< サイクリング地図と地図サイクリング >

 

2001/11

 

地図を眺めるのが好きだ。次は何処を走ろうか。
老眼鏡の「二つ目玉」が地図の上を走る「地図サイクリング」。

 

 

 サイクリングの楽しみのうち、地図がかなりの割合を占める。地図を眺めていると自然に旧道に目がいく。東海道など各地に旧道が残っている。有松、関のように古い町並みはなくても旧道には趣がある。

 何時だったか旧甲州街道、犬目のあたりに出掛けた。初冬の暖かな日で、旧道はたまに車が来るだけで通る人もなかった。小刻みにカーブしながら上り詰めると貯水池が望めた。昔を忍ぶ古い建物などはほとんど残っていないが、逆にその自然さが好ましかった。



 幕末、渡辺華山が「遊相日記」に記した矢倉沢往還(旧大山街道)は厚木から246号を縫うように、世田谷区瀬田のあたりまで旧道を辿ることができる。そのうちに走ってみようと思い地図に線を引いてはいるが、都市化された現代の街を考えると実行に移せないままでいる。 

 



 京鎌倉往還の足柄路、山の手の道といわれる鎌倉時代の旧道がある。足柄峠を越えて関本へ出る。足柄平野を横切り六本松峠を越えて中村に至る。川匂神社からは吾妻山、旧農業試験場の裏手の山を越えて六所神社までの山越えの道だ。曽我の十郎がこの道を大磯の虎御前のところへ通ったといわれている。


 

    
ほととぎす 鳴き鳴き飛ぶぞ いそがわし   芭蕉  

  
人の知る 曽我中村や 青嵐         白雄  

    
雨ほろほろ 曽我中村の田植えかな      蕪村  

 現在の六本松峠は周囲がみかん畑で、自然石の句碑が立っている。



 地図を見ていて以前から気にかかっているものに、地名の由来がある。白浜や網代など漢字が内容を表す地名がある一方で、妻良、戸田、土肥、宇久須、安良里など漢字からは意味が分からない地名もある。

 妻良などは「め」が目、芽、女など小さい、可愛い。「ら」が浦で、たぶん「小さい入り江」だろうか。では戸田は?土肥は? もともと地名にはその土地の特徴を示す何らかの意味があったことだろう。そんな地名の由来に勝手な想像をめぐらすのも素人の特権だろう。

 

 

 藤沢の地図を見ていて不思議な道を見つけた。藤沢市を左上から右下に斜めに一直線に横切る道だ。一般道でしかも途中途切れているところもある。この道は横須賀に水を送る「横須賀水道道路」なのだが、じつはこの道、歴史の道だった。

 

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