平成23年度第3回植栽専門部会
2012/1/24

画像は会議冒頭の模様です。
※画像は会議冒頭の模様です。
1月24日、第三回植栽専門部会の傍聴に参加しました。
午後1時半に郷土文化館集合、約30分の現地城址公園での見学を終えた後、
近くの郷土文化館に戻り2時間30分の会議が行われました。


御用米曲輪の現地視察

雪の中のでの小田原城の風景も美しいですね
現地視察は文化財課佐々木健策さんの案内で行われました。
この日はあいにくの天候ですが、
温暖な小田原で雪が見られるのは珍しく、
雪の中のでの小田原城の風景も美しいですね。

第7トレンチです
第7トレンチです。
旧野球場のフェンスを除去した部分で露出した根については、
シートで保湿した上で保温処理をしています。
土塁上のニ段根については石やコンクリートなどを取り除いた後に余分な根を切断、
薬品を塗布し保温処理を施しています。

現状のままとなります。
出っ張った部分は現状で根を切断すると樹皮の大半が露出してしまうので、
木の健康状態を考えると望ましくなく現状のままとなります。

遺構の精査が行われる予定です
この画像ではわかりにくいかもしれませんが、
青い線は遺構で、未調査ですが土抗やピット、溝などが確認されています。
又、石列が見えていますが、
おそらくこのラインが土塁の裾にあたるのではないかと精査を進めているところです。

現在見えている地盤が江戸時代あるいは戦国時代の平場の地盤高であろうと考え、
これを基準に土塁の復元整備を進めていく方針です。
※マウスカーソルを画像に当ててみてください

クスノキの根が張っていない所では土塁の版築状況が良好に確認できます。
クスノキの根が張っていない所では土塁の版築状況が良好に確認できます。
土塁上においても石列と瓦の遺構が確認されています。

かわらけが大量に出土しております。
土塁の切れ目、遊歩道の入口として整備予定地では、
16世紀前半(北条2代目氏綱若しくは3代目氏康の時代)のかわらけが大量に出土しております。
この上に江戸時代の土塁が構築されていたことがわかりました。

土塁表面に着色しました
北西土塁については1塁側のスタンドを除去した後、
大量の盛土が施されていたことがわかりました。
調査の結果、本来の土塁のラインを確認する事ができました。
※マウスカーソルを画像に当ててみてください


想定外の堀
第4トレンチでは画像右手、欅の根が石垣に食いついている事がわかりました。
また画像中央からは全く想像もしなかった大きな堀が検出し、
この堀がどのような形態をしているか明らかにすることは小田原城の構造を知る上で重要で、
来年度以降の予定でしたが、欅については今後の調査の進捗に合わせて伐採の対象になりました。

何本か調査に支障に出る木があり、伐採の対象になりました。
本丸南側の法面と鉄門坂の法面の調査も進んでいますが、
何本か調査に支障に出る木があり、伐採の対象になりました。

堀障子です
こちらは16世紀、戦国時代の堀ですが、小田原城では珍しい石積みを伴う堀です。
水没してしまっていますが、堀障子が検出しております。
城址公園では銅門に面する住吉堀で堀障子が検出して以来2箇所目の重要な発見です。
※マウスカーソルを画像に当ててみてください

以上が現地視察での内容です。
以下は郷土文化館で行われた委員会の模様です。

平成23年度調査に伴う樹木の対処方法について

まず文化財課佐々木健策さんから今後のスケジュールの説明、
次に整備の進捗上支障が出る樹木の一覧及び配置図面が提示されました。
現地視察の模様でも紹介しましたが、
委員会の全員一致により伐採対象の樹木については伐採が承認されました。


北東土塁クスノキの取扱い方針(案)

事務局からは北東土塁のクスノキの扱い方針案が提示されました。
全てここで盛り込みませんが、具体的には景観と市街地との遮断効果、
史跡のへの影響のバランスを考えて今後取扱いを決めるという案です。

委員からは様々な意見が寄せられましたが、
今回の議論の意見を取り入れて次回の委員会で方針案を提示するという事で承認されました。

富田部会員からのクスノキの根の範囲の見解では、
クスノキの樹高を考慮すると土塁にはかなり太い根が深く張り、
土塁にはびっしりと根が張っているのではないかとの意見が寄せられました。
もう既に史跡と緑のバランスは破綻しており、
基本方針を根底から考え直さないといけない見解のように思います。


毎木調査を生かすために

前回の植栽専門部会ので報告があった城址公園の毎木調査ですが、
この成果を「史跡小田原城本丸・二の丸整備基本構想」の再検討作業への反映の仕方が提示されました。

基本的な考え方として、お城が機能していた姿に戻すのが基本ですが、現況も評価する必要がある。
まずそれには城址公園における植生の変遷を把握する。
作業的には現状と古写真との比較、文献や絵図、科学的に花粉、種子について分析など実施する。

「史跡小田原城本丸・二の丸整備基本構想」の再検討作業への反映にいたっては、
毎木調査によりエリアごとに植生の特徴があることが判明したことから、
植栽のゾーニングの検討も必要。
植栽の計画的な維持管理、及び寄付など市民参加を配慮した方針を策定する。
などの方針が提示されました。

委員から様々な意見も出ましたが、
現在、天守閣が本丸まで登らないと見れない、
背景として記念写真を撮れる場所が無いとの意見が寄せられました。
近世のお城の象徴天守閣が見れないという現状は再検討すべき課題と思います。


マンジュシャゲ植栽についての事務局の考え方

一部の市民の連盟よりマンジュシャゲを植える要望が出ており、
今回は一部区画を決めて実験的に植えてみるという方針が提示されました。
植える場所について慎重に検討したうえで実施するとのことで了承されました。

マンジュシャゲについては以下を参考にしてください。

小田原城のマンジュシャゲ


梅林駐車場の補植の報告
最後に道水路整備課より梅林駐車場において昨年9月の台風における桜の倒木と、
大蓮寺配水路の整備における伐採の補植の報告がありました。
観光課及び文化財課とも検討し、事故への配慮など考慮したうえで補植位置などが提示されました。


以上が植栽専門部会の報告です。

今回天候が好ましくなく現地視察が残念な状態になりましたが、
御用米曲輪の現地見学会・説明会が来る2月4日に予定されています。
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/lifelong/property/shisekinoseibi/goyomaikuruwa.html#unit-78787
北条氏の残した貴重な遺構も既に出土しておりますが、
御用米曲輪の調査は植栽専門部会後も継続して行われます。
この間にも新たな発見があるかもしれません。
是非御用米曲輪の見学会・説明会に足を運んでみてください。


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