平成23年度第2回植栽専門部会
2011/11/7

平成23年度第2回植栽専門部会
11月7日、第二回植栽専門部会の傍聴に参加しました。
午後1時半に学橋にて集合、約一時間の現地城址公園での見学を終えた後、
近くの三の丸小学校で約2時間の会議が行われました。
内容が被りますので現地での模様と合わせて会議の内容も紹介します。


文化財課 御用米曲輪の整備状況の報告

スタンド内の楠木17本は重機稼動範囲内の枝卸を行っております
スタンド内の楠木17本は重機稼動範囲内の枝卸を行っております。

御用米曲輪整備工事では全体で21本の工事に支障の出る樹木の説明がありました。
この21本に関しては委員会全員一致により伐採が決まりました。

又、既に工事で支障が生じ伐採した木が梅が2本、カリンが1本あり、
移設した木としては、梅が2本が松永記念館へ、
旧青少年会館の生垣のツツジが城址公園北側入口に移設。
台風15号により杉が1本倒れ処理したと報告がありました。

スタンドの壁を撤去後の楠木
スタンドの壁を撤去後の楠木ですが、
木の根元は空き缶などゴミが投げ込まれていていました。
壁近くには細かい根が張っていますが、
肝心の太い根は真下に伸びているだろうと予想されます。
樹木の専門家のお話では上下のバランスを考えないと自立は難しく、
残すのであれば枝卸又は盛土が必要になるとのことです。

傾向松
スタンド近くの傾向松ですが、伐採したところムロが7mもありました。
伐採して解ったとは言え、危険な樹木でした。
この傾向松の処分については市民の利活用に使用するとの報告がありました。
又その他の伐採した木についても活用すべきとの提案がありました。

本丸北法面の杉
本丸北法面の杉ですが、植林によるものだそうで、
日の当たらない場所だけにどれも生育が良くなく、
今後の整備に支障が出ることから伐採が決まりました。

戦国時代の堀
文化財課からは発掘調査の報告もありました。
北西土塁近くには堀が出土しました。
16世紀中期から後期のかわらけも出土しており戦国時代の堀と解りました。
北西土塁に沿って周っているように見えます。
想定外の出土ですが戦国時代の曲輪取りがかなり違うのではないかと予想されます。

弓道場近く
弓道場近くにはしばらくの間松の切り株が放置されていましたが、
伐根したところ石積の側溝が出土しました。
画像手間で急に深くなっており、
ここまで御用米曲輪の土塁があったことも解りました。


観光課 城址公園担当からの報告

城址公園ではソメイヨシノの本数が多いのですが、
配布資料より平成21年から23年にかけて行われた、
日本樹木医会神奈川県支部によるソメイヨシノの診断結果は以下の通りです。

判定 説明 診断本数(本)
史跡内 史跡外
A 健全 14 0 14
B 概ね異常なし 46 23 69
C 異常・被害が認められる 66 46 112
D 大きな異常・被害が認められる 59 32 91
E 不健全・植替えが必要 22 12 34
総数 207 113 320

表1.ソメイヨシノの診断結果

史跡内は城址公園内、史跡外はお堀端通りから三の丸小学校までの歩道になります。
この資料の通り健全であるAランクが14本、
Bランクまで合わせても83/320本という残念な結果です。
全体の3/4は被害が認められそのうち植替えが必要な本数は34本もあります。

今回は史跡外のEランク判定の桜を植え替える予定で、
今年度は4本を植替え予定、既に抜本も終えています。
来年度は残りの8本を植え替える予定ですが、予算の都合次第となるようです。

又、ソメイヨシノに関して台風15号による倒木、枝折れの状況は配布資料より、
被害が出ているものが18本のうち13本がDランク又はEランクになります。


バッテリーカーのコース脇の桜
続いて台風15号による被害状況の報告となりました。
この画像はその代表例ですが、子供遊園地のバッテリーカーのコース脇の桜です。
見ての通り桜の木自体が傾いてしまっています。
この木には枝折れもあり非常に危険な状態で現在も営業しており、
同様に通行人に被害が出てしまいそうな木について何本か報告がありました。

汽車のレール上の倒木
参考までに、こちらは台風15号直撃翌日の画像です。
子供遊園地の汽車のレール上に倒木があります。

台風15号直撃翌日の本丸広場の状況
こちらも台風15号直撃翌日の画像、本丸広場の状況です。
この状態でも片づけが進んでいる状況で、
広場一面に折れた枝が散乱していた状況が想像できます。

配布資料によると40本被害が出ており、そのうち処理ができていないものが7本、
この7本については委員会全員一致により処理が認められました。


城址公園の植栽調査の報告

臨時職員さんからは城址公園の植栽調査結果の報告がありました。

台風や工事で未整備の樹木が1406本あるのに対し
このうち顕著に多い樹種がある事が解りました。
図1と表2に示しますが桜、梅、松、楠の4種で城址公園の約半数を占めます。

樹種の割合
図1.樹種の割合
本数(本) パーセント
260 18%
170 12%
150 11%
143 10%
その他 683 49%
表2.樹種の本数と割合


箇条書きになってしまいますが以下の報告がありました。

1)殆どの樹木が手入れが入れられてない状態で放置され、
場所によっては倒壊の恐れがあり危険な状態である。

2)二の丸については城内小学校時代の植栽がそのまま残されており、
お城の景観に不釣合いのものが多い。

3)季節別にまとめると秋に咲く草花が植種、本数共に乏しい。
全体的に春に花を咲かせる樹木が多く、その他の季節の樹種は乏しい。
見ごろの時期には観光客に人気はあるがその他は魅力の無い樹種が多い。

4)数が多すぎて毎年管理が大変な樹種、植種が多い。
低木ではサツキ、ツツジ、アジサイの3種、
お堀や池では花菖蒲及びハス。

5)自生している草花として、
シャガ、ウラシマソウ、ホタルブクロ、ヤマユリが確認されているが、
これらは管理次第で数を減らしてしまうので注意したい。



マンジュシャゲを植える要望

一部市民の連盟よりマンジュシャゲを植える要望があったとの報告がありました。
今回は議論を見送られましたが、マンジュシャゲについては以下をご覧ください。

小田原城のマンジュシャゲ



植栽委員からの指摘
以上の報告に対し植栽委員からは以下の指摘がありました。

1)史跡の景観を考えた植栽を考えなければならないが、
史跡整備の方針が固まらない限り植栽を決める事が出来ない。

2)数が多すぎて手入れが大変な植栽があるのは問題である。

3)市民からのボランティアの力も借りたいところだが、
雑然とした状況で全てボランティア任せにすることはできない。


以上、植栽専門部会の報告です。
マスコミまで巻き込んだ問題も含んでおり伐採については慎重に議論が進んでいます。
ですが、ずさんな植栽管理状況も明らかになりました。
早急に解決しなければならない課題もあるようです。


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