表題

    

こちらは3号雑談室の入り口です。
今回は思いっきり私ごとで「我が友ポール君」から。

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     pol
00/12/30

写真右が我が友ポール君です。大先輩を捕まえて「君」は不適当でしょうが 、お許し下さい。
背景はブルーモスクで、ポール君とはここイスタンブールで出会い、一週間ばかり同じ釜の飯を喰った仲です。
ポール君は「怪しげな現地食は食べるつもりはない」 と言って「ブレッド・アンド・マルジェリン」で通していました。 一方で写真左の男と私はマトンの臭いにかなり食傷気味になっていました。 こんな一同が相談のうえ、乱暴な話ですが、ホテルの客室で自炊をすることになった訳です。
と言ってポール君は異国の食物に全く手を付けないわけではく、日本に滞在しことがある彼は、 ご飯に海苔の組み合わせが気に入ったと懐かしがっていました。
こんな訳で、炎が時折伸び縮みする危なっかしい石油コンロ(私ががらくた市で仕入れたものです)を囲んで3人がボソボソと語り合う毎日になりました。
ポール君には、いやな所もあります。
いつものように炉端談義をしていると、ポール君は、 ややしつこい調子で、煮物をかき回している私に話しかけてきます。
生返事をしていると突然、彼はもう一人の方に向き直り「ほらね、RとLの区別がつかないだろ」とのたまいます。むかつく年寄りです。
ポール君に散髪してもらった事もありました。彼なりに上々の仕上がりだったと見えて、「手放すのが惜しくなった」 なんて、落語のネタみたいな事を言う人でもありました。
ポール君はロサンゼルスで長年にわたり校正の仕事をしてきた人です。
退職すると同時に旅行を始め、以後ずっと旅暮らしを続けているんだそうです。
やや自嘲気味に「アメリカに住所は無いんだ」と言います。
「何が悲しゅうて、そんなことをしているの……」と聞きましたが、炎の揺らぎに視線を落としたままポール君は黙っていました。
そんな何日かが過ぎての分かれぎわに、「今日、河岸で撮った写真をここへ送ってくれないか」、 ポール君は走り書きの小さなメモを私に差し出して、 「サンフランシスコにいる孫に”僕のお爺ちゃんはReally a boyだった" と言って欲しいんた゛」と続け、 はにかむ様に小さく笑って見せました。
二つ返事で引き受けた私でしたが、カトマンズのホテル宛に送った8つ切りの写真は結局のところ 受取人不在で戻ってきてしまいました。
ポール君とは、それっきりです。遠い昔の話でもあります。
けれど、私には今でもポール君のあの窮屈な生き様が無性に いとおしくなる時があります。

     bus
01/1/16

トルコのバスターミナルです。
バスの旅の始まりは、いつもこんな風景です。
寂しさと期待と、なにがしかの不安を混ぜ合わせたまま、バスは朝日に向かって走り始めます。
出発直後の1時間程は高揚感のようなものがあって、隣合わせた人と話をしたり、写真をとったり割合活動的に過ごしているようです。
ドライブインの昼飯をはさんで、運転手の流す中東演歌を聴きながらぼーっと窓の外を眺めたりしていると、いつの間にか日が落ちて、 窓の外には、三日月に照らしだされた丘陵が延々と続く、イスラムの国旗のデザインそのままに夢のような風景が広がってきます。
………そう言えば外国での時間感覚は日本でのそれとは大分違って、10時間ぐらいはあっという間に感じます………
やがて、前方に一つ二つと目的地の人家らしい光の点が瞬き始めます。
小さな光の粒は次第に町明かりに姿を変えて行き、それと共に次第に期待と不安が高まってきます。
バスの終点を予感し始めた辺りが興奮のピークでしょうか。
言葉は通じるだろうかとか、今夜寝る場所は有るだろうかとか心配事は山ほどありますがバスを降りて地面に足をついてしまったら、悪あがきのしようもありません。
「まずは飯だ」などと怒鳴って気合いを入れながら素知らぬ顔で安食堂(安食堂のように見える施設と言う表現の方がより正しいんですが)の戸口をくぐります。
すると、10人程いた店の客が一斉にこちらを振り向いて……西部劇にこんな場面がありますよね、丁度あれです。
男達の鋭い目つきに、あわてて笑顔などを作って見ますが、なかなか思うようには……………。
  この手の刺激は「やった人」でないと分からないとは思いますが、麻薬みたいなもので病みつきになります。
最近禁断症状が出てきました。

     centasia
     depo
01/2/3

バスの旅の続きで、写真は中央アジアの車窓風景とバス停?です。
たまたま乗り合わせた、イラン風の顔立ちで日系三世のカナダ人と自称する、事情通の絨毯商(ややこしくて済みませんが、私ではなく相手がややこしいのです。) が教えてくれました。 これが中央アジアだそうで、この景色が一日中続くと思って大きな間違いはありません。
バスは暫く走るとご覧のような何もない所に停留して、なんとするかと言えば、お祈りをするわけです。
テレビで見ればただの奇習でしょうが、人が一心に祈る姿に違和感はありません。
写真はアフガニスタンで、この「お祈り停車」を他の国では殆ど経験しませんでしたから、人は貧乏なほどまじめなのかも知れません。
話は変わりますが、最近無宗教国日本では若者の異様な犯罪が多発しています。
タクシーの運転手を殺害した犯人が犯行後ヒッチハイクで逃走と言うのもなにか奇妙な行動です。
取りあえず、逃げ延びようと言う意志が無いみたいに見えます。
バスジャックや「人を殺す経験がしたかった」犯人も、どれも生きること自体が煩わしい とでも言いたげで、間接的な自殺のような姿です。
他方、イスラエルなどで頻発するアラブ急進派の自爆テロ、これも犯人は若者で、こちらは殉教者になりますが、
実はこの両者はやや似ていて、動機の中心はある種の閉塞感のようなものではないか、と私は考えています。
ただ、一方は実際に閉塞されていて、一方は自由な環境にいます。
一方は貧しくて、一方は裕福です。
そして、どちらも 「頭のいい子」 が多いん…だそうです。
 

     root
01/02/21

バスの旅ついでに…………。
写真はイラン南部を出発したバスが小休止しているところと思って下さい。
真っ直ぐな一本道と抜けるような青空でしょ。

砂漠の雨って想像できますか? ぱらぱらと雨が落ちてくると地表からジュッと湯気が上がって、あっという間に 水気は跡形もなくなって、カンカン照りの日差しが舞い戻る………こんな光景を思い描いていませんか ? 私もそうでしたが………。

     rain
01/03/02


バスが走り始めて4時間も経ったでしょうか、突然あたりが薄暗くなり、かなりの量の雨が降ってきました。
日頃から雨じまいなどあまり考えていないせいてしょうか、バスのサンルーフは雨漏りを始めて、 付近の乗客があわてて移動します。
1時間もすると小高くなった道を走り続けるバスの周囲は一面茶褐色になって、水流が行く先を求めて右往左往しているように見えます。
さらに、いっときすると、雨足は一段と激しくなって、前方の視界も悪くなってきました。
 このころになると、 運転手はBGMの流行歌も止め、緊張した雰囲気が、すぐ脇の私にも伝わって来るようになりました。
そんな中をバスは何かに憑かれたように走り続けます。……止まってみたところで何の展望も開けませんので……
ついには、雨粒越しの対岸 (こう言って良いか悪いか…… )に濁流に足下をすくわれたトラックが流されかかって 傾いているのが見えてきました。
こうなると「砂漠で水死」……なんて心配が頭をよぎり始めます。
ほかの乗客も運転手も同じ様な事を考えていたんじゃないでしょうか。
ありがたいことに、これ以上事態が悪化することはありませんでした。
やがて、雨雲を抜けたのか雨は少しずつ小降りになり、夕暮れの水面に油田の炎が映る印象的な光景(上の写真) が現れて来ました。
その綺麗なこと……ほっとしているから余計に………。

当たり前にすぎて、普段は意識しませんが、川のない砂漠に雨が降ると地表の他の部分が川の代わりをします。
早い話が「洪水」です。

     step
01/03/19

写真はネパールです。あらためて眺めてみるとこの段々畑は大変なもんだと思います。
この山間の村で年寄りに会いました (済みません、どうも年寄りばかり登場してきますが)
昔話の中でアーミービジネスでイギリスに行ったことがあると言ってました。
「アーミービジネス」と言う台詞にドキッとしますが、たしかグルカ兵と言ったと思いますが、英軍に勇猛果敢と言われたネパール人部隊があったような………
命のやりとりと「ビジネス」の落差にはとまどいますが、彼がこの仕事に携わったことを誇り にしていることが救いでした。
老人は突然、 「病人を治療してくれないかと」 と言います。
医療経験皆無の私に頼むとは、ミスキャストも甚だしいのですが、好奇心もあって 言われるままについて行きますと、 若い男が怪我を化膿させたらしい親指を3倍くらいに晴れ上がらせて、青い顔をして うずくまっています。
「こんなひどいのは医者に見せなきゃ…………」
私は殆ど喉まで出かかった台詞を飲み込みました。私自身、この村に着くまでに医者のいる町から 、写真のような山肌を上がっては降りて、3日間歩き通し だった事を思い出したからです。もちろん車の通る道などありません。
残酷な話ですが、この村の病人は医者のいる所まで歩き抜く体力が無いと医者にかかれません。
若い男のその後は知りませんが、老人の選択は最善だったのかも知れません。
砂漠の雨もそうですが、基本的な何かが無いとどうなるか、これは外から眺めてみても分からないものです。
 「免疫があって非衛生な環境になれている」 はずの 「土人」 は病気にかかってどんどん死んで行きます。
当たり前の話ですが、命なんてものはあること自体が僥倖です。

     afgan
01/09/19

アメリカでテロが発生しアフガニスタンが注目されています。
テロ組織への報復自体に異存は無いのですが、アフガニスタンでは民衆があげて カラシニコフ片手に咆吼している、などと思って欲しくないのです。
タリバンは権力に取り付いた、ごく少数の人達であって 1800万と言われる人口の殆どは貧しい農民・市民です。


     house
01/09/20


上はカブール市内の住宅街。山肌いっぱいに家々が貼り付いている、 日本でもありふれた風景ですが、この写真は奇妙な迫力があってなにやら象徴的です。
夕飯時ののどかな風景のはずなんですが……………。

     men
01/09/20

写真は歩哨に立つ旧政府軍兵士です。
この人の良さそうな顔から、彼らが主義主張や政治的信念からこの仕事に就いているのでは無いことは、明確に読みとれます。
食い扶持にありついて喜んでいる、貧農の二三男としか言いようがないではないですか。
干ばつと内戦の置きみやげの地雷に疲れ切った彼らに、この上戦火の追い打ちをかける事が人の道であろう筈はありません。
テロの首謀者は巧妙に逃げ回り、その周辺で正義が弱者を痛めつけると言う、やりきれない展開が待っています。

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