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渡辺順子の議会報告No.14

はじめに

新しい年の初めを皆様はどのようにお過ごしになりましたか。平成18年の世相を現す漢字は「命」でした。大磯町では今年何名の新しい命が誕生するでしょうか。身も心もたくましく成長してほしいと願います

わたしはこう考えています

残したい・・・でも買えるのか

「今、町が滄浪閣を買っても財政は大丈夫なのですか」・・・昨年11月に行われた町長選挙のとき多くの方からこのような質問をうけました。  滄浪閣は、西武の運営破綻で今年の3月には営業を停止すると言われています。しかし町民にとっては歴史的遺産として、また文化祭の会場や中華レストランとして長い間親しんで来たところなので存続を望む声が多くありました。

そのため「町が買い取り、庁舎を移転し文化の拠点をつくります」という町長候補の公約に期待が集まりました。

しかし、採算性の見通しが甘い施設整備を進めた結果財政破綻に追い込まれた北海道の夕張市の話題が記憶に新しいため、冒頭のような心配の声があるのも当然だと思います。

では現在の町の財政はどうなっているのか、「広報おおいそ」11月号の「大磯町の平成17年度の決算のあらまし」を参考に見てみましょう。

一般事業費 約4.5億円

平成17年度の一般会計の歳出総額は約80億1,592万円です。その内人件費25億1,547万円)、児童手当や障害者などへの経費の扶助費(5億7,317万円)、物件費(15億6,572万円)など、必要な経費(経常経費)が全体の95%を占めています。そして残りの5%(4億5,661万円)が、学校改修や、福祉施設事業、保育園整備、道路整備などの一般事業に充てられています。

一般会計の借金残高は86億4,344万円で、公債費(借金を返済する経費)は8億4,766万円です。

仮に30億円借金したら

今回、滄浪閣は40億円強で大手建設会社が落札しました。町が滄浪閣を買う場合はそれ以上の金額となり、さらに庁舎建設経費、庁舎機能移転経費、文化の拠点づくりの施設経費がかかります。仮に町が30億円借金をして、それを金利2%、20年間で返済すると想定した場合、毎年元金返済分で1億5,000万円、さらに利子の負担分があります。

この返済の財源をどこかで生み出せないと、公債費が大幅に増えるため予定している一般事業が遅れる、またはできなくなる、など町民サービスに大きな影響が出ると考えられます。

また現在の下水道事業特別会計の借金残高は77億1,000万円で、一般会計の借金と合計すると約163億円の借金となっていますが、下水道事業の公債費(4億1,395万円)は一般会計からの繰入金で充当しています。独立採算が原則の4特別会計への繰り出し金(約13億7,557万円)が一般財源を圧迫しています。さらに土地開発公社の債務負担などもあります。

如何に歳入を増やして町民サービスを充実させるかが大きな課題です。

期待が集まった滄浪閣、町は買い取ることができるのでしょうか。12月定例会の一般質問で町長の考えを伺いました。

定例会一般質問    平成18年12月21日

町長は公約どおり滄浪閣を買えるのか

私の質問:「公有地拡大法」によって大磯町が手を挙げれば、落札した大手企業より優先的に購入できる権利を得られます。手を挙げたのは何時で、またその購入資金の調達、利用目的をいかように考えられたのでしょうか。

町長答弁:12月19日に買い取りたい旨、県に届け出ました。滄浪閣は大磯町にとってかけがえのない歴史的遺産であり、ぜひ残す義務があると考えました。利用方法は文化の発信基地となる拠点づくり、そのほか庁舎施設として活用したい。

資金調達は庁舎の売却、町民会館建設基金、ミニ公募債、国の補助金の交付、県の協力要請など、あらゆる方策を検討して調達したい。

当初25億から30億円を想定したが、入札で倍近い金額になりました。今後有識者による委員会を設置し、具体的な資金面について検討したい。

私の質問:今後設置する検討委員会の人選で公募はしませんか、会議は公開されますか。

また庁舎の移転場所は滄浪閣のどの辺りを考えていらっしゃるのでしょうか。

町長答弁:検討委員会のメンバーを公募するには時間的に余裕がありませんが、多方面から参加していただく。会議は当然公開の対象になります。

庁舎の移転場所はバンケットホールの1部と駐車場の東奥を使い、プレハブを建設したいと考えています。

私の質問:通常庁舎移転のような大きな問題は何年もかけて基金を積み、さまざまな調査を行い、財政的裏づけを持って行うものです。町長候補という責任ある立場で公約に掲げようと決意なさった時点で、当然財政面での検討をされたと推察します。先ほど当初25億から30億という買い取り価格を考えたと言われましたが、それに対し、庁舎の売却価格、基金の取り崩し、補助金、交付金など調達できる金額はいかほどで、不足を充当する借金額はどのくらいを想定されましたか。

町長答弁:細かい数字は手元にございませんが不足する部分、多少、数億円出てくるので、起債を考えさせていただきました。

私の質問:それでは今、町にどのくらいの借金があって、どのくらい起債をし、毎年どのくらいの返済をすれば、今の町民生活が支障なく行えるのか、その辺りのことでお考えになった事をお示しください。

町長答弁:現在163億円に上がる借金があることは承知しておりますが、当然その辺りのことも考えてございます。とにかく元気な大磯をつくろう、その投資が必ずやいい起爆剤になっていくという考えで、滄浪閣の購入を考えたわけです。

私の質問:借金の返済計画も、その財源も考えない公約だったようですが、財政破綻にならないでしょうか。現実に全国各地で文化ホールなどの維持、運営に四苦八苦している自治体があります。庁舎は機能的、効率的、経済的でスリムであるというのが本来の姿だと考えています。

今、何十億円というお金をかけて庁舎を移転することが大磯町の起爆剤になるでしょうか。

滄浪閣は立地条件からも、歴史的な価値からも、活用方法によっては十分町の財源を潤せるところです。大手不動産会社に歴史的な部分を残していただいて、活用していただく方法もあるのではないですか。

町長答弁:営業ができるほど儲けはないかも知れませんが、大磯には町民会館がないので文化の拠点があることで元気が取り戻せる。あそこで儲けようとは思っていません。

残念ながら財政面をどのように試算なさったかは明らかになりませんでした。

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