渡辺順子ホームページ

議会報告のバックナンバー一覧へ戻る

渡辺順子の議会報告No.11

はじめに

早いもので節分も過ぎ、蝋梅の甘い香りに春の気配を感じる頃となりました。昨年からの例年にない豪雪に閉じ込められ、毎日を不安な気持ちで生活している方々はきっと春が待ち遠しいことでしょう。

情報を公開し、
  町民参加で時間をかけて話し合う、
   そのプロセスが大切です。(一般質問から)

「指定管理者制度」、ちょっと耳慣れない言葉ですが、これは平成15年9月に改正された地方自治法で、これまで公的な団体に限定されていた公共施設の管理運営を、地方公共団体が指定する民間企業やNPOなどが行うことが出来るようになった制度のことです。

この制度を導入するメリットとして、(1)民間事業のノウハウを活用し、効果的・能率的な施設運営を行うことで利用者に幅広いサービスを提供することができること(2)管理者は利用料金を設定できるため収益を上げられること(3)行政はこれまで施設に掛かっていた経費を削減できること などが考えられます。

すでにこの制度を導入した自治体もありますがまだ事例が少ないためその効果が分かるには時間がかかると思われます。

昨年大磯町は運動公園や福祉センター、図書館などにこの制度を導入して行く方針を示しました。そこで現在どのような検討をしているのか質問しました。

町の回答は、現在図書館協議会が指定管理者制度について勉強中なので全く白紙であること、3月までに協議会としての方向性がまとまる予定である、との答えでした。

元来図書館は無料の原則の下で運営されており、営利を目的とした施設ではありません。また図書の選定は公平で客観的に行われなければならず、長期的な計画を必要とする場合もあります。

しかしITの普及で図書の検索もインターネットでできるようになったいま、図書館の果たす役割も少しずつ変わってきている面もあります。

そこで私は、現在大磯町の図書館の運営を支えているさまざまなボランテイアの方々や利用者に正しい情報を伝え、問題点を出し合って共に考えて行くプロセスが必要ではないか、と提案しました。さらに現在図書館協議会の審議が非公開で行われていることに改善を求めました。

それに対し教育長から、(1)協議会が出した方針を原案として4月からボランテイアや利用者を含めた「検討会」を立ち上げ、大磯町に相応しい図書館のあり方を一緒に考える(2)また協議会も公開が原則である との答弁がありました。

地方分権、三位一体の改革が進む中で大磯町が大磯町らしくあり続けるためには、指定管理者制度に限らず、町は事業の正しい情報公開を行い、町民へ理解と協働を求めるプロセスが大事であり、同時に我々は町の施策を総合的に捉える視点を持つことが大事であると、私は考えています。

12月議会の議案審議から

生涯学習館の買い取りは県との約束 眠っている基金の有効活用を

町はかねてから、平成18年秋に高麗の生涯学習館を県から買い取る約束をしていました。そのため「町民会館建設基金」を取り崩し、残高の1億4千万円をそれに当てたいとする議案を提出しました。

私はこの議案に賛成しましたが、「町民会館建設の夢がなくなる」という反対意見が多数で議案は否決されました。

そもそもこの町民会館建設基金は、昭和42年に民間企業からの寄付金3千万円を原資として設置されましたが、以後利息のみの積み立てで今日に至っています。

現在町では町民会館建設の計画はない上、財政困難の現状では、金利も僅か0.02%の時勢で1億4千万円の基金では今後も建設の見通しが立つとは思えません。

一方生涯学習館は町民の学習の場として利用頻度が非常に高く、既に町民会館としての役割を担っているといえます。

私は、基金を取り崩して県との約束を果たし、「もっと多くの人が利用できるように整備してほしい」という町民からの要望に応えることが基金の有効利用だと考えます。

まちづくり条例があるのに大磯らしい街並が次々と失われて行くのはなぜでしょう

平成14年に施行された「まちづくり条例」では開発予定地内の樹木を伐採することが開発行為とされていない上、既存の樹木を保存するための条文もありません。そのため樹木はすべて伐採され、殺伐とした更地になり、周囲の風景や街並が一変してしまうことが起きています。

このことを憂えている町民から今回「まちづくり条例」が改正されるに当たって、大きな別荘や屋敷を開発する場合は予定地内の樹木の伐採を開発行為と位置づけ、特に沿道部の樹木を保存することで風景の保全が図られような条文を盛り込んで欲しい、という意見が多く寄せられました。私もこのことを何回か一般質問で取り上げました。

しかし私が条例改正検討部会を傍聴した限りでは、有識者の方々はその意見の趣旨を全く理解できない様子でした。

また町民が希望していた意見交換会が行われませんでしたので趣旨を説明する機会もなく、残念ながらこのたびの改正で樹木の伐採を開発行為と位置づけるには至りませんでした。

斜面地開発に関しても今後の検討課題となりましたので、引き続き条例の見直しが必要だと考えます。しかし住民説明会などの6項目の改正が行われたことは一歩前進でした。

ちょっと一言

昨年11月、景観法に基づいて、美しい風景を守るために「水郷風景計画」を策定した近江八幡市を視察しました。

近江八幡市の水郷は16世紀末、同市の「西の湖」と琵琶湖との舟運のために豊臣秀次が掘削したのもですが、昭和40年代に堀の汚れが大きな問題となり、国と市は水郷を埋めてしまう計画を立てたそうです。しかし地元の青年会議所の若者数人がその計画に反対し、自ら堀に入ってヘドロを取り除く作業を始めたのが今日にいたるきっかけと聞きました。

今では景観行政団体として日本一をめざすようにまでなりました。

「はじめから景観を観光資源と考えるのは大きな間違い。住んでよかった、ではなく、ここで死にたい、と言われるまちづくりを目指していたら自然に観光客が来てくれるようになりました」という担当職員の言葉が印象的でした。

掲載記事


Copyright(C) 2003-2006 渡辺順子All Rights Reserved