清閑亭
せいかんてい
清閑亭は明治39(1906)年黒田長成侯爵の別邸として造られました。
黒田長成は豊臣秀吉に仕えた軍師、黒田官兵衛の子孫にあたり、
慶応3(1867)年、福岡藩主黒田長知の長男として福岡に生まれます。
明治21(1888)年に英国ケンブリッジ大学に留学、
帰国して明治26(1893)年から30年間貴族院副議長を務めました。
漢詩集『桜谷集』の遺した他、菅原道真や豊臣秀吉の旧跡を保存する、
菅公会、豊国会の活動にも尽力しました。
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場所は小田原駅より南に向かって歩いて15分程度の距離です。
城址公園のすぐそば、報徳博物館の近くの旧城内高校へ抜ける路地沿いにあります。
清閑亭は箱根外輪山から延びる天神山尾根筋の先端部に位置し、
眺めの良い小田原城三の丸外郭の土塁上に造られました。
画像左手は土塁、右手は堀ですが空堀ではなく水掘の跡です。
建物は国登録有形文化財として無料で一般公開されております。
茶室建築の意匠を取り入れた数寄屋造りの素晴らしい邸宅です。
各所に侯爵別邸ならではの贅沢な工夫がされています。
清閑亭は小田原市の無尽蔵プロジェクトの一環、邸園交流の拠点として、
小田原市の委託によりNPO法人小田原まちづくり応援団により運営されています。
希望者には清閑亭スタッフの解説による館内ガイドツアーも行われています。
ほんの一部になりますがガイドツアーでの説明を元に館内を紹介します。
数奇屋造りの特徴である角を取った丸みの柱が各所で使われており、
ふしの無い柱が使用されています。
鎖の間では天井一面にびっしりと杉の皮で編まれた網代編が施されています。
こちらは玄関近くの男性用トイレの天井です。
天井の二段仕上げは臭気抜きの役割を果たしています。
四角く囲む竹にも細長い通気孔が切られております。
※マウスカーソルを画像に当ててみてください。
画像は2階の書の間です。
お茶をあまり好まなかった長成は代わりに書を好みました。
右手の掛け軸は長成の号『桜谷』の2文字が書かれています。
床の間には書にたけた長成だけに墨蹟窓が切られています。
画像は奥女中の間の墨蹟窓ですが、
その日の天候に合わせて風通しを良くする為に取り外しができるように工夫されています。
※マウスカーソルを画像に当ててみてください。
清閑亭2階から相模湾を撮影しました。
素晴らしい眺めです。
階段の材木には桜を愛した長成だけに桜の木が使用されています。
2階を降りようと階段に視線を向ければ、
相模湾が望める小窓がしつらえられています。
この窓は自然光を取り入れる役割も兼ねています。
自然光を取り入れる工夫は各所に施されています。
こちらは水屋の炉、床の蓋を取り外して使います。
炉の天井には吹き抜け窓のような擦りガラスの窓があり、
日光で明るく炉を照らす工夫がされています。
廊下の明かり一つからも風情を感じます。
明るさはこれぐらいで十分。
普段我々が使う明かりは明るすぎるのかもしれません。
間取りも自然光を上手く取り入れられるように設計されています。
自然の中で調和を図りながら生きる日本人古来の生活様式を感じさせます。
贅沢な造りは畳にも。
部屋の造りの為にわざわざ作らせた1.5畳の大きめの畳です。
この美しい杉戸絵は一枚の板で作られた引き戸です。
美しい杉戸絵に囲まれながらの休息は贅沢な一時。
コーヒー又は紅茶、有料のカフェは300円で楽しめます。
(小田原ゆかりのお菓子付き)
自然光だけでなく相模湾からの風も取り込まれるように設計されており、
真夏でも涼しく過ごせます。
現代人が忘れてしまった日本建築の美を実感出来ます。
こちらは空池と空井戸、丸石を水に例えて敷き詰められています。
清閑亭公開当初はただの荒れた庭でしたが、
清閑亭スタッフ並びに有志の子供たちによって蘇りました。
裏から見ても美しいですね。
お庭に出てみました。
庭に出る巨大な沓脱石(くつぬぎいし)は白を基調としている石質から、
近くの早川の上流箱根山系のものと見られています。
建物の周りは石敷の犬走りが周っており、
基礎は土台敷きと呼ばれ通風に優れています。
お庭からの相模湾を望みます。
この画像ではわかりにくいですが、大島を望む事ができます。
美しいお庭です。
清閑亭は癒しの空間を提供するだけでなく、
様々なイベントを精力的に企画運営しています。
懐かしい香りが清閑亭にはあります。
是非清閑亭まで足をお運びください。
お問い合わせは清閑亭まで 0465-22-2834
http://machien5.exblog.jp/
引用・参考文献
田代道彌、山口隆、平井太郎 2011北條氏の小田原城めぐりイベント配布資料及び解説
平井太郎 2011 小田原まちあるき指南帖4庭園めぐりの巻 小田原まちづくり応援団
清閑亭配布資料並びに清閑亭スタッフの皆さんの解説