)らに何度もあり、「まだやれることはある」とする官邸と対立。菅前首相の東電乗り込みにつながった。一方で枝野長官らは近藤駿介原子力委員長に、事故が深刻になった場合を想定した「最悪シナリオ」を作るよう依頼しシナリオは9月の菅前首相退任まで秘密にされた、としている。民間事故調は、シンクタンク「日本再建イニシアティブ」(船橋理事長)が主導し、委員6人と約30人の作業グループが調査に当たった。政府関係者を中心に300人に聴いたが、東電首脳への聴取はできず、事故調は「協力が得られなかった」としている。 東京新聞

SPEEDI「存在も知らず」 2012.2.28. 去年3月の原発事故で、放射性物質の広がりを予測するシステム「SPEEDI」が住民の避難にいかされなかったことについて、菅前総理大臣ら、事故の対応を中心となって行った政治家たちが「所管する文部科学省などから説明を受けず、事故から数日たってもその存在すら知らなかった」と民間の事故調査委員会に対して証言していることが分かりました。原子力事故が起きた際に放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」は、開発・運用に120億円の費用が投じられながら、去年3月の原発事故で住民の避難に生かされず、政府の対応に批判が出ています。これについて、28日に公表される民間事故調の報告書の中で、事故対応を中心になって行った菅前総理大臣ら5人の政治家が「所管する文部科学省などから説明がなく、事故から数日たってもその存在すら知らなかった」と証言していることが分かりました。調査の対象となった5人のうち、当時の枝野官房長官と福山官房副長官は、2号機から大量の放射性物質が放出された去年3月15日ごろ、マスコミからの指摘で初めてSPEEDIの存在を知ったと話しているほか、当時の海江田経済産業大臣は「存在すら知らなかったので、データを早く持ってこいと言うことができなかった。本当にじくじたる思いだ」と述べたということです。SPEEDIの説明がなかったことについて枝野前官房長官は「予測の計算に必要な放射性物質の放出に関する数値が得られなかったためデータの信頼性が低く、説明の必要はないと判断した」と文部科学省から報告を受けたと話しています。これについて民間事故調は、28日公表する報告書で「SPEEDIは原発を立地する際、住民の安心を買うための『見せ玉』にすぎなかった」と厳しく批判したうえで「住民の被ばくの可能性を低減するため、最大限活用する姿勢が必要だった」と指摘しています。また、災害時の情報発信に詳しい東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授は「原子力災害が起きている最中に指揮官である官邸の政治家が存在さえ知らないというのは通常は考えられない。SPEEDIの存在を政治家に報告しなかった官僚も問題だが、官邸にも危機管理能力がなかったと言わざるをえない」と話しています。 NHK

米当局 メルトダウン想定して対応 2012.2.22. アメリカ原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生直後の委員会内部のやり取りを記録した議事録を公表しました。この中では、アメリカ当局が、事故発生から5日後には、最悪の事態を想定すると1号機から3号機までの3つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もあるとして、日本政府が付近の住民に出した避難・屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう提起していたことが分かりました。アメリカ原子力規制委員会は、21日、東日本大震災が発生した去年3月11日から10日間にわたる、委員会内部の電話などによる緊急会議のやり取りを記した3000ページ以上にわたる議事録を公表しました。それによりますと、事故発生から2日後のアメリカ東部時間12日には、福島第一原発の敷地内の周辺でセシウムなどが検出されたことが分かったことから、少なくとも原子炉内部で部分的な炉心損傷が起きている可能性があるなどとして、発電所から半径50マイル=およそ80km圏内に避難勧告を出すべきはないかと、幹部が原子力委員会に対して進言していたことが分かりました。さらに、16日には、原子力規制委員会のヤツコ委員長が、最悪の事態を想定すると、1号機から3号機までの3つの原子炉がすべてメルトダウンする可能性もあると指摘し、また、ボーチャード事務局長が、「同じ事態がアメリカ国内で発生すれば、原発から50マイル以内には避難勧告を出すのが妥当だと思われる」と述べて、日本政府が福島第一原発の付近の住民に出した半径20km圏内の避難指示、20kmから30km圏の屋内退避指示よりも広い範囲の勧告を行うよう、委員会に提起していたことが分かりました。今回、公表された議事録は、アメリカの規制当局が福島第一原発の事故を受けてどのような初動対応を行ったかを示す資料だけに、関心を集めるものとみられます。今回公開された議事録からは、事故直後の情報の錯そうぶりも伝わってきます。3月16日の早い段階では、東京で対応に当たっている専門家チームのメンバーが、「東京電力から、4号機の使用済み燃料プールに水が残っていないとの情報を得た」として、とにかく注水を急ぐべきだとしています。しかし、ヤツコ委員長らが、50マイル圏内の避難勧告を出すと決めたあと、同じ日の遅い時間になって、「東京電力は、燃料プールに水が残っていないとは言っていない」という情報がもたらされ、委員長が、正確な情報を改めてスタッフにただす様子もうかがえます。専門家チームのカスト代表は、「東京電力が扱うには、あまりに問題が大きすぎる」と漏らし、日本側との間で、情報が錯そうしていたことをうかがわせています。公開された議事録は、原子力の安全規制を担当する原子力規制委員会が、アメリカとして、東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応を検討するために開いた電話会議などの内容を記録したものです。議事録は、アメリカの情報公開法に基づいて公開され、事故が発生した3月11日から20日までの10日分、合わせて3200ページ余りに上ります。議事録には、原子力規制委員会のトップであるヤツコ委員長と、日本に派遣されていた担当者などとの間で交わされたやり取りが詳細に記され、日本側から得られた福島第一原発に関する情報などを基に、委員会が日本に滞在するアメリカ人の避難などを検討していった様子がうかがえます。一方、議事録では、日本にいる担当者と当時の北澤防衛大臣ら防衛省幹部とのやり取りを記した部分など一部が黒く塗りつぶされ公開されていません。非公開の理由について、委員会側は、「外国からもたらされた情報で機密に当たる」と説明しています。 NHK

もんじゅ:ナトリウム漏れの検出器が停止 2012.2.16. 経済産業省原子力安全・保安院は16日、日本原子力研究開発機構が管理する高速増殖原型炉「もんじゅ」で、ナトリウム漏れの検出器が停止し、一時、保安規定を逸脱したと発表した。もんじゅは運転停止中で、ナトリウムや放射性物質の漏えいはないという。同機構は、午後3時11分にナトリウムが入っている配管系統で検出器の故障を示す警報が鳴り、検出器10個全てが止まっていることを確認した。保安規定では全て検出器を動かすと定めている。配管周辺の空気を検出器に送る送風機を制御するヒューズが飛んでいたことから、送風機の故障が検出器の停止につながったとみている。同機構はヒューズを交換して検出器は午後5時26分に復旧した。 毎日新聞

東電支援、経営権が条件 経産相「十分な議決権を」 2012.2.13. 枝野幸男経済産業相は13日午後、経産省内で東京電力の西沢俊夫社長と会い、東電への公的資金による資本注入の条件として「十分な議決権」を国に譲り渡すよう求めた。具体的な比率には言及しなかったが、定款変更など経営の重要事項を決定できる3分の2以上を視野に、少なくとも過半の議決権を取得し、経営権を掌握することを想定している。経産相はそのうえで、東電と原子力損害賠償支援機構が申請していた賠償資金の追加援助を認定した。
総合特別事業計画の策定に向けた枝野幸男経産相の主な指示
○ 公的資金による資本注入の前提として、注入額に見合う十分な議決権を要求
○ 経営責任の明確化
○ 電気料金原価の見直し結果を企業向け料金にさかのぼって適用
○ 原子力被害賠償の加速
○ 思い切った事業再編、不動産売却・経営合理化の加速
 東電と機構は3月末までに、福島第1原子力発電所の事故賠償への政府支援を続ける前提となる総合特別事業計画をまとめる。機構が1兆円の公的資金で東電に資本注入し、廃炉費用などで悪化する東電の財務基盤を強化することが柱。計画は経産相の認定が必要となる。経産相は会談で「資本注入額に照らし、十分な議決権を伴わない形で資本注入を求める総合計画が提出されても、認定するつもりは全くない」と強調した。西沢社長は「大臣の考えを踏まえ、機構とよく調整したい」と応じるにとどめた。経産相はこのほか、総合計画の策定に当たり、経営合理化策の上積みや不動産売却の加速を指示。家庭向け電気料金の算定根拠である原価を洗い直し、その結果を4月から予定する平均17%の企業向け料金引き上げにさかのぼって反映するよう求めた。経営責任にけじめをつけ、思い切った事業再編で高コスト経営を改めるよう要求した。経産相はこうした基本姿勢を示したうえで、東電と機構が申請していた6900億円の賠償資金の追加援助について認定した。これを受け、東電は同日夕、2011年4~12月期決算を発表する。総合計画の策定が最終局面に入る前に、計画を認定する経産相が東電の経営権を国が握る姿勢を明確に示した格好だ。東電の時価総額は現在、約3200億円。1兆円の資本注入なら、国が3分の2以上の議決権を得ることは十分に可能。ただ東電は経営の独立性を重視し、国に経営権を譲り渡すことになお難色を示している。財務省も国が廃炉などの責任を負いかねないことを懸念し、議決権を半分未満にするよう主張している。経産相は公的資金の活用に世論の理解を得るためにも、東電の経営権を国が掌握する必要があると判断。国の主導で東電の経営体制の見直しを進め、今後の電力制度全体の改革につなげる狙いがある。総合計画では、経営権を巡る東電の最終判断に加え、経営トップへの外部人材の登用、取引金融機関の追加融資などの課題にどう決着をつけるかが焦点だ。
日本経済新聞

昨年3月、東電、線量マップを先ず米に提供、保安院には翌日 2012.2.12. 東京電力は11日、昨年4月24日に発表した福島第1原子力発電所構内の放射線量の分布を図示したサーベイマップを、同年3月22日から米原子力規制委員会(NRC)に提供していたことを明らかにした。経済産業省原子力安全・保安院や自衛隊、協力企業などには翌23日から報告していた。提供したマップはNRCの要請で作成を始め、現場作業にも活用したという。その後、東電は記者会見で敷地内の個別の場所の放射線量は説明していたが、全体が一覧できるマップを公開したのは約1カ月後だった。文部科学省が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータを国内公表より先に米軍に提供したことなども既に判明している。 日本経済新聞

原発大国、新設に回帰 米が34年ぶり承認 2012.2.11. 世界最多の104基の原子炉を抱える米国が9日、34年ぶりの原発新設に大きな一歩を踏み出した。福島第1原発の事故後も原子力を主要なエネルギー源とみるオバマ政権の意向を反映している。採算やリスクの見極めが原発新設の潮流を左右しそうだ。「原子力産業にとって歴史に残る成果だ」。米電力大手サザンカンパニーのトーマス・ファニングCEOは9日の声明で強調した。米原子力規制委員会(NRC)は同日、米南部ジョージア州でサザン社が計画するボーグル原発3、4号機に建設・運転認可を出すことを承認。近く正式に認可され手続きが終わる見通しだ。新設が認められるのはスリーマイル島で原発事故が起きる前年の1978年以来となる。米国ではブッシュ前政権下で原発を再評価する機運が高まり、2008年前後に計画の申請が相次いだ。しかし需要の低迷や、新型天然ガス「シェールガス」の増産に伴う火力発電の見直しで建設の熱は冷めていった。昨年3月の福島原発の事故は、安全対策の強化に伴う建設コストの上昇や計画の遅れを招いた。ボーグル原発3、4号機の建設費用は総額140億ドル(約1兆円)。一般にガス火力発電所の5倍程度の初期コストがかかるとされる。それでもサザン社が計画を堅持できたのは、米エネルギー省から取り付けた83億ドルの債務保証のおかげだけではない。すでに原発が立地し、電力源の多様化を重視するジョージア州も建設開始と同時に、電力料金に上乗せする形でコストの回収を認める制度を導入。国と州がそろって後押しする環境に恵まれた。NRCは現在約20基の計画を審査中。だが業界団体の米原子力エネルギー協会は「20年以前に新設されるのは、ボーグル原発とサウスカロライナ州で別の電力大手が計画中の2基ぐらいだろう」と慎重だ。反原発の一部の団体は9日、NRCの決定を不服として提訴する方針を示した。米国では発電量で45%を占める石炭火力に環境規制の逆風が強まる。「シェールガス革命」で急落した米国内のガス価格も「いまの水準にとどまっている保証はない」(サザンカンパニーのファニングCEO)。原発は建設後の運転コストが相対的に安く、有力な選択肢との見方は根強い。 日本経済新聞

東日本の17都県で生産されたまきと木炭を燃やした灰で製麺や山菜のあく抜きなどに使用しない 2012.2.10 林野庁は10日、東日本の17都県で生産されたまきと木炭を燃やした灰について、製麺や山菜のあく抜きなどの食品加工に使用しないよう、食品業界の団体や都道府県に周知、指導を要請した。沖縄県で7日、製麺に福島県産のまきの灰を使った沖縄そばから、規制値の半分の放射性セシウムが検出されたことを受けた対応。林野庁はこれまで、1キログラム当たりの放射性セシウムが、薪は40ベクレル、木炭は280ベクレルを超えたら流通させないよう関係団体に要請していたが「基準を作る上で、灰を食品加工に使用することは想定していなかった」としている。 産経新聞

宮城県南部の薪から指標値18倍のセシウム検出 2012.2.12. 宮城県南部で薪まきとその焼却灰に含まれる放射性物質を調査していた環境省は10日、薪から最大で国の指標値の18倍にあたる放射性セシウムを検出したと発表した。 焼却灰からも、最大で国の基準値の7倍に上るセシウムが検出された。同省によると、1月26、27日に県南9市町で実施。薪は6市町で指標値(1kgあたり40ベクレル)を超え、 村田町730ベクレル、白石市670ベクレル、丸森町460ベクレルなどを検出。焼却灰も4市町で一般廃棄物として処分できる国の基準値(同8000ベクレル)を上回り、丸森町で 5万9000ベクレル、白石市2万8000ベクレルなどを検出した。 読売新聞

原発事故の最悪シナリオが避けられたのは“幸運”に恵まれたからです 2012.2.8. 田坂さんは、今年1月17日に上梓された『官邸から見た原発事故の真実』(光文社新書)において、福島原発事故は、「最悪の場合には、首都圏3000万人が避難を余儀なくされる可能性があった」と述べられていますね。これは、最悪の場合を想定したシミュレーション計算をご覧になったからと述べられていますが、それは、昨年末に原子力委員会が発表した昨年3月25日付のシミュレーション計算でしょうか?
田坂:同様のシミュレーション計算の結果を、私も、昨年3月末に見ています。 この原子力委員会のシミュレーション計算の結果は、「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」というメモとして、すでに公表されていますので、多くの方がご覧になっていると思いますが、 このメモは、この福島原発事故が最悪の事態に進展した場合、「強制移転をもとめるべき地域が170km以遠にも生じる可能性」や「年間線量が自然放射線レベルを大幅に超えることをもって移転を希望 する場合認めるべき地域が250km以遠にも発生することになる可能性」があったことを明らかにしています。
メモの中では、「首都圏三千万人の避難」という言葉は直接には使われていませんが、「170km以遠」「250km以遠」ということは、端的に言えば「首都圏3000万人の避難」にも結びつく可能性が あったということを示しています。
―― その深刻な「最悪の事態」は、直ちに起こる可能性があったのでしょうか?
田坂:いえ、その「最悪の事態」は、あの時点においても、直ちに起こる可能性はありませんでした。原子力委員会のメモにも書かれているように、 「最悪シナリオ」とは、次のようなものです。まず、1号機の格納容器や圧力容器で水素爆発が起こり、容器外への大量の放射能の放出が生じる。これに伴ってサイト内の被曝線量が急激に増大し 、作業員はサイトからの退避を余儀なくされる。その結果、すべての原子炉と使用済み燃料プールの注水と冷却が困難になり、時間の経過とともに、原子炉と燃料プールがドライアウトを始め、 まず、4号機プールに保管してある使用済み燃料が溶融崩壊を起こし、コンクリートとの相互作用により、大量の放射能の環境への放出が始まる。そして、それに続いて、他の原子炉や燃料プール内 の燃料も溶融崩壊を始め、さらに大量の放射能の環境への放出が起こる。これが、「最悪シナリオ」と想定されたものです。
(以下は左記のリンク先参照)
日経ビジネス

核燃料サイクル中止提言 2012.2.7. 民主党の有志議員でつくる「原子力バックエンド問題研究会」会長の馬淵澄夫元国土交通相らは7日夜、首相官邸に藤村修官房長官を訪ね、原子力政策見直しを求める提言書を手渡した。核燃料サイクル関連事業の中止が柱。提言書は、青森県六ケ所村の核燃料再処理工場の稼働を当面中断することや、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の事業停止の必要性を指摘。東京電力福島第1原発事故で従来の核燃料サイクルの限界が露呈したとして「使用済み核燃料の貯蔵、処分をどうするか、現実的な政策判断が必要だ」と訴えている。 時事通信

原発自治体に寄付1600億円超 2012.2.6. 原子力発電所のある自治体に電力会社が提供した寄付金の総額は、これまでに1600億円以上に上っていることが、各自治体への取材や情報公開請求で分かりました。この寄付金は、発電事業に必要な費用として電気料金に組み入れられてきましたが、電気料金制度について議論してきた経済産業省の有識者会議は、「これまでのように費用として認めるべきではない」と指摘しています。原発のある自治体には、国からの交付金や核燃料税などの税金、それに電力会社からの寄付金が、原発の建設や稼働に伴って入ってきますが、このうち寄付金については、公開の義務がないため、実態がよく分からないと指摘されています。NHKは、この寄付金について、原発のある13の県と北海道、それに30の市町村の合わせて44の自治体を取材するとともに、公文書の情報公開請求を行いました。その結果、原発の建設が始まった昭和40年代からこれまでの寄付金の総額は、全国で最も多くの原発が立地する福井県が単独で235億円余り、青森県が設立した財団などに192億円余り、青森県東通村で180億円余りなどとなっており、総額は1640億円余りに上ることが分かりました。また、公開された公文書によりますと、福井県の敦賀市では、日本原子力発電や関西電力、北陸電力などの電力会社が提供した寄付金で、昭和45年以降、劇場や展示場などが入った大型施設が建設されているほか、アニメキャラクターの銅像や市のPRビデオなどの作成、植樹などの事業も進められています。静岡県の浜岡原発を巡っては、平成8年、旧浜岡町が5号機の増設計画に同意する条件として、地域振興への「特段の協力」を求め、中部電力から25億円の寄付を受けたほか、1号機と2号機の廃炉に伴って、平成21年には、静岡県が「国からの交付金を受け取れなくなる」として、代わりに寄付を求め、16億3000万円を受け取っています。北海道の泊原発を巡っては、自治体と電力会社が原発推進と地域振興に互いに協力し合った証しとして、北海道電力から泊村に、昭和59年に4億3500万円が、平成13年には8億円が支払われています。寄付金を巡っては、原発推進を目的に電力会社が申し出るだけでなく、地域振興をねらう自治体側から求めるケースもあります。電気料金制度の見直しについて議論してきた経済産業省の有識者会議は、先週示した政府への報告書案の中で、「これまでのように発電事業にかかった費用として認めるべきではない」と指摘しています。 NHK

「調査中なのに理解できない」 国会原発事故調が原子力規制庁設置法案を異例の批判 2012.2.2. 国会の東京電力福島第1原発事故調査委員会の黒川清委員長は2日、政府が「原子力規制庁」の4月設置などを柱とする原子力規制関連法の改正案を閣議決定したことに対し、「行政組織のあり方の見直しを含め提言を行う国会事故調が調査の最中にもかかわらず、組織のあり方を定めた法案を決定したことは理解できない」とする異例の声明を発表した。声明は同日、野田佳彦首相や衆参両院議長をはじめ全国会議員に配布された。政府決定の見直しと「国会における責任ある対応」も求めている。昨年10月に施行された国会事故調の設置を定めた法律の第10条では、同事故調が事故の原因究明とともに行政組織のあり方の見直しを含めた提言を行うよう定めている。 産経新聞

4号機 原子炉内の水が漏れる 2012.2.1.  東京電力福島第一原子力発電所の4号機で、原子炉につながる配管が壊れ、原子炉内の水、少なくともおよそ6リットルが、建物の中で漏れているのが見つかり、東京電力が原因を調べています。 東京電力によりますと、31日午後10時半ごろ、福島第一原発の4号機の原子炉がある建物の1階で、パトロールをしていた作業員が、原子炉につながる直径9ミリの配管から水が漏れているのを見つけました。水漏れは、配管の原子炉側にある弁を閉じたところ止まりましたが、水は少なくともおよそ6リットルが床に漏れていたということです。また、放射性物質の濃度が1立方センチメートル当たり35.5ベクレルで、原子炉の水とみられていますが、建物の外には漏れていないということです。配管はステンレス製で、接続されている弁が外れるように壊れていたほか、原子炉につながるタンクの水位が、30日午後4時前から下がっていたということで、東京電力が原因を調べています。福島第一原発では、先月28日から31日までに、冷え込みによる凍結が原因とみられる水漏れが24か所で見つかっています。東京電力は、「配管からの水漏れは凍結が原因ではないとみているが、はっきりしたことは分からない」と話しています。 NHK

原発賠償、遠い和解…747件中まだ成立3件 2012.1.31. 東京電力福島第一原発事故の賠償問題を巡り、政府の原子力損害賠償紛争解決センターの活動が正念場を迎えている。業務開始から5か月たつが、30日までに和解にこぎ着けたのは申し立てのあった747件のうちまだ3件。センターは今後、争点になりやすいポイントごとに賠償基準を順次公表する方針で、「基準がはっきりしてくれば、当事者間の直接交渉も進むはず」としている。センターは、賠償額などで対立する東電と被災者の紛争を裁判以外で解決するため、昨年9月、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の下で業務を開始。被災者の申し立てを受けて、計128人の弁護士が仲介委員として言い分を聞き、合意による解決を目指す。申し立てられたケースでは、避難生活による精神的損害に対する賠償金の増額を求めるものや、東電が「国の避難区域の見直しが行われないと対応不能」としている避難区域内の不動産に対する賠償を求めるものが多いという。紛争解決が進まない最大の理由について、センターの弁護士の一人は、「本人が直接申し立てるケースが予想外に多かった」と話す。弁護士などが付かない申し立ては全体の8割。領収書類が整理されないまま提出されたり、損害を証明する書類がほとんどなかったりで、弁護士などが務める調査官が詳しく主張を聞き直さなければならないケースが多い。このため、解決に要する期間として想定していた3か月を大幅に上回るケースが出ている。また、東電が、4月1日がめどとされる国の避難区域の見直しなどを見据えて和解案などへの回答を保留したり、同審査会が示した中間指針が触れていない項目については賠償に消極的な姿勢が目立つことも一因とされ、センター内には「東電はもっと主体的に賠償に臨んでもらいたい」という声もある。 読売新聞

セシウム放出量が増加 2012.1.29. 22~28日の1週間、福島第1原発では、新たに大気中へ放出される放射性セシウムの量が昨年12月より増えていることが分かった。東電の推定では、1~3号機からの放出量は合わせて毎時7200万ベクレルで、昨年12月より1200万ベクレル多かった。2、3号機の原子炉建屋内での作業が増え、床などに積もったセシウムが舞い上がったことが原因という。これまでセシウムの放出量は順調に減り、現在は事故当初の千百万分の一にまで減少。しかし、東電は「今後は劇的に減らすのは難しい。当面はこの水準が続く」と見込んでいる。 一方、原発前の海底に積もったセシウムなどが舞い上がって海中で拡散しないよう、対策を取ることになった。粘土とセメントを混ぜ、港内の海底を60センチの厚さに覆う計画。2月上旬から3カ月かけて作業する。
東京新聞

もんじゅの制御棒でトラブル 保安院が1カ月公表せず 2012.1.20 経済産業省原子力安全・保安院は20日、高速増殖原型炉「もんじゅ」の制御棒を動かす装置が、昨年12月の作動試験で動かないトラブルがあったと発表した。その後の試験で正常に作動したが原因を特定できず、保安院は同日、日本原子力研究開発機構に2月29日までに原因究明を行うよう指示した。保安院や同機構によると、トラブルはもんじゅのバックアップ用の制御棒6本のうち2本で発生。昨年12月12日の制御棒を引き抜く作動試験で、1本の制御棒駆動装置が動かなかったため、残る5本を調べたところ、同20日に別の1本の駆動装置も動かなかった。当時、工場で分解と点検を終えた駆動装置をもんじゅに取り付け、作動試験をしていた。その後、装置のブレーキなどを調整し、今月20日に正常に作動することは確認したが、トラブルの原因は不明という。もんじゅは低温で停止しており設備点検中。19本ある制御棒はすべて炉心に挿入されており、安全な状態という。 産経新聞

原発20年延長可能に 政府方針、40年廃炉に例外 2012.1.17. 政府は、運転期間が40年を超えた原子力発電所を原則廃炉にする法改正案について、環境相の認可を条件に最長20年、1回に限り延長を認める例外規定を設ける方針を決めた。認可する際の判断基準や手続きは今後詰める。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて原発の安全規制を抜本的に見直すなか、原発の老朽化対策として打ち出した「40年で廃炉」が、例外規定の運用次第で形骸化することになる。17日に発表した原子力安全規制に関する関連法を改正するための「原子力安全改革法案」の骨子のなかに盛り込んだ。次期通常国会に同法案を提出する。政府は今月6日、これまで法律上明確になっていなかった原発の「寿命」について、原子炉等規制法を改正し、運転期間を40年とする方針を発表した。細野豪志原発事故担当相が例外を設ける考えを示していたが、延長期間などについては明らかにされていなかった。運転期間が40年を超える原発について、事業者が環境相に20年を上限に延長期間を申請、認可されれば1回に限り、運転の延長が認められる。この場合、原発の寿命は最長60年になる。例外規定は米国の取り組みを参考にしたという。政府は4月に環境省の外局として、経済産業省原子力安全・保安院に代わる新たな機関「原子力安全庁」を設置する方針。原子力安全改革法案はこのための環境省設置法改正など計17の法改正を目指す。同庁の監視機関「原子力安全調査委員会」の設置法案も併せて提出する。原子力安全調査委員会は、原子力安全庁内に置く。委員5人で構成し、国会の同意を得て環境相が任命する。原子力安全施策の実施状況を調査するほか、原子力事故が起きた場合には報告聴取や立ち入り検査などの権限を持ち、環境相、原子力安全庁長官などに勧告できる。また原子力災害対策特別措置法の改正案では、環境相による原子力防災指針の策定を明記し各府省や自治体の対策について規定する。原子力事業者の防災訓練に関しては実施状況を国が確認し、必要に応じて改善を命令する。 日本経済新聞

東電値上げに企業反発 生産移管・自家発電で離反も 2012.1.18. 東京電力による企業向け料金の引き上げは企業収益に重くのしかかる。デフレが続くなか、企業はコストの増加分を消費者に転嫁しにくい。SMBC日興証券の試算によると、今回の東電の値上げは、全上場企業の経常利益を1.5%押し下げる要因になる。産業界の反発は強く、一部の企業は自家発電の増設や独立系電力事業者への乗り換えで「東電離れ」を検討し始めた。自動車業界では乗用車の平均的な工場では年間10億円前後の電気料金がかかるとされ、東電管内では1工場あたり年間1億~2億円のコスト増になる。東電管内には日産自動車や富士重工業、ホンダなどが工場を持つ。群馬県などに工場を持つ富士重は群馬の2工場で自家発電設備を導入し、使用電力の半分を賄っている。今夏には太田市にも導入する。ホンダも埼玉県に建設中の新工場に大規模な太陽光発電設備を設置する。自家発電は東電からの買電に比べ割高だが、節電努力との組み合わせでコスト増を抑制する。化粧品のコーセーは主力の群馬工場に、7月をメドに数億円を投じて自家発電装置を導入。今回の値上げで東電からの購入より自家発電の方が割安になるという。電炉大手の東京製鉄は「夜間電力の使用などで協力してきたにもかかわらず、一律の大幅な値上げは非常に遺憾」とし、仮にこの幅の値上げが実行されれば、生産の一部を西日本に移管することも検討する。「これだけ値上げするのなら、独立系事業会社からの購買拡大に向けて交渉のピッチを上げる」(大手百貨店)と「東電離れ」を宣言する企業もある。
東電値上げは鉄鋼・繊維で影響が大きい
生産額に占める電気料金の割合 影 響
鉄 鋼 3.5% 電炉で夜間料金が約4割上昇
繊 維 2.5% フィルムや炭素繊維の生産コストが上昇
食 品 1.3% 冷凍食品メーカーで年間数億円のコスト増
電気機械(半導体) 0.8% 業績には大きく影響せず
輸送機械(自動車) 0.8% 1工場(乗用車)で年1~2億円前後コスト増
日本経済新聞

東電、企業向け値上げを発表 2012.1.17. 東京電力は17日、4月に実施を予定している企業向けなど「自由化部門」の電気料金引き上げを発表した。東電が示したモデルケースによると、百貨店、大規模オフィスビルなど契約電力が4000キロワットの「特別高圧」顧客では18.1%引き上げる例もある。中小規模のスーパーや事務所など契約電力150キロワットの「高圧」顧客では13.4%上げる例もあるという。「特別高圧」顧客に対しては、既存契約の単価にに1キロワット時あたり2.58円、「高圧」顧客は1キロワット時あたり2.61円を一律に上乗せする。同社は「上乗せする単価は現行料金の前提に対する燃料費等の負担増分のうち、当社の徹底した合理化を織り込んだ上でまかないきれない部分に相当する」とする。 日本経済新聞

警戒区域再編…帰還困難2万5千人、避難の3割 2012.1.8. 東京電力福島第一原発事故を受けた警戒区域と計画的避難区域の再編で、帰還まで5年以上かかるとみられる「帰還困難区域」が、福島県の関係11市町村のうち7市町村に設定される見通しであることが、政府関係者らへの取材でわかった。対象は避難者の約3割の2万5000人に上る。大熊町と双葉町はそれぞれ人口の9割、7割の住む地域が含まれており、政府側が周辺自治体に合併を打診したことも判明した。政府は、同原発から半径20キロ圏で立ち入りが制限されている警戒区域と、同圏外で年間放射線量が20mSVに達する恐れがある計画的避難区域を、4月1日をメドに「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」に3区分する。 読売新聞

宇宙からの素粒子利用、福島原発炉心の透視作戦 2012.1.7. 宇宙から飛来する素粒子を利用して、炉心溶融が起きた東京電力福島第一原発1~3号機の原子炉内部をレントゲン写真のように透視する技術の開発を、 名古屋大学のグループが進めている。東電などは同原発の廃炉に向け、今後10年以内に溶融燃料の取り出しに着手する計画で、それまでに燃料の位置を把握する必要があり、この技術開発を国も後押ししている。グループは、同原発の放射線量が下がって、現場での作業が可能になれば実用化の研究に移る。開発を進めているのは、名古屋大素粒子宇宙起源研究機構の中村光広准教授らのグループ。レントゲンのエックス線の代わりに、素粒子の一種「ミュー粒子」を使う。この粒子は物質を貫通する力が強い一方、通り抜ける物質の密度が高いほど吸収され、数が減る。このため、原子炉内を通過する粒子を観測すると、炉内密度の違いがわかる。総面積1m2の特殊なフィルムを原子炉の近くに設置。粒子の痕跡を写し出して内部を画像化する。核燃料は鉄などの炉の材料に比べて密度が高く、燃料のある部分はフィルムに淡く写り、溶融燃料の位置や形状が鮮明にわかることが期待される。
◆ミュー粒子:物質を構成する12種類の素粒子の一つ。電子とほぼ同じ性質で、質量は電子の200倍。宇宙からの放射線が大気と衝突する時に発生する。手のひらに毎秒1個の割合で降ってくる。
読売新聞

臨界・腐食防止で使用した処理水の有害物質を放置 2012.1.6. 福島第一原発で、高濃度汚染水を処理した水には、腐食防止などのため大量の化学物質が含まれ、この水が海に放出されると、放射性物質とは別に汚染を引き起こす可能性のあることが、東京電力などへの取材で分かった。水は原子炉の冷却に使われるが、建屋地下への地下水流入で、使い切れないほど水量が増え、既設タンクは残り容量が少ない。混ぜられた化学物質はいずれも有害だが、東京電力も国も、この問題を放置している。投入されている化学物質は、ホウ酸やヒドラジン。ホウ酸は核燃料が連鎖的に分裂する臨界を防止する働きがあり、年末までに105トンを投入。ヒドラジンは原子炉などの金属材の腐食を防ぐ役割で、73トンを入れた。ただし、いずれの物質も人体に悪影響がある。ホウ酸はゴキブリの駆除剤にも使われ、人間が吸い込むと、吐き気や下痢などの症状が起きる。ヒドラジンは、皮膚に触れると激しくただれ、体内に取り込むと中枢神経や肝臓、腎臓の機能障害を引き起こすとされる。そのため、水質汚濁防止法などにより規制がかけられている。汚染水の場合、放射性物質にばかり目が向けられがちだが、外部への放出となると、こうした化学物質による海洋汚染も無視できない問題となる。東電は14万トンの処理水タンクを準備しているが、早ければ三月にも満杯になる可能性がある。水があふれるのを防ぐため、原発の敷地にまけば作業員らの健康問題につながる可能性があり、海洋に放出すれば、新たな魚介類への汚染を引き起こしかねない。東電担当者は、放射性物質に関しては「仮に放出する際は、可能な限り浄化する」としているが、化学物質となると「現時点では特に検討していない」という。環境省も、化学物質の問題には着目していない。 東京新聞

柏崎刈羽原発 全7基停止濃厚 2012.1.1. 柏崎刈羽原発の全7基が3月以降、停止することが濃厚となった。東京電力が1、7号機の再起動に向けて実施しているストレステスト(耐性評価)の1次評価結果の国への提出が大幅に遅れているためだ。1、7号機の再起動の見通しが全く立たない中、運転中の2基のうち5号機は1月25日に、6号機も3月に定期検査で止まる。1次評価は停止中の原発の再起動条件で、地震と津波にどのくらい耐えられるかの「余裕度」を算出する。関西電力が昨年10月、全国で初めて大飯原発3号機の結果報告書を国に提出、昨年末までに関西電力美浜原発や北海道電力泊原発、九州電力玄海原発など計11基の報告書が出され、原子力安全・保安院などで審査が進んでいる。柏崎刈羽原発1、7号機の場合、昨年11月末に結果を提出するはずが、直前になって両号機の耐震安全性を評価した報告書の記載ミスが判明、保安院に報告された。耐震評価データは1次評価のもとになるため、保安院による再点検が終わらないと1次評価自体をまとめられない。東電は「何としても年内に提出したい」としていたが、再点検は昨年末までに終わらず、提出が1カ月以上遅れる事態になっている。1次評価の審査は2~4カ月かかるとされる。加えて審査以上の難関は、地元の同意の取り付けだ。そもそも地元はストレステストに批判的な声が多い。泉田裕彦知事はこれまでテストの有効性に疑念を示しており、1次評価の審査後も、福島第一原発事故の十分な検証なしには再起動の検討に入らない構え。会田洋・柏崎市長も同様の立場だ。柏崎刈羽原発の安全性を話し合う「県技術委員会」の昨年10月の会合でも、専門家から「福島の教訓が何も入っていない」などと厳しい意見が相次いだ。県原子力安全対策課は「再起動が遅れ、東電管内の電力供給に支障が出るとしても、 知事は県民の安全を第一に考えるだろう」とみている。 朝日新聞

核燃サイクル:再処理固執の果てに直接処分コスト隠蔽 2012.1.1. 使用済み核燃料の直接処分のコスト試算隠蔽は、結果的に青森県六ケ所村の再処理工場稼働に有利に働くという点で、使用済み燃料受け入れを提案する 2002年のロシアの外交文書を隠した問題と同じ構図だ。情報公開に背を向けても再処理に固執する「原子力ムラ」の異常とも言える論理が浮かび上がる。今夏をめどに新しいエネルギー政策 を打ち出す政府のエネルギー・環境会議には、徹底した情報公開に基づく論議が求められる。部下に隠蔽を指示した経済産業省資源エネルギー庁の安井正也原子力政策課長(当時)が現在、 東京電力福島第1原発事故後の安全確保策作りを進める「原子力安全規制改革担当審議官」という要職を務める点でも問題は深刻だ。安井氏は原子力安全・保安院を経産省から切り離し、 4月に原子力安全庁として発足させるための準備にも深く関わっている。データ隠しまで行った原発推進派を、規制というブレーキ役の中心に据えている経産省の姿勢が問われる。 直接処分のコスト試算が存在することは2004年7月、毎日新聞の報道などで判明した。このため、参院予算委員会(2004年3月)で社民党の福島瑞穂党首が「再処理をしない場合の コストはいくらか」と質問したのに、日下一正・エネ庁長官(当時)が「日本には再処理しない場合(直接処分)のコストを試算したものはない」と答弁したことが問題化。 「結果的に事実と違う答弁をした」として日下長官が訓告、答弁案の作成を担当した安井課長らが厳重注意処分を受けた経緯がある。軽い処分の理由は「(試算の存在を)つい 最近まで知らなかったので故意でも悪質でもない」(当時の中川昭一経産相)ため。しかし今回、安井氏が3カ月も前から試算の存在を把握していたことが明らかになった。 処分の前提が変わった以上、経産省の再調査は不可欠で、再処分も検討すべきだ。 毎日新聞

「発送電分離」に着手 経産相、東電へ資本注入受諾を要請 2011.12.28. 政府は27日、「電力改革及び東京電力に関する閣僚会合」を開き、電力会社を発電と送配電部門に分ける「発送電分離」など、電力制度改革に着手した。また、枝野幸男経済産業相は同日、東電の西沢俊夫社長に「一時的な公的管理を含め、あらゆる可能性を排除しないで、(来春にまとめる)総合特別事業計画を検討してほしい」と伝え、同社に実質国有化を受けいれるよう求めた。政府は、東電の経営権を握ることで、電力改革の議論に弾みをつけたい考えだ。東電は廃炉費用などの負担が増大し、2013年3月期にも債務が資産を上回る「債務超過」に陥る可能性が高まっている。政府は損害賠償の確実な実施を優先するためにも、東電が発行する優先株を引き受けるなどして1兆円規模の資本を注入する方針。優先株に議決権はないものの2/3以上の株式を保有して、実質国有化に踏み切る構えだ。閣僚会合では、枝野経産相が電力会社を持ち株会社の下に発電と送電を別会社で置く「法的分離」など発送電分離の方法を提示。このほか、供給力不足の懸念がある時間帯に電力料金を引き上げる価格調整制度や、効率的な配電を促す次世代電力計(スマートメーター)の普及などの提案も行った。政府は有識者で構成する専門委員会を年明けに設置し、具体化に向けた議論を本格化させる。閣僚会合後、枝野経産相は西沢社長と会談し、「安定供給を錦の御旗に、値上げが電気事業者の権利であるという考えであれば改めていただきたい」と、電気料金値上げを強くけん制。福島第1原発事故の被害者への賠償支払い体制を1万人超に拡充することも求めた。 毎日新聞

東電が企業向け料金を来年4月から2割程度値上げ 家庭向けも1割程度申請へ 2011.12.23. 東京電力は22日、工場やオフィスビルなど企業向けの電気料金を来年4月から引き上げると発表した。福島第1原発事故に伴う代替火力発電の燃料費増加に対応するため。値上げ幅は2割程度となるもようだ。政府の認可が必要な一般家庭向けも早急に値上げを申請する考えで、早ければ来夏にも1割程度の値上げを行う方向で検討している。料金値上げは、企業、家庭ともにオイルショックで燃料費が高騰した昭和55年以来32年ぶり。西沢俊夫社長は22日の会見で「燃料費増による経常赤字構造を解消することが電気の安定供給のために急務だ」と述べた。東電の平成23年度の火力発電用燃料費は前年度より8300億円増える見込みで、経営合理化では吸収しきれないと判断した。企業の値上げは、政府の認可がいらない契約電力50kw以上の顧客24万件が対象で、販売電力量の6割を占める。具体的な料金は、東電が個別交渉で決めるため一律ではないが、来年1月に交渉のたたき台となる料金体系を決める。値上げ幅は新潟県の柏崎刈羽原発の稼働状況などを見極めて判断。今年度並みの燃料費増を吸収するには2割程度の引き上げが必要だ。一方、一般家庭向けの値上げについては、電気料金制度を見直している政府の有識者会議の結論や、東電と原子力損害賠償支援機構が策定する総合特別事業計画などを踏まえて、早ければ来年2月にも申請する。審査には3~4カ月以上かかる見通しだ。ただ、一般家庭の値上げについては、認可する政府内でも反発が強いため、実施するまでには曲折が予想される。 産経新聞

玄海原子力発電所 汚染水漏れ未公表を批判 玄海町、九電の対応に注文 2011.12.12. 定期検査中の玄海原子力発電所の3号機の原子炉補助建屋で9日、放射性物質を含んだ汚染水が漏れ出したにもかかわらず、九州電力は当初、この事実を公表していなかった。玄海町には9日午後3時前、九州電力玄海原発環境広報から「ポンプにトラブルがあり、プレス発表する」とだけ連絡が入ったという。しかし、10日朝、汚染水漏れを報道で知り、事実確認のため、九電側に資料の提出を求めたという。岸本英雄町長は「こんな時期だから、情報公開をきっちりしてほしかった。しっかりした原因究明を求めたい」と注文をつけた。県によると、九電佐賀支社から原子力安全対策課にトラブルの一報が入ったのは9日午後3時半頃。1次冷却水を浄化し原子炉内に戻すポンプで「軸受け温度が上がったことを示す警報が鳴った」との内容だった。同5時過ぎに九電は、県内の報道機関に発表文をファクスで送り、ホームページに掲載したが、汚染水漏れは盛り込まれていなかった。県がようやく汚染水漏れを把握したのは発生から10時間後の同9時頃になってから。一部の報道機関から同課に「水漏れがあったのではないか」と問い合わせがあり、支社に電話して初めて確認したという。県が九電から正式に説明を受けたのは10日午前0時過ぎ。同支社の玄海原発担当者2人が同課を訪れ、約1時間半にわたり状況を報告した。県と九電は、玄海原発のトラブル発生時の連絡などに関して安全協定を結んでいる。同課の今村盛史課長は、今回は「故障」に該当せず、現時点で発生時に連絡すべき事象ではないとしながらも、「制度上は問題がない場合でも、きちんとした情報を、できるだけ早く提供してほしい」と述べた。今回の九電の対応に、県議会原子力安全対策等特別委員会の宮崎泰茂副委員長は、「市民の原発に対する危機感が増し、電力事業者の姿勢が問われている今の時期に、情報を隠そうとするとは信じられない。九電内部で東日本大震災以降も安全性の認識が変わっていないのではないか。このような対応が続いているうちは再稼働の議論は進まない。」と切り捨てた。九電などによると、トラブルは、3台ある1次冷却水を浄化して原子炉に戻す「充てんポンプ」のうち稼働していた1台(長さ2.5m、高さ1.5m)で起きた。9日午前10時48分、警報が出たため他のポンプに切り替えた。作業員が確認したところ、塞いであったポンプの軸受け部分から、すぐ下に用意されていた受け皿に漏水し、処理するタンクに流れていたという。漏水量は1.8t。九電は「漏れた水は全て回収されており、想定範囲内であるため公表しなかった」と説明している。 読売新聞

玄海原発3号機で汚染水漏れ、建屋内に1.8t 2011.12.10. 佐賀県玄海町の九州電力玄海原子力発電所3号機(出力118万KW)の原子炉補助建屋で9日、1次冷却水を浄化して原子炉に戻すポンプにトラブルが起き、放射性物質を含んだ水が1.8t漏れ出した。水は外部には漏出していないという。九電は当初、ポンプトラブルだけを発表。水漏れを認めたのは発生から10時間後だった。国や九電によると、3号機は昨年12月11日から定期検査に入り、炉は停止している。トラブルがあったのは充てんポンプと呼ばれるもので3号機には3台ある。炉熱の除去や冷却水浄化のため1台を動かしていた。9日午前10時48分、通常は30度の軸受けが80度以上の高温になったことを知らせる警報が出た。ポンプ接合部から水が漏れ出し、ポンプがある部屋の中にたまったという。 読売新聞

敦賀原発1号機でぼや 放射能漏れはなし 2011.12.12 12日午後7時45分ごろ、福井県敦賀市の日本原子力発電敦賀原発1号機で、放射線管理区域内にある廃棄物処理建屋の電源盤から火が出ているのを運転員が見つけた。運転員が消火器で消し止めた。周辺への放射能漏れはないという。 県原子力安全対策課などによると、13日から予定していた電源の点検に備え、運転員が電源盤で電気系統の切り替え操作をしたところ、電源盤から火が出たという。 同原発では昨年末から火災が3件相次いだ。地元の敦賀美方消防組合は10月17日に厳重注意をしたうえで報告書の提出を求め、同原発は11月30日、防火対策の強化などをうたった報告書を提出したばかりだった。 朝日新聞

「非常用復水器」すぐ稼働なら炉心溶融なかった 2011.12.9 原子力安全基盤機構(JNES)は9日、東京電力福島第1原発1号機で、非常時に原子炉の圧力を下げて冷却する「非常用復水器(IC)」が津波から45分以内に稼働していれば、炉心溶融に至らなかったとする解析結果を公表した。ICは今回の事故でも地震直後に自動起動したが、10分後に原子炉温度が急激に下がり、運転員が手動停止。再起動させたのは津波から3時間後の3月11日午後6時18分だった。この時点で、すでに燃料は溶融し始めていた可能性が指摘されている。JNESは津波襲来から45分後の同日午後4時15分にICを再稼働させたと仮定したシミュレーションを実施。その結果、原子炉の水位は維持され、燃料の溶融が防げたという。ICは電源を失った際に唯一稼働可能な冷却装置で、今回の事故でも稼働状況が適正だったかが、事故検証における重要な争点の一つとなっている。再起動が遅れたことについて、東電は保安院に対し「津波直後の数時間はプラント全体の状況把握に取り組むのが精いっぱいで、ICに集中して対応できる状況ではなかった」と説明している。 産経新聞

東電は原因究明から逃げるな 2011.12.7. 東京電力が福島第1原子力発電所の事故について、社内の調査委員会による中間報告を公表した。原発を襲った大津波や相次いだ水素爆発などを「想定外」とし、これまでの主張を繰り返した。事故の当事者の見解であるにせよ、自己弁護と責任回避の色合いがあまりに濃い報告だ。なぜ大津波や重大事故を想定外とし、対策に踏み出せなかったのか。幹部の証言や社内資料が示されておらず納得できる説明と検証を欠く。政府の事故調査・検証委員会は第三者の立場から原因究明を進め、国会も調査委員会を設けた。これらが真相に迫れるよう事実を包み隠さず明かすのが東電の責務であるはずだ。東電は誠実な態度で原因究明に向き合うべきだ。中間報告では肝心な点がなお釈然としない。ひとつが、複数の研究者が東日本大震災の前から、福島原発を襲う大津波の恐れを警告していたのに、東電が対策の必要はないと判断した理由だ。報告によると、2008年に社内チームが高さ10メートル超の大津波の可能性があると試算しながら、「根拠がない仮定」として対策を見送った。政府や学界がこの大津波について統一見解を示していないことを理由に挙げたが、試算した東電の技術者らがどう考えたのか、報告ではわからない。放射性物質が大量に漏れる重大事故への備えでも、「国と一体となって整備した安全対策を含め、ほぼすべての機能を失った」と総括した。国の安全基準の不備が原因と言わんばかりで、電力会社の責任に踏み込みが足りない。東電の幹部や技術陣が事故の危険性をどう認識し、拡大を防ぐためどう行動したのか。その記録や証言が明らかになっていないことが、疑問が解けない根底にある。政府や国会の調査委が来年夏までにまとめる報告は、首相官邸の初動や東電との意思疎通、情報開示が適切だったかを含め、事故の全体像を解き明かす責務がある。東電に強く働きかけ、証言などの事実を明らかにさせるべきだ。 日本経済新聞

敦賀原発1号機でぼや 放射能漏れはなし 2011.12.12 12日午後7時45分ごろ、福井県敦賀市の日本原子力発電敦賀原発1号機で、放射線管理区域内にある廃棄物処理建屋の電源盤から火が出ているのを運転員が見つけた。運転員が消火器で消し止めた。周辺への放射能漏れはないという。 県原子力安全対策課などによると、13日から予定していた電源の点検に備え、運転員が電源盤で電気系統の切り替え操作をしたところ、電源盤から火が出たという。 同原発では昨年末から火災が3件相次いだ。地元の敦賀美方消防組合は10月17日に厳重注意をしたうえで報告書の提出を求め、同原発は11月30日、防火対策の強化などをうたった報告書を提出したばかりだった。 朝日新聞

東電は原因究明から逃げるな 2011.12.7. 東京電力が福島第1原子力発電所の事故について、社内の調査委員会による中間報告を公表した。原発を襲った大津波や相次いだ水素爆発などを「想定外」とし、これまでの主張を繰り返した。事故の当事者の見解であるにせよ、自己弁護と責任回避の色合いがあまりに濃い報告だ。なぜ大津波や重大事故を想定外とし、対策に踏み出せなかったのか。幹部の証言や社内資料が示されておらず納得できる説明と検証を欠く。政府の事故調査・検証委員会は第三者の立場から原因究明を進め、国会も調査委員会を設けた。これらが真相に迫れるよう事実を包み隠さず明かすのが東電の責務であるはずだ。東電は誠実な態度で原因究明に向き合うべきだ。中間報告では肝心な点がなお釈然としない。ひとつが、複数の研究者が東日本大震災の前から、福島原発を襲う大津波の恐れを警告していたのに、東電が対策の必要はないと判断した理由だ。報告によると、2008年に社内チームが高さ10メートル超の大津波の可能性があると試算しながら、「根拠がない仮定」として対策を見送った。政府や学界がこの大津波について統一見解を示していないことを理由に挙げたが、試算した東電の技術者らがどう考えたのか、報告ではわからない。放射性物質が大量に漏れる重大事故への備えでも、「国と一体となって整備した安全対策を含め、ほぼすべての機能を失った」と総括した。国の安全基準の不備が原因と言わんばかりで、電力会社の責任に踏み込みが足りない。東電の幹部や技術陣が事故の危険性をどう認識し、拡大を防ぐためどう行動したのか。その記録や証言が明らかになっていないことが、疑問が解けない根底にある。政府や国会の調査委が来年夏までにまとめる報告は、首相官邸の初動や東電との意思疎通、情報開示が適切だったかを含め、事故の全体像を解き明かす責務がある。東電に強く働きかけ、証言などの事実を明らかにさせるべきだ。 日本経済新聞

放射性セシウムが検出された「明治ステップ」粉ミルク 2011.12.6. 食品大手の明治は6日、生後9カ月以降の乳児向け粉ミルク「明治ステップ」(850グラム入り缶)の一部製品から、最大1キログラム当たり30.8ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。検出された製品と同期間に生産した粉ミルクは約40万缶で、同日から無償交換に応じている。厚生労働省は「暫定規制値(同200ベクレル)を下回っている」として回収は命じない。同省によると、福島第1原子力発電所の事故後、粉ミルクから放射性セシウムが検出されたのは初めて。明治によると、検出されたのは埼玉県春日部市の埼玉工場で3月14~20日に原料を乾燥させる工程を経た製品。消費者から「放射性物質を検出した」との指摘を受け、今月3日検査したところ、来年10月4、21、22、24日が賞味期限となっている製品から同30.8~21.5ベクレルの放射性セシウムを検出した。原料の脱脂粉乳はすべて東日本大震災より前に加工されたもので、一部は北海道産だが大半は米国やオセアニア地域からの輸入。同社は「加熱した大量の空気で乾燥させる製造過程で、福島第1原発事故により放出された放射性セシウムが混ざった」とみている。同製品は、生後9~12カ月の乳児に飲ませる場合、200ミリリットルの湯に粉ミルク約30グラムを溶かして使うため、1kg当たりの放射性セシウムの濃度はさらに下がる。同社は「暫定規制値を大きく下回り、毎日飲用しても健康への影響はないレベル」と説明している。同社は埼玉工場で製造し賞味期限が来年10月中に来る同製品(40万缶)の無償交換に応じる。明治は今後、粉ミルクについてすべての製造日ごとに放射性物質検査を実施、結果をホームページで開示する。これまで3月以降に製造した粉ミルクについて月ごとに1製造日を選んで検査していたが、検出されたことはなかった。 日本経済新聞

長野県立科町の薪から放射性セシウム 国の指標値超えは初  2011.12.6. 長野県は5日夜、立科町の山林で伐採されたカラマツの薪から国が示した指標値(40Bq/kg)を超える46Bq/kgの放射性セシウムが検出されたと発表した。 県内の薪から指標値を超える放射性物質が検出されたのは初めて。県は、この薪の生産者に販売、使用をしないよう要請した。また当面、県内全域の薪生産者に指標値を超えないことが確認された 薪以外は販売しないよう呼びかけるとともに、利用者に対しても安全が確認された薪を使用するように注意喚起をしている。ただし3月11日以前に生産されてシートをかけるなどで風雨にさらされていない薪については安全に使用できるとしている。 産経新聞

汚染水の海流出、 150リットルと試算 東電 2011.12.6. 東京電力は6日、福島第1原子力発電所の汚染水浄化装置から漏れた汚染水のうち、約150リットルが海に流出したという試算を発表した。放射性物質の量は 260億ベクレルと推定。放水口付近の海産物を1年間毎日食べても被曝量は年間約0.0037mSVで、健康への影響はほとんどないとしている。汚染水の塩分を除去する淡水化装置から水が漏れている のが4日見つかった。建屋のコンクリートのひび割れから排水路を通り、海に到達したとみている。東電は今後、建屋の検査などで漏出対策を強化するとしている。 日本経済新聞

幹線道路の放射線量測定開始 12都県の2万4千km 2011.12.6. 東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染について、文部科学省は6日、年間の追加被曝線量が1ミリシーベルトを超える地域で測定車を走らせて 幹線道路周辺の放射線量を測り始めた。岩手県から山梨県までの12都県内にある高速道や国道などで、計2万4千キロになるという。 1mSV/year(0.2μSV/hour)の地域は国の除染支援の対象 となる。航空機からの測定で作った汚染マップに基づいて、 1mSV/yearの地域が網羅できるよう測定する幹線道路を決めた。周囲より局所的に放射線量が高いホットスポットなど、 航空機測定では把握が難しい場所の特定が目的。今月下旬までの予定で、地表から高さ1mの放射線量を測るという。 朝日新聞

阿武隈川から海に放射性物質 2011.12.3.   東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県と宮城県を流れる阿武隈川から海に流れ出た放射性セシウムは、8月には1日500億ベクレル余りに上ったと推定されることが、京都大学などの調査で分かりました。専門家は、「河口に蓄積した量や魚介類への影響を監視する必要がある」としています。 京都大学などの研究グループは、福島県と宮城県を流れる阿武隈川によって運ばれる放射性物質の量を調べるため、ことし8月、宮城県岩沼市の河口付近で、放射性物質の濃度のほか、 水量や流れてくる土砂の量などを測定しました。その結果、海に流れ出た放射性セシウムは、土砂1kg当たり6万2100ベクレル、河川の水1リットルあたり0.25ベクレルで、 合わせると1日当たりの量は524億ベクレルに上ったと推定されるということです。これは、東京電力が、4月に福島第一原発から海に放出した比較的低い濃度の汚染水に含まれていた 放射性セシウムの60%余りにあたります。調査した京都大学の山敷庸亮准教授は、「陸地に降った放射性セシウムが少しずつ川に流れ出ていると考えられる。河口に蓄積した量や魚介類へ の影響を監視する必要がある」と話しています。 NHK

原発事故 なお残る未解明部分
☞ NHKニュースウォッチ9
2011.12.3.  東京電力が行った事故調査の中間報告では、1号機から4号機でメルトダウンや水素爆発に至った原因や経緯が検証されていますが、大量の放射性物質が放出された原因や経路などは明らかになっておらず、解明されていない点も多く残されています。 このうち、最も早く水素爆発を起こした1号機では、事故が起きた3月11日の午後6時すぎ、電源が失われても蒸気を利用して原子炉を冷却できる「非常用復水器」という装置を一旦動かしたにも関わらず、すぐに停止させ、およそ3時間にわたり冷却していなかったことが分かっています。この理由について、中間報告では、運転員は、装置が稼働したあと、しばらく出ていた蒸気が止まったために、装置の中にある冷却水がなくなり、装置が機能していないと考え、停止したとしています。しかし、その後の調査で、装置の中に冷却水があることが判明しているにもかかわらず、なぜ蒸気がでなくなったかは明らかにされていません。このあと、午後9時半から冷却装置の運転を再開しますが、この頃にはメルトダウンが起きていて大量の水素が発生し、翌日12日午後3時半すぎに水素爆発を起こしたとされています。最も多くの放射性物質が放出されたと見られる2号機では、格納容器から放射性物質が放出された原因や経路について解明されず、謎が残されたままです。中間報告では、3月15日午前6時すぎ、2号機付近で爆発音がしたことについては、敷地内の地震計のデータを解析したところ、4号機の爆発音で、2号機では爆発は起きていないと結論づけました。しかし、2号機では、同じ日の午前7時から11時ごろの間に格納容器の圧力が急激に下がり、このとき、最も多くの放射性物質が放出されたとみられています。この原因について、中間報告では、「何らかの形で格納容器のガスが大気中に放出された」という表現にとどまり、放射性物質を閉じ込める“最後のとりで”の格納容器からなぜ漏れたのか、放出の原因や経路は全く分かっていません。3号機は、非常用の冷却装置に続いて注水装置が動かなくなった13日朝から、燃料が損傷し始めて、大量の水素が発生し、14日午前11時すぎに水素爆発を起こしたとされています。地震が起きたとき、定期点検中だった4号機は、原子炉に燃料はありませんでしたが、15日午前6時すぎに爆発しています。その原因について、中間報告では、3号機で発生した水素が配管を通じて4号機の原子炉建屋に流れ込み、水素爆発を起こしたと結論づけています。 NHK
溶融燃料、コンクリ床浸食=格納容器内で最大65cm―東電が推定 2011.11.30. 東電は30日、炉心溶融が起きた1~3号機について、溶けた核燃料の位置の推定を公表した。データ解析の結果、1号機は「相当量」、 2、3号機は一部の溶融燃料が原子炉圧力容器から格納容器に落下。床面のコンクリートを1号機では最大65cm浸食した可能性があるが、いずれも格納容器内にとどまっており、注水で冷却されているとしている。 原子炉内の状況は直接確認できないため、核燃料の崩壊熱などを基に計算。経済産業省原子力安全・保安院が開いた「炉心損傷推定に関する技術ワークショップ」に同日提出した。 東電の解析によると、非常用炉心冷却装置が十分機能せず、注水停止時間が長かった1号機では、ほぼ全ての燃料が本来の位置から溶け落ち、圧力容器底部を破損して格納容器に相当量が落ちたと推定。燃料が全て格納容器内に落ちたと仮定すると、熱によって格納容器床のコンクリートを最大65cm浸食するという。ただ、床の厚さは1m余りあり、東電は容器を突き抜ける事態には至っていないとみている。 また、一定時間冷却が続いていた2、3号機では、燃料の約6割が溶け落ちたと推定。そのまま格納容器に落ちたとしても、床コンクリートの浸食は2号機で最大12cm、3号機で同20cmにとどまるとした。  時事通信

電力献金、民主側に1.2億円=労組から出身議員ら中心に 2011.11.30. 電力会社などの労組連合体「全国電力関連産業労働組合総連合」(電力総連)や東京電力労組の政治団体が昨年、寄付やパーティー券購入などの形で、民主党国会議員や同党系地方議員に少なくとも1億2000万円を献金していたことが30日、総務省などが公開した政治資金収支報告書で分かった。 一方、原発を持つ全国の電力会社9社の役員(OB含む)315人が、自民党の政治資金団体に2400万円を寄付していたことも判明。東電福島第1原発事故を受け、原発と政治の在り方が問題となっているが、電力会社労使が一体となって政界に影響力を強めていた構図が浮き彫りになった。 収支報告書によると、電力総連の政治団体「電力総連政治活動委員会」は昨年、全国の電力会社労組の政治団体などから6400万円を集金。この中から東電出身の小林正夫民主党参院議員の「小林正夫と民主党を支援する会」に2000万円、小林氏の選挙事務所に650万円を寄付していた。 この他、パーティー券購入代金などとして元原子力政策・立地政策プロジェクトチーム座長の川端達夫総務相側に20万円、江田五月党最高顧問側に5万円を支出。川端氏側は、電力総連の関係団体や関西電力労組の政治団体などからもパーティー券代金など116万円を得ていた。 また東電は、同党の下条みつ衆院議員側のパーティー券40万円分を購入。同社労組の政治団体「東京電力労働組合政治連盟」は、同社出身の民主党系地方議員や候補者側に9300万円を献金していた。関係政治団体を経由して寄付したケースもあり、金額はさらに膨れ上がるとみられる。 一方、自民党の政治資金団体「国民政治協会」には、沖縄電力を除く電力会社9社の役員らが2426万円を個人として献金。献金額が最も多い東電は、会長と社長が各30万円、副社長6人全員が各20万円を寄付するなどしていた。  朝日新聞

捕獲のヤマドリから基準値超セシウム初検出 2011.11.29.  県は28日、野生鳥獣6種20点の検査結果を発表、いわき市久之浜町で捕獲したヤマドリから国の暫定基準値(500Bq/kg)を超える736Bq/kgの放射性セシウムを検出した。 ヤマドリが基準値を超えたのは初めて。捕獲された地点は第1原発から30km圏内の旧緊急時避難準備区域内。県は、同市内のヤマドリの自家消費の自粛を求めた。このほか、二本松、須賀川、白河、相馬の4市のイノシシが基準値を超えたほか、西郷村のツキノワグマが基準値を超えた。 福島民友新聞

仮設住宅一部で高放射線量、遅い対策に住民不満 2011.11.29. 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で避難している住民が暮らす応急仮設住宅の一部で、比較的高い放射線量が計測されている。県などは床下に砂利をまいたり、コンクリートを流し込むなどの対策を講じているが、万全とは言い切れないのが現状だ。避難住民からは「原発事故から逃れてきたのに、仮設住宅でも放射線に悩まなくてはならないのか」との不満の声も聞こえてくる。「なぜ避難先でも放射線量を気にしながら生活しなければならないのか」。浪江町民が住む本宮市の恵向応急仮設住宅で避難生活を送る三輪昭次さんは憤る。放射線量を低減するため、県に要望していた仮設住宅の床下にコンクリートを流し込む工事が28日から始まったが、「住民が声を上げて、やっと実現した。行政の対策は遅い」と訴える。同仮設住宅には22日現在、114世帯、269人が入居。町が測定した同仮設住宅の高さ1mの空間放射線量は0.27μSV/h前後。しかし、2ヶ月前に引っ越してきた三輪さん家族が、仮設住宅内の空間放射線量を測定すると、室内で毎時1μSV/h以上の場所があり、場所によって2μSV/h前後あった。 福島民友新聞

原発事故で放出、蓄積か 千葉・柏の高濃度セシウム 2011.11.28  千葉県柏市の市有地の土壌から高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、環境省は 28日、見つかったセシウムは東京電力福島第1原発事故で放出されたものとみられ、付近の側溝の破損箇所から雨水が漏れて蓄積した可能性が高いとする中間調査結果を発表した。検出地点の土質は周辺と同じで、他の地域から持ち込まれた可能性は低いという。現地の周囲2m四方の約30カ所で、空間線量や土壌のセシウム濃度を測定。最高値は空間線量が高さ1mで4.11μSV/h、土壌が側溝付近の深さ5~10cm45万Bq/kgだった。10月下旬の調査では、深さ30cmの地中から27万6000Bq/kgのセシウムを検出していた。破損箇所から少し離れた土中でも高濃度の地点があったため、環境省は範囲を広げて追加調査し、年内にも最終報告をまとめる。 産経新聞

もんじゅ廃炉検討:基軸失う核燃サイクル…政策転換必至 2011.11.27. 細野豪志原発事故担当相が26日、検討を表明した高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉は、高速増殖炉技術の開発断念を意味し、原子力政策を大きく転換させることになる。 というのも政府は、原発の発電で生じた使用済み核燃料を再利用し、そこから取り出したプルトニウムを原発で再び使う「核燃料サイクル」をエネルギー政策の基本と位置づけ、その中核が 「もんじゅ」の行方にかかっているためだ。高速増殖炉は、燃やしたプルトニウム以上にプルトニウムを増やせるため、資源の乏しい日本にとって「夢の原子炉」と言われたが、 95年12月、もんじゅで火災事故が発生、運転を停止した。再開の見通しが立たない中で始まったのが、プルトニウムを既存の原16~18基の原発で実施する計画だったが、 原発立地自治体の了解を得るのに難航した。火災事故以降、政府はプルサーマルを高速増殖炉と並ぶ核燃料サイクルの基軸と位置づけた。高速増殖炉を断念しても、 片方の軸のプルサーマルを使っての核燃料サイクルは可能だ。しかし、東京電力福島第1原発事故後、既存の原発の再稼働すら見通しが立たない。また今後、新たな原発を造らず、 寿命の原発を廃炉にする「脱原発依存」政策を進めれば、核燃料サイクルは成立しない。そうなれば使用済み核燃料は、再利用せずそのまま処分する道しかなくなる。もんじゅを廃炉にするならば、 使用済み核燃料の処分方法や、日本が保有しているプルトニウムの扱いなど、解決の難しい問題にも、道筋を付ける必要がある。もんじゅを含めた日本の原子力政策の全体像は、 政府のエネルギー・環境会議が来夏までに決めるが、課題は山積している。 毎日新聞

もんじゅ:廃炉含め検討…細野原発事故相「来年判断」 2011.11.26. 細野豪志原発事故担当相は26日、高速増殖原型炉「もんじゅ」について「一つの曲がり角に来ている。何らかの判断を来年はしなければならない」と述べ、内閣府の原子力委員会が来夏をめどに進めている原子力政策大綱の改定作業で、廃炉を含めた抜本的な見直しが必要との考えを示した。視察先の福井県で記者団に語った。細野氏は視察で、95年のナトリウム漏れ火災や昨年の原子炉内への燃料交換装置落下などの事故現場の復旧状況を確認した。その後、記者団に「1960年代に計画され、かなりの年月がたっている。設備も若干古いところがあり、さまざまなトラブルがあって(実用化の目標時期が)延びてきた」と指摘。「廃炉も含めて考えるのか」との問いに「そういうことも含めて検討していくべきだ」と明言した。 毎日新聞

放射性セシウム 山脈に沿う 2011.11.25. 東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性セシウムは、奥羽山脈や越後山脈など、山脈の地形に沿う形で地表に降り積もっていることが、文部科学省が行った航空機モニタリングの調査から分かりました。 事故で放出された放射性セシウムは、長期にわたって環境に影響を及ぼすことから、文部科学省が汚染状況をヘリコプターを使って上空から調べています。 これまでに青森県から愛知県にかけての22の都県の汚染状況を色分けした地図がまとまり、文部科学省が公表しました。 それによりますと、福島第一原発から北西方向と一部南側に放射性セシウムの濃度が極めて高い1000万Bq/km2を超える赤や黄色の地域が広がり、その広がりの外側に、北側は福島と宮城の県境まで、西側から南側は福島から栃木、群馬にかけて帯状に3万Bq/km2を超える高い濃度の青色の地域が伸びていました。 これを地形との関係で見ると、奥羽山脈や越後山脈など山脈に沿って放射性セシウムが地表に降り積もっており、北西方向に広がったルートでは、放射性物質を含む雲が奥羽山脈に当たったあと、風向きの変化とともに群馬と長野の県境にある関東山地まで山沿いに流れていったとみられます。文部科学省は「山脈で遮られた影響で、放射性セシウムの広がりは一定の範囲にとどまった可能性がある」として、年明け以降、西日本や北海道についても調査を行い、汚染状況の全体像を把握するとともに、今後、除染対策や被ばく評価などに生かすことにしています。 NHK

乳児用食品、基準新設へ=24日審議会に提案 2011.11.23. 食品に含まれる放射性物質の新たな基準づくりを進めている厚生労働省は23日までに、 放射性セシウムについて、粉ミルクなど「乳児用食品」向けの規制値を新設する方針を固めた。他に「飲料水」「牛乳」「一般食品」の計4分類とし、それぞれ規制値を定める。 24日の薬事・食品衛生審議会部会に提案する。半減期が短い放射性ヨウ素は現在はほとんど検出されないため、新たな規制値設定は見送る方向だ。現在の暫定基準は食品を 「飲料水」「牛乳・乳製品」「野菜類」「穀類」「肉・卵・魚・その他」に分類。日本人の平均的な食事量を考慮して、内部被ばくが5mSV/yearに収まるよう計算し、 飲料水と牛乳・乳製品は200Bq/kg1キロ当たり200Bq/kg、他は500Bq/kgと定めている。厚労省は新基準で内部被ばくを1mSV/yearに引き下げることを既に決定。今後、4分類それぞれの規制値を同審議会で議論する。暫定値の1/5 程度になる見通しで、乳児用食品や飲料水は、より厳格にすることも検討する。また、茶や干しシイタケなどの乾物は、水分を加えて飲んだり食べたりする状態での規制値を設ける方針だ。 時事通信

東電、「臨界でなく自発核分裂」…保安院は慎重 2011.11.3. 原子炉内では、運転時に生成した放射性物質キュリウムが自然に核分裂する「自発核分裂」が散発的に起きており、極微量のキセノンはキュリウムの分裂で説明できるとした。一方、経済産業省原子力安全・保安院は「局所的な臨界の可能性は否定できない」との見方を変えておらず、東電から分析結果の報告を受け、改めて評価する。キセノン133とキセノン135は、1日に格納容器から採取したガスから検出された。濃度はともに1立方センチ当たり約10万分の1ベクレルと極微量だったが、それぞれの半減期は約5日、約9時間と短く、直近に核分裂反応が起きたとみられ、東電は2日、小規模な臨界が一時的にあった可能性もあるとの見方を示していた。だが、詳しく分析したところ、小規模な臨界であっても検出量の1万倍のキセノンが発生することがわかった。臨界を防ぐホウ酸水を2日未明に注入した後もキセノンが検出されたことも、臨界が起きていない根拠として挙げた。キュリウムの自発核分裂は、運転停止中の通常の原子炉でも起きており、東電は「原子炉の安定や周辺環境への影響はない」と説明している。 読売新聞

原発2号機で何が起きたのか 2011.11.2. キセノンは燃料のウランが核分裂した時にできる放射性物質で放射性物質の量が半分になる半減期がキセノン135では9時間と短いため東京電力は、今回検出されたのは3月の事故の時に出来たものではない、つまり最近、核分裂反応が起きて生じたもので、臨界が一時的に一部の場所で継続した可能性も捨てきれないとして、2日未明から、核分裂反応を抑えるために、ホウ酸水を原子炉に注入する対応をとりました。「可能性」としているのは、キセノンは、臨界以外の反応「自発核分裂」と呼ばれる反応でも発生する可能性があるため、現在、東京電力では、別の機関にダブルチェックをかけています。 東京電力は制御棒が効かないことに加え被覆管が溶けてなくなったことで燃料がむき出しの状態となり核分裂が起こり、一時的に一部の場所では臨界が継続した可能性もあるとみています。今回の問題で明らかになったことは、現在の原子炉と燃料の状態を、国と東京電力は、正確に把握してコントロール下に置いている、とは言いがたいということです。 NHK

2号機原子炉にホウ酸水注入=核分裂の可能性 2011.11.2. 東京電力福島第1原発事故で、同社は2日未明、2号機の原子炉格納容器から1日に採取したガスを分析したところ、半減期が短いキセノン133、同135が検出された可能性があると発表した。溶融燃料の核分裂反応を否定できないとして、2日午前2時50分ごろから原子炉への冷却水注入ラインを使い、ホウ酸水の注入を開始した。

☞ 局所的な再臨界がスパイク的、断続的に起こる可能性というのはごく初期に結論が出ていた。
時事通信

セシウム許容線量 食品は年1ミリシーベルト 2011.10.28.  食品に含まれる放射性物質の規制値について、小宮山厚生労働相は28日、放射性セシウムの許容線量を現在の年間5mSVから同1mSVに引き下げる方針を明らかにした。 現行の1/5に厳しくし、食品の安全に配慮する。来年4月をめどに新たな規制値を適用する。内閣府・食品安全委員会が27日、食品から摂取する放射性物質について、健康に影響が出る内部被ばく線量は「生涯の累積で100mSV以上」との評価をまとめ、厚生労働省に答申した。同省はこれを踏まえるとともに、食品の国際規格を作成する政府間組織がセシウムの指標を年間1mSVとしていることなどから、見直しを決めた。現在の暫定規制値は、食品に含まれるヨウ素やセシウムなどの放射性物質の上限を、年間で計17mSVに設定している。このうちセシウムの上限は年間5mSVで、この大枠をもとに、飲料水や野菜、肉など5分野ごとに1mSVずつ割り振っていた。今後は、暫定規制値から新たに決まる正式な規制値に移行する予定だが、大枠が1/5に厳格化されたことに伴い、食品分野ごとの規制値も現在の暫定規制値より引き下げられる見通しだ。31日から始まる厚労省の審議会は規制値を見直す放射性物質がセシウムだけで良いかどうかも検討。茶やキノコなど乾燥食品ではセシウムが濃縮されて規制値を超えやすくなる問題も議論する。また欧州連合では、放射性物質への感受性が高いとされる子どもへの配慮から、乳幼児用食品の規制を厳しくしており、乳幼児用食品の規制を厳しくするかどうか検討する。小宮山厚労相は「暫定規制値に適合する食品の安全は確保されているが、より安全を確保するため規制値を見直す。専門家に議論いただき、国民が納得いく規制値を設定したい」とした。食品の放射性セシウムの内部被ばく年間許容線量が引き下げられることにより、食品ごとの暫定規制値も厳格化されることが確実となった。子どもの健康被害を懸念する保護者からは評価する声が聞かれる一方、生産者からは「また出荷停止が増えるのでは」などと悲鳴が上がった。 東京新聞

非常用復水器操作、ベントの遅れ、2号機の衝撃音…手順書公開もなお残る謎 2011.10.24.  経済産業省原子力安全・保安院が24日に公表した福島第1原発の「事故時運転操作手順書」。原子炉の冷却やベント(排気作業)などをめぐり、操作ミスが事故を拡大させたとの指摘があったことから内容が注目されてきた。手順書と実際の操作を照合した東電は「操作に問題はなかった」とするが、事故直後の対応や状況には、いまだ不可解な点や謎が数多く残っている。<b>不可解な操作</b>手順書公開で最も注目されたのが、1号機の緊急時に原子炉を冷やす「非常用復水器」(IC)を巡る操作だ。ICは緊急時に原子炉を冷却し、圧力を下げる機器。2系統存在するが、3月11日から12日までの間、運転員が1系統だけ弁の開閉を行い、ICの停止と起動を繰り返す不可解な操作をしており、手順書の内容が焦点となっていた。公開された手順書では、急激な温度変化による原子炉破損を防ぐため、原子炉温度が1時間あたり55度を超えて下がる場合、ICを止めることになっていた。今回の事故でも、地震直後にICは自動起動。10分後には温度低下が55度を超えそうだったため、運動員が手動停止させた。しかし、その後も運転員は1系統について起動と停止を繰り返した。これは手順書には明記されていない操作だ。これについて東電は「今回の事故は手順書の想定を超えるもので、運転員の判断で行った」と説明。原子炉の温度や圧力の調整を行っていたとみられるが、真相は不明だ。東電が行った建屋内の調査では1系統の弁が閉まっていたことも判明。2系統とも機能していれば事故が軽減できた可能性もあり、運転員の操作が妥当だったかは、大きなポイントだ。<b>遅れたベント</b>1号機格納容器内の気体を外に出して圧力を下げるベントが遅れたことも、事故拡大を左右するポイントとして指摘されている。手順書では格納容器の圧力が853キロパスカルに達する前にベントを実施することになっていた。判明している記録では3月12日午前0時6分には格納容器の圧力が急上昇し、同原発の吉田昌郎所長がベントの準備を指示、午前1時半には政府にベントを申し入れた。しかし、実際にベントができたのは同日午後2時半。水素爆発のわずか1時間前で、所長指示から14時間が経過していた。東電は「すでに電源を失い、ベントに必要な弁の駆動源もなく、暗闇での作業で困難を極めた」と説明するものの、現場の具体的な判断や作業の詳細については明らかにしていない。 <b>2号機の損傷はなぜ?</b>今回は2号機の手順書は公開されなかったため、ベントを試みながら格納容器の圧力が下がらなかった2号機の状況はベールに包まれている。2号機では当初、3月15日午前6時すぎに圧力抑制室付近で爆発があったとみられていた。このころ2号機付近で衝撃音があり、圧力抑制室の圧力が急激に低下したためだ。ところが、地震計の解析により、衝撃音は、同時刻に発生した4号機の水素爆発の可能性が高いことが判明した。原子炉に注入した水は建屋内に流出、格納容器が損傷していることは確実とみられるが、なぜ損傷したのか。また、圧力抑制室の圧力はなぜ急低下したのか。謎は深まる一方だ。 産経新聞

京大・今中助教講演「子供の正確な被曝評価必要」 2011.10.23 東京電力福島第1原発の事故による放射能汚染問題で、原発周辺地域での線量測定などを行った京大原子炉実験所の今中哲二助教が22日、広島市中区のまちづくり市民交流プラザで「福島の放射線調査から見えてきたこと」と題して講演。放射能が及ぼす健康被害などの問題について語った。今中助教は広島市出身で、原子力工学が専門。福島第1原発事故では福島県内各地で放射線量測定を行い、7月には衆議院厚生労働委員会で、参考人として放射線の健康への影響について意見を述べた。講演で今中助教は、事故の経緯や各地の汚染状況について説明。放射能汚染についてのデータ公表の遅れを問題視した。一方、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で子供の甲状腺がんが増加したことを踏まえ、「福島の子供にはきちんとした被曝評価が必要」と指摘。事故直後にどの放射性物質をどれだけ体に取り込んだのかを究明する必要性について言及した。また、「チェルノブイリでは原発周辺が立ち入り禁止区域となり、地域社会が消滅した。福島でも同じことが起きている」として、事故の影響の大きさを改めて強調した。 産経新聞

なお放射性物質放出の危険 地下水流入 配管に水素 2011.10.23 事故から7カ月以上が経過し、小康状態を保っているかにみえる福島第1原発だが、最近になって原子炉建屋への地下水の流入や 、配管内で高濃度の水素が見つかるなど、新たな問題が表面化している。いずれも、放射性物質の大量放出につながりかねない 問題で、同原発が今もなお危険を内包していることを示している。
【1日500トン】 地下水の流入は、処理した汚染水の量に比べ、原子炉建屋の汚染水の水位が思うように下がらないことから明らかになった。 東電の試算では、1日200~500トンが流入しているとみられる。当初20万トンと見積もっていた処理量が増えるため、作業が遅れるほか、処理に伴って出る高濃度の放射性廃棄物の量が増えることになる。 最も懸念されるのは地下水側への汚染水流出だ。原発周辺の地下水は海に向かって流れており、漏れ出せば海洋汚染につながる可能性がある。東電は地下水から検出される放射性物質が微量であることを理由に「流出はしていない」と否定するが、今後も流出の懸念は残るため、月内にも地下水が海に流れ出ないようにするための遮水壁の設置工事に着手する。また、地下水がタービン建屋を経由して原子炉建屋に流れ込んでいる可能性が高いため、タービン建屋と原子炉建屋をつなぐ配管などをふさぐ工事も検討している。ただし、いずれの工事も完成は年明け以降で、それまでは現状のままで流出させない工夫が必要となる。産業技術総合研究所地下水研究グループの丸井敦尚グループ長は「汚染水の水位を地下水よりも下げておくことが大切だ」と指摘する。水圧の差により、流出したとしても最小限に抑えられるからだ。しかし、汚染水の水位を下げすぎると、今度は地下水の流入量が増えてしまう。そのため、東電は汚染水の水位を海抜3メートル程度で維持し、バランスを取ることにした。せっかく安定してきた汚染水処理システムも、処理能力の約55%程度に抑えて運用している。
【爆発の可能性】 配管の水素は9月下旬に、1号機の原子炉格納容器につながる配管を切断する作業の事前調査で見つかった。後の調査で、濃度が60%を超えていたことも判明。 今月12.には2号機の配管からも6.5%の濃度で水素が確認された。東電は水素を追い出すため、原子炉には常に窒素を封入しており、 「水素爆発の心配はない」と繰り返してきた。しかし、実際には高濃度の水素が配管にたまっていた。事前調査をせずに配管を切断していれば、水素爆発が再び発生した可能性もあった。 1号機の配管からはすでに水素は抜き取られたが、この配管にどのような経緯で水素がたまったかは不明のまま。他の場所にも同様に水素がたまっている可能性もあり、東電は今後、配管などの切断前には事前に水素濃度を測るなど、爆発防止に細心の注意を払うとしている。 新たな2つの課題は、いずれも放射性物質を再び大量放出する可能性を秘めている。政府・東電の統合対策室は工程表ステップ2で最大の目標として「冷温停止」の達成を掲げているが、放射性物質の放出抑制は冷温停止の絶対条件でもある。名古屋大の遠藤知弘助教(原子力工学)は「放射性物質が再び大量放出されるリスクはまだ残されている。こうした課題が解消されない限り、原子炉が安定した状態とは呼べないし、冷温停止の判断や避難区域の解除はすべきでない」と話している。
産経新聞

放射線を監視 新システム開発 2011.10.18 移動しながら空気中の放射線量や放射性物質の種類を計測し、離れたところからでも同時に確認できる新たな放射線監視システムを、千葉市にある放射線医学総合研究所が開発しました。スマートフォンを利用すれば、身の回りの汚染マップを簡単に作れるようになるということで、研究所では、製品化を目指すことにしています。新たな放射線監視システムは、放射線の測定装置とGPS、それにカメラとパソコンを組み合わせたもので、18日、報道関係者に公開されました。研究所の担当者が、システムを載せた車で都心のオフィス街を移動しながら空気中の放射線量や放射性物質の種類を計測すると、電話回線で送られた同じデータを文部科学省のビルからも同時に確認することができました。パソコンの代わりにスマートフォンを利用することもでき、複数で計測する場合には、互いの現在位置が地図で示される仕組みになっています。急速に普及しているスマートフォンを活用することで身の回りの汚染マップを簡単に作れるようになるほか、衛星回線にも接続できるため災害時にも役立つということで、研究所では、製品化を目指すことにしています。放射線医学総合研究所の原田良信広報課長は「身の回りのどこで放射線量が高いのか画像でも分かり、使いやすくなっている。製品化して広く利用してもらえるようにしたい」と話しています。 NHK
福島第1原発事故 汚染「EPZ超える」 事故2週後に試算-原子力安全基盤機構 2011.10.15 独立行政法人「原子力安全基盤機構」(JNES)は14日、東京電力福島第1原発事故を受け、三つの原子炉が事故を起こした場合、国の防災指針で定めた 「防災対策を重点的に準備すべき地域」(EPZ)を超えて高い線量の放射性物質が広がると、3月26日時点で試算していたことを明らかにした。試算を依頼した経済産業省原子力安 全・保安院はEPZ拡大の検討に活用していなかった。JNESは事故の進展予測や周辺への影響などの分析結果39件を公表した。現行の防災指針は、一つの炉心で事故が起きると 想定。EPZの範囲を原発から8~10kmに設定すると、全身の外部被ばく線量を基準の10ミリシーベルト以下に抑えられるとしている。JNESは、三つの炉心で事故が起きたと想定 、放射性ガスやヨウ素の放出量を3倍にして試算した結果、被ばく量を基準内に抑えるためにはEPZを24.5キロまで拡大することが必要となった。一方、原子炉や使用済み核燃 料プールで、再び連続的な核分裂反応を起こす「再臨界」や燃料溶融についても、最悪の事態を念頭に置いて解析していた。3月中旬には、1~4号機のうち、最も多い153 5本の燃料棒があった4号機プールで再臨界の可能性を検討。燃料を収めるラックが損壊した場合、「可能性がある」と結論づけた。6月30日付の資料では、耐震性が低 下した4号機プールが、余震などで亀裂が生じて水が失われた場合、2~3時間で燃料被覆管の破損、7.77時間で溶融が始まるとした。 毎日新聞

チャイナ・シンドローム試算…保安院 2011.10.15 保安院が、東京電力福島第一原子力発電所1~3号機で核燃料が完全に溶け落ちて、格納容器の底部を大きく侵食する最悪のケース(チャイナ・シンドローム)を想定した試算を、事故発生から2週間後の3月25日以降、ひそかに行っていたことが14日わかった。注水できなくなった場合、2、3号機は、厚さ約3mのコンクリートへの侵食が10日以上続き、1号機の侵食は8日間で1.8m進んで収まるとした。保安院や東電は当時、燃料の状態について「一部損傷した程度」と説明していた。保安院が試算を指示した独立行政法人の原子力安全基盤機構が同日公開した。炉心が溶融して、圧力容器底部の制御棒貫通部などから格納容器にすべて落下し、その底部にあるコンクリート製の床「ペデスタル」 をどの程度まで侵食するかを試算した。全炉心が一瞬で落下する場合や溶融燃料がジェット状に噴出する場合なども想定した。 読売新聞

軽井沢 比較的高い放射線量 2011.10.13. 長野県軽井沢町の学校の敷地で、周辺より比較的高い放射線量が計測され、町はすべての小中学校 などの放射線量を13日から測定することになりました。軽井沢町によりますと、今月、町内の一部の教育施設で放射線量を調べたところ、 1つの学校で排水口近くにある地表の放射線量が、1時間当たり1.7マイクロシーベルトと周辺より比較的高い値を計測しました。このため町は土の一部を撤去しました。 町は雨水によって放射性物質が集まったのが原因とみていて、町内すべての小中学校と保育園、そして児童館について排水口近くの地表や溝などの放射線量を13日から 測定することになりました。軽井沢町は、年間の放射線量が1ミリシーベルトを超すおそれがある場所があった場合は土壌の入れ替えなどの除染作業を行うことにしています。 軽井沢町教育委員会の荻原教育長は「今月いっぱいをめどに放射線量の測定を進めながら、値が高い場所については土を取り除いていきたい」と話しています。 NHK

横浜でストロンチウム検出 100km圏外では初 2011.10.12. 横浜市港北区のマンション屋上の堆積物から、195ベクレル(1kgあたり)のストロンチウムを、民間の分析機関が検出した。東京電力福島第一原発事故で放出されたとみられ、結果の報告を受けた横浜市は、再検査を始めた。 検出されたのはストロンチウム90(半減期約30年)。文部科学省の調査では福島県内や宮城県南部など福島第一原発から100km圏内で検出されているが、約250km離れた横浜市内では初めて。 場所は築7年の5階建てマンション屋上。7月、溝にたまった堆積物を住民が採取し、横浜市鶴見区の分析機関「同位体研究所」で測定した。放射性物質が蓄積しやすい条件とみられるため単純に比較できないが、4~5月に福島市内の土壌から検出された77ベクレルと比べても高い値だ。 同じ堆積物からは6万3434ベクレル(1kgあたり)のセシウムも検出。私有地であることを理由に公表していないが、市衛生研究所でのセシウムの再検査でも、同じ堆積物から 10万5600ベクレルが検出された。 朝日新聞

横浜市の保土ケ谷区の小学校で基準値超え 2011.10.11. 横浜市は11日、保土ケ谷区の市立笹山小学校の1階雨どいの下の側溝と、4階屋上の側溝にたまった土砂から、市が再測定の基準とする毎時0.59mSV を超える放射線量を検出したと発表した。市教育委員会によると、雨どい下の側溝からは0.82mSV、屋上の側溝からは0.69mSVの放射線量が検出された。 土砂の撤去・清掃を行った後、放射線量は雨どい下で0.40mSV、屋上で0.08mSVまで低下した。市教委は雨どい下で、清掃後の放射線量の減少量が少なかっ たことについて「ひびの入った部分に放射性物質を含んだ雨水が染みこんでいた可能性がある」としている。市教委は雨どい下の側溝について、児童らが手で触ったりしないよう、 ふたなどをすることも検討している。市は先月20日以降、今月6日までに14区191校の1369ヶ所で測定を行い、緑区、港南区など4区7校の8ヶ所で再測定基準値を超える放射線量を検出した。 産経新聞

千葉県の我孫子市と君津市の露地栽培シイタケの出荷停止 2011.10.11. 政府は11.、千葉県の我孫子市と君津市で暫定規制値(1kgあたり500ベクレル)を超える放射性物質を検出したとして、両市産の露地栽培された原木シイタケの出荷停止を県に指示したと発表した。福島県以外での露地栽培シイタケの出荷停止は初めて。厚生労働省によると、我孫子市で9月27.に検査された原木シイタケから同1955ベクレル、今月7日には君津市でも原木シイタケから同734ベクレルの放射性セシウムがそれぞれ検出された。 日本経済新聞

静岡県の伊豆市の乾燥シイタケから基準値超えのセシウム 「なぜこの時期に…」 2011.10.11. 静岡県伊豆市の乾燥シイタケから国の暫定基準値(1kg当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された問題で、同市は11日、今春に収穫されJAに保管されているすべての春シイタケについて、1箱ごとに放射性物質検査を行う方針を決めた。菊地豊市長は「なぜこの時期に伊豆で、という感じ。丹精込めてブランド化した伊豆シイタケなので、全箱検査という一番厳しい対応をとった」と降ってわいたような災難に戸惑っていた。伊豆市産の乾燥シイタケからは県の検査で599ベクレルのセシウムが検出され、静岡県が出荷自粛と自主回収を要請。伊豆市では現在、収穫が福島第1原発事故の前か後かにかかわらず、市場に出回るすべての乾燥シイタケを自主回収している。 産経新聞

年1mmシーベルト超す汚染、8都県で国土の3% 2011.10.12. 東京電力福島第一原発の事故で放出された放射性物質による被曝線量が年1mSV以上の地域は、8都県で1万3000km2(日本の面積の3%)に及ぶことが朝日新聞社の集計で分かった。環境省は10日に国の責任による除染地域を年1mmシーベルト以上とする基本方針案を決めた。同省は当初、年5ミリシーベルト以上を基準とし、範囲を福島県内約1800km2としてきたが、7倍に膨らむ計算だ。 航空機による文部科学省の放射線量の測定結果を基に、環境省が事故による追加の被曝量が年1~5mm(毎時0.19~0.95マイクロシーベルト)の地域の分布図を作製。福島県は8月28日、他の地域は9月18日現在の線量別の面積を朝日新聞社で計算した。 その結果、福島県は5ミリ以上の1800km2に加え、1~5mmの地域が6200km2。同県の面積(1万3782km2)の6割にあたる8000km2が除染の対象となる。 残る7都県に5mm以上の地域はなかったが、1~5mmは群馬県で2100km2、栃木で約1700km2、宮城、茨城が各約440km2、千葉が180km2と続き、東京と埼玉は20km2前後だった。山形と神奈川は1mm以上の地域は分布図になかった。 朝日新聞

欧州から消える日本食品、原発事故の余波続く 2011.10.9. 「1991年の創業以来、これほど困ったことはない」。スイス・ジュネーブにある「日本食品うちとみ」の内富社長は嘆く。棚にあふれんばかりに置かれていた日本食品は急減し、空きスペースが目立つ。それを埋めるために、申し訳なさそうに食器が並ぶ。昼時には恒例だったレジ前の長蛇の列も今はない。原因は福島第1原子力発電所の事故だ。といっても、事故から半年がたち、ジュネーブでは今「日本食品は放射能で汚染されている」といった風評被害はほとんどない。「日本食品が入ってこないのが最大の問題」スイスや欧州連合(EU)加盟各国は現在、福島県周辺の12都県の食品に対し、輸入時に放射性物質の検査証明書を義務付けている。それ以外の道府県の食品は産地証明書が必要。対象はコメや野菜だけでなく、調味料やお菓子にまで及ぶ。ところが、海外の日本食品店は同じ商品を一度に大量発注するわけではないため、大手メーカーは煩雑な手続きを嫌がって検査証明書を取ってくれないという。産地証明書の発行窓口である各県も「まともに対応してくれないところが多い」(内富社長)。さらに苦労を重ねて証明書を取って船積みした日本食材が、欧州の港で書類確認のために2カ月も足止めされているという。実はジュネーブだけでなく、パリやローマなど欧州各地の日本食品店はどこも同じ状況だ。ジュネーブには世界貿易機関の本部があり、各国の代表部が膝をつき合わせて国際的な通商問題を協議している。いわば自由貿易の“総本山”だ。ところが、欧州各地で起きている日本食品の輸入問題について、日本の外交当局が本気で解決に乗り出した形跡はない。一方、EU当局は日本経済新聞に「汚染された食品の流入を止めるのは当然のこと」と説明。日本国内での検査が停滞していることについては「日本の問題」と突き放す。WTOは「日本が提訴しない限り対応できない」との立場だ。日本食品うちとみは最近、サンヨー食品の即席麺「サッポロ一番」の米国産の輸入を始めた。日本産の輸入は当面断念した。内富社長は「店名に日本食品が付いているぐらいなので、本当は日本産を売りたい」と残念そうだ。 日本経済新聞

サンマ漁、福島第一100km海域を操業禁止 2011.10.7. 全国さんま棒受網漁業協同組合は7日の理事会で、操業自粛としていた福島第一原発から半径100kmの海域を操業禁止にする、と決めた。現在のサンマ漁は北海道東部が中心だが、群れが南下し、今月中旬にはこの海域に入る。同組合は「水揚げされるサンマの安全性をより高めるため」としている。 さらに、同原発から100km以上離れている福島東方沖や、200km離れた銚子沖でも、今月中旬から11月上旬にかけ、捕獲されたサンマの放射性物質を検査し、結果が出るまで操業を自粛することも決めた。 全さんまなどによると、サンマの群れの南端が今月、岩手県宮古沖90kmの海域に到達し、三陸の一部漁業関係者から、安全性が確認され次第、自粛範囲を縮小するよう求める声が出ていた。一方で、風評被害を恐れる北海道東部の水産加工業者らは逆に規制強化を求めており、「北海道サンマ産地流通協議会」は6日、同原発から100kmの宮城県金華山より南の海域でとれたサンマの水揚げを拒否するよう道東部の市場に要望していた。 朝日新聞

総括原価方式見直し、業界にも波及 東電、迫られる抜本改革 2011.10.4. 東京電力の資産や経営を調べる政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺弁護士)の最終報告は、東電が最大で8兆6千億円の資金不足に陥る危険を指摘した。立て直しには電気料金値上げが不可欠だが世論の反発は強い。報告書は東電の経営を“丸裸”にするとともに、電気料金を決める「総括原価方式」の見直しにも言及。電力業界全体に波及する形で抜本改革を迫った。「料金改定の審査を10年間も受けたことがない実態を考えれば、東電には大いにがんばってもらいたい」下河辺氏は会見で語気を強めた。電力自由化で料金値下げが「認可」から「届け出」となった後、過去数回の値下げでは、経済産業省による原価適正性審査はない。地域独占で守られた東電に下河辺氏の不満は大きい。確かに原価には、オール電化推進事業や特定団体への寄付金なども含む。報告書は直近10年間の原価について、届け出と実績の間に5926億円の乖離があると指摘。「電気の安定供給に真に必要な費用に限定」するよう見直しを求めた。これは電気事業制度の中で、他の9電力会社に共通したテーマでもある。一方、下河辺氏らの視線の先には抜本的な経営改革もある。報告を受けて東電の特別事業計画策定に着手する原子力損害賠償支援機構は3日、実行部隊となる運営委員会の委員長に下河辺氏を選んだ。調査委の査定では、柏崎刈羽原発が稼働せず、値上げもできなければ約8兆6千億円の資金不足が発生。「著しい料金値上げを実施しない限り、事業計画の策定を行うことは極めて困難」だ。しかも福島第1原発1~4号機の廃炉費用の試算は、東電が見積もった6117億円より4700億円多い1兆817億円。東電が支援機構に対して新株を発行する可能性に触れ、公的管理の強化を促したのもこのためだ。東電は15%程度の料金値上げを模索しているが、報告書はその必要性に踏み込まず、下河辺氏は「(特別事業計画策定に向け)東電がどうアプローチしてくるかで議論される」と含みを持たせた。徹底的な経営合理化がなければ、料金改定への国民理解は得られないとクギを刺した形だ。ただ、報告書が提示したリストラ達成は東電にとっていばらの道だ。東電から具体的提示がないとして調査委が独自策定した年金削減案は退職者を対象にしたものも含み、OBの賛同も必要となる。「産業経済を支えるエネルギーの根幹を担う電力会社として自社のリストラ、全ての効率化に邁進してほしい」。下河辺氏が投げかけた課題に東電はどう応えるのか。西沢俊夫社長は3日、「経営の抜本的な効率化、合理化を進めるとともに、被害者への迅速な賠償の実施に努める」との談話を発表したが、同時に、電力の安定供給と自由競争についての議論を先取りした改革の実行が求められている。 産経新聞

東電調査委“徹底した合理化を” 2011.10.3. 東京電力の経営や財務状況を調査する国の委員会は、3日、厳しい資金繰りに対応するため東京電力に一層の合理化を求めるとともに、電気料金の値上げを検討するには、高コスト体質の原因となっている現在の料金制度を見直すべきだとする報告書を政府に提出します。この委員会は、福島第一原子力発電所の事故に伴う損害賠償を進めるため、東京電力の経営状況を詳しく調べてきたもので、3日、その結果をまとめた報告書を野田総理大臣に提出します。この中では、厳しい資金繰りが続くことが見込まれる東京電力に対して、総額7000億円の資産の売却をはじめとする、徹底した合理化を求めます。一方で、厳しい資金繰りが続き、経営を維持するために来年度以降、電気料金の値上げが検討される場合には、東京電力の高コスト体質を抜本的に改め、その温床となってきた料金制度の仕組みや運用を見直す必要性を打ち出します。この報告書が政府に提出されたあと、東京電力が国から資金支援を受ける前提となる「特別事業計画」の策定が始まることになっており、原発事故の被害者に対する賠償金の支払いに向けた動きが本格化することになります。 NHK

福島第1原発:増え続ける廃棄物 循環注水3カ月 2011.10.2. 東京電力福島第1原発事故で、高濃度の放射性汚染水を浄化して原子炉の冷却に使う「循環注水冷却」が本格稼働して、9月27日で3カ月になった。今月上旬からは東芝製装置の単独運転に変わり、トラブルの多かった米仏製装置はバックアップに回る。これにより汚染水処理装置の稼働率向上が期待される一方、処理に伴い生じた高濃度の放射性廃棄物はドラム缶約4700本分相当に達し、今後も増え続ける見通しだ。最終的な処分方法は未定で、汚染水処理の障壁になっている。東電によると、米キュリオン社の装置と、8月に稼働を始めた東芝製の「サリー」は、軽石(ゼオライト)が入った「ベッセル」と呼ばれる円柱形の吸着装置に汚染水を通す。ベッセルは数日使うと交換し、使用後は放射性廃棄物になる。仏アレバ社の装置は、汚染水の放射性物質を砂に吸着して薬品で沈殿させる。処理後に極めて高線量の汚泥が発生する。これまでに発生した放射性廃棄物は、キュリオンのベッセル(直径0.9m、高さ2.3m)210本(計約307m3)▽サリーのベッセル(直径1.4m、高さ3.5m)10本(計約54m3)▽アレバの汚泥581m3--に上る(9.27.現在)。 これらは現在、敷地内の仮設保管場所にあるが、廃棄物に含まれる核物質の種類と濃度が把握できず、 処分方法の見通しは立っていない。経済産業省原子力安全・保安院放射性廃棄物規制課は「核廃棄物の処理法を定めた原子炉等規制法を適用できるか分からず、 新法を考えなければならないかもしれない」と話す。放射性廃棄物の処理に詳しい京都大原子炉実験所の小山昭夫教授は「高濃度汚染水の濃度は1リットルで最大100億ベクレル程度と予想され、汚泥やゼオライトに濃縮されるとその1万倍の濃さになることもある。従来の制度で対応できる濃度ではない」と警鐘を鳴らす。 毎日新聞

福島第1原発:プルトニウム 濃度は原発敷地の1~3割 2011.10.1. 東京電力福島第1原発から約45km離れた福島県飯舘村などの土壌でプルトニウムが検出された問題について、東電は1日、濃度の最高値は原発敷地内の1~3割に相当すると発表した。文部科学省によると、同位体の一つのプルトニウム238(半減期約88年)の最高値は浪江町での1m2当たり4ベクレル。これを東電が用いている土壌1キログラム当たりに換算すると、0.062ベクレルになり、原発敷地内の最高値の同0.54ベクレルの11%に相当した。プルトニウム39(同2万4000年)と、プルトニウム240(同6540年)を合わせた濃度の最高値は南相馬市で1m2当たり15ベクレルだった。これは1kg当たりでは0.23ベクレルで、原発敷地内の最高値の同0.75ベクレルの31%となる。 毎日新聞

東京電力の公的管理促す 経営責任も明記 第三者委員会最終報告書案 2011.9.29. 東京電力の資産査定や経営見直しを進める政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」 が来月3.にも公表する最終報告書案の全容が、28.判明した。報告書案は、福島第1原子力発電所事故の賠償金捻出に向けた 東電の財務体質強化のため、原子力損害賠償支援機構による出資の必要性に言及。実質的な公的管理強化を促す内容で、民間企業としての東電は瀬戸際へ追い込まれた。 産経新聞が入手した報告書案は、4兆円規模とみられる損害賠償の支払いについて、東電が機構からの公的援助を前提にしている点を指摘。同社の純資産が 約1兆円であることから実質的な債務超過に陥るとして、資本増強が避けられないと判断した。 東電の発行可能株式総数18億株に対し発行済み株式は約16億株で、新規発行の余裕は2億株程度しかない。このため報告書案は、定款を変更し、 株式発行可能枠の拡大を提示した。1株当たりの価値は目減りするが、「株主による協力」として、株主総会で機構による資本注入への賛成を決議するよう求めた。 議決権のない優先株引き受けによる資本参加も考えられるが、機構は「ガバナンス(統治)掌握の必要性などを含めた統合的な検討の上で判断すべきだ」などと指摘。 経営への積極関与によるリストラや経営改革の促進を示唆した。報告書案は、公的支援を受ける東電の経営陣について、「道義的観点から一定の経営責任を果たすべきだ」 とも明記。役員辞任や退職金放棄も避けられなくなる。東電は金融機関からすでに総額約4兆円を借り入れており、一部融資残高の10年間維持も打診している。 公的管理で東電の信用力が高まれば、金融機関から債務の借り換えがしやすくなったり、追加融資が得やすくなったりする、との思惑が働いた格好だ。東電は、 政府援助を受けるため、機構と共同で10.末にも特別事業計画を策定する予定で、調査委の最終報告を計画に反映することになっている。 産経新聞

「脱原発」が98% 原子力委への国民意見 2011.9.27. 国の原子力委員会(近藤駿介委員長)は27日、東京電力福島第1原発事故で中断していた「原子力政策大綱」の見直しを議論する策定会議を半年ぶりに開き、東京電力福島第1原発事故後、同委に国民から寄せられた意見のうち98%が「脱原発」に賛成する意見だったことを明らかにした。 寄せられた原発に関する意見は4500件。うち「直ちに廃止すべきだ」が67%、「段階的に廃止すべきだ」が31%で、計98%に達した。理由としては、「環境への影響が大きい」「放射性廃棄物の問題が解決していない」などがあった。 近藤委員長は会議の冒頭で、「原子力政策を決めることが使命。悩んだが、再開を決意した」と述べたその後、東電や政府が事故の概要や住民避難の状況などについて説明した。 現行の大綱は、2005年に策定され、同委では昨年12月に改定に着手。事故前までに5回の会議を開いた。今後1年をめどに、新大綱をとりまとめる。 産経新聞
“東電 人件費公務員並みに” 2011.9.26. 東京電力の福島第一原子力発電所の事故に伴う損害賠償の支払いを支援する、新たな機構が設立され、枝野経済産業大臣は、競争状態にない東京電力は役員報酬や人件費を公務員並みに削減すべきだという認識を示しました。新たに設立された「原子力損害賠償支援機構」は、福島第一原発の事故に伴う損害賠償に必要な資金を、 公的資金などを財源に東京電力に援助するもので、その資金は将来、 東京電力が返済することになっています。26日は開所式が行われ、 出席した枝野経済産業大臣は、今後の東京電力の事業計画を作る機構に対して、 電力会社のコストを厳しくチェックすることを求めました。さらに枝野大臣は、 「電力会社は民間企業のような競争状態にないのだから、給与や役員報酬は、 公務員や独立行政法人と横並びで決めるべきだ」と述べ、東京電力に人件費の 大幅な削減を求めました。開所式のあと記者会見した、機構の杉山武彦理事長は、 発電にかかるコストに一定の利益を上乗せして電気料金が決まる今の制度に、 東京電力が過剰に保護されてきた可能性があるという認識を示しました。 そのうえで、杉山理事長は「徹底したリストラの前に、電気料金の値上げの 議論だけが進むことには違和感がある」と述べ、電気料金の値上げを巡る議論を 行うのは時期尚早だという認識を示しました。機構は、東京電力の経営や財務状況を 査定している国の調査会の結論を踏まえ、来月中に、支援を行う前提となる特別事業計画をまとめることにしています。 「原子力損害賠償支援機構」が設立されたことについて、東京電力の西澤俊夫社長は、記者会見で、 「機構がなるべく早く設立し、業務を始めてほしいというのが、われわれの願いだった。 賠償金の支払いに向けて、国の支援を受けるための特別事業計画について、機構と相談しながら作り上げ、 なるべく早く提出したい」と述べ、計画の策定を急ぐ考えを示しました。一方、西澤社長は、 電気料金の値上げについては「言及できる立場にない」と述べるにとどまりました。 NHK

これが政府無視の補償「 裏マニュアル」 2011.9.26. 東京電力福島第1原発事故の被災者に対する金銭補償の受け付けが進むなか、 東電が補償の項目ごとの上限単価や、収入補償の打ち切り時期を記した社外秘のガイドラインを作成していたことが、夕刊フジの取材で分かった。 補償をめぐっては、被災者向けの「請求案内書」が専門用語だらけで156ページもあるため、高齢者らから「わかりにくい」との批判が出ている。だが、社内向けの「裏マニュアル」は「検討中」とされている家財道具の価格についても、家電一式の購入参考額などが記載されており、東電の“腹づもり”がよくわかる内容となっている。本紙が入手した東電社員向けの裏マニュアルには、「秘密情報 目的外使用・開示禁止」と明記され、補償金算定に向けた基本的な考え方から補償項目、補償金額の標準単価から対象範囲までが、被災者に渡された案内書の内容に沿って記載されている。補償金額に上限を設けることについては、枝野官房長官(当時)が4月、「上限があるからこれ以上被害補償しませんということは、とても考えられないし、許されない」と述べている。その原則を無視するかのような裏マニュアルについて、東電関係者はこう明かす。「補償はあくまでも、対象者の負担に対する実費払いが基本。算出が困難な場合には、実費相当額や遺失利益を算定することになりますが、その方法は原則としてすべて個別対応です。一部の被災者が無理難題を要求することも予想されるため、あらかじめ上限単価を定めておくということでしょう。もちろん、この数字が被災者の目に触れることは想定していません」 夕刊フジ

東電への天下り50人以上(その1) もたれ合い、ゆがむ行政 2011.9.25. 東京電力に「嘱託」などの肩書で在籍する天下り中央官僚が47人(8月末) に上ることが24日、毎日新聞の調べで分かった。次官OB向けの「顧問」ポストも加えれば50人を超え、出身は所管の経済産業省から国土交通、 外務、財務各省、警察庁、海上保安庁と多岐にわたる。経産省キャリアOBの最上級の天下り先は東電副社長ポスト。次官OBの石原武夫氏に始まり、資源エネルギー庁長官や次長経験者が10年前後の間隔で就いてきた。今年1月には、昨年8月に退任したばかりの石田徹エネ庁前長官(当時)が顧問に天下り。東電は「慣例通り副社長に昇格させる予定だった」(幹部)。しかし、「退職後2年間は所管業界に再就職しない」という自民党政権時代に作られたルールを逸脱していた上、原発事故による行政批判も重なって、4月に顧問を退任せざるを得なかった。経産省は関西など他の電力各社にもそれぞれ元局長や審議官、部長クラスを5人前後ずつ役員や顧問として再就職させている。中央省庁OBを幅広く受け入れる東電のような余裕は、独占事業ではない他の民間企業では考えられず、経済官庁幹部も「東電など電力は再就職の最大の受け皿」と認める。東電関係者によると、天下り官僚の肩書はキャリアOBなら「顧問」、ノンキャリア出身者なら「嘱託」。報酬は「霞が関での最終ポスト時代を下回らないのが暗黙のルール」(経産省OB)。東電福島第1原発事故では安全規制の不備が指摘されるが、原子力行政に携わった元官僚は 「(当局と電力会社との)癒着が安全規制の緩みにつながった」と認める。 毎日新聞

福島除染土、最大2800万立方m…環境省試算 2011.9.25. 東電福島第一原発の事故で放射性物質に汚染され、除去が必要となる土壌の量と面積について、環境省の試算値が24.、明らかになった。被曝ひばく線量と森林での除染率に応じて9パターンを想定。年間5ミリ・シーベルト以上のすべての地域を対象にすると、東京ドーム23杯分に相当する約2800万立方メートル、面積は福島県の約13%に及ぶ。試算値は、汚染土を保管する仮置き場や、その後に土を運び込む中間貯蔵施設の容量の目安になる。国の除染方針を決める同省の検討会で27日に示される。文部科学省が福島県内で行った航空機による線量調査と、国土交通省の土地利用調査をもとに試算した。土壌の量と面積について、年間被曝線量がそれぞれ(1)20ミリ・シーベルト以上(2)5ミリ・シーベルト以上(3)5ミリ・シーベルト以上と部分的に1ミリ・シーベルト以上――と段階的に想定。これらをさらに森林での除染面積について100%,50%,10%の計9つのパターンに分け、「家屋・庭」「学校・保育所」「農地」などの数値を計算している。それによると、汚染土の最大量は(3)の森林100%で2808万立方メートル。最少量は(1)の森林10%で508万立方メートル。5ミリ・シーベルト以上の地域の内訳は、家屋や庭102万立方メートル、学校や保育所56万立方メートル、農地1742万立方メートルなどとなっている。その総量は森林100%の場合、2797万立方メートルで、面積は1777平方キロ・メートル。 読売新聞

元福島知事「起こるべくして…」 安全神話過信 税収を優先 2011.9.24. 
・「『ムラ』の人々はいつも『安全だ』と言い続けてきたが、福島が裏切られたのは初めてではない」そう語り始めたのは、昭和63年から平成18年まで福島県知事を5期18年務めた佐藤栄佐久。汚職事件の責任をとって知事を辞職し、政治から距離を置く立場になってすでに5年がたつ。かつて自らがその一角を担っていた原子力“先進国”の内情を振り返った。
・佐藤は在任中、原子力発電をめぐって幾度も「煮え湯」を飲まされた経験から、東京電力福島第1原発の事故を「起こるべくして起きた人災」と言い切る。MOX燃料を一般の原発で燃やすプルサーマル計画など、原子力政策で国や東電と対立を演じてきた佐藤。「闘う知事」と評されたこともある。しかし、佐藤は「知事選にあたって反原発を掲げたことはなかった」と話す。むしろ、第1原発と第2原発が並ぶ双葉郡の地域振興を訴えるなかで、「過疎地域の人口が1万人くらい増え、経済面で良い面がある」と考えていた。その佐藤も知事就任後は、東電と対立する場面を繰り返した。背景には、昭和63年の就任後、間もなく抱いたある種の「違和感」の存在があるのだという。昭和64年1月6.。福島第2原発3号機で警報が鳴り、原子炉が手動停止された。一報は現地から東電本店を通じ、通商産業省、県へと伝わった。東京電力の思考には、地元への伝達優先という発想はなかった。地元の不信感を煽る事態は続く。部品が外れて原子炉内に三十数キログラムもの金属片が流入、4回の警報が鳴っていたにもかかわらず、運転を継続していたことが後に判明した。県庁に陳謝に訪れた東電幹部が放った言葉がこれだ。「安全性が確認されれば、(部品が)発見されなくても運転再開はあり得る」「『安全は二の次なのか』と思った」。佐藤は、当時の東電とのやり取りをを今でも忘れない。佐藤が原子力発電に感じた違和感は他にもあった。それは原発立地のメリットである「カネ」をめぐる違和感だった。
・福島第1原発がある双葉町、大熊町。元自治体にとって、莫大な税収をもたらす原発施設の固定資産税。だが、施設の減価償却が計算されることで年々減額され、先細りする。窮した自治体が、さらに増設を求める。大熊町町長の渡辺利綱は「原発の安全神話を過信した。『安全だ』と言われれば信じるしかないようにされてきた」と悔いる。当時、福島県知事だった佐藤栄佐久にも自らも含め地元が、原子力ムラの掟にからめ取られていくのが分かった。
・だが安全に関しては、「お世話になっている」はずの地元が、いつも後回しにされた。14年、東電が福島第1などのトラブル記録を意図的に改竄、隠蔽していた「トラブル隠し」が露見した。関連会社の元社員が実名で内部告発したにもかかわらず、監督官庁の原子力安全・保安院は告発者を容易に特定できる資料を、当事者の東電側に渡していた。電力会社と、それを監視すべき立場にある保安院が「グル」だと思われても仕方ない構図。当然、地元は反発した。低姿勢を装いながら、電力会社も国も、「原発は安全で、原発なしでは地域は成り立たない」と思わせ、地元自治体をも取り込んでいく巧妙なレトリック。そして安全面では地元は軽視される。それが原子力ムラの掟だった。渡辺は指摘する。「原発に依存する地元は、安全に関しては常に蚊帳の外に置かれてきた
・国と電力会社が癒着していると疑っても仕方のないことだった…」佐藤も自責の念を込めるように、こう語る。「ムラの掟を崩壊しなければ日本の原子力行政は再生できない。それが社会を大切にするということだ」
産経新聞

「最悪、国会移転も想定」 菅前首相、原発事故を語る 2011.9.21.
・原発事故の直後に最悪のシミュレーションを考えてくれと指示した。退避区域が200~300 キロメートル単位にまで広がるのが最悪の想定だった。10 万~20 万人の避難も大変なのに、対象が 1000 万人、2000 万人となれば国が機能しなくなる。少なくとも国会は移転しないといけない。国会の周りも人っ子一人いなくなる。首相官邸から全部、西の方に行くことになる.
・社長は『撤退と言っていません』とも『撤退したい』とも言わず、はっきりしない。結局、東電できちんと話ができたのは2人しかいなかった。第1原発の吉田所長と勝俣会長だ/あとは役人以上に役人なのか、責任をかぶらないよう物事を考えている。
・重大な事故が起きたという猛烈な危機感があった。冷却できないということは炉心溶融(メルトダウン)だ。
・霞が関は自分の都合のいいデータしか出さない。結果として十分な情報発信ができなかった。
・少なくとも私が知る限りの範囲ではデータを隠すようなことはさせていない。SPEEDIについて 当時の原発関係者は放出源データが入手できず、当初想定していた活用ができないという判断だった。
・経産省は保安院のチェックだけで(九州電力玄海原発を)再稼働させようとした。原子力安全委に聞いたか問うと『法律上、必要ない』と。確かにそうなっていたが、 保安院では十分に対応できない。私は国民が納得するルールを作れと関係閣僚に言った。最低限、安全委が関与することと、IAEAのストレステストを参考に案を作らせた。 経産省は私の目の届かないところで既成事実を積み重ねようとしていた。
日本経済新聞

福島第一 建屋に地下水大量流入か 収束作業に難題 2011.9.20. 東京電力福島第一原発1~4号機の原子炉建屋やタービン建屋地下に、一日数百トンの地下水が流入している可能性のあることが分かった。汚染水処理の実績などから計算すると、五万トン強まで減っているはずだが、実際には8万トン強も残る。東電も地下水流入の可能性を認めており、地震で建屋地下の壁が損傷し、流入していることが考えられる。今後の収束作業に影響が出そうだ。 建屋からくみ出した汚染水の移送量や原子炉への注入量など東電が公表したデータを本紙が集計したところ、約10万トンあった汚染水は、13.時点で約五万千六百トンにまで減っているはずだった。しかし、実測の地下水位から東電が推計した汚染水残量の最新値は約8万1300トン。移送量などから逆算した値とはほぼ3万トンの開きがある。東電はこれまで、汚染水がなかなか減らない理由を、雨水の影響と説明してきた。福島第一周辺では、7.以降の3カ月間に3回まとまった雨が降っており、一部は屋根の損傷部などから建屋に流れ込んだとみられるが、水位の変動は小さく、3万トンの差を説明できるほどではない。建屋のひび割れなどから地下水が流入している可能性は、以前から指摘されていたが、あらためてその可能性が高まった。東電に本紙の計算結果を示すと、「日量百トン単位でわき出ていると思う」との回答があった。地下水流入が事実なら、汚染水処理はさらに膨大な量になるばかりか、原子炉への注水量を絞る必要があるなど、事故収束に向けてさまざまな影響が出ると予想される。 東京新聞

当事者が初めて語った「放射能失言」の裏側! 2011.9.13. 鉢呂経産大臣は原発村を揺るがす「原発エネルギー政策見直し人事」の発表寸前だった 現代ビジネス

福島 内部被ばく検査進まず 2011.9.9. 原発事故からまもなく半年となるなか、福島県や一部の自治体で始まっている放射性物質を体内に取り込む「内部被ばく」の検査を受けた人は福島県で5000人余りと県民のうち、0.3%にとどまり、十分、進んでいないことが分かりました。原発事故のあと、福島県では「ホールボディカウンター」という装置で、主に子どもや妊婦を対象に内部被ばくの検査が始まっていて、南相馬市など一部の自治体や県外にある病院でも独自に検査が行われています。NHKが各自治体や医療機関に取材したところ、今月1日時点で検査を受けた人はおよそ5400人と、警察官などを除いた一般の県民では0.3%にとどまっていることが分かりました NHK

海の放射性物質 推計の3倍超 2011.9.8. 海に流れ出した放射性物質の量を海水のモニタリング調査などを基に試算すると、東京電力の推計の3倍を超える1京5000兆ベクレルに上るとする研究結果がまとまりました。福島第一原発では、4月と5月に2号機や3号機の「ピット」と呼ばれる施設から高濃度の汚染水が相次いで海に流れ出すなどして、東京電力は、流れ出した放射性物質の量が4720兆ベクレルに上ると推計しています。日本原子力研究開発機構や京都大学などの研究グループは、流れ出した汚染水の量に加え、海水のモニタリング調査などを基に3月下旬から4月末にかけて海に流れ出した放射性物質の量を試算しました。その結果、ヨウ素131とセシウム137で合わせて1京5000兆ベクレルに上り、東京電力の推計の3倍を超えるとしています。 NHK

東電、来春から15%値上げ検討
どういうこと?・・・10%の値上げ検討を否定しただけで、15%の値上げを検討中ってこと?
2011.9.6. 「火力発電増やすため」東京電力が来春から15%程度の電気料金の値上げを検討していることがわかった。福島第一・第二原子力発電所 は事故などの影響で今後も停止が見込まれ、 代わりに火力発電を増やすことが理由。仮に15%値上げなら、標準家庭で月7千円弱の電気料金が、1千円ほど増える。 電気料金は毎月、燃料費調整制度で原油価格や為替の変動を 自動的に反映している。今回は、これとは別の本格改定となる。値上げに必要な経済産業相の認可には公聴会の審査などで数カ月かかる。 東電は従来、発電電力量の3割ほどを原発 に頼ってきた。これが福島第一・第二の停止で、当面はほぼ半減が見込まれる。その分は液化天然ガス(LNG)の火力発電を中心に増やさざるを得ない。燃料費の増加分は年1兆円規模とされ、 値上げは避けられないと判断した模様だ。 ただ、値上げには企業や家庭に抵抗感が強く、政府は前提として東電に資産売却や経費削減などのリストラを求めている。政府関係者も「安易な値 上げは認めない」としており、実際に15%程度の値上げができるかは不透明だ。 東電は、10月中にもつくる「特別事業計画」に値上げの必要性を織り込むことを想定している。 朝日新聞

首都圏壊滅の危機感 菅前首相に聞く 2011.9.6. 2日に退任した菅直人前首相が5.、本紙の単独インタビューに応じ、東京電力福島第一原発の事故発生当初に原子炉の状態が把握できず、水素爆発が相次ぐ中で「東京に人っ子一人いなくなるような事故に拡大するかもしれない」と、首都圏壊滅の危機感を持ったことを明らかにした。事故の体験から「日本の技術なら大丈夫」との考えが変わり、7.の「脱原発依存」宣言につながった。菅前首相は、事故四日後の3.15.に東電本店に乗り込んだ理由を「午前3時ごろ、海江田万里経済産業相(当時)から『東電が第一原発から撤退の意向を示している』と言われた」ためと明言。「(第1と第2で)10基の原発と11個の核燃料プールを放置したら、何時間か何十時間の間に原子炉とプールの水は空になり、どんどんメルトダウン(炉心溶融)する」との危機感から、本店に政府と東電の対策統合本部を設けたと述べた。その上で「撤退したら今ごろ、東京に人っ子一人いなくなっていたかもしれない。まさに日本が国家として成り立つかどうかの瀬戸際だった。(旧ソ連)チェルノブイリ事故の何倍、何十倍の放射性物質が出ていたかもしれない」と説明。こうした体験から「日本の技術なら大丈夫」との考えを改め、原発に依存しない社会を目指そうと思ったという。 東京新聞

「福島の核燃料、仏が引き取り打診」 菅前首相に聞く
で、その使用済み核燃料は最終的にはシベリアに行かれ (放射性廃棄物はどこへ?)、そして核燃料サイクルの破綻が見抜かれることを恐れている、ってわけか。
2011.9.6. 菅直人前首相は5日、東京電力福島第一原発事故について朝日新聞の単独インタビューに応じ、フランス政府から事故後、 同原発の使用済み核燃料の引き取りを打診されたことを明らかにした。 菅氏が5月に仏ドービルでのサミットに参加した際、フィヨン仏首相から提案を受けたという。 菅氏は「フランスは使用済み核燃料を持って帰ってもいいよと言った。ある種のビジネスかもしれないが当然、経産省の現場には伝えた」と語った。 日本政府が福島第一原発の事故で使用済み核燃料の処理に窮するなかで、原発大国のフランス政府がトップセールスで再処理を売り込んできた格好だ。 応じれば日本の核燃料サイクル政策が根底から崩れかねないとして経済産業省内には反対論が強く、政府内で協議を続けているという。 朝日新聞

埼玉県産茶から暫定規制値超すセシウム 2011.9.3. 厚生労働省は2日、埼玉県産の3つの製茶から暫定規制値(1kg当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムを検出したと発表した。埼玉県産の茶葉で暫定規制値を超えたのは初めて。国立医薬品食品衛生研究所が8月上旬に購入した製茶を検査したところ、同1530~800ベクレルだった。千葉県産の製茶からも同2720ベクレルを検出し、同省は他県産をブレンドしていないか埼玉県などに調査を依頼した。同省は「製茶は通常、30倍以上に薄めて飲むため飲む状態では暫定規制値を下回る」としている。いずれも自治体による検査ではなく、同研究所が流通している商品を購入して調べる“抜き打ち検査”で判明した。千葉県産の製茶は5月に購入していたという。 日本経済新聞

同じ記者発表の資料がマスコミ各社によってかくも違う好例。以下 (1)~(5)

(1)  炉心予測、官邸活用せず
2011.9.2. 保安院は2.、東日本大震災当日、福島第1原発1~3号機で全電源喪失などを想定し炉心溶融などを予測した 「緊急時対策支援システム(ERSS*)」の解析結果を、約半年たって公表した。 2,3号機の予測は官邸に送信したが活用されず、1号機は送信もしていなかった。保安院の情報管理の ずさんさが問われそうだ。保安院によるとERSSを開発した原子力安全基盤機構(JNES)は3.11.、保安院の依頼でERSSを起動。同原発で全電源が断たれた事態を想定した パターンを使い、1~3号機の原子炉内の水位や圧力、温度が今後どう推移するかの予測結果を出した。2号機のデータは11日午後9時半ごろ、JNESから保安院に届いた。 保安院の職員はデータを基に「22時50分 炉心露出 24時50分 燃料溶融」など予想される展開を文章にし、同日午後10時45分ごろと12.午前0時過ぎ、危機管理センターに 常駐していた保安院職員を通じ内閣府の職員に手渡した。3号機については13日午前6時半ごろに届いたデータを同様の方法で約20分後に官邸に届けたという。しかしこれらは 周辺住民の避難指示などに活用されなかった。保安院の森山善範・原子力災害対策監は2日の会見で「事実に基づいたデータではないので活用を思い至らなかった」と釈明した。 また、保安院は1号機の予測から導いた放射性物質の推定放出量を基に「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」で拡散予測を実施していた。しかしすぐには公表せず、 避難指示などにも活用しなかった。保安院はこれまで「全電源喪失でSPEEDIが機能しなかった」と説明していた。 毎日新聞

(2) 1号機の事故解析結果、官邸に報告せず 保安院 2011.9.3. 保安院は2日、東京電力福島第一原発事故直後の3月11日~13日、事故の進展を解析していたが、1号機の結果は首相官邸に報告していなかったことを明らかにした。発生時の政府内の連携の悪さが改めて示された。森山善範・原子力災害対策監は会見で「理由はわからない」と説明している。 保安院によると、3月11日、関連組織の原子力安全基盤機構に「緊急時対策支援システム(ERSS)」を使った解析を依頼。原子炉の水位や圧力の変化や、燃料の溶融、原子炉が壊れる時刻を予測した。 1号機の解析結果は、基盤機構が12.午前1時57分に保安院に送信。一部は事故による放射性物質の飛散状態を予測する「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」に使われた。この計算結果も午前6時7分に出たが、保安院はいずれも官邸に報告していなかった。 朝日新聞
(3) 放射性物質予測 事故直後から機能せず 2011.9.3. 保安院は2日、東京電力福島第一原子力発電所事故の直後に緊急時対策支援システム(ERSS)で算出した事故進展予測の結果を公表した。全電源喪失から1号機は15時間22分、2,3号機は8時間35分で炉心溶融すると予測。1号機の結果をもとに、「SPEEDI(スピーディ)」で放射性物質の拡散予測も行っていたが、官邸の危機管理センターには、2,3号機のERSSの予測を送るだけで、SPEEDIを含む1号機の予測結果は報告していなかった。森山善範・原子力災害対策監は、今回の予測も含めて保安院がSPEEDIで解析した45件のうち、官邸には2件しか送付していなかったのを認めた上で、「(送付しなかった)理由は分からない。SPEEDIを使うという思いが至らなかった。問題があった」と述べた。 読売新聞

(4) 原発事故直後に「炉心の燃料溶融」予測 2011.9.3. 福島第一原発の事故直後に原子炉の燃料がいつ溶け始めるかなどを予測し、官邸の危機管理センターに送られていた文書を、原子力安全・保安院が初めて公開しました。 これは、原発事故が起こった直後の3.11.から13.までの間に福島第一原発の炉心の燃料がいつ溶け始めるかなどを予測した結果が書かれた資料です。 「取り扱い注意」と書かれた資料は原子力安全・保安院が官邸の危機管理センターに送ったもので、3号機は東京電力の解析では13日の午前7時半の時点で燃料が溶け始める予測になっています。 東電が、燃料が溶け落ちる「メルトダウン」を認めたのは事故から2か月以上が経ってからでしたが、 資料からは事故直後の早い段階から保安院や東電が燃料溶融を予測していたことが分かります。ただ、今のところ、こうした予測が官邸で議論された形跡はないということで、 保安院は「本来、活用されるべきデータだった」としています。 毎日放送

(5) メルトダウン予測資料、震災当日に作成 保安院公表 2011.9.2. 保安院は2日、東日本大震災の発生直後に作成した 東京電力福島第1原子力発電所1~3号機の事故解析・予測資料を公表した。最悪の場合、3月12.未明に炉心溶融(メルトダウン) が起きうるとしていた。官邸の窓口に保安院職員を通じて渡したが説明はしておらず、どう活用されたかは不明という。事故調査・ 検証委員会の調査で焦点の一つとなりそうだ。半年もたって急に公表した理由は明らかにしなかった。保安院によると解析は 独立行政法人原子力安全基盤機構に依頼。同機構は原子炉への注水が止まり冷却できなくなった場合、炉内の状態がどう変わるかを 「緊急時対策支援システム(ERSS)」で計算した。保安院は資料を3月11日午後10時に作成した。同資料によると、11日午後10時50分に燃料棒が冷却水から露出すると予測。同11時50分に燃料の被覆管が破損し始め、 12日午前0時50分に溶融が始まるとした。同3時20分に原子炉格納容器が設計上の限界圧力に達してベント(排気)が必要になり、放射性物質が外部に出ると予測した。 保安院によると資料は3月11日午後10時44分、12日午前0時17分の2回、官邸危機管理センターからアクセスできる電子フォルダーに入れた。 官邸にいた保安院職員が印刷して担当者に渡したが、内容の重要性を説明した形跡はないという。3号機についても同様の解析・予測を進め、 13日午前6時50分に官邸側に渡した。また1号機は放射性物質の外部への影響なども計算したが、官邸には送らなかった。保安院は「ちぐはぐな対応で、良かったとは思っていない」としている。 東電は「炉心の損傷割合など社内の計算結果を保安院に出した」というが、 保安院の予測が東電と共有されたかは不明だ。 日本経済新聞

立ち入り制限区域、最高線量は避難基準の36倍

☞ 警戒区域・計画的避難区域の広域モニタリング結果
☞ 警戒区域・計画的避難区域の基礎データモニタリング結果
☞ 各市町村における詳細データ
2011.9.2. 政府の原子力被災者生活支援チームは1日、東京電力福島第一原子力発電所事故によって立ち入りが制限されている警戒区域、 計画的避難区域の約2700地点で、空間の放射線量を計測した「広域モニタリング」の結果を初公表した。地面から高さ1メートルの空間で最も線量が高かったのは、第一原発から南西に約1.5km 離れた福島県大熊町夫沢で、毎時139マイクロ・シーベルト(年間推定被曝ひばく線量約730ミリ・シーベルト)。住民避難の目安となっている毎時3.8マイクロ・シーベルトの約36倍に相当する 値だった。調査は、7月4日から8月20日にかけて、警戒区域の同県双葉町、大熊町、富岡町など9市町村の1572地点と、計画的避難区域の飯舘村、南相馬市の一部など5市町村の1124地点で、 公民館や病院など人が集まりやすい場所を中心に、高さ1メートルと1センチの放射線量を測った。高さ1センチで最も高かったのは、双葉町松ざくの毎時368マイクロ・シーベルトだった。空間線量が 特に高い地域は、原発の北西方向に約32kmにわたって延びていた。文部科学省が8月30日に公表した放射性セシウムの土壌汚染の分布図と、おおむね一致している。同じ警戒区域でも、原発北側に 2、3キロ離れた海岸沿いでは、毎時1マイクロ・シーベルト未満になるなど、区域内で線量の分布にばらつきが出た。 読売新聞

汚染水漏れ防ぐ壁、2年後に完成 東電が基本設計公表
☞ こりゃ、あかんわ。四方を囲まにゃ、何を考えてるんだろか。
2011.8.31. 東京電力は31日、福島第1原子力発電所の高濃度汚染水が海などに漏れるのを防ぐ遮水壁の基本設計を公表した。1~4号機を取り囲むように、全長800メートルにわたって約700本の鋼管を並べて海中に打ち込む。地下水の汚染状況などを観測するための井戸も掘る。来年1月までに着工し、2年後の完成を目指す。鋼管は直径1メートル、長さ22~23メートルで、地下水を通さない下部の地層まで打ち込む。鋼管どうしを継ぎ手でつないで中にコンクリートを流し込み、鋼管矢板と呼ぶ壁状の強力な構造にする。耐用年数は約30年を見込む。1~2カ月の準備工事後、2年間かけて鋼管を設置。その後、遮水壁と護岸の間を埋め立てる。埋め立てた部分には地下水の濃度や水位を測る井戸を掘り、地下水の状態を監視する。遮水壁はこのほか、1~4号機の陸地側にも設ける計画だが詳細は未定だ。 日本経済新聞

東電、15m超の津波も予測…想定外主張崩れる 2011.8.25. 東京電力が東日本大震災の前に、福島第一原子力発電所に従来の想定を上回る10メートル以上の津波が到来する可能性があると2008年に試算していたことが政府の事故調査・検証委員会で明らかになった問題で、東電は同じ試算で高さ15メートルを超える津波の遡上そじょうを予測していたことが24日わかった。大震災で同原発は、14~15メートルの津波に襲われたが、「想定外の津波」としてきた東電の主張は、15メートル超の遡上高の試算が明らかになったことで崩れた。東電は試算結果を津波対策強化に生かさず、大震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に対し報告していた。 読売新聞
福島第一原発周辺に活断層か 2011.8.31. 東日本大震災発生後の4月11日に福島県で起きた震度6弱の余震では、福島第一原発から50km離れた所にある、これまで活断層と評価していなかった断層が動いたことから、国は電力各社に原発周辺の断層を改めて調べるよう指示していました。これを受けて東京電力が福島第一と第二原発の周辺を調べたところ、▽2つの原発の西を南北に走る畑川断層や、▽沖合の海底にある敷地南東海域断層など5つの断層で、これまで認められなかったゆがみなどの地殻の変形が確認されたということです。 NHK

原発作業員の被ばく線量引き下げへ 2011.8.30. 現在、特例として250ミリシーベルトに引き上げられている福島第一原発の緊急作業員の累積の被ばく線量について、厚生労働省は本来の100ミリシーベルトに戻す方針を固めました。「緊急時の250も、その緊急時というのがいつどういう状況なのかということもよく検証しながら、秋には一定の結論を出さなければならないんじゃないかと」、細川大臣が明らかにしたものです。原発事故の際に緊急作業を行う作業員の被ばく量は累積で100ミリシーベルトと定められていますが、福島第一原発に限っては、作業時間を確保するため特例として限度量を250ミリシーベルトまで引き上げています。厚生労働省によりますと、3月中には103人の累積被ばく量が100ミリシーベルトを超えていますが、4月以降は100ミリシーベルトを超える作業員は1人もいないということです。このため厚労省は関係省庁と協議の上、近く本来の上限である100ミリシーベルトに戻す方針です。 TBS

福島県放射能測定マップ 2011.8.29. 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、福島県は29日、県内102地点の最新の放射線量を表示した地図「福島県放射能測定マップ」をホームページで公開した。県は毎日、各地の役場や公民館など102地点で放射線量を測定している。地図上で測定地点をクリックすると、最新の放射線量の数値、福島第一原発からの距離と方向、測定日時が表示される。過去の数値のグラフも見られるため、放射線量の推移も確認できる。102地点のほか、県内の小中学校や児童福祉施設など約2000か所でも、過去に測定した放射線量を見ることができる。県は今後、各地の水道水や河川、海などの放射性物質の濃度についても見られるようにする予定。 読売新聞

土壌汚染マップ 大熊町でセシウム最高値
☞ 併せ、航空機を使って原発から(新潟、静岡県を含めた)300kmの広範囲の放射能汚染マップを急ぎ作成しなければ。戸別毎の細密汚染マップは二本松市を見習うべし。
2011.8.29. 文部科学省は29日、東京電力福島第1原発から放出されたセシウム137(半減期30年)の蓄積分布を、原発からおおむね半径100キロ圏内で示した「土壌濃度マップ」を初めて作った。最も高かったのは、原発がある福島県大熊町で土壌1平方メートル当たり1545万ベクレル。南相馬市と富岡、大熊、双葉、浪江の各町、飯舘村の6市町村34地点で、チェルノブイリ原発事故(1986年)の際に居住が禁止された同148万ベクレルを上回った。調査は6~7月、文科省と大学など94機関3企業が共同で約2200区画(1区画は2キロ四方)を調べた。1区画内の草も含め任意の場所で集めた5サンプルを混ぜて測定した。濃度分布の傾向は、文科省が同じ地点で測った空間線量や、航空機で測った空間線量から算出した地表の放射性セシウムの蓄積分布とほぼ一致した。マップ作成検討会主査の中村尚司・東北大名誉教授(放射線計測)は「直接測った今回のデータは除染作業の参考になる」と話した。また、農林水産省は同日、福島、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉県の農地における放射性セシウム(137と134)の濃度分布図を作った。調査対象は福島の360地点、他5県の計220地点の水田と畑。飯舘村や相馬市、南相馬市など福島県内の13市町村で、稲の作付けを制限する土壌1キログラム当たり5000ベクレルを上回る地点があった。今後3000地点まで増やして調査を続ける。 毎日新聞

福島第1原発事故 帰郷困難、20年超も--政府試算 2011.8.28. 政府は27日、福島市内で開かれた「福島復興再生協議会」で、年間被ばく線量が200ミリシーベルトと推定される地点では、除染しない場合、帰宅可能な水準(年20ミリシーベルト以下)まで線量が下がるには20年以上かかる可能性があるとの試算結果を示した。放射性物質が風雨で拡散されることなどにより、被ばく線量は除染なしでも自然に低下していく。試算結果によると、帰宅可能水準まで被ばく線量が下がるには、現在の推定線量が100ミリシーベルトの地点で10年程度、50ミリシーベルトの地点で4年程度かかる。この期間をより短くするには、除染作業を効率的に進める必要がある。 毎日新聞

新潟県十日町で県測定 飛散セシウムが濃縮? 南魚沼でも調査開始
☞ 「放射能被曝対策のために原発から2~300kmの広範囲かつ戸別毎の細密な放射能汚染マップを作成するのが急務である。」☞どうして行政はわからないの?
2011.8.28. 十日町市の保育施設2カ所の汚泥などから1キロあたり最大2万7000ベクレルの放射性セシウムが検出された問題で、県は27日、現地測定などの結果、 福島第1原発事故で飛散した放射性物質が降下し濃縮された可能性が高いと発表した。同市や隣接する南魚沼市では、他にも放射性物質が集積した場所があるとみて、調査を開始した。県によると、今年3月15日の全国各地の放射線量を比較した研究資料などから、群馬県上空を経由して放射性物質が十日町市や南魚沼市に降下した可能性が高いことが判明。また現地測定の結果、屋根やプールなど広い面積に降り積もった放射性物質が1カ所に集積され、濃度が高まったことも分かった。県では、同様に降下物が集積された場所がある可能性が高いとして、測定機器を十日町市や南魚沼市に貸し出して既に調査を開始。また空間放射線量を測定するため、28日から走行中に放射線量を測定できるモニタリングカーで十日町市などを巡回する。 毎日新聞

4号機の爆発原因解明へ一歩 水素ガス流入の「痕跡」
☞ TEPCOの説明図
2011.8.27. 東京電力は27.、3.15.に福島第一原子力発電所4号機が爆発した原因の解明につながる「痕跡」を見つけたと発表した。東電は5月、隣の3号機で発生した水素ガスをベント(排気)した際、配管を通じて水素ガスが4号機に流れ込んだためという推定を発表していたが、それを裏付けるものという。 3号機と4号機の原子炉建屋は非常用ガス処理系という配管でつながっている。東電は8月25日、配管に設置された放射能除去装置の放射線量を測定した。装置のうち、3号機に最も近い部分の放射線量が最も高く、4号機側に行くほど低くなっていた。3号機から水素ガスが流れ込んだ可能性が高まったという。今後、配管の弁が事故当時開いていたかを調べる。 4号機は当初、使用済み燃料プールの燃料が破損して水素が発生し、爆発したとみられていたが、プール内の燃料に損傷はみられず、爆発原因はわかっていなかった。 朝日新聞

多摩の公園でセシウム検出 堆積汚泥の出所不明
☞ 「原発から2~300kmの広範囲な放射能汚染マップ」☞どうして行政はわからないの?
2011.8.26. 高い空間放射線量の影響で、川崎市中原区の平間公園に続き、市営プールの利用が中止になった多摩区の稲田公園。市民らは身近な放射能汚染に驚き、調査に訪れた市職員は途方に暮れた。国が汚泥処理の目安にしているのが1キログラム当たり8000ベクレル。その2倍以上の同15600ベクレルが、夏休みに一日当たり約2百人もの子どもたちが遊びに来ていたプールの入り口脇で、検出された。稲田公園の空間放射線量を自主的に測定していた市民グループ「ピース&スマイルプロジェクト川崎」の男性は「自分の子どもが公園やプールに来るので周囲を何箇所か測ったら、基準値をはるかに超えた値が出た」と驚いていた。「市も測定してくれているが、枯れ葉のある場所に絞っていて、稲田公園は対象ではなかった。今後は対象範囲を広げてほしい」と話す。 東京新聞

福島第一放出セシウム137 広島原爆168個分 2011.8.25. 政府が、東京電力福島第一原発の1~3号機事故と、1945年の広島への原爆投下で、それぞれ大気中に飛散した放射性物質の核種ごとの試算値をまとめ、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会に提出していたことが分かった。半減期が30年と長く、食品や土壌への深刻な汚染を引き起こすセシウム137の放出量を単純比較すると、福島第一原発からの放出量は広島原爆168.5分に相当する。福島第一原発事故は今年6.の国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に対する日本政府報告書、広島原爆については「原子放射線の影響に関する国連科学委員会2000年報告」を基に試算されている。セシウム137の放出量は、福島第一原発1~3号機が1万5千テラベクレル(テラは一兆)、広島原爆が89テラベクレル。このほかの主な核種では、福島事故で大量に飛散したヨウ素131(半減期約8.)は、福島が16万テラベクレル、広島が6万3千テラベクレルで、福島は広島原2.5個分。半減期が28年と長く、内部被ばくの原因となるストロンチウム90が、福島が140テラベクレル、広島が58テラベクレルで、広島原爆2.4個分となる。試算値は川内博史衆院科学技術・イノベーション推進特別委員長が8.9日の同委員会で「広島型原爆の何発分かを政府として正確に出してほしい」と要求していた。 東京新聞 

セシウム22%が東日本の陸地に 拡散分析、国立環境研
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2011.8.25. 東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質は、東北だけでなく関東や甲信越など広範囲に拡散し、ヨウ素131の13%、セシウム137の22%が東日本の陸地に落ちたとの分析結果を、国立環境研究所の大原利真・地域環境センター長らが25日までにまとめた。大原さんらは、大気汚染物質の拡散を予測するモデルを使い、3月11日の事故発生から3月下旬までに、放射性物質が東日本でどう拡散したかを分析した。放射性物質は風に乗って移動し風や雨の影響で地面に沈着。北は岩手や宮城、山形の各県から、南は関東を越え静岡県にも届き、新潟や長野、山梨の各県にも到達した。 共同
10m津波想定 東電副社長も把握 2011.8.25. 東京電力が、福島第一原子力発電所で設計段階の想定を超える10メートル以上の津波が来る可能性があるという試算を3年前に行っていたにもかかわらず、国への報告が東日本大震災発生の直前だった問題で、試算した当時、その結果が東京電力の副社長にも伝えられていたことが分かりました。福島第一原発では、設計段階の想定の5.7メートルを大幅に超える10メートル以上の津波が来る可能性があるという試算が3年前の春行われましたが、東京電力が国に報告したのは東日本大震災発生の4日前に当たる、ことし3月7日だったことが、24.に明らかになりました。この試算結果について東京電力は、原発の津波対策に取り組んでいる土木学会に調査を委託しましたが、当時の武黒一郎副社長にも伝えられていたことを明らかにしました。東京電力の松本純一本部長代理は「試算は仮定を積み重ねた計算で、具体的な根拠がないので外部には公表しなかった。今後も公表するつもりはない」と述べました。一方、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、国への報告が震災の直前だったことについて「試算であっても評価の材料になるから、東京電力は早く報告すべきだった。結果的に津波対策は不十分だったと考えている」と述べて批判しました。 NHK

葛飾区 29施設砂場使用中止
☞ 「原発から2~300kmの広範囲な放射能汚染マップ」☞どうして行政はわからないの?
2011.8.23. 東京・葛飾区は、区内の保育園や小中学校などで砂場の表面の放射線量を測定したところ、29の施設が、独自に設けていた目安を上回ったとして、これらの施設に対して砂場の使用を中止するよう指示しました。東京・葛飾区は、都内では比較的空間放射線量が高く、区は住民の要望を受けて、今月、保育園や小中学校、それに公園など378か所の砂場で表面の放射線量を測定しました。その結果、29の施設が、区が独自の目安としている1時間当たり0.25マイクロシーベルトを上回ったことが分かり、葛飾区はこれらの施設に砂場を使わないよう指示しました。このうち、今月10日に0.31マイクロシーベルトの放射線量が測定された半田保育園は、砂場をシートで覆い、子どもたちが近寄らないようにしています。 NHK

後退する電力改革、民主党は発送電分離と距離 2011.8.22. 地域独占から競争市場への転換を促す「発送電分離」は政府が検討課題と位置付けているが、与党民主党の有力議員からは否定的な見解も聞かれる。 分離を主張した菅直人首相の退陣後に検討が進むかどうかは不透明で、短期決戦と伝えられている今月末の民主党代表選でも踏み込んだ分離議論を期待するのは難しそうだ。民主党が政府案の前日にまとめた「環境エネルギー戦略集中討議中間とりまとめ」には発送電分離は入っていない。原案を策定した近藤洋介衆議院議員は今月16日、ロイターの取材で「党の中で発送電分離が必要だと強硬に主張した人はいない」と話した。同議員は発送電分離について「発送電分離は手段であって目的ではないので意味があるとは思っていない。何年かに一度、亡霊のように出てくる議論」などと指摘、否定的な見解を示している。 菅直人首相の退陣後の新たな政権で、発送電分離がどのような扱いとなるか、不透明な状況となってきた。 朝日新聞
放射性物質拡散を空から測定、1都21県に拡大 2011.8.22. 文科省は22日、福島第一原発事故による放射性物質の拡散状況を、航空機を使って測定する調査を、青森県から愛知県の1都21県に広げると発表した。これまでは福島や宮城県を中心に、原発の半径約120km圏内で実施していたが、圏外でも線量の高い地域が見つかったため。23日に群馬県で始め、10月まで順次実施する。航空機に搭載する測定器は、これまで使われていた原子力安全技術センターと米エネルギー省の装置に加え、日豪の地質調査会社から借り、計4台になる。民間や地方自治体の防災ヘリコプターに積んで放射性物質の分布を調べ、文科省のホームページで結果を公表する。 読売新聞
放出放射能57万テラベクレル 原子力研究機構が試算 2011.8.22. 日本原子力研究開発機構は22日、東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質の総量は57万テラベクレル(テラは1兆倍)とする解析結果をまとめ、原子力安全委員会に報告した。 新たな観測データなどをもとに再計算した結果、ヨウ素が13万テラベクレル、セシウムがヨウ素換算で44万テラベクレルになった。従来の見積もり(63万テラベクレル)より1割程度少ないが、同機構の茅野政道・副部門長は「誤差の範囲内と考えられる」としている。 朝日新聞

福島第1原発廃炉 年月も費用も「未知の領域」 2011.8.22. 一般的な廃炉のプロセスは、(1)使用済み燃料棒を取り出す(2)原発の配管や容器についている放射性物質を取り除く(3)放射線量が時間とともに減るのを待つ(4)原子炉など内部の容器、配管を解体(5)建屋を撤去(6)更地にする--だ。今回は廃炉に話を絞る。国内の商業原発で初めて解体作業が進む東海発電所のケースでは、使用済み燃料は98年から3年かけて取り出し、再処理のため英国に輸送。解体は01年から始まり、現在は熱交換器を解体中で、まだ原子炉の解体には至っていない。総費用は885億円、作業員数は延べ56万と見積もられている。廃炉にかかる期間は「30年」(日立)。福島のケース。「福島の最大の課題は、燃料をどう取り出すか」水素爆発で飛び散った放射性物質がついたがれきと、燃料を冷やすためにかけている放射性物質を含んだ汚染水を処理しなければ、燃料取り出しはできない。がれきの処理は、先日、原発敷地内の屋外の配管付近から、毎時10シーベルト以上の放射線量が測定されるなど道のりは険しい。10シーベルトといえば、被曝すればほぼ全員が死亡するほど高い数字だ。燃料の取り出しは、(1)格納容器内のプールにある使用済み燃料(2)炉心で溶融した燃料、に分けて考える。プール内の燃料は、入っている水の放射線量が平常時と変わっていないため、比較的損傷は少ない。(2)の炉心で溶融している燃料だ。原子炉の底に穴が開き、炉内は水がなかなかたまらない状態とみる。この穴をふさぎ、炉心を水で満たしながら溶けた燃料を取り出せるか。燃料取り出しはいつから始められるか。「プールの燃料の取り出しが事故後5年前後から、炉心は10年前後から」。原子炉4基のうち、できるところから始め、1基につき数年程度かかるという。廃炉費用はどれぐらいか。電気事業連合会によると、2007年の試算で、原発1基600億円。だが、「これだけの規模の事故後の廃炉だと、数百億円という単位では収まらないのでは」、廃炉費用については「汚染がひどい放射性廃棄物が膨大で原発の建設費(1基3000億~4000億円)まではいかないが、それに近い数字になるのでは」と推測する。 毎日新聞
原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ 2011.8.21. 政府は20日、東京電力福島第一原子力発電所事故で高濃度の放射性物質に汚染された周辺の一部地域について、長期間にわたって居住が困難になると判断し、警戒区域を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。数十年続くとの見方も出ている。菅首相が地元自治体に直接説明し、避難の長期化を陳謝する方向で検討している。具体的な地域は、福島県双葉、大熊両町の原発3km圏内などを念頭に精査する。文部科学省が原発20km圏内の警戒区域内で事故発生後の1年間で浴びる放射線の積算量を推計したところ、大熊、双葉両町を中心とする35地点で、計画的避難区域などの指定の目安となる年間20mSVを大きく超えた。原発から西南西に3km離れた大熊町小入野では508.1mSV、同町夫沢でも393.7mSVと、高い推計値を示した。 読売新聞

原発警戒区域の年積算線量、最高508ミリシーベルト 2011.8.20. 文科省は福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域の積算放射線量を、19日に公表した。原発事故発生から1年間の推計値の最高は、西南西3キロにある福島県大熊町小入野で508.1ミリシーベルトにのぼり、除染作業の困難さが改めて示された。最低は南相馬市小高区の3ミリシーベルト台で、数値にばらつきがあった。 立ち入りが禁止された警戒区域9市町村のうち、8市町村の50地点を調査。事故から来年3月11日までの1年間、毎日、屋外に8時間、木造家屋内に16時間いたと仮定して積算量を推計した。 計画的避難区域指定などの際に目安とされた年20ミリシーベルトを超えたのは、50地点のうち35地点。第一原発のある大熊町では全12地点が20mSV/Yearを超え、うち7地点で100mSV/Year以上となった。最も高い同町小入野の508.1mSV/Yearは、一般の人が浴びる放射線量の限度1mSV/Yearの500年分にあたる。 浪江町では最高が北西20kmの川房で223.7mSV/Year、最低は北8km地点の4.1mSV/Year。 朝日新聞

福島第一原子力発電所事故「事故調査・検討委員会」の調査における
個人の責任追及に偏らない調査を求める声明
2011.7.7. 「我が国がこのような重大事故を起こし てしまったことに対する国際的責任を果たすには、事故原因の徹底的解明は不可欠である。そのためには事故対策に当った政府並びに東京電力の関係者の正確で詳細な証言が必須となる。しか し、これまで、我が国の重大事故の調査においては、本来組織の問題として取り上げられるべきことまでが個人の責任に帰せられることをおそれて、しばしば関係者の正確な証言が得られない ことがあった。今回、もしそのような理由から十分な原因究明が行われないこととなれば、重要な技術情報を得る機会を失うこととなる。 今回の事故調査においては東京電力㈱福島第一原子力発電所及び原子力防災センター(OFC) 等の現場で運転、連絡調整に従事した関係者はもとより、事故炉の設計・建設・審査・検査等に関与した個人にたいする責任追及を目的としないという立場を明確にすることが必要である。 この点については、既に畑村洋太郎委員長が就任時の抱負として「責任追及は目的としない」方針を示しているところである。 日本原子力学会としては、この方針に則り、また、学術会議報告書にも述べられているとおり、 結果だけをみて直接関与した個人の責任を追及するのではなく、設置者のみならず規制当局等も含めた組織要因、背景要因などについても明らかにされ、関係者間で共有されて再発防止に活か されることが重要と考える。」 ☞ 一体これは何なんだ? 日本原子力学会

事故調:地震と原発複合事故訓練 保安院が難色、取りやめ 2011.8.18. 新潟県が10年に実施した避難訓練について、地震災害と原子力災害の同時発生という想定は「住民に不安と誤解を与えかねない」という趣旨の助言を経済産業省原子力安全・保安院が同県に対ししていたことが、政府の「事故調査・検証委員会」の調査で判明した。その後、同県は地震災害の想定を取りやめ、雪害と原子力災害の複合災害に改めた。保安院が原発の「安全神話」を県側に押しつけた格好で、事故調は保安院の姿勢が福島第1原発事故での被害拡大につながった点がないか、さらに調べる方針だ。07年の新潟県中越沖地震で発生した東電柏崎刈羽原発の事故を受け、同県は10年5月、地震災害と原子力災害の同時発生を想定した訓練を検討していた。これに対し、保安院が「震度5弱の地震発生と原子力災害の同時発生という想定での複合災害訓練は、住民に不安と誤解を与えかねない」と助言。同11月に実施した同県の防災訓練では、雪害と原子力災害の複合災害という想定に変更された。 毎日新聞

放射線、福島周辺5県で平常値超える 2011.8.17. 福島第一原発の事故の影響で、17日も福島県の周辺自治体で通常より高いレベルの放射線量が観測された。文部科学省は各都道府県の測定結果を発表した。17日午前0時から午後5時までの間に、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉の5県で平常時の上限を超えた値が観測された。最も高い値を記録したのは水戸市。午前0時から1時の間に、毎時0.232mSVの放射線量が測定された。これは同市で平常時に観測される放射線の上限の約4倍にあたる。5県以外の都道府県の測定値はいずれも0.1マイクロシーベルト未満で、平常値の範囲内だった。 東京でもごく微量の放射性物質ヨウ素131とヨウ素132が検出された。 朝日新聞

原発から放出される放射性物質を減らすため、格納容器の中にたまっている放射性物質を取り除くという新たな対策を目指す 2011.8.17. 福島第一原発では、放射性物質は1時間当たり10億ベクレルという量が今も外に出続けているとみられています。このため、国と東京電力は、原発から放出される放射性物質を減らすため、1号機で進めている、建物全体をカバーで覆う対策に加え、格納容器の中にたまっている汚染された気体から放射性物質を取り除くという、新たな対策を目指すことになりました。具体的には、格納容器の中から既存の配管を通じて気体を直接吸い出したうえで、フィルターを使ってセシウムなどの放射性物質を取り除く計画です。 NHK

解説:東日本大震災・福島第1原発事故 東電聴取 過小評価で深刻事態 2011.8.17. 関係者によると、東電の現場社員らは、地震当日の11日深夜から12日未明にかけて炉心損傷を認識していたにもかかわらず、1号機の爆発前に水素爆発を予測していなかった。「原子炉(圧力容器)、格納容器の状態を気にするあまり、水素が建屋に充満して爆発する危険性に思いが至らなかった」と告白している。だが海外では、炉心損傷から原子炉建屋で水素爆発が起きる可能性を指摘する論文が02年には出ており、過酷事故への認識の甘さが浮き彫りになった。また、格納容器を守るためのベント(排気)でも、想定を超える電源喪失下でのマニュアルがなく、準備に手間取った様子が浮かび上がった。ベントは過酷事故対策の一環として92年に原子力安全委員会が整備を勧告。旧通商産業省(現経済産業省)が電力各社に整備を求めていたが、実質形だけのものだったと言える。 毎日新聞

東電、水素爆発予測せず ベント手順書なし 2011.8.17. 3月12日に起きた1号機の水素爆発について、政府の「事故調査・検証委員会」の聴取に対し、東電側が爆発前に予測できていなかったと証言していることが分かった。長時間の全電源喪失時に格納容器を守るため実施するベントのマニュアル(手順書)がなかったことも判明。このため、作業に手間取るなど、初期対応で混乱した様子が浮かび上がった。 毎日新聞

原発100キロ、会津若松で18万ベクレルのセシウム検出 2011.8.16. 福島地裁(福島県会津若松市)の敷地内にある側溝の一部で採取された汚泥から、1kg当たり約18万6千ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが16日、分かった。東京電力福島第1原発から西に100km。今後、県や会津若松市の指導を受け除去する方針。 日本経済新聞

欧州エネルギー企業、独「脱原発」で事業改革 2011.8.14. 欧州のエネルギー関連企業がドイツ政府による2022年までの原子力発電廃止の決定を受け、事業構造の改革を迫られている。エーオンなど電力大手は原発の操業停止で業績が悪化、人員削減など合理化に着手。仏アレバなどは代替電力源となる風力など再生可能エネルギーの関連設備の事業拡大に乗り出した。電力大手の独エーオンは脱原発が19億ユーロの減益要因となり四半期ベースで初の最終赤字に転落。RWEはドイツの再生可能エネルギーの発電設備に対し、13年までに合計13億ユーロを投資する。独シーメンスは原発関連事業の縮小を急ぎ、仏アレバとの合弁事業を解消。ドイツ鉄道はRWEの水力発電所から今後15年間にわたり、年間9億キロワット時の電力を購入する契約を結んだ。 日本経済新聞

原発賠償指針 一日も早い被害者救済を 2011.8.13. 原発事故の損害賠償をめぐって、政府の原子力損害賠償紛争審査会が「中間指針」をまとめた。どこまで被害を補償するのか。その範囲や対象を定めたもので、これまでに示した1次、2次指針に加え、風評被害を広く認定し精神的損害も認めるなど、救済の間口を拡大したのが特徴だ。東電の損害賠償を公的に支援する原子力損害賠償支援機構法も成立し、これで被害者救済の大枠が固まったといえる。福島第1原発の事故が発生して、はや5カ月が過ぎた。被災者の経済的打撃は深刻であり、一日も早い救いの手が必要だ。政府、東電は具体的な救済に向けて迅速に対応しなければならない。 西日本新聞 社説

地震学者「科学の限界痛感」 2011.8.13. 地震学者の纐纈一起東京大教授が、東京電力福島第1原発事故を受け、原発の耐震安全性を検討する国の作業部会の主査と委員を7月末に辞任した。国の安全審査への信頼が崩れ去った今、何を思うのか。岐路の地震研究はどう変わるべきか。 毎日新聞

子どもの甲状腺から放射線検出 2011.8.13. 福島県内の1000人以上の子どもの甲状腺を調べたところ、およそ半数から放射性ヨウ素による放射線が検出されたことが分かりました。広島大学の田代教授のグループは、国の対策本部の依頼を受けて、今年3月下旬、福島県いわき市や飯舘村などで、1149人の子どもを対象に甲状腺への被ばく量を調べる検査を行いました。その結果、およそ半数の子どもの甲状腺から放射性ヨウ素による放射線が検出されたということです。 NHK

灰に放射性物質 公表せず埋める

2011.8.13. 浜松市が、東電福島第一原発電事故のあと、下水処理施設の汚泥などを焼却して出た灰から放射性物質が検出されていたのに、国の通知に反して一般に公表しないまま最終処分場に埋め立てていたことが分かりました。浜松市によると、先月19日、市内の下水処理施設から出た汚泥などを焼却処理する施設で灰を検査したところ1キロ当たり282ベクレルの放射性セシウムが検出されたということです。国は6月にまとめた方針で、1kg当たり8000ベクレル以下の汚泥や灰は埋め立て処分できるとし、その際は一般に公表するよう通知していました。しかし、浜松市は放射性セシウムが検出された灰を市内の最終処分場に埋め立てたあとも、これまで公表してきませんでした。また、放射性セシウムが検出された先月の検査のあとは、新たに出た灰について検査をしないまま埋め立て処分していたということです。

NHK

セシウム、深さ15センチまで浸透 郡山の水田 2011.8.13. 郡山市の水田の土壌を調べたところ、放射性セシウムの一部が深さ約15センチまで浸透していることが、東京大と福島県農業総合センターの研究でわかった。15日付の学術誌「ラジオアイソトープス」に発表する。  5月下旬に調べた。放射性セシウム134と137の88%は深さ3cmまで、96%同5cmまでにとどまっていたが、深さ15cmでもごく微量が検出された。  またセシウムが溶けた水が深いところに移動する速度は水の1000分の1程度と考えられていたが、実際には10分の1程度と、予想より速いこともわかった。調査を担当した東京大の塩沢昌教授(農地環境工学)は「土壌などの撤去は、放射性物質が表面にあるうちに早くやる必要がある」と話す。 朝日新聞

原発放出物質対策、時限立法制定を…東大教授提言 2011.8.12. 福島第一原発から放出された放射性物質の影響を食い止めるには、2、3年間を想定した時限立法と、信頼される新しいメンバーによる委員会の設置が必要とする提言を、東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授が12日、発表した。 児玉教授は原子炉の熱量などから、放出された放射性物質の量は広島の原子爆弾20~30個分と算定。降り積もった物質は食品や生物を介して時々刻々と広がるため、思わぬ場所で内部被曝ひばくする可能性があり、長期的な影響を予測して対策を打ち出すには、地域の実情に合った徹底的な調査と除染、スーパーコンピューターなど最先端技術を駆使した取り組みを、時限立法と新しい委員会で推進する必要があるとした。 読売新聞

鉄筋コンクリート造の原発建屋は水素爆発で「破裂」した 2011.8.12. 3月14日に灰色の煙を上げて吹き飛んだ福島第1原子力発電所の3号機原子炉建屋。5階以上が崩落し、今なお無残な姿をさらしている。鉄筋コンクリート造(RC造)の建屋を崩落に至らしめた原因は水素爆発だとみられている。爆発に至った経緯はどのようなものだったのか、エネルギー総合工学研究所によるシミュレーション結果を基に読み解こう。 日本経済新聞

震災10日後、2度目の溶融か 福島3号機、専門家指摘 2011.8.8. 福島第一原発3号機で、東日本大震災から10日後、冷えて固まっていた炉心の大部分が「再溶融」したとする説を専門家がまとめ、来月、日本原子力学会で発表する。東電は原子炉圧力容器底部の温度が低下した状態(冷温停止)を事故収束の目標としているが、炉心の大半が溶けて格納容器に落下しているなら、収束に向けた工程表に影響する可能性もある。  3号機は、炉内への注水が始まった3月13日午前9時25分まで約6時間以上空だきになり、14日午前11時ごろには原子炉建屋で大規模な水素爆発が発生。炉心が溶融し、圧力容器の底に落ちたと考えられている。 朝日新聞

南相馬市が全域除染へ、避難準備区域解除検討で 2011.8.7. 南相馬市によると、ヘリコプターなどで上空から放射性物質の汚染の状況を調べ、放射線量の高い建物や土壌がある地点などを記した汚染マップを作製。その上で、放射線量が高い場所では、同センターの助言を受けながら、市が専門的な除染を行う。緊急時避難準備区域にある幼稚園の排水溝で33マイクロ・シーベルトを観測しており、こうした場所などが対象となる。 読売新聞

原発輸出 既存分は継続方針 政府答弁書、首相とは溝 2011.8.6. 政府が5日に決定した、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けた原発の海外輸出に関する答弁書は、既に受注をめざしていた案件は継続する方針を打ち出した。原発輸出戦略の見直しに言及した菅直人首相との溝は否めない。首相の退陣時期が見えないこともあり、新規案件に関しては明確な政府見解のとりまとめを先送りした。答弁書は「諸外国が希望する場合には、相手国の意向を踏まえ、世界最高水準の安全性を有するものを提供していく」と、相手国の希望を前提に輸出継続を打ち出した。 日本経済新聞

牛肉汚染 東電職員「稲わら農家の責任」 2011.8.4. 農民運動全国連合会(農民連)は3日、被災地で補償対応に当たる東京電力職員の言動が横暴だとして、東電に謝罪と迅速な賠償を求める要請活動を行った。 農民連によると、東電職員は宮城県で「牛肉問題は汚染された稲わらを与えた農家の責任」と発言したという。福島県では「(補償対象だという)証拠を示す責任がある」と次々に資料を提出させ、賠償金の仮払いで「津波による被害分は後で返してもらう」と話したという。 河北新報

「成立しちゃった!東電救済法」ヤメ官僚緊急トーク 高橋洋一×岸博幸 2011.8.3. 8月3日、福島原発事故に関連する重要な法律が成立した。本日の参議院本会議を通過した「東電救済法」こと「原子力損害賠償支援機構法」だ。結論から言えば、ほぼ東電がイメージした通りのものができたということになるのではないか。まず東電が解体・再生される可能性はほぼなくなった。そして、このことにより電力自由化と脱原発・減原発への道は事実上閉ざされた。機構負担金により全国の電気料金は上がることとなり、さらには東電の再生をおこなわないために転嫁される6兆円とも言われる負担が国民にのしかかることとなった。東京電力はこの法案の成立を後押しするため、異例なリリースを2回も出している(http://bit.ly/oi1vTy http://bit.ly/pjctuE )。国民負担によって東電を支え、電力自由化を道遠きものとするこの法案の成立を、最も心待ちにしていたのは、まさに東京電力自身だと言える。この「東電救済法」はいかにつくられ、どのような問題をはらんでいるのか。元官僚でこのような事情に詳しい高橋洋一氏(元財務官僚)と岸博幸氏(元経産官僚)に、自由に語っていただいた。 ガジェット通信

過去最高の放射線量測定=毎時10シーベルト以上 2011.8.1. 東京電力は1日、福島第1原発1、2号機の原子炉建屋の間にある屋外の排気筒の表面で、過去最高の1時間当たり10SV(1万mSV)以上の放射線量が測定されたと発表した。測定した作業員の被ばく量は最大4mSVだった。 これまでの最高値は、1号機原子炉建屋内で6月に測定された同4000mSV。同10SVを仮に6分間防護服などなしに浴びると、1000mSVを被ばくすることになり、吐き気やリンパ球の急激な減少などの症状が出る。 時事通信

政府 発送電分離含めた検討へ 2011.7.29. エネルギー政策の見直しを議論する関係閣僚会議が29日に開かれ、原子力発電への依存度を減らすとともに、電力会社の発電事業と送電事業を分離することも含めて、電力事業の在り方を検討していくことを正式に決めました。会議では、原発事故を受けて、今後、原発の依存度を減らしていくことを前提とし、エネルギー政策を白紙の状態から見直すとしています。そのうえで、今後、重点的に検討する項目として、自然エネルギーの本格的な普及や、コストの低減に向け、電力会社の発電事業と送電事業を分離することも含め、電力事業の在り方を検討することや、原発事故に対するリスク管理を高めるために、原子力事業を事実上国有化することの是非を検証していくことなどを正式に決めました。 NHK

浄水場汚泥、5県で8000ベクレル超1557トン 2011.7.29. 厚生労働省は28日、浄水場の浄化過程で生じた汚泥について、 放射性物質による汚染の恐れがある14都県(365事業体)の調査結果を公表した。7月12日までに生じた汚泥のうち4万9250トンについて測定した結果、放射性セシウムが1キロ当たり8000ベクレルを超え、管理型最終処分場での仮置きが求められる汚泥は、福島や宮城など5県で計1557トンに上った。 また3万6333トンは、 浄水場の敷地内に保管され、処分先が決まっていないことも判明した。 毎日新聞

放射性物質の放出、4月は毎時30億ベクレル、5月は20億ベクレル 2011.7.28. 東京電力は28日、福島第1原発から大気中への放射性物質(放射能)の放出量は、4月末で毎時30億ベクレル、5月末で同20億ベクレルだったとする試算を明らかにした。事故直後は2000兆ベクレルだった。 産経新聞

生涯累積線量:食品安全委「100ミリシーベルト」答申へ

☞ 食品安全委員長のメッセージ
2011.7.26. 食品安全委員会は26日、作業部会を開き、内部被ばくと外部被ばくを合わせ、生涯にわたる累積線量の限度を100mSVとすることで取りまとめた。作業部会はこれまで、広島・長崎の被爆者疫学データなどを検討し、成人については「100mSVを超えるとがんのリスク増加など健康影響が明確」と判断した。また、「大人より感受性の強い子供にも留意する必要がある」とし、子供の健康に配慮した規制値の必要性も示した。生涯100mSVは、人生を80年とすると年間1.25ミリシーベルトとなる。日本人は宇宙や大地、食べ物から年1.5mSVの自然放射線量を浴びており、同程度の被ばくなら、健康への影響は生じないだろうとの考え方だ。 毎日新聞

放射性物質拡散 解析結果公表 2011.7.25. 保安院は、事故の直後から放射性物質がどのように拡散したのかを最新のデータを基に解析した結果を公表、風向きや天候を基に放射性物質の拡散を予測するSPEEDIの解析結果で、福島第一原発の事故の直後の3月12日から17日までの6日間について計算されました。このうち12日の大気中の濃度を示した図では、放射性物質が福島第一原発の南東の海側に流れたあと、時間を追うごとに徐々に北に移り広がっていくのが分かります。今回の解析は、先月までに得られた原子炉内の最新のデータを基に改めて計算しました。 NHK

電力各社役員 個人寄付 35年前から 2011.7.24. 東京電力など電力九社の役員・OBらによる自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部への個人献金問題で、電力業界の役員による寄付が遅くとも1976年に始まっていたことが23日、共同通信の調べで分かった。献金額は35年前から各社とも役職別でほぼ横並びが固定化していた。電力業界は7474年に企業献金の廃止を決めたが、直後に個人での対応に切り替えた形になっており、個人献金に名を借りた組織的な政治資金拠出の構図が透けて見える。官報や有価証券報告書から、役員の献金が最初に確認できるのは76年。当時の官報に記載された個人献金者は10万円以上が対象で、その氏名と電力各社の当時の役員を照合した。 東京新聞
原発廃炉の作業手順は? 福島は溶融燃料の搬出が課題 2011.7.24. 運転を終了した原子力発電所の施設を安全に解体、撤去するとともに、撤去した廃棄物などの処理や跡地を有効利用するための作業が「廃炉」と呼ばれ、原子炉等規制法に基づき実施される。廃炉に向けてはまず、運転停止後に原発から使用済み核燃料を再処理工場などに搬出するところから作業が始まる。搬出が完了してから、配管や容器に付着した放射性物質を化学薬液で取り除く「系統除染」▽原子炉構造物など放射線レベルが高い領域で放射性物質が減少するまで5~10年ほど管理する「安全貯蔵」▽放射性物質の飛散を防ぎながら行う「解体撤去」-などの手順を踏んでいくことになる。 産経新聞

福島県:甲状腺がん早期発見…18歳以下全県民を生涯検査 2011.7.24. 福島県は24日、福島第1原発事故で拡散した放射性物質の影響による甲状腺がんの早期発見のため、18歳以下の全県民約36万人を対象に、継続的な甲状腺検査を行うことを決めた。10月から開始し、20歳までは2年ごと、その後も5年ごとに生涯にわたって検査を続ける。世界的に例がない取り組みという。 毎日新聞

「内部被ばく、最も懸念」 英国の専門家訴え 2011.7.17. 放射線による健康影響を分析する「欧州放射線リスク委員会」のクリストファー・バズビー科学議長=英国=が17日、東京都内で毎日新聞の単独インタビューに応じた。東京電力福島第1原発事故に伴う健康影響について、内部被ばくが最も懸念されると指摘し、住民の健康とその要因になる大気や土壌など環境中の線量の調査が必要と訴えた。バズビー氏は、英国の核燃料再処理工場周辺の調査から、河川付近や谷地などが放射線量が局地的に高くなる「ホットスポット」になると指摘。「日本でも原発から200キロ圏内の放射線量をきめ細かく測定し、インターネットで詳細データを公表すべきだ。現状の汚染は深刻だ」と警告。また、健康影響を把握するため、行政から独立した機関が5000人規模を対象に科学的に長期間追跡するよう提言した。 毎日新聞

浜岡の防波壁、18メートルにかさ上げ 中電が来年12月 2011.7.22. 中部電力は22日、浜岡原発(静岡県御前崎市)の敷地海側に設置する防波壁の海面(基準水位)からの高さを、従来計画より3m高い18mに引き上げることなどを柱とした新たな津波対策を発表した。「2~3年後」としていた完成目標時期も、来年12月に前倒しした。中電は東海・東南海・南海の三連動地震が発生した場合の津波の高さを最大8.3mと想定しているが、東日本大震災で福島第1原発に押し寄せた津波が約15mだったことなどを考慮し、防波壁の高さを引き上げる。敷地の海側に1.6kmにわたって広がる高さ10~15mの砂丘についても、12mに満たない一部の区間に盛り土をし、全域が12m以上になるようにかさ上げする。 中日新聞

セシウムわら、新たに4道県で使用 出荷牛1600頭超 2011.7.22. 汚染わらを牛に与えていた畜産農家はこの日、北海道と秋田、三重、島根の3県でも新たに確認され、計14道県から出荷された牛の数は1600頭を超えた。これらの肉の流通はこの日、新たに鳥取県でも確認され、沖縄県を除く46都道府県に広がっている。 朝日新聞

首都圏、汚染牛12頭 40店で販売・提供 2011.7.20.  汚染疑いのある牛が全国で千二百頭を超える中、暫定規制値(1kg当たり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出されたのは、19日時点で牛29頭にとどまっている。このうち、首都圏の1都6県では少なくとも12頭、計840.96キロが消費者に販売・提供されていたことが、各自治体の発表の集計で分かった。 東京新聞

収束へ新工程表 2011.7.20.  政府と東京電力は19日、事故収束に向けた道筋を示す工程表の改定版を発表した。この3カ月間で実現するとした、原子炉の安定的冷却などステップ1の目標は「達成」と総括。来年一月までのステップ2では、1~4号機のプールから使用済み核燃料の取り出し準備を進め、今後三年程度の間に取り出しを始めることを新たに盛り込んだ。ステップ2では、原子炉の温度を100度未満に維持する「冷温停止」も大きな目標。大量の高濃度汚染水を浄化し原子炉の冷却水に再利用する「循環式冷却」を安定させ、冷温停止を早期に実現し、今後3~6カ月程度で、警戒区域や計画的避難区域などの解除の検討や実施を始めるとしている。 東京新聞

汚染疑い牛、35都道府県で消費者向けに販売 2011.7.18. 放射性セシウムに汚染された疑いがある肉牛が流通していた37都道府県は、これまでに判明していた東京都や神奈川、大阪府、福岡県などのほか、富山や奈良、山口などの各県。 また、東京、宮城、兵庫、奈良、山口などの計35都道府県で、消費者向けに販売されていた。 読売新聞

セシウム汚染牛出荷、648頭に…新潟・山形も 2011.7.18. 福島県は18日、新たに県内7戸の畜産農家で汚染された疑いのある稲わらが与えられ、計411頭が出荷されたと発表した。新潟、山形県も、放射性セシウムに汚染された宮城県産の稲わらを使用した畜産農家があり、それぞれ24頭と70頭を出荷していたと発表。福島県で判明していた143頭と合わせ、汚染された稲わらを食べた疑いのある牛の出荷は3県で計648頭となった。 読売新聞

新たにセシウムわら 435頭出荷 2011.7.18. 福島県の農家が肉牛に与えていた稲わらから放射性セシウムが相次いで検出されている問題で、新たに福島県と新潟県の農家が与えていた稲わらからも国の目安を超える放射性セシウムが検出され、2つの県で合わせて435頭の肉牛が出荷されていたことが分かりました。 NHK

餌から検出のセシウム、基準の378倍も 肉牛84頭出荷 2011.7.16. 福島県は16.、新たに同県郡山市、喜多方市、相馬市の肉用牛農家計5戸で、放射性セシウムを含む稲わらを牛に与えていたことが判明したと発表した。すでに肉牛84頭が宮城、福島、山形、埼玉、東京の1都4県の食肉処理場に出荷され、流通しているといい、福島県は関係自治体に流通状況の確認を依頼した。 日本経済新聞

原発作業員118人の所在分からず 2011.7.13. 作業員のうち118人の所在が分からず、被ばく量の検査ができていないことが分かりました。 東京電力の作業員およそ4600人の被ばく量の検査状況について、これまでに検査が終わったのは3254人で、緊急時の被ばく限度となる250mSVを超えた作業員はいませんでしたが、▽100mSV以下で50mSVを超えた人が10人、▽50mSV以下で20mSVを超えた人が96人。被ばく量の検査が終わっていないおよそ1300人のうち、118人については、作業員の名簿に残っている名前に該当する人が確認できず所在が分からない。 NHK

焼却灰から7万ベクレル超を検出 千葉・柏 2011.7.10. 柏市は10日、市内の清掃工場で発生した焼却灰から、1キログラム当たり7万ベクレルを超える放射性セシウムを検出したことを明らかにした。 毎日新聞

事故処理に数十年単位かかる 2011.7.9. 菅総理は、福島第一原発の事故の処理について、「3年、5年、10年、最終的には数十年の単位の時間がかかる見通しになっている。原子力行政の抜本的な改革や、エネルギー政策そのものについて、国民的な議論をしていく必要がある」と指摘しました。 時事通信

食品・水・土壌環境の放射能測定サービス開始 2011.7.8. 食品・医薬品・電子機器等の受託分析を行う材料科学技術振興財団は、食品・水・土壌などの放射能(放射性物質が放射線を出す能力)を測定するサービスを2011年7月より開始いたしました。 材料科学技術振興財団

汚染水処理1万トン超す 原子炉冷却加速の見通し 2011.7.2. 日本経済新聞

モンゴルに国際的核処分場建設を 東芝が米高官に書簡 2011.7.1. ウェスチングハウス・エレクトリックを子会社に持つ東芝の佐々木社長が5月中旬、米政府高官に書簡を送り、使用済み核燃料などの国際的な貯蔵・処分場をモンゴルに建設する計画を盛り込んだ新構想を推進するよう要請、水面下で対米工作を進めていることが1日、分かった。 ☞ 5月9日 毎日新聞 東京新聞

放射能汚泥 関東3万トン 2011.6.29. 自治体の処理が滞っている汚泥や焼却灰が関東地方の一都六県で少なくとも3万トンにのぼることが分かった。 東京新聞
テルル129mを初検出 2011.6.29. 3か月を過ぎて新しい核種が検出されたため、 高濃度汚染水の流出などが疑われるが、東電は「採水の際に、なんらかの原因で混入したのではないか。ほかの放射性物質の検出値に変動はないので、汚染水が漏れるなどの異常事態が起きているとは考えられない」としている。 ☞  東電のあきれた説明(メルトダウンにより地下水が汚染されとうとう海に流れ出したのか?遮断壁の構築をやらないからこう事態になるのか?) 読売新聞

都内の家庭ゴミ焼却灰から放射性物質 8000ベクレル超 2011.6.27. 放射性セシウムは下水処理施設の汚泥焼却灰から都内、前橋、長野、千葉と次々に見つかっている。 産経新聞
保安院は東電からのベント前の放射能拡散予測報告を放置 2011.6.25. 東電がベントの前に放射性物質の拡散予測を保安院、福島県などに報告したにもかかわらず保安院は一般には知らされていなかったことが25日、分かった。 毎日新聞

東電、爆発予兆を示すデータ報告せず 2011.6.25. 東電が公表している資料によると 13日午後1時17分に、3号機の原子炉建屋で毎時300mSVの放射線を観測、午後2時7分に建屋内に水素がたまっている可能性が高いとの記述がある。14日午前5時20分には、本店から3号機の水素濃度を算出するよう指示していた。地震や津波で冷却機能を失った原子炉内で燃料が露出し水素が発生していたことを示す内容だが、今回、通報していなかったことがはっきりした。 asahi.com
ベントの影響評価、東電が公表せず 2011.6.25. 3.12.午前3時半ごろの第1原発所長名の文書で2号機をベントした場合の外部に出る放射線量を予測。「前提条件」として燃料破損を意味する「重大事故(Fuel破損)」と手書きされている。その後、翌13.にかけて計5回、1~3号機のベント時の周辺の放射線量の評価も行っていた。また、15.時点ですでに、東電が1~3号機が70~25%炉心損傷したと評価していたことも資料で判明。炉心損傷をめぐっては、東電は4.6.になってこの値を公表、後に炉心溶融していたと発表した。 産経新聞

IAEA福島事故検証作業部会、菅首相の政治介入を批判

2011.6.21. 事故を検証する非公開の事務レベル作業部会が行われ、政治介入が現場の事故対応を無用に混乱させたとの指摘が相次いだ。原子炉への海水注入や格納容器のベントをめぐって介入を繰り返した菅直人首相を批判した格好だ。業部会では「現場の判断でできることもハイレベルの判断を仰ぎ、いたずらに時間が浪費された」などの意見が述べられた。 産経新聞

避難勧奨地点以外でも不安高まる

2011.6.21. 政府は、現在は避難の対象になっていないものの、避難の目安となる放射線量を超えている福島県の南相馬市や伊達市の一部の地点について、住宅一軒ごとに「特定避難勧奨地点」に指定し、住民の意向に応じて避難の支援などを行うことを決めました。ところが、これらの地点以外の比較的高い放射線量が観測された地区でも住民の不安の声が高まっています。 NHK

ベント実施、官邸は了解も本社がストップ 2011.6.19. 1号機で12日午前1時半にベント実施について菅直人首相らの了解が得られたにもかかわらず、1時間半後に予定されていた経済産業相らの発表後に実施するよう本店から情報がもたらされたことや、12日午後3時36分には、電源車による電源が復旧し注水準備が完了したと同時に建屋が水素爆発したことなどが、新たに判明した。また1号機のベント実施をめぐっては12日午前8時半前に一部の周辺住民が避難できていないことが分かったため、避難後に実施するよう調整していた。吉田所長はその後、2、3号機のベントも指示するが、作業が手間取ったこともうかがえる。所長の指示から各種作業の実施まで大幅に時間がかかった詳細な理由は記されていない。 日本経済新聞

メルトスルーより深刻な状態 YouTube

小出助教のスタンスにも注意 ☞ 「北朝鮮の核開発に理解」
2011.6.16. テレビ朝日モーニングバード
最悪の事態の解説。東電にしろ保安院にしろ政府さえこういう事態を想定していない可能性が大きい。原発事故の危機管理に楽観はあり得ない。一部の原発反対学者の話として聞くのではなく最悪事態はこういう状態なのだという素直な認識も必要。なぜ事実が後からついてくるのか、すべての関係者の猛省が必要、結果オーライは許されない。最悪の事態に向けて状況が進展している疑念が拭えない由々しき事態。一刻も早い大規模な隔離壕の建設着手と永久隔離区域の宣言が必要か。
京大 小出裕章 
日大 小沢祥司 
東工大 沢田哲生

汚染水浄化 試運転 17日にも本格稼働 2011.6.14. 汚染水の浄化システムは、(1)油分の分離(2)セシウム除去(3)別の装置でさらにセシウムを除去(4)塩分除去-の4つの装置で構成され、本格稼働すれば、日量1200トンの汚染水処理が可能。1~4号機にたまる高濃度汚染水の放射性物質濃度を千分の一から一万分の一に減らすとされる。浄化された水は、原子炉への注水に再利用される。 東京新聞

廃棄物汚泥 1立方センチに1億ベクレル 2011.6.9. どうして東電は立方メートルでなくて立方センチと単位を矮小化して発表するのか隠蔽体質と批判される所以。100x100x100倍で1立方メートルに100兆ベクレル。 毎日新聞

「メルトスルー」の可能性

2011.6.8. 政府はきのう、IAEA=国際原子力機関に対し、東京電力福島原子力発電所の事故に関する報告書を提出。この中で、燃料の一部が原子炉圧力容器を貫通し格納容器に落下したメルトスルーが起きた可能性を明らかにした。

TV TOKYO

地震5時間に容器破損 保安院が解析 2011.6.7. 原子力安全・保安院は1~3号機の原子炉内の核燃料が溶けて落下する炉心溶融が起きていたとする解析結果を発表した。最も厳しい想定では、地震発生後に1号機の圧力容器が破損した時間は、先に公表していた東京電力の解析より約10時間早いと指摘している。地震から5時間後の3.11.午後8時には既に危機的状況だった可能性があることが分かった。 東京新聞

原発敷地外からプルトニウム 2011.6.5. 東京電力福島第1原発のからおよそ1.7kmの道路脇の土から、原発から放出されたと見られるプルトニウムが微量であるが検出された。 NHK
1号機建屋 極めて高い放射線量 2011.6.4. 1号機の原子炉建屋の床と配管の隙間から湯気が上がり、その付近で1時間当たり4000mSV/hour4000ミリシーベルトという極めて高い値の放射線量が測定された。 NHK

1号機爆発、排気水素の逆流原因か 2011.6.4. 3月12日に1号機の原子炉建屋を壊した水素爆発は、格納容器の損傷を防ぐ目的で行われたベント(排気)で建屋外に出したはずの水素ガスが、別の排気管を通じて建屋内に逆流したことから起きた疑いが強いことが分かった。 朝日新聞

地盤にセメント、コンクリ壁…原子炉地下二重に 2011.4.28. 東京電力福島第一原子力発電所の建屋などにたまる高濃度汚染水が地下水を通じて海や敷地外へ拡散するのを防ぐため、政府と東電の事故対策統合本部が進める地下壁設置構想の詳細が27日、明らかになった。1~4号機地下の地盤を粘着質のセメントで固め、その周囲を深さ40mのコンクリート壁で囲い込む「二段構え」の密閉工事で、6月以降の着手をめざす。構想によると、建屋付近の放射線量が高く、地上での長時間の作業は困難なため、1~4号機を取り囲む環状の作業用トンネルを地下40mに掘削。そのトンネルから建屋地下の地盤の割れ目に、粘着質のセメントを機械で注入し、汚染水が地下深く染みこんでいくのを防ぐ。その上で、作業用トンネル付近にコンクリート壁(厚さ数十センチ)を設置し、地下水が海や陸側に拡散するのを防ぐ計画だ。 読売新聞

福島第一原発の内部映像 2011.4.22. 吉田所長とのインタビューあり FNN

枝野長官、飯舘村への避難勧告には否定的 2011.3.29. IAEAが、高濃度の放射性物質が土壌から検出された福島県飯舘村の住民に対し、避難勧告を検討するよう促したことについて、31日午前、記者会見した枝野官房長官は、現状では健康被害が起きる状況ではないとして、「直ちにそういった(避難地域を拡大する)性質のものではない」と語った。その上で、「長期間になれば人体に蓄積をして影響を与える可能性があるので、検討しなければいけない」とし、広範な地域で大気や土壌の調査を詳細に行い、必要な時にタイミングが遅れないようにしたいと強調した。また、保安院の西山審議官は31日、「IAEAのデータは一つの指標に過ぎないが、飯舘村の住民に避難を指示するかどうかもう少し検討したい」と述べるにとどまった。 同村には4000人が残っている。 読売新聞

福島第一原発、修復遅い…米当局者が議会証言 2011.3.29. 米エネルギー省のライヨン次官補代行は29日、米上院エネルギー天然資源委員会で証言し、福島第一原発の現況について「修復が遅い」と述べ、沈静化には長い時間がかかるとの見通しを示した。ライヨン氏は「炉心と使用済み燃料プールの長期間の冷却が必須だが、現在まで十分に修復されていない」と指摘し、「将来にわたり大規模な清掃作業が必要だ」と語った。同委員会では米原子力規制委員会(NRC)のボーチャード運営総局長も福島第一原発について、「状況は安定してきたが障害も多く残っている」と証言した。 読売新聞

プルトニウム、燃料棒溶融を裏付け…枝野長官 2011.3.29. 枝野官房長官は29日午前の記者会見で、「燃料棒が一定程度溶融したことを裏づけるもので、大変深刻な事態」と言及。 読売新聞
汚染水に高濃度放射性物質、核燃料破損・漏出か 2011.3.25. 東電は25日、現場にたまっていた水を採取し、分析した結果、ヨウ素131やセリウム144、セシウム137など9種類の合計で、1立方センチ・メートルあたり390万ベクレルの放射性物質が検出されたことを明らかにした。セシウム137は核燃料内に存在するため、東電は3号機の原子炉か使用済み核燃料一時貯蔵プール内の燃料が損傷して溶け出し、外部に漏れた可能性があるとしている。東電によると、たまっていた水の放射性物質の濃度は、通常運転時の原子炉内の冷却水の1万倍。ただ、核燃料は金属で覆われており、冷却水に放射性物質が漏れ出すことはないため、通常時の放射性物質の濃度はかなり低く、今回、溶け出た物質の量はあまり多くないとみられる。 読売新聞

福島第一2号機、燃料棒が露出…漏出の恐れ 2011.3.14. 東京電力は14日午後7時45分ころ、福島第一原発2号機で、原子炉内の冷却水が、ほぼ完全に失われ、燃料棒がすべて露出して冷却できない状態になり、地元福島県に緊急事態として通報したと発表した。水位は回復しつつあるが、空だき状態が続くと燃料棒が溶けだす炉心溶融の懸念がある。東電の発表によると、2号機は、これまで安定していた炉内の圧力が急激に上昇し、同日午後1時38分、冷却水を循環させるポンプが止まった。冷却水が消失し、燃料棒の露出が続くと、高温の燃料が冷やされず、炉内の温度が2000度超まで上昇、燃料が溶けだす恐れがある。建屋が吹き飛んだ1、3号機の水素爆発より深刻な事態で、炉心溶融によって大量の放射性物質が大気中に漏れる可能性もある。保安院の幹部は同日夜、「核燃料の損傷はない」と語った。一方、3号機の爆発後、原子炉と格納容器は機能しているが、1号機同様に、炉心溶融の初期段階である燃料損傷が広がっている可能性は高い。 読売新聞

灰褐色の煙300メートル上昇…爆発の3号機 2011.3.14. 今回の福島第一原発3号機の爆発には、12日の1号機の爆発といくつかの違いがある。まず、1号機の時には水素爆発で発生した水蒸気を示す白煙がたちこめたが、今回は、白煙以外に、赤い炎を伴う灰褐色の煙が上空高く上った。また、爆発をとらえたニュース画像では、煙の中に、厚みのある大きな塊がいくつも飛び散っていた。詳細は不明だが、この爆発の後にも、爆発があったという。今のところ、炎や灰褐色の煙、塊が何であるかは不明。3号機にたまった水蒸気の量が1号機よりも多かったので爆発の規模が大きくなったとも考えられるが、かなりの高温で燃焼を伴う別の破壊的な異変が起きていた可能性もある。また、建屋内の上部にたまった水素が爆発したなら、一度の爆発で済むはずだ。1回目の爆発の影響で、高圧状態の配管などが破損し、爆発音がしたか、建屋上部以外のどこかにたまっていた水素が爆発した可能性がある。最悪の事態を想定すると、1回目の爆発によって、高圧の格納容器が損傷し、新たな爆発を生じたということも考えられる。その場合、原子炉を覆う最後の壁が破れたことになり、放射能を帯びた水、水蒸気などが外部へ放出されることになる。 読売新聞

爆発した3号機、放射線量は小さな程度 2011.3.14. 保安院は14日午後0時すぎに記者会見し、福島第一原発3号機の爆発に関し、「(3号機)1階の建屋近くのモニタリングでは、1時間当たり20マイクロシーベルトで、年間浴びて全く問題のない数値の50分の1程度の小さなものだった」と述べ、原子炉格納容器の健全性が保たれている根拠を説明した。 読売新聞

爆発3号機、放射性物質拡散の恐れも 2011.3.14. 福島第一原発3号機で14日午前11時ごろ起きた爆発で、経済産業省原子力安全・保安院は、同原発の南側5キロ・メートルの範囲を立ち入り禁止にした。すでに避難指示が出されていた半径20km以内の住民に対しては、もしまだ避難していない場合、緊急措置として、ただちに屋内へ退避するよう呼びかけた。もしこの爆発が、政府の発表どおり「水素爆発」であれば、この爆発自体では放射性物質は発生しない。しかし、原子炉建屋内には、水素とは別に放射性物質が滞留しているとみられ、爆発にともなってこれが拡散する可能性がある。保安院は同日正午過ぎ、原子炉格納容器の損傷は確認されていないと発表しており、原子炉が含む多量の放射性物質の放出は免れたとみられる。原発から放射性物質が放出された場合、風に流されて運ばれる。福島第一原発から北に100km離れた東北電力女川原子力発電所でも13日、福島第一原発1号機で12日に起きた水素爆発の影響とみられる放射線量の増加を観測した。ただ、放射性物質は、風に流されながら薄まり、健康への影響が懸念される範囲は限られる。元原子力安全委員の住田健二大阪大学名誉教授は「今回の爆発のような事態になっても、半径20km内の住民への指示が徹底できれば、十分に対応できる。状況によっては、風向きなどの都合で放射性物質が流れてくることがあり得るので慌てて外に出ずに、外気にさらされないよう屋内に退避していることが大事だ」と話している。 読売新聞

福島原発 3号機炉心一部溶融 2011.3.14. 東電は十三日、福島第一原発3号機の原子炉の冷却機能が失われたとして、法に基づく「緊急事態」を国などに通報した。一時的に水位が低下して燃料が露出したとみられ、経産省の西山審議官は「燃料棒損傷は免れていない」と述べ、燃料の一部が溶ける「炉心溶融」が起きているとの見方を示した。3号機は燃料の露出により水素が発生し、原子力建屋の上部にたまった恐れがあり、1号機と同様の爆発の可能性が出てきた。枝野幸男官房長官は「メルトダウンの状況にはない。万一爆発しても、周辺の皆さんに影響を及ぼす状況は生じない」と強調した。東電は原子炉の蒸気を外部に放出して圧力を下げ、真水、さらに海水を順次注入したが、水位計が示す水位の上昇が止まったため原因を調べている。海水が入った原子炉を再び動かすのは困難で、3号機は廃炉となる可能性が高まった。同原発周辺では13.午前に放射線量が基準値の毎時500マイクロシーベルトを超えて上昇。午後2時前にはこれまでで最も高い155.5マイクロシーベルトを検知したが、その後低下した。これは、40分ほど滞在すると一般人の年間被ばく線量限度を超える数値 東京新聞
爆発の3号機、格納容器は健全…枝野官房長官 2011.3.14. 枝野官房長官は11時40分ごろ、記者会見し福島第一原発3号機について「午前11時1分に爆発が発生した。1号機で発生した水素爆発と同種のものと推定される。現地の所長から、格納容器は健全であると11時半ごろ報告を受けた。従って、放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低いと認識している」と述べた。ただ、「1号機での水素爆発と同様、放射能レベルの上昇は推測される」として、「20km圏内の住民に対して、建物の中に退避するよう指示を出した」と述べた。 読売新聞

枝野官房長官の会見全文〈14.午後9時3分〉 2011.3.14. 
【2号機について燃料棒の溶融は起きているか】
それが起きている可能性は高い。1、2、3、いずれも。確認はできないが、起きている可能性は高いという条件は三つとも同じだ。
【玄葉国家戦略担当相が今回の事故について、「『チェルノブイリのようにはならない』と東電から報告を受けている」と話をしているが、そんな報告は受けているか】
チェルノブイリは、一瞬に大きな事故になったというものであったが、地震そのものは一瞬で生じたが、その後の対応においては、一定の管理の下で安定化に向けた方向性で現時点では進んでいるし、最悪の事態を想定してもチェルノブイリと同様の事態にはならない。
【政府が想定している「最悪の事態」はチェルノブイリ級のものではないということか 】
チェルノブイリ級のものという言葉は、それは何のどういう性格のものを指すのかということで全く意味が違う。そうした意味では、全く同種の事故はあり得ない。
朝日新聞

枝野官房長官の会見全文〈13.午後3時半〉 2011.3.14. 「福島第一原発3号機について、新しい情報が入りましたので報告します。この情報によっても、いま避難をして頂いている避難の状況などについて新たな対応をする必要はありません。今朝原子炉の水位が低下をしたため、正確に言いますと、午前9時5分に圧力弁を開いて、炉内の圧力を下げ、午前9時8分から真水の注入を開始をいたしました。これにより、炉内の水位が上昇し、炉心を冷却できる状況となりました。一度注水の状況が不安定になり、水位が低下をいたしました。 この間、炉心を十分に冷却できない状況であったため、炉内において大量に水素が発生したことが予想され、この水素が原子力建屋の上部にたまっている可能性が否定できません。万が一これが昨日のような爆発を生じた場合であっても、昨日もそうでありましたが、原子炉本体、圧力容器と格納容器については問題が生じないという状態、その外側でしか爆発は生じませんし、そのレベルの衝撃には耐えられる構造になっております。、この爆発的なことが万が一生じた場合でありましても、発電所の近くの場所での数値が先ほどのような数値でございますので、避難をして頂いている周辺の皆様の健康に影響を及ぼすような状況は生じないというふうに考えております。
【3号機ではメルトダウンが起こっているのか。】炉心の一部が、若干、炉の中で変形をする可能性は否定できない。水没していない時間があったことは間違いない。しかしながら全体が一般的にメルトダウンの状況に至るような長時間にわたって水没していない状況が続いていたという状況ではない。水位はすでに上昇を始めている。この水位の上昇をいま見守っているところだ。」
朝日新聞

官房長官「冷静対応を」5時間後に爆発認める 2011.3.13. 「原子炉はコントロール下に置かれる。冷静に対応してほしい」。12日に起きた原子炉建屋の爆発事故で、枝野官房長官は同日夜、 この日2度目の記者会見を開き、爆発の事実を認めた上で、詳しい原因を説明した。ただ、爆発から約5時間後にようやく行われた説明に、識者らは「不安に思っている住民のためにも、 もっと早く正確な情報を伝えるべき」と指摘する。「爆発は建屋の壁が崩壊したもので、中の格納容器が爆発したものではない」。午後8時40分頃、枝野官房長官は記者会見でこう切り出し、 今後、深刻な事態に陥る可能性がほとんどない、と強調した。「水蒸気が、格納容器の外側の建屋との空間に出て水素となって、酸素と合わさって爆発した。 ちなみに、格納容器内には酸素はないので、爆発することはない」この日午後5時45分から行われた1度目の会見では、「何らかの爆発的事象」などと表現するにとどめ、 報道陣からは、重大な事故につながる可能性から、いち早い情報を求める質問が相次いだが、「分析をしっかり進めているところ」などと慎重な姿勢に終始していた。 一方、政府は同日、住民の避難指示の範囲を、福島第一原発を基点に半径10kmから20km圏内にまで拡大したが、この点について、枝野長官は「具体的な危険が生じるものではないが、 万全を期すため」と述べ、 不安が高まる地元住民に、冷静に行動するよう呼びかけた。 読売新聞

福島第一原発で何らかの爆発的事象、原子炉格納容器外で水素が爆発…官房長官 2011.3.12. 枝野官房長官は12日夕、記者会見し、福島第一原発周辺で起きた事態について「原子炉そのものであることは確認されていないが、何らかの爆発的事象であると報告されている」述べ、「現在、菅首相、海江田経産相、専門家を含めて、状況把握、分析対応に全力であたっている」と語った。放射能については「想定の範囲であると考えているが、放射性物質の把握に努め、周辺住民の安全に万全を期しているところだ」と述べた。そのうえで、万全を期すため、 福島第二原発についても避難指示の対象地域を半径3kmから10kmに広げるとした。
枝野官房長官は12日夜、首相官邸で記者会見し、福島第一原発1号機で起きた爆発について「原子炉の格納容器が爆発したものではなく、格納容器の外で起きたもの」と述べ、「放射性物質が大量に漏れ出すものではない。爆発前と比べ数値は上がっていない」と冷静に対応するよう呼びかけた。東京電力の調査でも濃度は上昇していない、という。「水素爆発」で建屋の外壁が壊れたという。
読売新聞
福島第1原発1号機で爆発、天井崩落 炉心溶融か 日本の原発史上、最悪の事故 2011.3.12. 12.午後3時半ごろ、東日本巨大地震で被災した福島第1原子力発電所1号機周辺から爆発音が聞こえ、10分後に白い煙を東京電力が確認した。同社の社員2人と協力会社の作業員2人がケガをし、病院に搬送された。福島県に入った情報では原子炉がある建屋などの天井が崩落した。福島県は12日午後6時25分、首相官邸からの指示で福島第1の避難指示を半径10kmから20km圏内に拡大した。ほぼ半世紀になる日本の原発史上で、最悪の原子力事故になった。枝野官房長官と経済産業省原子力安全・保安院幹部(12日夕) 経済産業省の原子力安全・保安院は午後2時、「原子炉の心臓部が損なわれる炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表。燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が原発周辺から検出されたとしていた。 福島県に入った情報によると、午後4時すぎ、敷地内の放射線量が1時間に1015マイクロシーベルトを示した。一般人が年間に受ける放射線量の限度(1000マイクロシーベルト)に相当する値まで上がっている。原発は万一の事故に備え、「5重の壁」と呼ばれる構造で放射性物質を閉じ込める。今回の爆発では一番外側にあたる原子炉建屋が壊れたことが映像で確認された。内側の防壁の状況は分かっていない。建屋崩壊時は原子炉格納容器の圧力が高まっており、壊れる可能性があったため内部の空気を出す作業を進めていた。爆発が起きた原因は調査中だが、原子炉格納容器の圧力が何らかの理由で高まり過ぎて爆発したとすれば、最悪の場合は内部の防壁も壊れ、放射性物質が外に出た可能性がある。東電によると、現地の情報が錯綜しており、被害状況などを確認するのが困難な状況が続いている。福島第1原発の敷地内には同日午前11時の時点で750人の作業員がいるという。1号機は東日本巨大地震の発生で自動停止はしたものの、緊急炉心冷却装置(ECCS)を動かすことができなくなり、炉を十分に冷やせなくなっていた。東電は12.午後、原子炉内の水位低下が進んでいると発表した。午前9時に燃料の上部50cmが露出していたのが、10時30分には90cm、午後1時には1.5mに拡大。午後3時半ごろに1.7mになった。燃料の長さは4mで全体のほぼ半分が露出したことになる。 日本経済新聞

「炉心溶融が進んでいる可能性」 保安院

☞ 根井寿規審議官
☞ 中村審議官
枝野官房長官が「国民の不安を煽る」とポストから外した、とは巷の噂...
2011.3.12. 原子力安全・保安院は12日 午後2時、東京電力の福島第一原発1号機で原子炉の心臓部が損なわれる「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した。発電所の周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が検出されたという。燃料が溶けて漏れ出たと考えられる。炉心溶融が事実だとすれば、最悪の原子力事故が起きたことになる。炉心溶融の現象が日本で確認されたのは初めて。保安院は同日午後3時半、圧力が高まって爆発による放射性物質の大量放出を防ぐため、格納容器内の減圧作業を実施した。圧力が「午後2時を境に急激に下がりはじめた」(保安院)という。周辺地域から検出された種類は、いずれも本来は金属容器で封じ込めている物質。炉心溶融で大量に放射性物質が出れば、被曝の被害が広がる恐れもある。 日本経済新聞

福島第一原発の緊急事態、想定上回る危険水域 2011.3.12. 原子炉格納容器内の圧力を下げる作業が始まった福島第一原発1号機の緊急事態は、保安院の当初の被害想定を上回る危険水域まで達していることが12日わかった。昨日午後10時の時点で最悪の事態が想定されたのは原子炉の水位が異常低下した同原発2号機。想定では水位低下で、核燃料棒が露出し、溶融。最悪の場合、格納容器内の圧力が通常運転時の1.3倍程度の527.6キロ・パスカルに達し、爆発を避けるため水蒸気を放出するシナリオを描いていた。実際は、水位が安定し、放出は不要だった。燃料損傷の危険が迫っていたのは、実は1号機だった。12日午前2時半に、格納容器内の圧力は、通常時の2.1倍の840キロ・パスカルに達していたことが確認された。想定をはるかに超え、燃料の溶融が起きていてもおかしくない事態だった。圧力を下げる作業が行われる同原発1号機では、施設内の中央制御室の放射線量は、通常の1000倍に達している。現時点では放射線量は少なく、燃料の損傷を示すような異常は検知されていない。すぐに炉心溶融につながる最悪の事態に発展はしないものの、放射性物質の漏えいの原因につながるような内圧の上昇、何らかの燃料棒の損傷や異変が起きている可能性がある。このような状況では、炉心が過熱している恐れがある。それが圧力上昇の原因とも考えられる。圧力が異常に高まると、緊急用の冷却水を原子炉内に注入する緊急炉心冷却装置の稼働もできなくなり、制御がますます困難になる。微量の放射性物質を含む水蒸気が外部に放出される程度なら深刻ではないが、燃料棒が損傷して露出し、水蒸気と反応して爆発するような事態になれば、大量の放射性物質が外部に放出されることになる。1979年の米スリーマイル島原発事故と同様の最悪のケースになる恐れもある。 読売新聞
福島第一原発、半径10km以内の住民に避難指示 2011.3.12. 福島県警によると、政府は12日午前5時45分、福島第一原発の半径10km以内の住民に避難指示を出した。対象は5万1207 人。 読売新聞

福島第一原発、放射性物質含む蒸気外部に放出へ 2011.3.12. 海江田経産相は12日午前3時過ぎ、経産省内で記者会見し、東京電力が、地震で自動停止した福島第一原子力発電所の格納容器内の圧力が異常上昇したため、 放射性物質を含む蒸気を建屋外部に放出し、圧力を下げる措置を行うと発表した。経産相は「容器内の放射性物質は微量とみられる。海側への風向きの時に放出すれば、避難したり屋内待機している 住民の安全は保たれている」とし、住民には落ち着いて対処するよう求めた。この後、東京電力が記者会見し、格納容器内の蒸気を高さ120mの排気筒を通じて屋外に放出するのは1~3号機が対象になりうることを明らかにした。1号機の格納容器の圧力は、設計値の1.5倍に異常上昇したとみられる。放出の時期、順序は未定。保安院によると、1号機の格納容器が上昇したのは、原子炉圧力容器から蒸気が漏れ出したためとみられる。 読売新聞

福島第一原発、放射性物質放出の可能性 2011.3.12. 政府は11日夜、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力緊急事態を宣言した。2号機の原子炉内の水位の低下が確認され、政府は同原発から半径3km以内の住民を「避難」させるよう地元自治体に指示した。12日未明には1号機の原子炉の圧力が設計値の1.5倍に上昇し、同社は圧力を外部に逃がす操作を行う方針。微量の放射性物質が環境中に出る可能性がある。保安院によると、ECCSを動かす電源を消失した事態は国内で初めて。東電は現地に電源車を派遣、11日午後10時半過ぎから電源回復の作業を始めた。ECCSは、炉内の温度や圧力が異常上昇した時に注水して冷やす装置。必要時に作動しない場合は、放射性物質が外部に漏れる可能性もある。 読売新聞

福島第一原発で冷却トラブル、緊急事態宣言 2011.3.11. 東電福島第原発1~3号機で、地震によって運転が自動停止した後、水を注入して冷却する「緊急炉心冷却装置(ECCS)」、除熱装置を停電時に稼働させる非常電源が故障するトラブルが発生した。政府は、11日夜、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力緊急事態を宣言した。2号機の原子炉内の水位の低下が確認され、燃料棒が露出して放射能が漏れる可能性として、政府は同原発から半径3キロ・メートル以内の住民に「避難」させるよう地元自治体に指示した。保安院によると、ECCSを動かす電源を消失した事態は国内初めて。東電は、同日午後10時半過ぎ、現地に電源車を派遣、電源回復の作業を始めた。ECCSは、制御棒を挿入し核分裂を止めて緊急停止した後に、原子炉が壊れたり、炉心の温度や圧力が上昇したりした時に水を入れて冷やす装置。ECCSが必要時に作動しない場合は、最悪、炉内の水が蒸発し、炉心が露出、放射線が外部に漏れる可能性もある。現在、同原発1号機、3号機では水位が低下していないが、除熱装置が作動できない状態が続いている。 読売新聞

福島第1原発の1、2号機が運転停止 2011.3.11. 福島県災害対策本部では11日午後、福島第1原発1、2号機について、放射能漏れの恐れがあることが報告された。地震のため、両機とも運転を停止したが、原子炉を冷却するシステムが復旧しないという。同本部によると、2~3日は問題ない見通し。 読売新聞