守ると言うことは
第2話
茶番
1.
一人での活動には、限界がある。
覚悟していたが、こんなにも早く追い込まれるとは思いもしなかった。
配ったビラは尽く捨てられた。自分の行為が自分の財産と町の美観を損なうだけであることは、自分でも把握できた。
やめるわけにはいかなかった。
しかしそれは、意外な形で中止に追い込まれた。警察が動いたのだ。
始めは、ビラを配ることにクレームが付いたものだとばかり思った。しかし、認識が甘かった。
一つ路地を入ったところで、真実を知る。
ビラの内容、警察の動き、そして体中の痛み
自分の無力さを知った。
2.
全てを託すために一本の電話をかける。
その電話は以前街頭でみた環境保護団体にかけたものだ。
一人の力の限界を知ったからこそ、同じもしくは近い考えをもつ彼らに協力を求めたのだ。
報道機関に協力は求められなかった。
自分よりも遥かに多くの情報を持っているであろう彼らが未だに動かないところを見ると、
先日の痛みを思い出すだけだったからだ。
意外なまでに話は簡単に進んだ。その日のうちに会見はもたれた。
物腰のよさそうな代表は、私に全ての情報の提供をせまった。
応じないわけにはいかない。こうなることはある程度予想していたので、鞄に詰めてきた、書類を彼に預けた。
その行為が間違いであることに気が付いたのは、翌日に招かれざる客が来たときだった。
3.
彼の手元には数枚の紙切れが残った、部屋は見事なまでにひっくり返されている。
大学時代の友人に出していた手紙だけが、難の逃れたのだ。
あまりの惨さにやりきれない思いを覚えた。
真実は闇へと葬り去られる、全てが仕組まれた茶番だった。
見た目上、対立関係が成立していることが、一番の安定だった。
そして、自分の行動は、一部の人間にとって、邪魔以外の何物でもなかった。
自分以外に事を成すことができないことは良く分かった。
今手元に友人に出した手紙があることは、友人からの協力は得られない事でもあった。
図らずも、最後の希望の紙は、絶望が運んできた。
友人からの封筒には二枚の紙が同封されていた
その紙は友人にとって、ぎりぎりの協力だったことを知った。
友人の協力は数千枚のビラとなった。
4.
午前3時をまわり、いつものように彼はそこにいた。
あの日から彼は頻繁にこの時間ここに現れる。
淀んだ水は、澄み渡り、少しの時を過ごす。
二つの影は会話を交わすことはなかった。ただ心に忠実だった
澄んだ水は少しの時を過ごし、また、淀む。
早朝、
海岸線で一つの影がしきりに動いていた。
ただひたすら、ゴミを拾い集めて、
日が昇りきると、彼はいつものように、駅の前にたってビラを配り続ける。
たとえ、どんな妨害に遭うことがあっても、この行為を止めようとしなかった。
寝る間を惜しんでまで