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Web Site 「TRPG蛇行道!」入道3000記念シナリオ:3000人の指輪

Ver.1.00(2002/10/01)
作 たまねぎ須永
[(中編・展開編へ)]
対象システム:「お城と街とご令嬢」(貴空草乱著/ひとあそかい刊)

目次

《導入部》
0)どこで暮らしているの?
1)お父様からのプレゼント
2)リッチフィード様との出会い
3)小さな災難
《展開部》
4)毎日がトラブル
5)どうしよう?
5−1)リッチフィード様に聞いてみよう
5−1−1)酒場でパニック
5−2)お父様に聞いてみよう
5−3)街の人に聞いてみよう
5−3−1)雑貨商プローモ
5−4)先生に聞いてみよう
6)指輪は呪われていたの
ご令嬢は指輪の呪い解除法を知ります。
《解決》
7)呪いの正体
8)あなたがこんなことしたのね!
データ編

【前書き】

 このシナリオは、Web Site「TRPG蛇行道!」入道3000の称号を得た貴空さんが得たシナリオリクエスト権により作成されました。リクエストの御題は「3000人」でした。TRPGシステムについては特に指定はありませんでしたが、称号者に敬意を表す意味で、「お城と街とご令嬢」用になっています。
 私自身、このシステムは、今回シナリオを作成するまでプレイしたことのありませんので、私なりの「お城と街とご令嬢」らしいシナリオとなってしまっていると思います。
 なお、実際の世界観については、実際のルールブック(CD―ROM版も発表されています)を参照されることをお薦めします。
 工夫すれば、欧州中世風ファンタジー世界を舞台にしたTRPGのシナリオに容易に流用できることでしょう。

 本シナリオは、「導入編」「展開編」「解決編」の3ファイルに分かれています。

【概要】

あらすじ
 ご令嬢の一人が、父から指輪を譲られます。父の想いもむなしく、その指輪を身につけたご令嬢は、次々とトラブルに巻き込まれるようになってしまうのでした。
 ご令嬢たちは、このトラブルの裏に、指輪にかけられた呪いの存在に気づきます。様々な殿方の助けを借りながら、呪いは解かれるのです。

プレイヤー・キャラクターについて
 ルール通り作成してください。作成したばかりのキャラクターを想定してシナリオは編まれています。PCまたは、ご令嬢と表記します。
 たくさんの自信を持ったキャラクターでやる場合には、トラブルや遭遇する怪物、悪人たちをパワーアップさせる必要があるかもしれません。とはいえ、「お城と街とご令嬢」(略称:おしごれ)は他のTRPGとは違いそんなにPC本人が強くなりにくいのでこんな心配は無用かもしれませんが。

プレイヤーの数
 2〜4人くらいがいいでしょう。テストプレイは2人で行いました。

プレイ時間
 キャラクター作成時間を1時間、実際のプレイを3時間くらいで組んでいます。衣装をパーツごとに選ぶ選択ルールなどを導入すれば、もう少しキャラクター作成時間をとるべきかもしれません。
 一般的に、プレイヤーの数とルールブックの数の差が大きくなればなるほど、キャラクター作成時間などが上昇する傾向があります。

シナリオの舞台
 ルールブックやサプリメントで紹介されているキャッスルターフの街を使います。とはいえ、この街独自の設定を使っているわけでもないので、この街にこだわる必要もありません。
 おしごれ向けのワールドを個人的にGMが持っているのならば、その世界を使ってもいいでしょう。

シナリオの流れ
 導入部、展開部、解決部の3つで構成されます。
《導入部》
0)どこで暮らしているの?
PCの立場の確認と住所の確認を行います。
1)お父様からのプレゼント
2番目に身分度の高いご令嬢が父親から指輪を贈られます。
(PCの数が2人の時は身分度が高いほうのご令嬢になります)
2)リッチフィード様との出会い
一番身分度の低いご令嬢が、下町でリッチフィード(冒険者)と遭遇し、指輪を探していることを耳にします。
3)小さな災難
指輪所持者が小さな災難に巻き込まれます。
《展開部》
 導入部から数日が経過した後の物語です。5−1)〜5−4)はご令嬢の行動によって発生するかどうか変わっていきます。
4)毎日がトラブル
指輪所持者は災難に巻き込まれ続けます。最初は小さなトラブルばかりだったのですが……。
5)どうしよう?
5−1)リッチフィード様に聞いてみよう
5−1−1)酒場でパニック
5−2)お父様に聞いてみよう
5−3)街の人に聞いてみよう
5−3−1)雑貨商プローモ
5−4)先生に聞いてみよう
6)指輪は呪われていたの
ご令嬢は指輪の呪い解除法を知ります。
《解決》
7)呪いの正体
殿方の助けを借り、呪いが解かれます。呪いの根源だった怪物が襲いかかってきます。
8)あなたがこんなことしたのね!
怪物を倒したご令嬢たちの前に、悪人が現れます。

【本編】

《導入部》

0)どこに暮らしているの?

 PCは魔術学校に通っています。寄宿舎がありますのが、望むのならば自宅から通うことも可能です(自宅が街の中になければ無理ですが)。
 各PCがどこに寝泊まりしているかを確定させておいてください。
 PC同士が知り合いなのかどうかは、プレイヤーに一任してもかまいません。プレイ時間やGM自身のセッション運営能力に自信がなければ、知り合いにしておいたほうが無難かもしれません。

コラム:寄宿舎-------
 寄宿舎は学生の学業促進のために設けられています。運営資金は、各貴族からの寄付と宮廷魔術師たちからの寄付によっています。そのおかげであまり豊かではない生まれのご令嬢も、寄宿舎では最低限の衣食住が保証されます。家業の手伝いをしなくてすむ分、寄宿舎で生活した方が学業に身が入るのです。

 寄宿舎から出て街に行くには、許可が必要です。夜間の場合、実家に帰るのでもなければまず許されないでしょう。
 許可をもらわずに出るには、魔術学校と同じく「抜け出しチェック」が必要です。

 寄宿舎、学園寮を舞台にした物語も多数発表されています。ここを舞台に面白い物語/シナリオが編めることでしょう。
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1)お父様からのプレゼント

 ■舞台:身分度が2番目に高いご令嬢の私室
 ■登場人物:身分度が2番目に高いご令嬢
 プレイヤーが望むのならば、ほかのPCの登場を認めてもいいでしょう。身分度が高いほうが、私室に招かれるのに「自然」かもしれません。
 2番目に身分度の高いご令嬢にまず父親の名前を尋ねましょう。約15秒待って回答がなければ、ハロルドにします(PCの数が2人の時は身分度が高いほうのご令嬢になります)。
 そのご令嬢は、父親から贈り物として小さな箱を一つ届けられます。丁寧な梱包をあけると、小さく真っ赤な宝石のついた指輪が入っていました。
 同封された書状には、次のように書かれています。
「我が宝(ご令嬢の名前)よ。ますますの幸いを祈り、これを贈る ,―(父の署名)―
 ご令嬢は指輪をはめてみることでしょう。指にぴったりです。吸いつくかのようにはめることができます。
 指輪がはめられたのならば、このシーンは終了です。

→指輪の効果
「美的パワー」の「艶やか+2」、「印象度+10」という修正をご令嬢に与えます。
 小さな赤い蝶が彫り込まれています。蝶の真ん中に、2mm程のルビーが埋め込まれているようです。

→プレイヤーがはめるのを嫌がったら?
 タロットを1枚引いてもらってください。「おっ、この数かぁ」「このスートじゃなぁ」などと呟いてから、おもむろに次のように告げてください。
「(ご令嬢の名前)さんは、だんだん指輪を気に入ってきました。この指輪はあなたがはめるために作られたかのような気までしてきました」
 というわけで指輪ははめられます。

2)リッチフィード様との出会い

 ■舞台:下町
 ■登場人物:一番身分度の低いご令嬢、ニコルソン・リッチフィールド(NPC/ブリザーヴ)、シーン1)に登場していないPC
 
 1日の授業が終わったご令嬢が、学外で用事を済まし、自宅か寮へ戻るところです。用事の内容はプレイヤーに任せましょう。悩むようならば、「散歩」「お買い物/ウィンドゥショッピング」「家のお手伝い」といったところから選んでもらってください。
 一人の殿方に声をかけられます。革鎧に身を包んだ冒険者の男性です。
「ちょっといいかな? 赤い蝶が彫り込まれた指輪を見たことないかい?」
 男性は、ご令嬢の姿に顔を赤らめながら、このように問いかけてきます。
 無論、このシーンに出ているPCがこの指輪のことを知っているはずがありません。
「そうなんだ。君(たち)ならば知っていそうな予感がしたんだけれど。僕は、ニコルソン・リッチフィールド。ニコルって呼んでくれてかまわないよ。〈烏の薔薇〉亭に泊まっているから、なにかわかったら教えてね」
 去り際にPCたちに名前を尋ねてきます。名前に反応して、「う〜ん、いい名前だね」など反応を返します。
 身分度の1番低いPCの名前を聞くと、一瞬口を閉ざし遠くを見る瞳になります。そののち、「その名前を大事にするんだよ」など言います。
 美的交渉などを駆使して、口を閉ざした理由を聞けば、妹と同じ名前だということを漏らして慌てて立ち去ります。

 ご令嬢たちがニコルに尋ねるかもしれないことを下に挙げておきます。

→なんで、その指輪を探しているの?
 知人が持っていたものなんだ。なくしたその指輪を探してここまで来たんだ。
 (美的交渉成功→)妹の遺品だから是非とも取り戻したい。

→なんで、私(たち)に尋ねたの?
 君(たち)くらいの年代ならばどこかで見かけたんじゃないかな、と思って。
 (美的交渉成功→)君(たち)にみんなにない何かを感じたんだ。

3)小さな災難

 ■舞台:学校の階段
 ■登場人物:指輪所持者、希望PC  
 昼休みのことでした。
 状況説明なしに、いきなり指輪所持者に「バランス」のアビリティチェックをしてもらいます。
 失敗すると、階段を上っている際に手摺りが壊れます。所持者は一緒に後ろに滑り落ちてしまいます。タロットを2枚めくって低い方の数字分、衣装の耐久度が落ちます。
 成功したのならば、手摺りだけが後ろに滑り落ちていきます。
 居合わせたPCも巻き込まれて落下するかもしれません。その場合は同じように「バランス」チェックを命じてください。

 階段で転倒してしまったPCがいたのならば、その「ご令嬢」らしからぬ様を礼法担当教師に咎められてしまいます。礼法担当のコケッテン先生は、タロットの数字×10分の間、お嬢様たちに小言を言い続けます。授業時間にかかろうが気にしません。
「まったく、はしたないざます!」

 小言まで終わったら、次のようにプレイヤーたちに告げてください。
「こんな感じで、最近、みなさんはちっちゃなトラブルにまとわりつかれています。これは(指輪所持者)が指輪をもらってからのことだったでしょうか」
 そして、《導入部》は終わります。

→階段の転倒時に「悲鳴」をあげたら?
 ルールに従ってランダムにリザーヴを決め、落下してくるご令嬢を抱えてあげてください。衣装にダメージを受けることもなく、無事殿方に立たせてもらえます。下のようなコメントを残して立ち去っていきます。
「あぶなかったですね、お嬢さん。妹の入学手続きがなかったら、お嬢さんは大変な目に遭っていたかもしれません。妹に感謝ですよ」

→暇そうなプレイヤーがいる
 そのプレイヤーのPCと指輪所持者を出して、トラブルを起こしてあげましょう。トラブルについては、4)を参考にしてください。
 自分のPCにどんな形であれ焦点が当たれば、口では文句を言っていてもなんだかんだでプレイヤーは嬉しいものです(偏見)。

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